外務委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十八年六月二十六日(水曜日)
午後一時三十二分開会
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委員の異動
六月二十六日
辞任 補欠選任
加藤シヅエ君 大和 与一君
戸叶 武君 佐多 忠隆君
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 岡崎 真一君
理事
井上 清一君
草葉 隆圓君
長谷川 仁君
岡田 宗司君
委員
青柳 秀夫君
大野木秀次郎君
木内 四郎君
杉原 荒太君
西田 信一君
山本 利壽君
羽生 三七君
森 元治郎君
大和 与一君
佐藤 尚武君
曾祢 益君
国務大臣
外務大臣 大平 正芳君
国務大臣 宮澤 喜一君
政府委員
経済企画庁総合
計画局長 向坂 正男君
外務政務次官 飯塚 定輔君
外務大臣官房長 湯川 盛夫君
外務省移住局長 高木 広一君
農林省農政局長 斎藤 誠君
事務局側
常任委員会専門
員 結城司郎次君
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本日の会議に付した案件
○海外移住事業団法案(内閣提出、衆
議院送付)
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この発言だけを見る →午後一時三十二分開会
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委員の異動
六月二十六日
辞任 補欠選任
加藤シヅエ君 大和 与一君
戸叶 武君 佐多 忠隆君
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出席者は左の通り。
委員長 岡崎 真一君
理事
井上 清一君
草葉 隆圓君
長谷川 仁君
岡田 宗司君
委員
青柳 秀夫君
大野木秀次郎君
木内 四郎君
杉原 荒太君
西田 信一君
山本 利壽君
羽生 三七君
森 元治郎君
大和 与一君
佐藤 尚武君
曾祢 益君
国務大臣
外務大臣 大平 正芳君
国務大臣 宮澤 喜一君
政府委員
経済企画庁総合
計画局長 向坂 正男君
外務政務次官 飯塚 定輔君
外務大臣官房長 湯川 盛夫君
外務省移住局長 高木 広一君
農林省農政局長 斎藤 誠君
事務局側
常任委員会専門
員 結城司郎次君
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本日の会議に付した案件
○海外移住事業団法案(内閣提出、衆
議院送付)
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岡
岡崎真一#1
○委員長(岡崎真一君) それでは、これから外務委員会を開きます。
この際、委員の異動につきまして御報告を申し上げます。きょう付をもって委員加藤シヅエ君、戸叶武君が辞任され、その補欠として大和与一君、佐多忠隆君が委員に選任されました。
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この発言だけを見る →この際、委員の異動につきまして御報告を申し上げます。きょう付をもって委員加藤シヅエ君、戸叶武君が辞任され、その補欠として大和与一君、佐多忠隆君が委員に選任されました。
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岡
曾
曾禰益#3
○曾祢益君 私は自分の昨日の質問に続きまして、主として外務大臣に御質問申し上げたいんですが、関連いたしまして、経済企画庁のほうからもお示しを願いたいのであります。それは昨日も申し上げましたように、今度の移住事業団法案を提案するにあたって、政府が移住審議会の答申に基づきまして、少なくとも従来のような単に過剰な労働力を海外にはけ口を求めるというような古い観念の移住からは何とか脱却しようと、こういう前向きの姿をわれわれは見て、それに賛成するものでございまするが、どうもまだ、そうかといって、新しい観点と私は思うのでありまするが、日本の過剰労働力を何とか向こうに出そうということに重点を置かずに、日本のこれからのコンストライクティヴな、建設的な海外活動という観点ははっきりと焦点を合わせて、必ずしも大量の定着の農業移民を外へ送るということでなくて、むしろ農業もあろうし、工業もあろうし、経済、社会、文化、いろいろな活動において、日本の国民に海外に一つの新しいフロンティアを求める機会を与える、そしてその当該国に対する日本の一種の技術的、文化的援助である、いわば新しい平和部隊的な思想に立ったほうがいいんではないか。むろんその中にも、相当まだ当分の間、量的には農業方面から出る人もあるでしょうけれども、しかし、それは量的にもそうたいしたことを期待するのは間違いではないかという意味で、もう少し竿頭一歩を進めて、海外経済協力——日本の労働事情がプライム・モーティヴでなくて、日本の対外活動、対外援助、こういうことをプライム・モーティヴとして総合的な施策をすべきではないか。まあそういった趣旨のことを申し上げながら、外務大臣、農林大臣等の御意見を伺おうと思ったわけですが、その続きでございまするけれども、特に経済企画庁長官にお尋ねしたいのは、きのうも農林大臣にそういう意味で率直に申し上げたつもりなんですけれども、大体この日本の農業の当然の構造改善からいって、池田総理がかつて言った四百万人貧農切り捨て政策というようなことは、まさか政府も考えておられないでしょうけれども、確かに一種の過剰労働力があるけれども、その労働力をまず第一義的には農業において、第二義的には他の国内の必要な産業方面にこれを吸収し、それをうまくリセットルしていくような政策が当然とられなきゃならないので、何か海外に土地が余ってそっちに行れるじゃないかというようなことで、従来とかく移住というものを取り上げられた観点は、国内政策の貧困を移住ということでカバラップしているという、カムフラージュに使っているきらいすらあるのではないか。現実には日本の今後の経済成長が、みんなが——おそらくこの点は国民もこれには異議がないと思うのですけれども、結果は経済成長が高度に進み、そうして日本の経済社会の体質が改善されると、こういう観点からいえば、一体これからの日本の労働力需給関係をどう一体見て、今後の経済政策を立てるか、これは非常に重要な問題で、おそらく農業あるいは不況産業である石炭産業等から、一時的には過剰労働力は出るでしょうけれども、そういう、どっちかというと若々しい非常に優秀な労働力というのは、ますます先細りになるので、日本のほうで一時困るような労働力は、日本の国内で社会保障の観点を加えて親切に吸収してあげなければならないので、そういうものを外国に無理やりにかりに押し出したとしても、これは決して成功もしなければ、本人にも気の毒だ。だから、大量的に過剰労働力を海外のほうへはけ口を求めるという考えは、もうそういう労働力の需給バランス、高度経済成長から見て、それから質的の問題等から見て、これは主として農業労働のことでございますけれども、他の過剰労働も含めて、あまり量的に従来の観念のように海外に持っていってやるということは、実はもうそんな考えは古くさいのではないかとすら私は感ずるのです。そういう長期的な経済計画という観点に立たれた経企長官として、私はきのうも率直に、外務大臣は日本の農業方面のいろいろなインタレストからだいぶプレッシャーをかけられておって、かりに私の考えているような海外経済協力という方向に向けようと思っておっても、現在の外務大臣としてはすごく低姿勢で、まず機構一元化をやってもらいたい、その次に、移住基本法でも出す機会に、漸進主義的に私の考えているような方向をお考えになるのではないか——これ想像ですけれども、そういうあんまり政治的な判断にかかわらず、そのものずばりで経済企画庁長官のそういう方面に対する高邁なるひとつ御意見を伺いたい。
