堀本宜実の発言 (本会議)

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○堀本宜実君 私は、自由民主党を代表し、長雨による農作物等の被害に関連し、政府にその対策をたださんとするものであります。
 質問に先立って、まず、今回の長雨により被害をこうむられた農家の方々、並びに土砂くずれ等により尊い人命を奪われた遺族に対しまして、心より御同情を申し上げる次第で、あります。かくして、非常な不安と憂慮の中に置かれております被災者の方々に、政府の確固たる方針を示し、安心して生業に精励されることができることを念願しておる次第であります。政府におかれましても、すでに遺憾のない配慮が行なわれておることと確信しておるのでありますが、明快な御答弁をお願い申し上げます。
 御承知のように、本年の梅雨前線は、例年に比べて、ことのほか早くその活動を開始し、四月下旬から降り始めた長雨は、関東地方以西の各地方においては、五月中の降水日数は二十五日でございまして、これは気象台創設以来の異常レコードを示しておるのであります。このため、はなはだしいところでは一日平均二、三時間の日照時間しかなく、しかも、この時期の降雨量は、例年の同期に比して約二倍に達し、これは気温とも相関連をいたしまして、いわゆる高温多湿に経過したため、登熱期、伸長期あるいは開花期にあった農作物が受けた被害は全くはかり知れないものがあります。今回の長雨による農作物の被害総額は、六月三日現在、各県からの報告では、三百九十一億余円でございまして、その後さらに増額拡大したものと思われます。被災地域は関東地方以西と全域と発表されておるのでありまして、今後の気象状況いかんによっては関東地方にも拡大することが憂慮され、これは、被害額、被災地域とも、戦後の災害史上有数の激甚災害であると申さなければなりません。特に被害の最もはなはだしいのは麦類でございまして、その被害額は二百五十二億円と言われております。この原因は、高温多湿の状況が続いたため赤カビ病が蔓延をしたのを初め、また雨の降り始めが地域的に差異はございますが、麦の穂が出た後に曇天降雨の日が連続したため、登熱が阻害され、湿害による早枯れや、集中豪雨による浸水、冠水による被害でありまして、特に開花期にありましたために受粉が行なわれず、昨年は穂発芽の被害が相当認められたのでございますが、本年はこの長雨によって発芽にすら至らないものが相当ございます。本年の麦が明治以来の大凶作といわれて、きわめて憂うべき事態となっておるのであります。その他、菜種、春植えバレイショ、エンドウ、ソラマメ等の野菜類及び果樹の被害も百三十九億円の巨額に達しております。
 そこでまず、総理大臣にお伺いをいたしますが、本年に入りまして、年の初めから二月にかけて、北陸地方を中心に全国を襲った豪雪害、冷害、先般の群馬、埼玉及び栃木県を襲ったひょう及び突風の被害、さらに今回の長雨による災害と、このところ災害が頻発をいたしておるのでございます。政府においても、災害対策基本法に基づいて、その対策や事後の処置について大いに配慮されておることは、まことに喜ばしいことでございますが、ここにあらためて総理大臣から、災害対策の基本的態度について所見をお伺いをいたしたいと思うのでございます。
 次に、農林大臣にお伺いをいたします。
 第一は、天災融資法の改正に関する件でございます。元来、天災融資法は、その年に当然収穫さるるべき農作物が被害をこうむったときに、その被害に対し融資をしようとするものであります。ところが、今年当初の豪雪害あるいは冷害等の例に徴しましても明らかでありまするように、果樹ことに未結果樹、茶、桑等、永年作物が被害を受けた場合に、ただいまの天災融資法によりましては救済ができません。その被害が当該年度より後年度に現われるものでありまするから、これら永年作物の被害に対しましては特別な融資の道を開くべきであると思われますが、かような趣旨に従って天災融資法の改正を行なわれる御意思がありますかどうか、お尋ねを申し上げます。
