国際労働条約第八十七号等特別委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十九年五月八日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長代理 理事 安藤 覺君
理事 愛知 揆一君 理事 澁谷 直藏君
理事 田中 正巳君 理事 河野 密君
理事 多賀谷真稔君 理事 野原 覺君
秋田 大助君 稻葉 修君
亀山 孝一君 小金 義照君
佐々木秀世君 正示啓次郎君
田澤 吉郎君 田中 龍夫君
渡海元三郎君 永田 亮一君
長谷川 峻君 濱田 幸雄君
松浦周太郎君 有馬 輝武君
大出 俊君 小林 進君
田口 誠治君 安井 吉典君
山田 耻目君 栗山 礼行君
吉川 兼光君
出席国務大臣
外 務 大 臣 大平 正芳君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
労 働 大 臣 大橋 武夫君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第一部長) 吉國 一郎君
人事院総裁 佐藤 達夫君
人事院事務官
(管理局長) 小林 巖君
人事院事務官
(職員局長) 大塚 基弘君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房公務員制度
調査室長) 岡田 勝二君
行政管理政務次
官 川上 為治君
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 石川 準吉君
外務政務次官 毛利 松平君
外務事務官
(国際連合局
長) 齋藤 鎭男君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
労働事務官
(労政局長) 三治 重信君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
—————————————
五月七日
ILO条約第八十七号の批准並びにこれに伴う
国内関係法の早期改正に関する請願(吉川久衛
君紹介)(第三七一四号)
同(倉石忠雄君紹介)(第三七一五号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第三七一六号)
労働基本権の確立及びILO条約第八十七号の
無条件即時批准等に関する請願(河野密君紹
介)(第三七二九号)
同(安井吉典君紹介)(第三七三〇号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第
八十七号)の締結について承認を求めるの件(
条約第二号)
公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一号)
地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出第二号)
国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三号)
地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前十時三十六分開議
出席委員
委員長代理 理事 安藤 覺君
理事 愛知 揆一君 理事 澁谷 直藏君
理事 田中 正巳君 理事 河野 密君
理事 多賀谷真稔君 理事 野原 覺君
秋田 大助君 稻葉 修君
亀山 孝一君 小金 義照君
佐々木秀世君 正示啓次郎君
田澤 吉郎君 田中 龍夫君
渡海元三郎君 永田 亮一君
長谷川 峻君 濱田 幸雄君
松浦周太郎君 有馬 輝武君
大出 俊君 小林 進君
田口 誠治君 安井 吉典君
山田 耻目君 栗山 礼行君
吉川 兼光君
出席国務大臣
外 務 大 臣 大平 正芳君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
労 働 大 臣 大橋 武夫君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第一部長) 吉國 一郎君
人事院総裁 佐藤 達夫君
人事院事務官
(管理局長) 小林 巖君
人事院事務官
(職員局長) 大塚 基弘君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房公務員制度
調査室長) 岡田 勝二君
行政管理政務次
官 川上 為治君
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 石川 準吉君
外務政務次官 毛利 松平君
外務事務官
(国際連合局
長) 齋藤 鎭男君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
労働事務官
(労政局長) 三治 重信君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
—————————————
五月七日
ILO条約第八十七号の批准並びにこれに伴う
国内関係法の早期改正に関する請願(吉川久衛
君紹介)(第三七一四号)
同(倉石忠雄君紹介)(第三七一五号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第三七一六号)
労働基本権の確立及びILO条約第八十七号の
無条件即時批准等に関する請願(河野密君紹
介)(第三七二九号)
同(安井吉典君紹介)(第三七三〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第
八十七号)の締結について承認を求めるの件(
条約第二号)
公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一号)
地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出第二号)
国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三号)
地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四号)
————◇—————
安
安藤覺#1
○安藤委員長代理 これより会議を開きます。
委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないますので、よろしくお願いいたします。
結社の自由及び団結権の保護に関する条約第八十七号の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括議題とし審議を進めます。長谷川峻君。
この発言だけを見る →委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないますので、よろしくお願いいたします。