この発言だけを見る →宮
宮澤喜一#4
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま曾祢委員が御指摘になりましたような海外移住、そういう御指摘のような考え方で考えるものの見方、それが昨今では支配的になっておるものと考えます。その点は、一つは海外移住についての意識の高まりにもよることでありますが、他方では、後段で御指摘になりましたように、わが国自身のいわゆる人口圧力あるいは労働の需給の関係の変化、そういうことからして、現実に、いわば国内で適当な職業がないがゆえに、余ったものが海外へ出かけていくというようなことが、現実の問題としてすでになくなりつつある。そういう認識の高まりと現実の労働需給から、曾祢委員の御指摘になりましたようなことが、だんだんプリヴェーリングなものの考え方になっておると思うわけでございます。で、ただいま現在この一、二年、新規の学校卒業者の供給が非常に逼迫をいたしておるわけでございますが、これはもうしばらくしますと、やや短期間、一、二年の問は多少緩和されると思うわけであります。しかし、その後には再び相当な逼迫が続くということは明らかであると思うのでありますが、元来、所得倍増計画で考えておりましたときには昭和四十一年ごろが供給のピークになりまして、その後一、二年は高いところが続くと考えておったわけでありますけれども、実は所得倍増計画で考えておりました高等学校への進学率というものが、だいぶ事実と違っておりまして、進学率が六割を突破し、七割に近くなっていくというような傾向にございますから、したがって、そういう労働力が労働市場に出てくる時点はそれだけややおくれる、こういうことになると考えるわけであります。いずれにしても、しかし、そういうピークが続く期間はそう長くないわけでありまして、その後おそらくはわが国において初めて本格的な新しい若い労働力の不足というものをどうするかという問題が出てくると思います。現在、この一、二年出ておりますのは、その最初の段階でありまして、この後しばらくはゆるむ、そして本格的に四十一、二年のピークのあとでそういう問題に取り組まなければならない、こういうのが大体の需給関係であると考えるわけであります。したがって、その方面から、いわば昔言われましたような、国内に職を求めがたいために海外に出かけるというような考え方は、現実の問題として起こり得ないであろうというふうに考えます。問題になりますのは、この間を通じておそらく中高年令層——一般の労務逼迫にもかかわらず、中高年令層の中に新しい雇用に十分に適合し得ないという人々が現われると思うのでありますが、これについては、やはり職業の再訓練でありますとか、技術指導ということで、国内におそかれ早かれ吸収をしていかれるであろう、むしろそのように考えられますから、この層についても概して昔のようないわゆる移民というものの考え方は起こりにくいであろう、そういうふうに思われます。これは労働の需給から申し上げることでありますが、なお、経済企画庁にございます経済審議会へ、しばらく前に、いわゆる人的能力を今後どういうふうに開発するかということについて諮問をいたしておりまして、長い研究の後に、本年の初めに答申があったわけでございますが、その答申の中で、わが国の海外移住問題については、工業あるいは工業技術者の増強、渡航の前の研修、訓練の充実、海外に移住する人々を質的にどうやっていい人を送るかということが問題であるということを述べておるわけでありまして、この点は、過剰労働力の処置の問題としてではなく、もう少し高い国際的な視野及びわが国の必要からものを考えて答申をしてきたわけであります。この答申は閣議にも報告をいたしたわけでございますが、この点でも、昨年の暮れの海外移住審議会が考えられました考え方と軌を一にしておると思います。いずれにいたしましても、現実の労働の需給関係及び一般的な認識の高まりから、先ほど曾祢委員が御指摘になりましたような考え方、海外移住の見方というものが、現在一般的ないわゆるプリヴェーリングな考え方になりつつあるというふうに思うわけであります。
この発言だけを見る →曾
曾禰益#5
○曾祢益君 大体基本的に御同感であられるようで、けっこうなんです。特にこの中高年層の方でやはり吸収してあげなければならない方には、いろいろな手厚い職業再訓練とか、いろいろな施設が要るわけですが、そういう場合に、私は特にきのうも申し上げたのですが、中南米の曠野で、中南米の曠野といってもカリブ海を含めてもかまわないのですが、ジャングルでもいいんですけれども、非常に生活程度の低いインディオと同じような原始的な農業をやらなければならないようなところにそういう中高年層の人をやるのは、これはもう実に非人道的で、そんなことはあってはならないと思う。だとすると、非常に国内で社会保障的な意味を加えてやる、相当な国家の財政を使ってもやらなければなりませんが、そういうことと比べて、効率的に考えても、あまり何でもかんでも南米のどっかの国に土地を買って、そうしてやるといっても、それに投下する、また投下してやらなければならない資金ということも考えて、そういう効率もやはり考えなければいけない。日本の労働力を効率的に使うというなら、第一義的には、やはり国内でりっぱにそれを使い、もしそれに伴う社会保障的な仕事があるなら、やはりそれを国内でやるのが当然なんです。だから、やはり国外の移住というものに対するならば、やはり主として経済協力という点と、とにかく新しい天地に行って、農業でもできるし工業でもできるという一つの新しい働く分野を確保していく、これはけっこうなことであって、毎年相当コンスタントな形でそういう人が行かれることはいいけれども、繰り返したことになりますけれども、過剰労働力を何でもかんでも従来の観念で外へ持ち出そうということは、もう相当修正されなければならない、こういうふうに考えるわけです。農業のほうについては、経企長官に伺うのですが、農業の余ってくる労働力の、それの国内における吸収等について、どういう計画と見通しをお持ちですか。もう一ぺんその点だけ伺いたい。
