稲浦鹿藏の発言 (建設委員会)

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○稲浦参議院議員 ただいま議題となりました砂防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 すでに御承知のとおり、年々水害により貴重な人命財産に甚大な損害を受けているわが国の現状にかんがみ、鋭意治水事業の推進をはかり、国土の保全と民生の安定を期しますことは、現在の重要な課題であると存ずる次第であります。
 ところで、治水事業には、砂防事業のほかに、河川改修事業等がございますが、上流地域における土砂等の崩壊流出を防止する砂防工事を施行しない限り、絶えざる土砂等の流下堆積は、やがて洪水の危険を増大し、せっかく行なった河川改修工事等の効果を減少滅却するに至るわけであります。したがいまして、治水対策は砂防工事に重点が置かれるべきにもかかわらず、災害の発生により砂防設備を施設する必要を生じた場合の砂防工事の施行については、いささか適切を欠いていると思われるのであります。すなわち、指定土地内にある治水上砂防の効用を有する天然の河岸が災害を受けた場合の復旧事業の実状をながめてみますと、当該天然の河岸は河川として維持管理されているため、その復旧工事は、通常、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(以下単に「負担法」と申し上げます。)上の河川災害復旧事業として施行することはできましても、砂防災害復旧事業として施行することはできないのであります。したがいまして、砂防設備を施設する必要を生じた場合には、災害復旧に際しても、砂防法上新設工事として都道府県知事が砂防工事を施行しなければならないわけですが、財政的には、負担法上の高率の国庫負担がある場合と異なり、都道府県は三分の二の補助を国から受けるにすぎないのであります。
 そもそも人工の砂防設備と同様な効用を有する天然の河岸が災害を受けまして著しく欠壊または埋没したような場合には、その復旧工事は、人工砂防設備並みに砂防災害復旧事業として施行され、負担法による高率の国庫負担があってしかるべきものと考えるのであります。
 さらに、砂防工事の施行は、中下流地域における洪水の危険を防止軽減し、ダムの効用を維持保全するためのものであり、受益者は、中下流地域の住民であるといえる関係上、砂防法は原則として砂防工事の施行者を都道府県知事といたしていますが、前記天然の河岸を治水上砂防のため復旧する場合におきましても、原則として都道府県知事が当該工事を施行すべきものと存ずるのであります。
 こうした観点から、指定土地内にある天然の河岸が災害を受けまして著しく欠壊または埋没し、治水上砂防のため復旧を必要とする場合には、砂防災害復旧事業として砂防工事が施行され、原則として都道府県知事が当該砂防工事を施行し、負担法による国の一部負担金が都道府県に交付されるように措置することが、当面早急に解決すべき緊急の要務であると存ずるのであります。
 本法律案は、このような趣旨を達成するために提出いたした次第であります。
 しかして、現行負担法上の砂防災害復旧事業の要件に該当するためには、砂防法上の砂防設備であることが必要なわけであります。
 したがいまして、今回、この砂防法の一部改正により、指定土地内にある天然の河岸で災害を受けて著しく決壊または埋没し、治水上砂防のため復旧を必要とするものは、砂防設備に準ずるものとして取り扱われることになりますので、負担法におきましても、砂防上の砂防設備として取り扱うことができることとなるわけであります。
 なお、この法律の一部改正に伴い、負担法施行令等関係政令も改正すべきものと考えております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。

発言情報

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発言者: 稲浦鹿藏

speaker_id: 30929

日付: 1963-05-22

院: 衆議院

会議名: 建設委員会