結社の自由及び団結権の保護に関する条約第八十七号の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括議題とし審議を進めます。長谷川峻君。
長
長谷川峻#2
○長谷川(峻)委員 きょうの新聞その他を見ますと、ILOの審議がいよいよ本格的に始まったということを報じている。私はやはり世界の前にこの大事な法案が審議されるときにあたって、世論の喚起、また世論の了解というものが必要だと思います。そこにおいて、ILOに日本が復帰して以来、いままで、ジュネーヴに行って演説をした政府代表者、齋藤邦吉君、あるいは倉石当時の労働大臣、総会に行って演説をした上に調印をしてきた倉石君、あるいは石田当時の労働大臣、松浦労働大臣、政務次官では加藤武徳君、田村元君、赤澤政務次官、こういう諸君がILOのひのき舞台に行って堂々と演説をしたと思うのです。そのときの資料をここに要求いたします。ということは、いまこの国会において審議されているのが、何か修正案らしきものを中心にやられている。たった二つの政党のうちの、しかもごく少数の者が話をきめたことにおいて、ここにおいてやるということ。ですから、私は一ぺん問題の本質に立ち返って、オープン戦に持っていくことが必要だと思うのです。ですからいま申し上げた諸君の演説、当時の資料をここに要求するとともに、委員長においてお取り計らいいただきまして、いつの日にかそういう諸君にここに御出席を願って、そのときの心境、そして現在の模様——しかもきょう私のあとにはILOに提訴した宝樹君と大出君、こういう諸君がいまや衆議院議員として質問される、こういう問題からいたしましても、私はぜひともこの私の提案について御採用の上に、早急にひとつ結論を出していただきたい、こう思う次第であります。
この発言だけを見る →安
安藤覺#3
○安藤委員長代理 ただいまの長谷川君の御要求に対しましては、後刻理事会において御相談申し上げた上、お取り計らいいたします。
前回に引き続き五案件について質疑を行ないます。大出俊君。
大出君に申し上げますが、外務大臣は外務委員会にも出席を求められておりますので、外務大臣に対する質疑を初めにお願いいたします。
この発言だけを見る →前回に引き続き五案件について質疑を行ないます。大出俊君。
大出君に申し上げますが、外務大臣は外務委員会にも出席を求められておりますので、外務大臣に対する質疑を初めにお願いいたします。
大
大出俊#4
○大出委員 ただいま御発言がありましたように、ILOに提訴した当時の一人でありますが、それだけに実は国際的な事情というものについても、戦後七回ほど外国に行っております関係で多少知っているつもりでございます。そういう意味で実は昨日、稻葉さんからの御発言に、最初のところでありますけれども、どうも国際的ないろいろな事情があってどうやら差し迫られているようだけれども、そんなことは一口に言えばどうでもいい、日本の自主性に立って、それが一体日本という国にとってプラスかマイナスかなどということを考えて、自主的にきめるべきだというお話があったわけでありますが、ここで論議されておりますことも、いろいろな方面から議事録という形でILO事務局にそのまま入っていく性格でもありますので、私は、多少事実も明らかにしていただきながら、その間の事情をひとつ御認識を賜わりたいと考えるわけであります。
そこで、お忙しいところをまことに恐縮でありますけれども、外務大臣の御出席をいただいたのでありますが、日本がILOを脱退いたしましてから、つまり一九五一年の第三十四回ILO総会におきまして、再加盟が実現したのであります。国際連合に入ることが即ILO加盟の条件になるという方法と、総会の決議を得るという二つの方法がありますが、当時入っていなかったために、もう一つの方法をとったわけでありますけれども、一九三八年の脱退以来十三年ぶりにILOに復帰したわけであります。このときにたくさんの国から相当手ひどい反論が出されているわけであります。当時の議事録に明らかでありますが、さらに当時ILOの長老といわれ、フランスの前総理大臣であった。ポール・ラマディエ氏等が仲に立ちましてこの反論を押えて、われわれはこの放蕩むすこの帰宅を迎えようではないか、そして全く違った経験を経てきた日本が、最もよき経験はその社会福祉をより高い段階に尊くことにあると将来認めるであろうことを希望する、こういう、ILOの歴史の中では歴史的な発言をされて、かくて各代表が納得をし、日本の再加盟が認められた、こういう経緯になっておるのであります。この間に、脱退以前に批准していたILO条約なりその後の条約等についての扱いが論議されておりますけれども、日本はそこでは大きな道義的責任を負って復帰をしたといういきさつになっておると存ずるわけであります。したがって国際事情がどうあろうとも、その前にまず、これは稻葉さんもおっしゃったとおり、日本の道義的責任、前向きで考える意味の自主性という点で、どこからどうお考えになろうとも、八十七号という基本的な条約は批准すべきものだと私は考えるわけでありますが、八十七号を担当する外務大臣の立場でまずどうお考えになっているか、明らかにしていただきたいと存じます。
この発言だけを見る →そこで、お忙しいところをまことに恐縮でありますけれども、外務大臣の御出席をいただいたのでありますが、日本がILOを脱退いたしましてから、つまり一九五一年の第三十四回ILO総会におきまして、再加盟が実現したのであります。国際連合に入ることが即ILO加盟の条件になるという方法と、総会の決議を得るという二つの方法がありますが、当時入っていなかったために、もう一つの方法をとったわけでありますけれども、一九三八年の脱退以来十三年ぶりにILOに復帰したわけであります。このときにたくさんの国から相当手ひどい反論が出されているわけであります。当時の議事録に明らかでありますが、さらに当時ILOの長老といわれ、フランスの前総理大臣であった。ポール・ラマディエ氏等が仲に立ちましてこの反論を押えて、われわれはこの放蕩むすこの帰宅を迎えようではないか、そして全く違った経験を経てきた日本が、最もよき経験はその社会福祉をより高い段階に尊くことにあると将来認めるであろうことを希望する、こういう、ILOの歴史の中では歴史的な発言をされて、かくて各代表が納得をし、日本の再加盟が認められた、こういう経緯になっておるのであります。この間に、脱退以前に批准していたILO条約なりその後の条約等についての扱いが論議されておりますけれども、日本はそこでは大きな道義的責任を負って復帰をしたといういきさつになっておると存ずるわけであります。したがって国際事情がどうあろうとも、その前にまず、これは稻葉さんもおっしゃったとおり、日本の道義的責任、前向きで考える意味の自主性という点で、どこからどうお考えになろうとも、八十七号という基本的な条約は批准すべきものだと私は考えるわけでありますが、八十七号を担当する外務大臣の立場でまずどうお考えになっているか、明らかにしていただきたいと存じます。