この発言だけを見る →宮
宮澤喜一#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 所得倍増計画では、目標年次におきまして農業人口が一千百万くらいになるのではないかということを考えておるわけでございますが、現実には、このところ毎年農村からの労働力の流出が三十万ないし四十万ございます。このレートは、倍増計画で考えておりますよりも、多少率としては高目であるように考えます。おそらくそれは、経済の成長が倍増率で考えたよりも高度であったということの反射であるというふうに思うわけでありますが、この人々は、第一義的には、職場において労働の再教育を受けておりますし、また、国としてもそういう再訓練の施策を行ないつつあるわけであります。しかしながら、なお十分にそれが行きわたっておるとは申せませんので、ことにこれらの人口のうち、年令の高い者についてはきわめて不十分な現状でありますから、そういう職業再訓練の施設をさらに進めていかなければならないと思います。他方で、しかし、今後そのような三十万ないし四十万の流出が続くであろうかどうであろうかということにつきましては、一つはいろいろな事情、それは食糧事情と申すよりは、むしろ生活環境についての考慮と思われますが、いわゆる兼業農家のようなものがこれからあまり減らずに、二種兼業のようなものが相当残っていくのではなかろうかというふうにも考えられますので、今後毎年それだけの流出が続くかどうかということにつきましては、これは問題があると思います。しかし、いずれにしても、そのような訓練を受けながら相当数の農村からの流出が今後も続くであろう。ただ、そのいずれの現象をとってみましても、そういう人々の生活向上といいますか、そういう意欲から自然に出てきておることでありまして、そういう人々を余剰人口として救済するために移民を行なわなければならないというような、そういう事態はこれからもおそらく生じないであろうというふうに私どもは考えております。
この発言だけを見る →曾
曾禰益#7
○曾祢益君 宮澤さんのほうは、私はこれでけっこうです。
外務大臣に伺いますが、きのうもちょっと申し上げたのですが、外務省の「受入れの現況」という資料によりますと、ドミニカの失敗に関する反省がなされておるのはいいのですけれども、「カリブ海沿岸のような甚だしい低所得地帯に移住者を送ったことを反省しなければならない」、そんなことは初めからわかっていたのじゃないかと思うのですが、そういう点で、一体どういうふうに、南米の今現に問題になっている国、パラグァイだとか、ブラジル、アルゼンチンは比較的いい階層——水準は高いし、アルゼンチンは特別に高いし、ブラジルもどんどん発展の途中にあるからいいのですけれども、パラグァイ以下——と言ったらおこられるかもしれないが、ボリビアとか、そういうところの生活水準ということを考えて、一体ドミニカの失敗をドミニカだけの一つの孤立したケースと考えられるのかどうか。非常に原始的な農業を、せっかく日本から行った貴重な同胞がやっておるような状態を考え直さなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、ドミニカだけについて、あそこはカリブ海でも特に低い地帯である、あそこは比較的狭い島嶼で、移民というものはあっちこっち動くものだ——これも実は私は観念が間違っているので、一ぺんセットルしたら、そこにいられるようにセットルすべきだと思うのです。これらの点についての過去の反省とか追及をやっているのではなくて、それを根拠として、過去の経験に徴して、これからの一体考え方がいいのかどうか、こういう意味で伺いたいわけです。
この発言だけを見る →外務大臣に伺いますが、きのうもちょっと申し上げたのですが、外務省の「受入れの現況」という資料によりますと、ドミニカの失敗に関する反省がなされておるのはいいのですけれども、「カリブ海沿岸のような甚だしい低所得地帯に移住者を送ったことを反省しなければならない」、そんなことは初めからわかっていたのじゃないかと思うのですが、そういう点で、一体どういうふうに、南米の今現に問題になっている国、パラグァイだとか、ブラジル、アルゼンチンは比較的いい階層——水準は高いし、アルゼンチンは特別に高いし、ブラジルもどんどん発展の途中にあるからいいのですけれども、パラグァイ以下——と言ったらおこられるかもしれないが、ボリビアとか、そういうところの生活水準ということを考えて、一体ドミニカの失敗をドミニカだけの一つの孤立したケースと考えられるのかどうか。非常に原始的な農業を、せっかく日本から行った貴重な同胞がやっておるような状態を考え直さなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、ドミニカだけについて、あそこはカリブ海でも特に低い地帯である、あそこは比較的狭い島嶼で、移民というものはあっちこっち動くものだ——これも実は私は観念が間違っているので、一ぺんセットルしたら、そこにいられるようにセットルすべきだと思うのです。これらの点についての過去の反省とか追及をやっているのではなくて、それを根拠として、過去の経験に徴して、これからの一体考え方がいいのかどうか、こういう意味で伺いたいわけです。
高
高木広一#8
○政府委員(高木広一君) ドミニカの場合は、曾祢先生が言われたように、確かにああいう狭い島で耕作し得る面積も少ない、それから土民の生活程度もきわめて低いというところで、非常に無理があったようであります。ただ、当時の情勢というのは、この話が出ましたのは、昭和二十九年ごろで、当時は海外からどんどん日本に帰ってくる。国はまた疲弊しているということで、むしろ人口問題を解決すべく、どこでも、受け入れてくれるところがあったら出したいということでやったというきらいは相当ございます。やはり現在やっておりますパラグァイとかボリビアについても同じことではないかという御質問だと思うのですが、その点、パラグァイ、ボリビアは確かに人口が少なく生活程度も低いのですけれども、しかし、今のドミニカなんかに比べますと、非常に面積も広い、資源も豊富である。ボリビアのごときは、日本の四倍以上で人口がわずか三百六十万、そうして資源が非常に豊富であって、土民は鉱物を掘り出してそれを海外へ出し、食糧を海外から入れているというようなところであります。それから、パラグァイは、これも日本の倍ぐらいの面積で人口わずか百六十万、これは従来はアルゼンチンの植民地として非常に低い地位に置かれ、。パラグァイが経済的に一番難点であったのは、交通の点でアルゼンチンに押えられて、一切の生産物が運賃で搾取されていたという実情であります。これに対して、南米の最近の情勢は非常に変わりつつあります。たとえばボリビア、パラグァイのように、かつては忘れられたようなところが、最近は「進歩のための同盟」もございますが、その前のポイント・フォア、あるいはヨーロッパ諸国からの積極的な働きかけもありまして、これらの忘れられたような地域が今南米開発の波に乗って、パラグァイには汎米道路が通じてブラジルまで行くとか、ボリビアに行きましても、アメリカは毎年三千万から四千万ドルの援助をして、道路、公共施設その他の開発をやって貢献しておる、こういうところでございますので、ただ労力だけを出すということになれば、曾祢先生が言われたように、まだまだ問題がございますが、これに加うるに日本の財的な援助、技術的な援助を加え、もし可能ならば、これにさらに世界銀行とか、あるいはヨーロッパ諸国との協力も合わせてやっていくということをしますなれば、ドミニカとは全然違う情勢になり得るし、またそうなりつつあるというふうに考える次第であります。