 第二に、金融対策すなわち融資でございますが、先に申し上げましたように、麦については明治以来の大凶作でございます。その他、果樹、タバコ、野菜等の大きな被害により、農家の所得の大幅な減収が予想され、農業の再生産はもちろん、生計の維持さえ困難に陥ることが憂慮されるのでありますが、政府は、これら被災農家に対しいかなる金融対策を考えておいでになりましょうか。被災農家の切望いたしておりますのは、長期低利の営農資金の融資でございまして、天災融資法の発動は必至であると確信いたしますが、農林大臣の御所見を伺います。また、被害のはなはだしい地域には、激甚災害特別措置法の指定を行なうべきだと思うのでありますが、これに対しても明快な答弁をお願いしたいと思うのでございます。
 次に、自作農創設維持資金についてでありますが、当局においては、当然これについても大幅な特別ワクの追加、増額、拡大をはかっていただけるものと信じているのでありまするが、どのようにお考えでありましょうか。
 この際、申し上げておきますが、天災融資法、自創資金等の手続の簡素化、融資基準の緩和等、配慮をすべき問題が、これらの問題にもたくさんございますので、十分にこの点についても御注意を願いたいと思うのでございます。
 天災融資法、激甚災害特別措置法、自創資金等の対策を伺いましたが、以上の対策では救いがたい農家がまだございます。すなわち、農家はすでに重なる天災等によって、あるいはまた農業の近代化のため、系統資金及び政府資金等について、相当の借金をすでに背負っておるのであります。この際、これらの資金の重複借り入れを余儀なくされることと思うのでございます。特に天災融資法等には据置期間がなく、天災融資法の金利は一般には六分五厘でありますが、被害農家は全く失意の極に達しておる状況でありまして、今後元利を払うことはたいへん困難であると思われるのであります。そこで、今回の災害にあたっては、特別救助の立場に立って、旧債の償還及び新規の貸し出しの条件緩和のため、特別の立法制定の措置が必要であると痛感するのでありますが、これまた農林大臣の御所見を伺いたいと思うのでございます。
 次は、種苗対策でございますが、麦類並びに菜種等の種子の確保の問題でございます。次期生産用の種子については、当然、国において確保する措置をとるとともに、被害農家救済のため、種子購入費に対し全額補助の措置を購ずべきだと思うのでございますが、これらの問題についてもお伺いをいたしたいと存じます。
 その他、農業災害補償制度による共済金の早期概算払いの措置を行なうことを考えていただきたい。
 次に、等外麦上の買い上げは、すでに政府において決定されておると思うのでございますが、等外麦の下を買い入れてくれという生産農民の声はきわめて強いのでございます。しかし、この等外麦下は赤カビ病等の発生した麦でございますので、飼料にもならないということで、当然政府が買い入れないということでありまするならば、それ以下の麦は収穫皆無の取り扱いを行ない、共済金の対象とすべきであると思うのでございますが、農林大臣の意見を伺いたいと思うのであります。
 次に、大蔵大臣、農林大臣にお尋ねをいたします。
 第一は、米の予約代金の先払いについてでありますが、被災農家は想像以上に現金に逼迫をいたしておる状況でありますので、米価決定前でありましても、概算払い等の方法によって米の予約代金の先払いをする道がないものかと思うのでありますが、これについて、特別の配慮を願いたいのであります。
 次に、税の減免についてでございますが、所得の大幅な減少に伴い、税についても特別措置が配慮されないものかどうか、この点について大蔵大臣の御所見を伺いたいと思うのでございます。
 次に、自治大臣にお伺いを申し上げます。被災市町村が行なう災害対策や災害復旧のための経費の支出が、被災市町村自身の財政をますます窮乏に陥れる結果となりかねませんが、これについて政府は、補助金の大幅支出、地方起債の認可、普通交付税の繰り上げ概算交付はもちろんのこと、特別交付税の大幅増額等、いかなる措置をとられる御所存でありますか、お尋ねをいたしたいと思うのでございます。
 以上、長雨災害を中心に、政府のとるべき施策について質問をいたしましたが、その対策の及ぼす影響はきわめて大なるものがございますので、これらの措置に万遺憾なきことを切に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 104315254X02519630614_006

発言者: 堀本宜実

speaker_id: 22545

日付: 1963-06-14

院: 参議院

会議名: 本会議