大
大平正芳#5
○大平国務大臣 昨日の本委員会におきましても申し上げましたとおり、わが国はILOに復帰したばかりでなく、常任理事国でもございまするし、高度の工業国でもありまして、世界の屈指の貿易国でもあるわけでございますので、私どもといたしましては、日本の経済体制が民主化され、日本の労使関係が世界の常識の公準においてあるという状態について、世界の認識が確立されておる状況が日本にとりまして好ましい状態であると思います。すでに憲法その他の関係法律によりまして、わが国の労働者の地位、団結の自由その他はおおむね保障されておるわけでございますが、最も基本的ともいえる結社の自由の中で、代表者選出の自由等がまだ日本において完全に認められていないということ、この関門は何としても突破しなければならぬものであると私は思います。
この発言だけを見る →大
大出俊#6
○大出委員 たいへん明確な御答弁をいただいて幸いですけれども、あわせて御質問しておきます。これは一九六二年七月の調査でありますから、多少の変革はあろうと思いますが、国際連合加盟国が百四カ国、ILOに加盟している国が、同じときの調査によりまして百二カ国、この両方の中で、ILOにも国際連合にも加盟している国が九十八カ国あるわけでありますが、この中で八十七号条約をどのくらいの国が批准されておるかという点を、現時点における立場から御答弁を願いたいと思います。
この発言だけを見る →三
大
大出俊#8
○大出委員 いろいろな国がありますから、おのおのの国の事情があったりいたしますけれども、六十五カ国が批准をしているということになりますと、日本も、日本国憲法その他のたてまえからいたしまして、どうしても批准をしなければならぬ時期にきていると思うのでありますが、その意味で、総理がおりませんから外務大臣に御質問いたします。
日本国憲法の前文に「日本國民は、恒久の平和を念願し、」「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷從、壓迫と偏狹を地上から永遠に除去しようと努めている國際社會において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」こういうふうに明確に規定されているのでありますが、これは私は、日本という国の国際社会に対する態度を明らかにいたしておると存じます。そこで、国際労働機関憲章の前文によりますと、結社の自由の原則の承認と、いずれかの国がこの憲章の趣旨に沿わないということになると他の国の障害となるから、締約国は、正義及び人道の感情と世界の恒久平和を確保する希望とに促されて、この各条、つまり労働機関憲章に同意をする、こういうふうになっているわけです。してみると、今日までの経緯を考えますときに、新聞あるいはその他の報道機関を通じまして、このILO特別委員会が開かれたけれども、どうもまたむずかしいのではないかとか、あるいは水をかける、ブレーキをかける云々ということが一部に伝えられるのでありますが、この日本の憲法前文に規定しておる立場からいたしまして、かつまた、先ほどの復帰をしたときのいきさつからいたしまして、国際社会における名誉ある地位を占めたいと思うという、総理がいつも言われる日本の立場、これらから考えまして、どうあってもこの国会において批准を完了いたしません場合は、名誉ある地位を占めるどころではなくて、醜を国際社会にさらす結果になると私は考えるわけでありますが、この点についてもあわせて御答弁を賜わりたいと存じます。
この発言だけを見る →日本国憲法の前文に「日本國民は、恒久の平和を念願し、」「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷從、壓迫と偏狹を地上から永遠に除去しようと努めている國際社會において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」こういうふうに明確に規定されているのでありますが、これは私は、日本という国の国際社会に対する態度を明らかにいたしておると存じます。そこで、国際労働機関憲章の前文によりますと、結社の自由の原則の承認と、いずれかの国がこの憲章の趣旨に沿わないということになると他の国の障害となるから、締約国は、正義及び人道の感情と世界の恒久平和を確保する希望とに促されて、この各条、つまり労働機関憲章に同意をする、こういうふうになっているわけです。してみると、今日までの経緯を考えますときに、新聞あるいはその他の報道機関を通じまして、このILO特別委員会が開かれたけれども、どうもまたむずかしいのではないかとか、あるいは水をかける、ブレーキをかける云々ということが一部に伝えられるのでありますが、この日本の憲法前文に規定しておる立場からいたしまして、かつまた、先ほどの復帰をしたときのいきさつからいたしまして、国際社会における名誉ある地位を占めたいと思うという、総理がいつも言われる日本の立場、これらから考えまして、どうあってもこの国会において批准を完了いたしません場合は、名誉ある地位を占めるどころではなくて、醜を国際社会にさらす結果になると私は考えるわけでありますが、この点についてもあわせて御答弁を賜わりたいと存じます。
大
大平正芳#9
○大平国務大臣 仰せのように、わが国の外交の基調は、国際社会におきましてわが国が名誉ある地歩を確立したいという念願で貫かれておるわけでございまして、その意味におきまして、この八十七号条約が、十分の御審議を尽くされて、今国会で批准に立ち至りますように、私は心から希求いたしております。
この発言だけを見る →大
大出俊#10
○大出委員 念のためにさらに二つばかり御質問を申し上げます。
結社の自由並びに団結権の保護に関する条約、八十七号は、これはILOの基本をなす条約でありますし、この機会を失えば、先ほど申しましたように批准はできないだろうなどということが、前特別委員会の場合も今回も一部にいわれるのでありますけれども、そのような責任のない形では済まされないものだと私は考えているわけであります。ILO憲章の前文、さらに附属書、つまりフィラデルフィア宣言等におきまして、これは一九四四年五月十日でありますけれども「総会は、この機関の基礎となっている根本原則、特に次のことを再確認する。」こういう前提を置いて、八十七号条約の結社の自由ということを確認したのでありますが、その第一のa項に「労働は、商品ではない。」という規定をし、b項に「表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。」こういうふうに明らかにいたしておるわけであります。あとc項、d項等いろいろありますけれども、非常に意味のある内容であって、つまり結社の自由はILO憲章の根本原則であるというたてまえが貫かれているのであります。この辺から考えますときに、八十七号条約それ自体はILOの根本原則である、こういう確認が行なわれるとするならば、先ほど申しました締約国の義務という点から、当然これは批准をしなければならない性格だ、このように確認をしておきたいわけでしありますが、その点についての御答弁をいただきたいと存じます。