もう一つ、われわれとして注意をしなきゃいけないのは、最近、南米におきましても南米共同市場が結成せられまして、これが思ったよりも早く動きつつある。特に南米におけるボリビア、パラグァイのような後進国は、南米諸国でも特別の関税の待遇を与えられて、たとえばパラグァイの農産物については関税を課さない——付加税は別として、ブラジルもアルゼンチンも課さないというようなこと、それから、スペインがパラグァイの商船隊のために借款を提供する、日本も移住協定調印の際に、やはり三百六十万ドルの商船隊のクレジットを与えまして、これなんかも日本の移住者が作ったものが海外へ安く出得る一つの方法でございますし、こういうところから見ていきますと、南米のこれら非常におくれた国々が今新しい様相を呈してきておるので、その状況はドミニカとはまるっきり違うということが言えると思います。
この発言だけを見る →もう一つ、われわれとして注意をしなきゃいけないのは、最近、南米におきましても南米共同市場が結成せられまして、これが思ったよりも早く動きつつある。特に南米におけるボリビア、パラグァイのような後進国は、南米諸国でも特別の関税の待遇を与えられて、たとえばパラグァイの農産物については関税を課さない——付加税は別として、ブラジルもアルゼンチンも課さないというようなこと、それから、スペインがパラグァイの商船隊のために借款を提供する、日本も移住協定調印の際に、やはり三百六十万ドルの商船隊のクレジットを与えまして、これなんかも日本の移住者が作ったものが海外へ安く出得る一つの方法でございますし、こういうところから見ていきますと、南米のこれら非常におくれた国々が今新しい様相を呈してきておるので、その状況はドミニカとはまるっきり違うということが言えると思います。
曾
曾禰益#9
○曾祢益君 私も、まあドミニカと同じだと言うわけじゃありませんが、今、外務省の資料を見ても、何といっても南米の中の後進地域であるパラグァイ、特にボリビア——ボリビアのごときは、それは鉱産物はあるけれども、それは決して貧困じゃないという意味じゃないわけなんで、ボリビアについては、外務省の「受入れの現況」というやつの八ページの終わりの4のところにも、「現在は」——これはボリビアのことだろうと思うのですが、「現在は他の開拓移住地同様、焼畑農法の域を脱していないが、この農法では収穫が天候に決定的に左右されるのみならず、賃金が高騰し、採算が困難となりつつある。もともと労働力の不足の故に日本人を導入したにかかわらず、その日本人が最も労働力を必要とする原始的農法を行なっていることは著しい不合理であり、」云々と書いてある。そのとおりだと思うのですね。一体日本の、これほどの——私は優秀だと思うのですが、非常に集約的な農業に習熟しているだけでも優秀です。さらに、近ごろ日本みずからがある程度の機械力を取り入れた集約の面と同時に、やはり日本的な構造改善を加えた新しい農法を持っておるような人に、しかも、相当技術を持った人に、機械等をつけてやって、むしろ向こうのインディオでも使うような地位で、そういう一種の農業企業移民ぐらいは出すというなら、これは私は、開発途上にあるボリビア、パラグァイの開発を進める上においては非常にプラスになるし、それこそ、日本の移住の成果を上げる上からいっても、これはけっこうなことだと思う。そうでなくて、あなた自身のあれで自己反省しているように、向うのインディオと一緒に、一対一で、むき出しの肉体的労働力を競争するようなところに日本人を送るのは、私は、日本民族の名においてむしろお断わりしたい、極端に言えばですよ。そういうむだなことは今後やめてもらいたいという感じがしてならない。ですから、従来やってこられたことが、かりに今から見るといろいろ間違いがあったかもしれませんけれども、パラグァイなり、あるいはボリビアを戦後開いたことについては、そこに積極的な意味を見出して、しかし、これからは、今までのような、インディオと労働力を競争するようなそういう方式は、全然おくれているのだから、金はかかってもいいから、質のいい、喜ばれ、こっちも意味のあるような、やはり一種の企業的な、技術的な定住者でも送らなければ、意味をなさぬじゃないか。もし、そうならば、かりに全体で二千人しか行かなくてもですよ、そこに意味がある。そうでなくて、従来の呼び寄せも悪い。人道上もけっこうだし、悪いことじゃありませんが、何か、アトランダム的な行き方、やり方、その頭の切りかえが日本側全体としてできていないのじゃないか。この「受け入れの調査」は、非常にある意味じゃ正直なんです。非常に示唆的だと思う。どうですか、大臣。
この発言だけを見る →大
大平正芳#10
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりだと思います。これは移住政策自体での御指摘でございますが、きのうも先生からの御指摘がありましたように、経済協力——単なる物資の交易というものから、だんだんと発展して参りまして、今日のような厚みのある協力形態というのができ得たように、移住政策につきましても、今御指摘のように、単なる労働力のなまの輸出というようなものであってはならぬことは当然だと思います。これに配するに、技術、教育、衛生、各種の手段をコンバインして参らなければならぬという認識に、政府ばかりでなく、関係者の認識がようやくでき上がってきつつありますわけでございますので、御指摘のような方向で施策したいと思います。なお、ドミニカ問題について私どもが感じますことは、この前に本委員会でも御指摘がございましたように、やはり事前調査といいますか、経済的協力の分野におきましても、一番今力点を置かなければならないのは、事前の調査でございます。これには相当手間もかかるし、金もかかりますけれども、これを手がたくやっておかないと、あとでえらい目にあいますので、東南アジア方面におきまして、その点非常に慎重を期しておるわけでございまして、移住政策におきましても、この事前調査を十分やることと、それを基盤として、今言ったようないろいろな手段をかみ合わせたものにするという方向でやらなければならぬ、また、そういう意識は各方面に、おかげさまで、高まってきておると思うわけでございます。それから、経済協力分野と移住政策の分野との調整という問題も、あわせて考えなければならぬと思います。
この発言だけを見る →曾
曾禰益#11
