大出俊の発言 (国際労働条約第八十七号等特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○大出委員 そこで私は労働大臣に御質問を申し上げるのでありますが、ILOからは七十二次報告等までの間にたくさんのレポートが出ております。またILOに持ち込んだ案件もたくさんございます。ところでその中でストライキ権の問題、あるいは団体交渉権の問題等についても、何べんかレポートが出されております。しかしいろいろ御発言をなさる皆さんの中で、こういう点については全く触れようとはなさらない。そしてしきりにお話の中に出てくるのは、八十七号条約なり九十八号条約なりをめぐっての労使不介入、自主性、自主運営、こういう形が出てくるわけであります。いろいろなことがあげられておりますけれども、たとえば便宜供与というようなことになる在籍専従とかチェックオフ、私はそうならぬと思っておりますが、そういうことをあげられまして、何と言われるかといいますと、便宜供与を受けておるとどうも労働組合はひるむ、弱くなる。だからそういうことがないように、われわれの側は親切にそういうことをやめたらどうか、こう言ってあげているのだというお話なんでありますが、どうもこれは少し見当違いだと思うわけであります。つまり昨日しきりに倉石さんの修正案が出てまいりましたが、私も実はここにどういう風の吹き回しで入ってきたかわかりませんけれども、自民党の皆さんの中の各部門、治安対策委員会の意見であるとか、文教部会の御意見であるとか、内閣部会の御意見であるとかいうのが一覧表でございます。なかなか真をうがったものも中にはございますけれども、これを全部読ましていただきましたところが、どうも組合、特に日教組、国公というようなところが強過ぎる、いろいろな問題を持ち込んでやって困る。在籍専従というようなものをこれから認めていくと、処分するといっても処分しにくくなる。だからこの際、最後のほうにくっついておるのはILO条約の原則にも合うのだからやめてもらったらどうだ。原案賛成だ、こういうことになっているのでありますから、言われることはどうもよろいの下に衣、衣の下によろい、どっちかわかりませんが、組合を弱体化する、そういうことで今日関係国内法の改正案が出されている。これに間違いはないと私は存ずるのであります。
 そこで理屈の上ではいろいろなことが言えますけれども、昨日来言われている相互不介入、こういう問題に関しましても政府・与党の皆さん方の側の案文の中では、だいぶはっきり書かれておるのであります。そういう意味で、そういう表現で言われる組合を強くしてやろうという御心配があるとすれば、多少の便宜供与でひるむというようなけちな組合はないと思うのでありますけれども、なおはっきりさせていただくためには、一番いいのは団体交渉権とストライキ権を与えていただくこと、これをやはり表に出して言われないところに、今日の関係国内法が出てきた理由があろうと存じます。
 そこでILOのレポートに触れまして、ストライキ権の問題について労働大臣の所見をいただきたいのですが、まず前段に二、三点質問をいたしておきます。
 それは一九四八年の六月十七日に先ほどのILO八十七号条約がサンフランシスコ総会で採択をされたのでありますが、日本におきましては労働大臣が御存じのとおり、当時のGHQの占領政策が転換されまして、日本の再軍備への方向というふうなことが初めて爼上にのぼり、日本の資本の復活をしなければならぬという問題等が出てまいりました。これが朝鮮戦争につながっていくわけでありますけれども、こういう背景の中で日本の労働組合を抑える必要があるということで、一九四八年、いみじくも八十七号条約が採択をされたと同じ年の七月に、内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く政令という、えらい長い名前の二百一号政令が出されたわけであります。そしてストライキ権がなくなり、その後公務員法の改正、公労法の制定等によりまして、現在の公務員あるいは公労協労働者の団結権や団交権の制限が行なわれたわけです。公務員にとりましてはストライキの全面禁止、こういうことになったのでありますが、以来十六年になるわけであります。池田総理が河野さんの質問に答えて、四・一七ストライキの問題をめぐって御答弁をされている中に、河野さんのほうから国際的な風潮、労働基本権の確立ということを考えたらどうかということに対して、そういうこともわかるけれども、逆流れになったり、船がこわれたり、急いではいかぬ、こういうことを言われたのでありますが、十六年になるのでありますから、その点を考えるとき、急ぐも急がぬも十六年、だいぶ答弁には私は食い違いがあると存じます。当時二百七十万の官業労働者がストライキ権を失ったわけでありますが、その代償機関として裁定が出されて、国鉄労働組合に対する第一回裁定というのは四十五億円の金を必要とする裁定でありましたが、十五億円分しか実施をしておらないわけであります。三十億円というのは損をした勘定になるわけであります。前後七回ほどの裁定の中で、約二百四十億円をこえる損失をし、はね返りを入れると五百億円にも達することになります。つまり代償機関の役割りを果たしていなかったということになるのであります。したがって、賃金、労働条件の面で、この十六年間に大きく日本の労働者は賃金が低下し、労働条件が悪くなったということが言えるし、当時官業賃金が民間賃金の基準になっておりましたから、その意味では全体的に日本の賃金が低下をしたということになります。ことしの春に、各大組織が大会を持ちましたが、総評も全労も中立も新産別も、ひとしくあげておりますのは、欧州並みの賃金をもらいたいということであります。こうなった根本的な原因は、やはり私は一九四八年の七月における政令二百一号にその端を発しているというふうに考えているわけであります。したがって、この十六年間における日本の労働組合は、失われた権利の回復のためにのみ中心を置いて運動が続けられている。この現実をやはりお考えをいただきまして、憲法二十八条にいうところの団体行動権を認めるという、この基本的な筋について十六年間を振り返っていただいて、ことしの四・一七をめぐる問題等もお考えをいただき、この時点でぼつぼつストライキ権についての検討をしていただく時期がきたのではないかと私は思うのでありますが、労働大臣の御所見を賜わりたいと存じます。

発言情報

speech_id: 104604313X00519640508_019

発言者: 大出俊

speaker_id: 17168

日付: 1964-05-08

院: 衆議院

会議名: 国際労働条約第八十七号等特別委員会