この発言だけを見る →結社の自由並びに団結権の保護に関する条約、八十七号は、これはILOの基本をなす条約でありますし、この機会を失えば、先ほど申しましたように批准はできないだろうなどということが、前特別委員会の場合も今回も一部にいわれるのでありますけれども、そのような責任のない形では済まされないものだと私は考えているわけであります。ILO憲章の前文、さらに附属書、つまりフィラデルフィア宣言等におきまして、これは一九四四年五月十日でありますけれども「総会は、この機関の基礎となっている根本原則、特に次のことを再確認する。」こういう前提を置いて、八十七号条約の結社の自由ということを確認したのでありますが、その第一のa項に「労働は、商品ではない。」という規定をし、b項に「表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。」こういうふうに明らかにいたしておるわけであります。あとc項、d項等いろいろありますけれども、非常に意味のある内容であって、つまり結社の自由はILO憲章の根本原則であるというたてまえが貫かれているのであります。この辺から考えますときに、八十七号条約それ自体はILOの根本原則である、こういう確認が行なわれるとするならば、先ほど申しました締約国の義務という点から、当然これは批准をしなければならない性格だ、このように確認をしておきたいわけでしありますが、その点についての御答弁をいただきたいと存じます。
大
大平正芳#11
○大平国務大臣 ILO関係の諸条約の中で、八十七号条約が最も基本的な条約の一つであるという認識におきましては、大出さんと全く見解を同じゅうするものでございます。したがいまして、わが国といたしましてこの八十七号条約を批准するということは、わが国の名誉にかけて非常に重要な問題だと政府は心得ております。
この発言だけを見る →大
大出俊#12
○大出委員 当初は、この結社の自由という根本原則につきましては、当然義務として締約国は順守すべきもの、またざるべきもの、こういう解釈をとっておったようであります。ところが、その後の歴史をながめてみますと、相次いで結社の自由、団結権保護というILOの基本原則を侵害する事件が起こったということから、これを条約にしようという動きが強まったのは御承知のとおりであります。そこで、当時全体主義的な風潮の台頭ということもありましてなかなか実現をしなかったのでありますけれども、第二次大戦の終わりに、先ほどのフィラデルフィア宣言が行なわれて、一九四八年六月十七日に、サンフランシスコにおきます国際労働機関総会で、第八十七号条約として結社の自由及び団結権の保護に関する条約が決定されたわけであります。この基本条約という点をさらに明らかにいたしておきたいという意味で申し上げるわけでありますが、その中の一つの大きなポイントは、国際労働機関憲章が前文で、結社の自由の原則の承認は労働条件を改善し、かつ、平和を確立する手段であるという宣言をしていることをまず考慮をする。次に、フィラデルフィア宣言が「表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。」このことを再度確認する。さらに、国際労働総会がその第三十回会期において、国際的規制の基礎となる原則を全会一致で採択したことを考慮し、さらに国際連合総会が、その第二回会期において、この原則を是認し、これだけを全部あげて、以上のことを明らかにしてこの八十七号条約を決定するということになったわけであります。この点から考えましても、国際連合を基調とする外交をたてまえとされる外務大臣の立場から見て、さらに大きな批准の義務があると私は考えるわけでありますが、この点も確認をいたしたいのであります。
この発言だけを見る →大
安
大
大出俊#15
○大出委員 ちょうど十一時ごろまでに終わります。
次に、きのうの稻葉さんのお話では、結社の自由実情調査調停委員会が来るのだけれども、来たってよいじゃないか。簡単に言えばそういうお話なんであります。したがって、この点についても外務大臣に明らかにしていただきたいのでありますが、先般河野さんの質問に対しまして総理がお答えになっております。それは、結社の自由実情調査調停委員会が日本に来ることについて、応諾を与えた、そこでILOはこのことにたいへん好感を持たれたようである、これは不幸中の幸いであったと考える、こういう御答弁があります。私もある意味で総理の言われることはよくわかります。そこで結社の自由実情調査調停委員会なるものは、一九五〇年の一月に国際連合の社会経済理事会とILOの協議の結果設置されたものであるわけでありますが、この委員会の目的は、国際連合の社会経済理事会の付託する政府及び労使団体よりの苦情申し立てを公平な立場で審査し、その結果を理事会に報告することにある、こういう規定になっておるのであります。ところで、この委員会が設立されて以来十年をこえるわけでありますが、承諾を与えた加盟国はなく、付託を求める必要があるかないかを検討する予備審査が実際には実情調査調停委員会の実質的な役割りとなっておる。したがって承諾を与える云々というところがなくても済んでいっておるわけであります。この予備審査を行なわせるために理事会が設置した結社の自由委員会が、実情調査調停委員会の職務を実際に行なってきておるというのが今日のILOの実情であろうと私は考えます。したがって調べてみますと、その後ほとんどの国の問題につきましては、この結社の自由委員会がほとんど片づけてしまっておるというのが実情であります。そうなってまいりますと、好感を持たれたということは不幸中の幸いである、こういうことでありますが、十数回にわたる勧告が行なわれておるにもかかわらず、片づかずに実情調査調停委員会に付託をする、つまり結社の自由委員会の七十二次報告に明らかになっておりますごとく、第百五十八回の理事会の日本問題に関する事務総長特別報告なるものまでつくられまして、実情調査調停委員会を派遣する、これは私は国際慣例等からながめてみまして、たいへん異常なことだと存じます。この意味で、すでに労働問題ということでなくて、外国をお歩きの方がひとしく認めておられるように、単に労使のみならず、外国の政府の方々まで、一体いかなる理由で批准が行なわれないのか幾ら説明を聞いてもわからない、こういうことで評しておりますように、すでに労働問題の域は越えておる、こういうふうに考えてよいと思うわけでありますが、この問題に関します国際的な影響という点について、どういうふうに把握をされておられるか、この点を、まだ五分ばかりありますので御答弁を賜わりたいと存じます。