○曾祢益君 同じような趣旨からではございますけれども、移住協定ができて、特にその割当といいますか、クォータみたいなものを作っている国に限って、とてもそのクォータをいつ充足できるかわからない。ボリビアのごときは、五年間に六千人というのが、これは延長しなければ実際充足できない。パラグァイのごときは三十年間に八万五千人、しかし、これはもう今までのところで五千九百四十四人、とてもこのペースじゃ、三十年が六十年かかったってできるかどうかわからない。しかも、今後どこが可能性があるだろうかということを、外務省が調べられてここに出ております。エクアドル、コロンビア、ドミニカ、カナダ、こう出ております。私は、これは少し乱暴な議論かもしれませんが、この中南米でも一番開発のおくれたようなところをねらうのでなくて、それは開発に協力してあげる意味で、相当レベルの高い技術的な農民なり企業移民はけっこうですけれども、日本と比べて、少なくともその上の階層の、レベルが相当高いようなところに、行ける余地を考えるのが、むしろほんとうじゃないだろうか。たとえばカナダというものが出ている。これはやはり一つの今後のポッシビリティー、可能性としては、しかも、向こうは人口が少ないのですから、そういう点で、大体むしろ明治以来のことを考えると、こっちよりむしろ高いところに送っていたのがほんとうは移民だったのであって、ハワイは別かもしれませんが、北米に行ったというふうなこと等の経緯等から見れば、どうも南米に行って——何回も言って恐縮ですけれども、ジャングルやかわききった土地でインディオと競争して、原始的な農業をやるような考え方は、全く僕はむだじゃないだろうか。重点というものを、相当レベルの高いところで、しかも開発の余地がある、日本の技術も受け入れられる、日本人にほんとうの新しい一つの生命線を与えられる、ヴィジョンが与えられる、こういうところを考えたらいいのじゃないか、こう思う。いかがですか。
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大平正芳#12
○国務大臣(大平正芳君) お説ごもっともでございますが、たとえばアメリカは私ども伺っているところでは、一年間に百五十人のクォータ、これは何年も先食いしているという……。
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大
大平正芳#14
○国務大臣(大平正芳君) つまり、移民の出先の国の移住政策、受け入れ政策というものにはばまれまして、きのうも、今ここでも、御指摘がありまして、あまり成績がよくないじゃないかというお話でございましたが、こういう政治的な制約があることはよく御存じと思うのでございますけれども、したがって、これの打開の道は、やはり大きく申しまして、その受け入れ国の対日信用というか、そういう信用が熟成してこないといけないわけでございまして、一般の外交の問題に帰一してくると思うのでございますが、しかし、そういう与えられた条件のもとにおいても、なお今御指摘のように、せっかく海外にフロンティアを求めた移民の諸君の能力を効率的に発揮できる環境、そういうものを作ることを頭に置いてやらなければいかんじゃないかという、そういうお示しは、私はもうお説のとおりだと思うのでございまして、具体的に、しからば今の現状におきまして、そういう角度から見た場合に、どこが望ましいかというような点につきましては、移住局長からお聞き取りいただきたいと思います。
この発言だけを見る →曾
高
高木広一#16
○政府委員(高木広一君) カナダの問題、今大臣からもお話がありましたように、先方の受け入れ態度の問題があるわけでございます。特にカナダ、豪州は慎重な政策をとっておりまして、御承知のとおり、カナダ、アメリカ、豪州はヨーロッパ移民を中心としておりますから、社会的、文化的あるいは民族的の関係で、いろいろ誤解があったり反対の空気があるわけでございます。われわれとしては、できるだけこれらの誤解を解いて、今先生おっしゃったように、生活程度の高いところに、自然の流れに従って流れていくというような情勢を世界的に推進していくべきであると思うのですが、ただ、こちらから無理に、日本人を入れなければいけないというようなことを言うこと自身が、またかなり問題があると思います。
先ほどもお話がございましたように、日本国内におきましても労働力不足のときに、そこまで言うべきかどうか。私たちは、豪州等においては、先方から望まれない限り、こちらから無理に取ってくれというようなことは言いたくないんだということを言って、逆に、先方からぜひ来てほしいという空気を出したいと思っております。
それから、これは非常におもしろいことですが、今おっしゃいましたカナダ自身がまた、入って来る移住者よりもアメリカに出ていく移住者が多くて、全体としては出国民が多いという点で相当悩んでいる。これは、ヨーロッパからカナダへ行って、さらに生活程度の高いアメリカへ行く。こういうような問題もございまして、なかなか複雑な状態でございます。ただ、現在私たちが対象としております移住は、労働条件が低いところから高いところに流れていくそういう自然的な流れと別個に、むしろヨーロッパからアメリカに開拓したような、あんな気持でひとつ南米へ行きたい、そうして、そこには日本人もおられるし、しっかりした地盤を築いている。また、そこの民族が非常に日本民族と似ていて、非常に近親惑を持つ。これはボリビア、パラグァイ、ボリビアのごときはすでに行った日本人が相当社会的には高い地位を占めている者がある、数は少ないが。そういうようなことにあこがれて南米に行って、自分の代ではだめでも、将来子孫の代でしっかりしたものを築きたい、こういうような人がございますが、これがただ若げの至りで飛び出すだけではいけない。そういう人を助けて、同時に、相手の国の経済開発にも貢献し得るような形に運んでいきたい。幸い、世界的にも、移住というものをそういうような経済開発の立場からみなが協力してやらなければいかぬ、また資本も協力して出さなければいかぬというような空気が強くございまして、たとえばボリビアのごときは、世界銀行も、場合によればひとつ日本と一緒に調査して積極的な施策をやろうじゃないかというような動きも、まだ正式ではございませんが、ございます。こういうような機運をだんだん醸成さしていく。カナダも、できましたなれば、日本の企業進出に伴って技術者が出て行くということが、先生おっしゃったような、カナダに対する日本民族の進出についての誘い口になるんじゃなかろうかというふうに思います。
この発言だけを見る →先ほどもお話がございましたように、日本国内におきましても労働力不足のときに、そこまで言うべきかどうか。私たちは、豪州等においては、先方から望まれない限り、こちらから無理に取ってくれというようなことは言いたくないんだということを言って、逆に、先方からぜひ来てほしいという空気を出したいと思っております。
