中野由巳の発言 (外務委員会)
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○説明員(中野由巳君) 海上における人命の安全のための国際条約は今回を含めて四回にわたって作成されました。一九一二年四月十四日の有名なタイタニック号の海難を契機としまして、一九一四年に署名されたものが最初の条約であります。この最初の条約は発効するに至りませんでしたが、その後の一九二九年、一九四八年に署名されたものはいずれも発効いたしております。現在は一九四八年のものが効力を生じております。
今回の条約は、一九四八年以後の技術の進歩、一九四八年の会議で採択されました勧告、原子力船の出現等に伴い、現条約を改正する必要が生じたため、IMCOの招請により開催された国際会議において作成されたものでございます。
この条約は、十四条の条約本文と、条約の不可分の一部をなす八章百九十八規則の規則から成り、条約本文は主として条約の手続事項を定め、規則は、条約の目的である海上人命安全の確保に必要な実際的な措置を定めております。すなわち一としましては、第五章航行の安全におきましては、船舶の運航環境を安全なものとし、二、第二章構造で、船舶自体でとるべき安全措置を定め、三、第六章穀類の運搬及び第七章危険物の運搬で、危険な積荷の種類及び積付方法を制限し、四、第四章といたしまして、無線電信及び無線電話で、遭難の場合の救助を求める手段を講じさせ、五といたしまして第三章救命設備等で、船舶を放棄する場合の安全な脱出と救助を待つための措置を講じさせるものとし、六といたしまして第一章一般規定で、これらの事項を励行するための手段として、政府の責任において船舶検査を行ない、証書を発行し、この証書は他国の港において容認されることを定めております。また七といたしまして第八章原子力船という項で、原子力船についてその特有の危険性にかんがみ、以上の事項に付加すべき特別の措置を定めております。
この条約は一九四八年の条約を各部にわたって変更しておりますが、その大部分は技術的な事項でございます。おもなるものを申し上げますと、次のとおりでございます。一といたしまして、漁船は従来と同様に適用を除外されておりますが、漁船の定義が新たに今回設けられました。漁獲物運搬船、工船等は、貨物船として適用を受けることが明確にされたわけでございます。これが第一章関係でございます。二といたしまして、総トン数五百トン以上の貨物船について、構造の検査及び証書の制度が新たに設けられました。これも第一章関係でございます。三といたしまして、総トン数五百トン以上の貨物船に、電気設備、後進力、操舵装置及び脱出設備の基準が新たに設けられました。これが第二章関係でございます。四といたしまして、総トン数四千トン以上の貨物船について、防火構造の基準が新たに設けられました。五といたしまして、救命いかだは、従来は固型のものに限られておりましたが、膨張式救命いかだが新たに採用されました。これが第三章関係でございます。六といたしまして、貨物船の無線設備の強制範囲が、従来の総トン数五百トン以上から総トン数三百トン以上に拡大されました。これが第四章関係でございます。第七といたしまして、穀類の運搬について、締約政府間で容認される穀類の積載図の制度が新たに設けられました。これが第六章関係でございます。八といたしまして、原子力船について、新たに規制が行なわれました。これが第八章関係でございます。以上です。