この発言だけを見る →次に、きのうの稻葉さんのお話では、結社の自由実情調査調停委員会が来るのだけれども、来たってよいじゃないか。簡単に言えばそういうお話なんであります。したがって、この点についても外務大臣に明らかにしていただきたいのでありますが、先般河野さんの質問に対しまして総理がお答えになっております。それは、結社の自由実情調査調停委員会が日本に来ることについて、応諾を与えた、そこでILOはこのことにたいへん好感を持たれたようである、これは不幸中の幸いであったと考える、こういう御答弁があります。私もある意味で総理の言われることはよくわかります。そこで結社の自由実情調査調停委員会なるものは、一九五〇年の一月に国際連合の社会経済理事会とILOの協議の結果設置されたものであるわけでありますが、この委員会の目的は、国際連合の社会経済理事会の付託する政府及び労使団体よりの苦情申し立てを公平な立場で審査し、その結果を理事会に報告することにある、こういう規定になっておるのであります。ところで、この委員会が設立されて以来十年をこえるわけでありますが、承諾を与えた加盟国はなく、付託を求める必要があるかないかを検討する予備審査が実際には実情調査調停委員会の実質的な役割りとなっておる。したがって承諾を与える云々というところがなくても済んでいっておるわけであります。この予備審査を行なわせるために理事会が設置した結社の自由委員会が、実情調査調停委員会の職務を実際に行なってきておるというのが今日のILOの実情であろうと私は考えます。したがって調べてみますと、その後ほとんどの国の問題につきましては、この結社の自由委員会がほとんど片づけてしまっておるというのが実情であります。そうなってまいりますと、好感を持たれたということは不幸中の幸いである、こういうことでありますが、十数回にわたる勧告が行なわれておるにもかかわらず、片づかずに実情調査調停委員会に付託をする、つまり結社の自由委員会の七十二次報告に明らかになっておりますごとく、第百五十八回の理事会の日本問題に関する事務総長特別報告なるものまでつくられまして、実情調査調停委員会を派遣する、これは私は国際慣例等からながめてみまして、たいへん異常なことだと存じます。この意味で、すでに労働問題ということでなくて、外国をお歩きの方がひとしく認めておられるように、単に労使のみならず、外国の政府の方々まで、一体いかなる理由で批准が行なわれないのか幾ら説明を聞いてもわからない、こういうことで評しておりますように、すでに労働問題の域は越えておる、こういうふうに考えてよいと思うわけでありますが、この問題に関します国際的な影響という点について、どういうふうに把握をされておられるか、この点を、まだ五分ばかりありますので御答弁を賜わりたいと存じます。
大
大平正芳#16
○大平国務大臣 御指摘のように、ILOにおきまして、日本問題が一番やっかいな時間のかかった問題でありましたことは、御承知のとおりでございまして、これは決して日本の名誉であるとは思いません。しかしながら、今日の段階におきまして、私ども過去をいろいろせんさくすることよりも、今日の時点において日本はどうすべきかということを正しく判断することだと思うのであります。実情調査委員会を日本に派遣するかしないかは、ILOがきめることでございまして、私どもの選択は、これを拒否するか受諾するか、二つに一つであったわけでございます。私どもとしてはきのうも申し上げましたとおり、これを拒否するということは穏やかでないと思うのでございます。結社の自由という基本的な課題に対しまして、日本の実情を客観的に見ていただくということ、これをわざわざ拒否するなどということは私は穏やかでないと思うのでございまして、そういうことに至らない前に批准が完成することをこいねがいますけれども、万一そういうことになりました場合におきましても、私どもは受諾する以外に判断の余地はなかったわけでございます。
この発言だけを見る →大
大出俊#17
○大出委員 最後に私はひとつ要望を申し上げておきたいのであります。
先般ILOの副理事をしております原口氏からいろいろ伝えられております内容からいたしますと、ある国の方がILOの事務総長モース氏を通じて日本の農機具の買い付けに来た。この問題をめぐってILOの中における各国の労働側代表その他の方々から、八十七号条約がひっかかっていて難航しているこの時期に、そういうことをするとは何事だという大きな抗議が持ち上がったという話を聞いておりましたし、さらにまたオマール・ベクーという御存じのICFTUの書記長がおられるわけでありますが、この方は当時ITF、国際運輸労連の書紀長でありまして、あとから私は触れて申し上げますけれども、ICFTU、ITF共同調査団がILOの問題をめぐって日本に参りましたが、この提案をされた方でありますけれども、この方が本年日本に来られておって、三月二十七日に日本を離れるにあたって何と言っているかといいますと、忍耐にも限度があるという立場から、ILO八十七号条約の批准について、滞日中池田首相、大橋労相と会ったが、ともに今国会で批准を実現したいとの決意を持っていた。したがって、日本政府が今国会で批准を実現させることと確信している。この問題はすでに日本政府が何回も公約していることであり、われわれもこれまで忍耐してきたが、それにも限度があることを知ってもらいたい。われわれが全体主義国家としてのスペインのEEC加盟に反対をし、そのために同国の加盟がまだ実現していない事実を見てもわかるように、もし批准ができないと、日本政府がこれから国際組織に加盟する際、われわれは日本政府に労働者の基本権を認めさせるようその組織に要請するかもしれない。もちろんこれらの決定にあたっては日本の加盟組合も相談をする。相談を受けたのでありますけれども、これは国の問題でありますから、そういう点についての良識はおのおのわれわれも持っているわけでありますけれども、そういうことを言われておる。しかもILOができ上がったのは御存じのように一九二三年でありますけれども、この労働の項目をベルサイユ条約に入れたのは時の第二インターの決議であり、労働組合側であるわけでありますから、この点をお考えをいただいて、これ以上問題を遷延させるときに起こる国際的ないろいろな意味における日本という国の立場に対するマイナスの面をお考えいただいて、この国会、本特別委員会を通じまして、どうしても批准をするという立場にお立ちを賜わりたいと存じます。