それから、これは非常におもしろいことですが、今おっしゃいましたカナダ自身がまた、入って来る移住者よりもアメリカに出ていく移住者が多くて、全体としては出国民が多いという点で相当悩んでいる。これは、ヨーロッパからカナダへ行って、さらに生活程度の高いアメリカへ行く。こういうような問題もございまして、なかなか複雑な状態でございます。ただ、現在私たちが対象としております移住は、労働条件が低いところから高いところに流れていくそういう自然的な流れと別個に、むしろヨーロッパからアメリカに開拓したような、あんな気持でひとつ南米へ行きたい、そうして、そこには日本人もおられるし、しっかりした地盤を築いている。また、そこの民族が非常に日本民族と似ていて、非常に近親惑を持つ。これはボリビア、パラグァイ、ボリビアのごときはすでに行った日本人が相当社会的には高い地位を占めている者がある、数は少ないが。そういうようなことにあこがれて南米に行って、自分の代ではだめでも、将来子孫の代でしっかりしたものを築きたい、こういうような人がございますが、これがただ若げの至りで飛び出すだけではいけない。そういう人を助けて、同時に、相手の国の経済開発にも貢献し得るような形に運んでいきたい。幸い、世界的にも、移住というものをそういうような経済開発の立場からみなが協力してやらなければいかぬ、また資本も協力して出さなければいかぬというような空気が強くございまして、たとえばボリビアのごときは、世界銀行も、場合によればひとつ日本と一緒に調査して積極的な施策をやろうじゃないかというような動きも、まだ正式ではございませんが、ございます。こういうような機運をだんだん醸成さしていく。カナダも、できましたなれば、日本の企業進出に伴って技術者が出て行くということが、先生おっしゃったような、カナダに対する日本民族の進出についての誘い口になるんじゃなかろうかというふうに思います。
羽
羽生三七#17
○羽生三七君 ちょっと関連して。今曾祢さんの指摘された問題で、相手国の受け入れの条件が整えば曾祢さん御指摘の方向が望ましいというのか、それとも、それもあわせて考えるということなのか。その辺はどうなんですか。方向としてです、将来の。
この発言だけを見る →大
曾
曾禰益#19
○曾祢益君 私も、同僚羽生委員も同じ御意見だと思いますけれども、豪州人の、オーストラリア人のいわゆる白豪主義というような事実も知っておりますし、私自身が、日本の貴重なる労働力をそう外にむだに出すなというような論者なくらいですから、そう変な古くさい夢を持っているのじゃなくて、ただ、カナダだって永住ばかり考える必要はないので、企業進出もあろうし、ただ、従来何かこう戦後の、日本人はどうしてああいう狭い土地で食っていくのだろうというようなところから移住協定ができて、非常にその点明るい、何らかのうっせきのはけ口、もっと露骨に言えば、その時分はやはり過剰労働力のはけ口と考えたのだろうと思いますね。ところが、これからよく考えなければならないのは、日本の優秀な国民を向こうに送り出すのには、よほど、多少恩に着せるくらいな気持で、また、それだけ向こうが恩に着るような支度を整えて送り出すべきじゃないか、これは。そういう意味からいうと、それはブラジルに行くのはこれは自然であって、だけれども、ボリビア、パラグァイ等に送るのに、何でもいいから手伝いによこしてくれというような考えでもし移住協定が作られているとするなら、これは向こうにも考え方があるだろうし、こっちもわれわれの協力、したがって移民の送出についてもう少し自信を持って、いい意味で高売りをする。特に向こうが喜ぶように、また喜ばすような、こっちが恩に着せて、貴重なあれをむだに送り出すのじゃないのだと、その意味で向こうにも条件を整えさせるように要求をする。そのかわりこっちもきれいな気持で向こうの経済協力に寄与する、そういう考え方が必要なんじゃないか、こう思って申し上げたわけなんです。
そろそろ集約したいと思うのですけれども、最後に、事業団のことに関連して伺いたいのですが、先ほども、今後の移住事業を進めるにあたって国際協力の一つの機運があると、これは非常にけっこうなんですが、ただわれわれが、私自身が少なくともちょっとその点心配なのは、大体この移住振興会社を作るときは少しまあ鳴りもの入りで、吉田さんが一千五百万ドルの借款を取ってきた。そこで移住振興会社を作って、これからもかなりそういった面が明るくなるのじゃないかというようなことでやってみたわけですが、現実にはたいした借款ができなかった。それのみならず、こっちの事業も失敗したとか、為替差損の問題もあったでしょう。そのなぜ失敗したかは別として、当初の移住振興会社を作ったときの背景というものは、必ずしも期待どおりでなかったわけですね。ところが今度は、それは事業団というものになるわけですよ。一種の公団的な——公団よりもさらに移住のあっせんという意味で、幾ら実務機関だ、サービス機関だと言ったって、やはりほとんど政府の仕事だということは、内外ともに隠すべからざる事実です。何も私はそれ自身が悪いと言うのじゃない。それ以外に、今までの会社よりも、さらに日本政府機関的なものにしておいて、他方においては、かなりむずかしいと思われる国際的な公的、私的の外国の資本というものを今度の事業団のほうに相当投入できるというようなことはあまり大きく言えるのかどうか。やはり羊頭狗肉に終わりやしないか。終わってほしいのじゃありませんけれども、そういう懸念を持つのであります。その点どうですか。
この発言だけを見る →そろそろ集約したいと思うのですけれども、最後に、事業団のことに関連して伺いたいのですが、先ほども、今後の移住事業を進めるにあたって国際協力の一つの機運があると、これは非常にけっこうなんですが、ただわれわれが、私自身が少なくともちょっとその点心配なのは、大体この移住振興会社を作るときは少しまあ鳴りもの入りで、吉田さんが一千五百万ドルの借款を取ってきた。そこで移住振興会社を作って、これからもかなりそういった面が明るくなるのじゃないかというようなことでやってみたわけですが、現実にはたいした借款ができなかった。それのみならず、こっちの事業も失敗したとか、為替差損の問題もあったでしょう。そのなぜ失敗したかは別として、当初の移住振興会社を作ったときの背景というものは、必ずしも期待どおりでなかったわけですね。ところが今度は、それは事業団というものになるわけですよ。一種の公団的な——公団よりもさらに移住のあっせんという意味で、幾ら実務機関だ、サービス機関だと言ったって、やはりほとんど政府の仕事だということは、内外ともに隠すべからざる事実です。何も私はそれ自身が悪いと言うのじゃない。それ以外に、今までの会社よりも、さらに日本政府機関的なものにしておいて、他方においては、かなりむずかしいと思われる国際的な公的、私的の外国の資本というものを今度の事業団のほうに相当投入できるというようなことはあまり大きく言えるのかどうか。やはり羊頭狗肉に終わりやしないか。終わってほしいのじゃありませんけれども、そういう懸念を持つのであります。その点どうですか。
大
大平正芳#20
