宮澤喜一の発言 (外務委員会)
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○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま曾祢委員が御指摘になりましたような海外移住、そういう御指摘のような考え方で考えるものの見方、それが昨今では支配的になっておるものと考えます。その点は、一つは海外移住についての意識の高まりにもよることでありますが、他方では、後段で御指摘になりましたように、わが国自身のいわゆる人口圧力あるいは労働の需給の関係の変化、そういうことからして、現実に、いわば国内で適当な職業がないがゆえに、余ったものが海外へ出かけていくというようなことが、現実の問題としてすでになくなりつつある。そういう認識の高まりと現実の労働需給から、曾祢委員の御指摘になりましたようなことが、だんだんプリヴェーリングなものの考え方になっておると思うわけでございます。で、ただいま現在この一、二年、新規の学校卒業者の供給が非常に逼迫をいたしておるわけでございますが、これはもうしばらくしますと、やや短期間、一、二年の問は多少緩和されると思うわけであります。しかし、その後には再び相当な逼迫が続くということは明らかであると思うのでありますが、元来、所得倍増計画で考えておりましたときには昭和四十一年ごろが供給のピークになりまして、その後一、二年は高いところが続くと考えておったわけでありますけれども、実は所得倍増計画で考えておりました高等学校への進学率というものが、だいぶ事実と違っておりまして、進学率が六割を突破し、七割に近くなっていくというような傾向にございますから、したがって、そういう労働力が労働市場に出てくる時点はそれだけややおくれる、こういうことになると考えるわけであります。いずれにしても、しかし、そういうピークが続く期間はそう長くないわけでありまして、その後おそらくはわが国において初めて本格的な新しい若い労働力の不足というものをどうするかという問題が出てくると思います。現在、この一、二年出ておりますのは、その最初の段階でありまして、この後しばらくはゆるむ、そして本格的に四十一、二年のピークのあとでそういう問題に取り組まなければならない、こういうのが大体の需給関係であると考えるわけであります。したがって、その方面から、いわば昔言われましたような、国内に職を求めがたいために海外に出かけるというような考え方は、現実の問題として起こり得ないであろうというふうに考えます。問題になりますのは、この間を通じておそらく中高年令層——一般の労務逼迫にもかかわらず、中高年令層の中に新しい雇用に十分に適合し得ないという人々が現われると思うのでありますが、これについては、やはり職業の再訓練でありますとか、技術指導ということで、国内におそかれ早かれ吸収をしていかれるであろう、むしろそのように考えられますから、この層についても概して昔のようないわゆる移民というものの考え方は起こりにくいであろう、そういうふうに思われます。これは労働の需給から申し上げることでありますが、なお、経済企画庁にございます経済審議会へ、しばらく前に、いわゆる人的能力を今後どういうふうに開発するかということについて諮問をいたしておりまして、長い研究の後に、本年の初めに答申があったわけでございますが、その答申の中で、わが国の海外移住問題については、工業あるいは工業技術者の増強、渡航の前の研修、訓練の充実、海外に移住する人々を質的にどうやっていい人を送るかということが問題であるということを述べておるわけでありまして、この点は、過剰労働力の処置の問題としてではなく、もう少し高い国際的な視野及びわが国の必要からものを考えて答申をしてきたわけであります。この答申は閣議にも報告をいたしたわけでございますが、この点でも、昨年の暮れの海外移住審議会が考えられました考え方と軌を一にしておると思います。いずれにいたしましても、現実の労働の需給関係及び一般的な認識の高まりから、先ほど曾祢委員が御指摘になりましたような考え方、海外移住の見方というものが、現在一般的ないわゆるプリヴェーリングな考え方になりつつあるというふうに思うわけであります。