この発言だけを見る →先般ILOの副理事をしております原口氏からいろいろ伝えられております内容からいたしますと、ある国の方がILOの事務総長モース氏を通じて日本の農機具の買い付けに来た。この問題をめぐってILOの中における各国の労働側代表その他の方々から、八十七号条約がひっかかっていて難航しているこの時期に、そういうことをするとは何事だという大きな抗議が持ち上がったという話を聞いておりましたし、さらにまたオマール・ベクーという御存じのICFTUの書記長がおられるわけでありますが、この方は当時ITF、国際運輸労連の書紀長でありまして、あとから私は触れて申し上げますけれども、ICFTU、ITF共同調査団がILOの問題をめぐって日本に参りましたが、この提案をされた方でありますけれども、この方が本年日本に来られておって、三月二十七日に日本を離れるにあたって何と言っているかといいますと、忍耐にも限度があるという立場から、ILO八十七号条約の批准について、滞日中池田首相、大橋労相と会ったが、ともに今国会で批准を実現したいとの決意を持っていた。したがって、日本政府が今国会で批准を実現させることと確信している。この問題はすでに日本政府が何回も公約していることであり、われわれもこれまで忍耐してきたが、それにも限度があることを知ってもらいたい。われわれが全体主義国家としてのスペインのEEC加盟に反対をし、そのために同国の加盟がまだ実現していない事実を見てもわかるように、もし批准ができないと、日本政府がこれから国際組織に加盟する際、われわれは日本政府に労働者の基本権を認めさせるようその組織に要請するかもしれない。もちろんこれらの決定にあたっては日本の加盟組合も相談をする。相談を受けたのでありますけれども、これは国の問題でありますから、そういう点についての良識はおのおのわれわれも持っているわけでありますけれども、そういうことを言われておる。しかもILOができ上がったのは御存じのように一九二三年でありますけれども、この労働の項目をベルサイユ条約に入れたのは時の第二インターの決議であり、労働組合側であるわけでありますから、この点をお考えをいただいて、これ以上問題を遷延させるときに起こる国際的ないろいろな意味における日本という国の立場に対するマイナスの面をお考えいただいて、この国会、本特別委員会を通じまして、どうしても批准をするという立場にお立ちを賜わりたいと存じます。
大
大
大出俊#19
○大出委員 そこで私は労働大臣に御質問を申し上げるのでありますが、ILOからは七十二次報告等までの間にたくさんのレポートが出ております。またILOに持ち込んだ案件もたくさんございます。ところでその中でストライキ権の問題、あるいは団体交渉権の問題等についても、何べんかレポートが出されております。しかしいろいろ御発言をなさる皆さんの中で、こういう点については全く触れようとはなさらない。そしてしきりにお話の中に出てくるのは、八十七号条約なり九十八号条約なりをめぐっての労使不介入、自主性、自主運営、こういう形が出てくるわけであります。いろいろなことがあげられておりますけれども、たとえば便宜供与というようなことになる在籍専従とかチェックオフ、私はそうならぬと思っておりますが、そういうことをあげられまして、何と言われるかといいますと、便宜供与を受けておるとどうも労働組合はひるむ、弱くなる。だからそういうことがないように、われわれの側は親切にそういうことをやめたらどうか、こう言ってあげているのだというお話なんでありますが、どうもこれは少し見当違いだと思うわけであります。つまり昨日しきりに倉石さんの修正案が出てまいりましたが、私も実はここにどういう風の吹き回しで入ってきたかわかりませんけれども、自民党の皆さんの中の各部門、治安対策委員会の意見であるとか、文教部会の御意見であるとか、内閣部会の御意見であるとかいうのが一覧表でございます。なかなか真をうがったものも中にはございますけれども、これを全部読ましていただきましたところが、どうも組合、特に日教組、国公というようなところが強過ぎる、いろいろな問題を持ち込んでやって困る。在籍専従というようなものをこれから認めていくと、処分するといっても処分しにくくなる。だからこの際、最後のほうにくっついておるのはILO条約の原則にも合うのだからやめてもらったらどうだ。原案賛成だ、こういうことになっているのでありますから、言われることはどうもよろいの下に衣、衣の下によろい、どっちかわかりませんが、組合を弱体化する、そういうことで今日関係国内法の改正案が出されている。これに間違いはないと私は存ずるのであります。
そこで理屈の上ではいろいろなことが言えますけれども、昨日来言われている相互不介入、こういう問題に関しましても政府・与党の皆さん方の側の案文の中では、だいぶはっきり書かれておるのであります。そういう意味で、そういう表現で言われる組合を強くしてやろうという御心配があるとすれば、多少の便宜供与でひるむというようなけちな組合はないと思うのでありますけれども、なおはっきりさせていただくためには、一番いいのは団体交渉権とストライキ権を与えていただくこと、これをやはり表に出して言われないところに、今日の関係国内法が出てきた理由があろうと存じます。
そこでILOのレポートに触れまして、ストライキ権の問題について労働大臣の所見をいただきたいのですが、まず前段に二、三点質問をいたしておきます。
それは一九四八年の六月十七日に先ほどのILO八十七号条約がサンフランシスコ総会で採択をされたのでありますが、日本におきましては労働大臣が御存じのとおり、当時のGHQの占領政策が転換されまして、日本の再軍備への方向というふうなことが初めて爼上にのぼり、日本の資本の復活をしなければならぬという問題等が出てまいりました。これが朝鮮戦争につながっていくわけでありますけれども、こういう背景の中で日本の労働組合を抑える必要があるということで、一九四八年、いみじくも八十七号条約が採択をされたと同じ年の七月に、内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く政令という、えらい長い名前の二百一号政令が出されたわけであります。そしてストライキ権がなくなり、その後公務員法の改正、公労法の制定等によりまして、現在の公務員あるいは公労協労働者の団結権や団交権の制限が行なわれたわけです。公務員にとりましてはストライキの全面禁止、こういうことになったのでありますが、以来十六年になるわけであります。池田総理が河野さんの質問に答えて、四・一七ストライキの問題をめぐって御答弁をされている中に、河野さんのほうから国際的な風潮、労働基本権の確立ということを考えたらどうかということに対して、そういうこともわかるけれども、逆流れになったり、船がこわれたり、急いではいかぬ、こういうことを言われたのでありますが、十六年になるのでありますから、その点を考えるとき、急ぐも急がぬも十六年、だいぶ答弁には私は食い違いがあると存じます。当時二百七十万の官業労働者がストライキ権を失ったわけでありますが、その代償機関として裁定が出されて、国鉄労働組合に対する第一回裁定というのは四十五億円の金を必要とする裁定でありましたが、十五億円分しか実施をしておらないわけであります。三十億円というのは損をした勘定になるわけであります。前後七回ほどの裁定の中で、約二百四十億円をこえる損失をし、はね返りを入れると五百億円にも達することになります。つまり代償機関の役割りを果たしていなかったということになるのであります。したがって、賃金、労働条件の面で、この十六年間に大きく日本の労働者は賃金が低下し、労働条件が悪くなったということが言えるし、当時官業賃金が民間賃金の基準になっておりましたから、その意味では全体的に日本の賃金が低下をしたということになります。ことしの春に、各大組織が大会を持ちましたが、総評も全労も中立も新産別も、ひとしくあげておりますのは、欧州並みの賃金をもらいたいということであります。こうなった根本的な原因は、やはり私は一九四八年の七月における政令二百一号にその端を発しているというふうに考えているわけであります。したがって、この十六年間における日本の労働組合は、失われた権利の回復のためにのみ中心を置いて運動が続けられている。この現実をやはりお考えをいただきまして、憲法二十八条にいうところの団体行動権を認めるという、この基本的な筋について十六年間を振り返っていただいて、ことしの四・一七をめぐる問題等もお考えをいただき、この時点でぼつぼつストライキ権についての検討をしていただく時期がきたのではないかと私は思うのでありますが、労働大臣の御所見を賜わりたいと存じます。