○国務大臣(大平正芳君) きのうも申し上げましたように、こういう政府のエージェンシィみたいなものを、しかも資本金は金額政府が持っておる、任命権も持っておる、予算も全部きめて指示するというような事業形態というものは、御指摘のように、これはよほどの努力を傾けないと、うまくいかぬと思うのでございます。そういう事業形態そのものに内在する通弊を、われわれはもういやというほど知っておるわけなんでございます。しかし、今度この事業団を御提案申し上げて、これができればそういう通弊はなくなるなどと言うほど、私どもも甘く考えておりません。今までいろいろの試みをして失敗した、この歴史を見ましても、なかなか容易ならぬことだと思うのでございまして、私はこの間から申し上げておりますとおり、この事業団をひとつ新しい勇気でもってりっぱに育て上げてみようということが今精一ぱいの気持でございまして、実はこれが当然世界銀行その他の借款を受け入れる、信用を持つものになるのだということを今私は申し上げるほど勇気はないわけでございます。したがって、まずさしあたりこれを作らしていただいて、これを育てさせていただくということが精一ぱいでございます。その育ち工合によりまして、次の事業の拡充をこのボディを中心としてやらしていただくように御相談いたしたいと思っております。
この発言だけを見る →曾
曾禰益#21
○曾祢益君 それはそれでいいです。ただむしろこういう意味で申し上げたのです。少くとも振興会社というものは、政府の出資はあったが、民間の出資を求める、いわばやや会社的な形で、特に外向けの顔は非常に会社的な形であったと思う。それはそれとして、それから見れば、政府のエージェンジィだ、その性格がどうしても外に出ますね。この事業団の海外における出張所が向こうの、ブラジルならブラジルでどういう名前の商社になるとか、いろいろテクニックはありましょうけれども、どちらかといえば、国際的なキャピタルなんかが、あまり政府的な性格がさらに濃くなることによって、来にくくなりはせぬか、その点の考慮はどうなるかということです。事業団全体の失敗とか成功とかいうことを聞いているのではないのです。
この発言だけを見る →高
高木広一#22
○政府委員(高木広一君) その点はブラジルにいたしましても、アルゼンチンその他の国にいたしましても、むしろ政府的な機関であるということがはっきりしたほうが、現在におきましては仕事がしやすい、向こうのほうも歓迎する、これは移住協定でもそういうことをうたっております。実はこの事業団はマイグレーション・プロモーション・サービスというようなサービス機関でございまして、サービスという名前でやりたい、できましたら、相手から免税その他特別の保護を受ける措置を講じたい。ただ、ブラジルに関しましては、先方の法制により、従来移住会社が「イジューシンコー」という移住のための金融機関とジャミックという植民会社の二つの形になっておりまして、将来はこれもさらに向こうの政府との話し合いによりまして、そういう公的サービス機関として認めるようにしていただきたい。なお、融資につきましては、移住会社は、最初の考え方は移住地の経済基盤の強化ということで、農業よりもむしろ工業——日本の移住者が農業から工業に行く、また、農産加工という関係でかなりに広い幅の融資をやる考えでおったわけです。それが所期の目的を達しなかったわけです。今度の事業団になりますと、むしろ実際的には農業移住者に立脚した融資というようなものにどうしても重点が置かれるのではないか。これ以上になりますと、経済協力基金とかいうものとのタイアップも必要であろうかと思います。なお、先ほど世界銀行と申しましたのは、これは外の資本を事業団に借り入れるというような考えもございますけれども、それよりもむしろ皆と協力していって、移住先の国が中心となって、それも一緒にアメリカの資本、日本の資本も入れて、そうして共同多角的な経営をやるというような考えでおりましたので、事業団が世界銀行から金を借りるというようなことはあまり考えておりません。
この発言だけを見る →曾
曾禰益#23
○曾祢益君 それは大体その程度でいいのですが、その事業団が政府的な性格が強くなり、しかも一元化するから、相手国からは喜ばれて信用を高めることはよくわかるのです。しかし問題は、今あなたはこの事業団そのものに必ずしも国際的借款を求めるにあらずと言われたが、そういうことを含めて、ただその国が——ブラジルが喜ぶ、パラグァイが信用するということよりも、アメリカの民間銀行などから現在の移住振興会社が借りているが、事業団がこのような借款を求める場合、あまりに日本政府というあれが濃厚過ぎて、かえってそのことが障害になりはせぬかということを伺ったのですが、それはいいです。
それから第二の点は、これで大体最後にしようと思うのですけれども、結局、一元化の——一元化といいましても、私はあまり官庁のほうをもちろん今問題にするというのじゃなくて、事業団の事業に関する限り、こういうつまり移住の実務機関といいますか、何か半官半民的なこれの一元化についても、方向が、振興会社と海外協会連合会の統合という意味で、一歩どころではない、数歩前進したことは認めているし、これはいいと思うのです。ただ、その辺がまだもう少し徹底してないのじゃないかという感じがするのですが、たとえば、この海外協会連合会でなくて、いわゆる地方海外協会と事業団との関係というふうなことについては、まだそのままになっている。これらの点はどうなんですか。
この発言だけを見る →それから第二の点は、これで大体最後にしようと思うのですけれども、結局、一元化の——一元化といいましても、私はあまり官庁のほうをもちろん今問題にするというのじゃなくて、事業団の事業に関する限り、こういうつまり移住の実務機関といいますか、何か半官半民的なこれの一元化についても、方向が、振興会社と海外協会連合会の統合という意味で、一歩どころではない、数歩前進したことは認めているし、これはいいと思うのです。ただ、その辺がまだもう少し徹底してないのじゃないかという感じがするのですが、たとえば、この海外協会連合会でなくて、いわゆる地方海外協会と事業団との関係というふうなことについては、まだそのままになっている。これらの点はどうなんですか。
大
大平正芳#24
○国務大臣(大平正芳君) これは常識的に申しまして、この事業団は、今申しました海協連と振興会社を合体した、それも中央の機構を合体したというだけのものにすぎないわけでございます。地方は従来のままになっておりまするし、地方ばかりでなく、民間の移住関係のサービス機関もそのままあるわけでございます。きのう森八三一委員からお話がございましたように、一体事業団はそういう既存の団体に対して排他的に、これはおれのほうの仕事だ、おれのほうに一元化されたのだからというわけでやるのか、それとも、既存のいろいろな団体を支援し援助し移住の実を上げるのかというお尋ねでございましたが、もとより後者でありますということを申し上げたわけでございまして、一元化というのは、そういう中央機構を一応一元化したというところまでしかまだできておりません。したがって、今度、今御指摘の海外協会その他入植の団体がございまするが、こういったものはそのままやったほうがいいのか、あるいは事業団が成長いたしまして、それにまかしたほうがいいのかという問題は、これは将来に問題として残されていると思うのでございます。私としては、今の段階で移住実務機関を一元化するのだから、事業団になにも吸収しなければならぬというせっかちな考えは毛頭持っておりません。これはうまく育たないと、だれも信用しませんから、これと一緒になろうということはないと思いますから、まずこれを育てることを第一の任務といたしたい。その場合には、そういう育成の過程におきまして、もとより在来の移住関係の機関とは十分連絡協調して参りますし、事業団が持っている予算、要員等は、十分そういう方面に奉仕的にやらしていかなければいかぬと考えております。
