曾禰益の発言 (予算委員会)

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○曾祢益君 私は、何も外務大臣のやられたのを秘密外交だと言っているわけじゃありません。ただ、しり抜け外交じゃないか、先にお譲りになるのも一つの交渉のテクニックだとは思いますけれども、残念ながら相手方がいなくなったのでは、せっかくのしりが抜けやせぬかということを心配するのです。
 いま一つは、お言葉を返すようでたいへん恐縮ですけれども、請求権問題が解決すればいいのではなくて、やはり解決する仕方が日本国民の感情に合うか、むろん韓国の国民の感情もございまするけれども、われわれからいえば、日本国民の感情に合うか。先ほど申し上げましたように、請求権を韓国の言うなりに払えば解決するでしょう。そうではなくて、請求権問題は出さない、経済援助はやってやる、その効果として請求権に関する一切の主張は完全にドロップするのだということがほんとうに文章的に確約されるまでは、ただこれで解決すればいいじゃないかということでなく、解決の仕方、方法が非常に重大な影響を持つ。北鮮に対して持つのみならず、他の日本に対してクレームを持ちあるいは持ち得るかもしれないたとえば中共ということを考えても、これは解決の仕方が重要ではないかということを申し上げているわけです。その点に対しては御説明が足りないと思いますけれども、これはさらに論点が展開いたしまして、次に、この請求権問題が北鮮に対して及ぼす影響ということについて私はもう少し慎重な考慮が必要ではないかと考えるわけです。政府は、従来から、北鮮関係の請求権は日韓交渉妥結後も残るということを言っておられました。請求権の解決は、先ほど申したように、個人的なクレームの集積を算定してやるのだと、そういう従来の政府の方針からいえば、私は人道的にもよくわかる、こう思っておりました。しかし、今回政府はその態度を変えられたわけです。そういう個人的な債務の集積でやったのでは解決つかないから、いわゆる次元を異にして、経済協力方式といういわゆる前向きのハイ・レベルの姿で自然にクレームを解決しようとやられたと。その次元においてなおかつ政府は、社会党の諸君等の衆議院等における追及に対して、いや請求権問題について韓国といかなる協定をいたしましても、北鮮関係は残るのだ、日本の北鮮に対するクレーム、北鮮側の日本に対するクレームは残るのだ、こういうことを答弁されておる。私は今北鮮当局が日本とこの問題で交渉する地位にあるかないか、認める認めないの議論もさることながら、それよりも、政府が将来北鮮側にあり得るというこの点についてかなりの疑問と危険を感ずるものでございます。個人的債務ならばそれでいいかもしれない。少なくとも日本及び北鮮の公的なクレームが残るのだということになると、これは相当大きな問題であるし、日本の他の諸国との条約関係から見て、これは非常に筋が立たなくなるのではないか、かように考えるのですが、政府のお考えは、依然として北鮮関係のクレームというものは、私的のもののみならず、公的のものも一切日韓からはずされているのだ、残る、こういうふうにお考えかどうかを明らかにされたい。

発言情報

speech_id: 104315261X00619630305_144

発言者: 曾禰益

speaker_id: 12807

日付: 1963-03-05

院: 参議院

会議名: 予算委員会