この発言だけを見る →そこで理屈の上ではいろいろなことが言えますけれども、昨日来言われている相互不介入、こういう問題に関しましても政府・与党の皆さん方の側の案文の中では、だいぶはっきり書かれておるのであります。そういう意味で、そういう表現で言われる組合を強くしてやろうという御心配があるとすれば、多少の便宜供与でひるむというようなけちな組合はないと思うのでありますけれども、なおはっきりさせていただくためには、一番いいのは団体交渉権とストライキ権を与えていただくこと、これをやはり表に出して言われないところに、今日の関係国内法が出てきた理由があろうと存じます。
そこでILOのレポートに触れまして、ストライキ権の問題について労働大臣の所見をいただきたいのですが、まず前段に二、三点質問をいたしておきます。
それは一九四八年の六月十七日に先ほどのILO八十七号条約がサンフランシスコ総会で採択をされたのでありますが、日本におきましては労働大臣が御存じのとおり、当時のGHQの占領政策が転換されまして、日本の再軍備への方向というふうなことが初めて爼上にのぼり、日本の資本の復活をしなければならぬという問題等が出てまいりました。これが朝鮮戦争につながっていくわけでありますけれども、こういう背景の中で日本の労働組合を抑える必要があるということで、一九四八年、いみじくも八十七号条約が採択をされたと同じ年の七月に、内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く政令という、えらい長い名前の二百一号政令が出されたわけであります。そしてストライキ権がなくなり、その後公務員法の改正、公労法の制定等によりまして、現在の公務員あるいは公労協労働者の団結権や団交権の制限が行なわれたわけです。公務員にとりましてはストライキの全面禁止、こういうことになったのでありますが、以来十六年になるわけであります。池田総理が河野さんの質問に答えて、四・一七ストライキの問題をめぐって御答弁をされている中に、河野さんのほうから国際的な風潮、労働基本権の確立ということを考えたらどうかということに対して、そういうこともわかるけれども、逆流れになったり、船がこわれたり、急いではいかぬ、こういうことを言われたのでありますが、十六年になるのでありますから、その点を考えるとき、急ぐも急がぬも十六年、だいぶ答弁には私は食い違いがあると存じます。当時二百七十万の官業労働者がストライキ権を失ったわけでありますが、その代償機関として裁定が出されて、国鉄労働組合に対する第一回裁定というのは四十五億円の金を必要とする裁定でありましたが、十五億円分しか実施をしておらないわけであります。三十億円というのは損をした勘定になるわけであります。前後七回ほどの裁定の中で、約二百四十億円をこえる損失をし、はね返りを入れると五百億円にも達することになります。つまり代償機関の役割りを果たしていなかったということになるのであります。したがって、賃金、労働条件の面で、この十六年間に大きく日本の労働者は賃金が低下し、労働条件が悪くなったということが言えるし、当時官業賃金が民間賃金の基準になっておりましたから、その意味では全体的に日本の賃金が低下をしたということになります。ことしの春に、各大組織が大会を持ちましたが、総評も全労も中立も新産別も、ひとしくあげておりますのは、欧州並みの賃金をもらいたいということであります。こうなった根本的な原因は、やはり私は一九四八年の七月における政令二百一号にその端を発しているというふうに考えているわけであります。したがって、この十六年間における日本の労働組合は、失われた権利の回復のためにのみ中心を置いて運動が続けられている。この現実をやはりお考えをいただきまして、憲法二十八条にいうところの団体行動権を認めるという、この基本的な筋について十六年間を振り返っていただいて、ことしの四・一七をめぐる問題等もお考えをいただき、この時点でぼつぼつストライキ権についての検討をしていただく時期がきたのではないかと私は思うのでありますが、労働大臣の御所見を賜わりたいと存じます。
大
大橋武夫#20
○大橋国務大臣 憲法二十八条の労働基本権が、公務員ないし公社職員につきまして、公益上の理由から制限をいたしてあることは、御承知のとおりでございます。この制限は御指摘のとおり、昭和二十三年に新たに定められたものでございまして、それ以前においてはなかったものでございますが、しかしながら、日本の公務員の性格並びに公社職員等の性格またその職務の特殊性、これらの点から考えまして、基本権の制限を国会が行なわれましたということは、これはやはり当時としては正しいことであったと私は確信をいたしておるのであります。もとより、世の中の情勢は常に進歩いたしておるのでございますから、この公務員のスト権の回復というような要望が最近出ております。これにつきましては、政府といたしましても、はたして今日この要望に対していかなる考えを持つべきであるか常に研究をいたしておるのでございますが、現在のところ、やはり現行制度を維持することが適当であるというふうに考えておる次第でございます。
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大出俊#21