この発言だけを見る →曾
曾禰益#25
○曾祢益君 きのうの森委員の御質問に対する大臣の御答弁を承っておりましたのも、漸進主義で行こうということはけっこうだと思います。ただ実際問題として、それもここに手元の資料にも書いてありまするが、技術移住者のあっせんにあたっても、海外協会連合会と商工会議所系統の技術協力あっせん本部との関係が重複している、重複がありがちなんで、これには相当の民間団体が、やれ農協がやっておる、商工会議所がやっておる、いろいろなものだろうと思う。そんなものを重箱のすみをほじくって形を整えるなんてナンセンスだと思う。しかし、そういうことをほおっておいていいということではないと思う。だから、その点は使命感を十分持ってもらって、初めは腰が低くとも信用をつけて、そうして実質的にそういうあっせん事業等について、民間のいいイニシアチブを尊重しながら、指導性、企画性は発揮していくというねらいをしなければ、一元化をした指導機関としてはおよそ意味がないと思うのです。それはむろんやっていただけるのだろうと思うのですが、いかがですか。
この発言だけを見る →大
大平正芳#26
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、そういうねらいをしなければならないわけでございます。また、そのねらいを実現していくためには、一元化というような形式にとらわれないで、実績を上げていくように努力することのほうがかえって近道じゃないかと思いますし、今まで移住行政をめぐりましていろいろなトラブルがございましたけれども、こういったことを解消する意味におきましても、黙ってその実績を上げしいくように努力いたしたいと考えております。
この発言だけを見る →曾
曾禰益#27
○曾祢益君 最後に、監督官庁といいますか、政府機関のほうのあれですが、これも、きのうは非常に主として農業関係の議員諸君からの御発言もあったわけですが、私は既存の権限を今どうしようとか、こうしようとかいうことではございませんが、やはり補助金のルートの表を見ても、いかに複雑で非効率的で——今までのこれは事業団法とは直接関係はございません——これからの問題ではあるけれども、だれが見てもこのままでいいということは私は言えない、こういうことではいけないのじゃないか。だから、私はむしろ、農林大臣が移住のことだけをお考えにならずに、非常に高く評価される日本の農業の技術を、外国に技術協力をする、こういう面は農林省の権威にかけてやっておる仕事が幾らでもあるし、そういうことは、プロパーの農林省の仕事として大いに評価しなければならない。もっともっとやってもらわなければならない仕事がある。ただ、移住の方面とか、あるいは開拓者の方面は、たとえばここの資料にもございますが、たとえば全拓連というものが農林省から三十八年に幾らですか、九百万円ですか、まあもらって、これは国内の問題もあるのだから、これでしようがない、けっこうかもしれませんけれども、全拓連が事実上経営する移住地、グァタパラにあるというような、こういう点とか、建設省の青年訓練所というものは、特に南方ブラジル方面では、まさに南方ブラジルは移住行政の混乱の現地版だというようなことが書いてあるのでありますが、そういう点は、やはり移住事業団を作ることを足がかりとしながら、やはり一元化というものを進めていくだけの識見を持って、ひとつその認識でやっていただきたい、かように考えるわけですが、いかがですか。
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大平正芳#28
○国務大臣(大平正芳君) この予算の流れるルートを見ましても、それは御指摘のとおり、たいへん複雑でございまして、快刀乱麻を断つようにきちんとしてやりたいとは、だれしも思うところでございます。ことしの予算編成にあたりましても、実は私どもももう少しシンプルにする道はないかと思って、農林省とも相談いたし、大蔵省とも相談いたしたのでありますが、大蔵省は、まず仕事の実体を一元化することで話がきまれば、予算はそのとおりつけるというわけです。ところが、事業の実施官庁——農林省や外務省は、予算がこうついているから、それが実体を規制していくということなんです。それだから、予算の一元化、実体の一元化というものが二重になりまして、外務省と大蔵省との間のどっかにとどまっているというような感じなんでございます。これは非常におろかなことなんですけれども、現実がそうなんでございます。そこでしかし、無理やりに一元化してみても、これがもう形式的な一元化で、実際意味のない、働らきのないことになっても困りますし、したがって、私は曾祢委員も御指摘のように、これからの長い問題だと思うのでございまして、一番堅実なやり方は、まず一歩々々進んで行くよりもう分別はないと思うのでございます。まず事業団というものを作って、これが鬼っ子になるか、優等生になるか、これがまず勝負じゃないか。それが、これならば大体まかしてもよさそうだと各方面から認められれば、その次のステップをとっていけばいいのじゃないかというように、時間をかけてやるべき性質のものではないかと思うのでありますし、また、権限争いでどれが勝った負けたというようなことは、国民に迷惑な話でありまして、そういうことはやる気持はございません。納得づくでやりたい、こういう気持でおります。相当時間がかかりますけれども、それ以外に分別はないと考えております。
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森元治郎#29
○森元治郎君 私は具体的なことで伺いたいのだけれども、移住政策の理念は、移住審議会の答申にある政策の理念のとおり、たいへん高い高邁な政策の理念であるようですが、この移住事業団というものは、募集はやらないわけですね。海外移住の知識の普及とか、あっせんとか、相談に応ずるとか、渡航費の貸付とかということで、せっかく知識を普及し、相談に乗ってやっても、さあ行かないか、ここにあるのだというような積極的な指導は建前上しないのが事業団ですね。
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