○大出委員 このあたりで明らかにしておきたいのでありますけれども、欧州各国等における団結権あるいはストライキ権、特に公共部門あるいは公務員についてのストライキ権の問題、団交権の問題がどうなっているかという点であります。いろいろ現地に行って調べて記録をいたしておりますけれども、その内容からいたしますと、イギリスなんかでも、公務員をはじめとする公共部門の労働者にも争議権が明確にございます。団結権はもちろんのことであります。それから西ドイツあたりにおきましても、私も一昨年半月ばかり行っておりましたが、公共部門の労働者には争議権が明確になっております。公務員の場合には、向こうの基本法の三十三条をもちまして官吏の争議を禁止したのだという学説と、そうでないのだという者との争いがございますが、官吏の争議行為は、一般労働者の場合と同じように、一般の法秩序のワク内で法的評価を狩ることになる。つまり争議行為禁止の規定がない、こういう状態になっております。フランスにおきましても、公共部門、さらには公務員、これに争議権が存在をいたします。例のラニエル内閣が退陣をしたときの、フランスのゼネストの発端はボルドーの郵便局でありますから、その事例をお考えいただいても私は明確だと思うのであります。さらにイタリアにおきましても、公務員をはじめとする公共部門の労働者には争議権があるのであります。スエーデンの場合なんかは、禁止されているけれども、ボイコットやあるいは集団的に雇用契約の解約告示をして仕事をやめて、ストライキと同様の形をとっております。さらにデンマークなんかにおきましても、公務員をはじめとする公共部門の労働者にも争議権があるわけであります。さらにオーストリア等におきましても、同様に何らの制限立法はございません。オランダ等につきましても、さらに欧州の各国を洗った場合に特に言えることは、前回の特別委員会でも問題になっております消防なんかにつきましても、団結権があり、警察につきましても団結権がある、大多数であります。しかもフランスの消防などはストライキ権さえ持っておる、こういう事情にあるわけであります。しかも明確になっております。学説的な争いが一つある西ドイツなんかにおきましても、戦後の事情としては、戦前に世界で最高のストライキ件数を数えた西ドイツの場合に、ほとんどストライキ権、争議行為というものが、寸前で良識によって片づいている。つまりストライキ投票が行なわれて、それが一〇〇%に近づくと資本の側が譲歩をし、八〇%を割るなどということになると組合の側が譲歩をする。私的といいますか任意といいますか、調停制度もできていて珍重をされ、解決をしている、こういう事情等を考えるときに、四・一七をめぐって総理が前に出られての解決が、労働大臣以下の努力も含めて行なわれたわけでありますけれども、組合の内部事情等をながめておりますと問題はありますけれども、世上一般がこれについて認識をしている限り、一つの好感を持っているという見方がある意味ではできる。その意味で一つの意義があったと私は考えるわけでありますが、そういう時点に今日きているということを考えていただいて、今日まで政府なり資本の皆さんの側が、労働者側の権利というものを、常に対等ではなくて、一段も二段も低いところに置いておかなければ満足をしない、こういう立場をとってきておられるわけでありますが、そのことは結果的に何を意味するかといえば、失われた権利の回復を水平運動という形で行ない続けるという結果に通ずるわけでありますから、このあたりでストライキ権という問題を天下の学識を集めて論議して、国民の納得を求めて確立をし、憲法二十八条の趣旨に沿い、そしてその結果として与えるものは与えた上で、労使関係のあり方を真の意味における正常な段階に持っていく必要があるのではないか。そうしないことが今日混乱に混乱を重ねざるを得ない理由になっているのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点についてもこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
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大橋武夫#22
○大橋国務大臣 欧州におきまする公務員あるいは公共労働者のスト権につきまして、いろいろ実情をお話いただいたのでございますが、私は、スト権の問題は、単に労使だけの関係から結論を出すという性質のものではないと思うのでございまして、むしろ労使間の問題ということから申しますと、労使対等の立場に立ってそして話し合いを進めていくという意味では、スト権を否認する理由はないと思うのでありまして、スト権が現実に制限されなければならぬということは、やはり国内における社会公共の利益を守るためにやむを得ないということであると思うのでございます。わが国の国内におきまする実情等から申しまして、私は、まだこの公共労働者あるいは公務員等について一般的にストライキを認める段階にはなっておらない、かように存ずる次第ございます。
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大出俊#23
○大出委員 御親切な答弁をいただいたわけでありますが、さらに重ねていまの御答弁について御意見を賜わりたいのであります。
四・一七というものをめぐって、青山に行くところにいまなお自民党東京都本部の違法スト対策本部という大きな看板がかけっぱなしになっております。あれをめぐってはたいへん皆さんの側もいろいろな意見があったようでありますが、結果的にまとまったということについては、ある意味ではやむを得ぬ結果だというふうにお考えの方も含めて好感をお持ちのようであります。そこが憲法二十八条にいうところの、すべての勤労者に対して団結する権利及び団交権その他の団体行動権を基本的権利として保障している、これは間違いない事実であります。これは当時スト権を中心とする労働基本権が完全に保障されることが、これは諸種の国際憲章にもありますが、貧困と隷属をなくし平和と生活を安全にすることができる、そういう意味における公共の福祉に合致をしていたのだというふうに学説的にはしるされております。ところが昭和二十四年の国公法改正や公労法制定時においては、政府は逆にこの公共の福祉ということばをスト禁止の法理として使うように変わってまいりました。そしてこれは、国鉄の弘前機関区事件の最高裁判決が二十八年四月八日でありますけれども、ここで述べられておる法理に使われているわけであります。それ以来有権解釈云々ということを含めて公共の福祉ということを皆さんが口にされる。ところが本来しからば歴史的に公共の福祉という観念が生まれてきたのはどこから出てきたか。人権相互の矛盾あるいは衝突、これを公平に調和させようとする趣旨、これによって、つまり人権相互に矛盾や衝突が生じたときにはこの大きな相互矛盾、衝突であるから、したがって具体的にこの人権を尊重する立場から検討をして、矛盾を起こし衝突をする人権について、その均衡をはからなければならないという筋道であるはずだと考えるわけであります。
そこで政府は、さきの四・一七をめぐっていろいろなことを言われました。言われましたが、いま私が申し上げたような、基本的な権利の相互矛盾をどう調整をするか、こういう努力が根底として払われていくのが、私は公共の福祉という観念を誤りなくとらえていく筋道だろうと考えるのでありますけれども、そこをどうやらかってにと言うと言い過ぎかもしれませんけれども解釈をされて、公共の福祉のために必要であるということによって、何でもかんでも組合の権利を抑えていこうとされる。言い過ぎかもしれませんが、公益は私益に優先するのだという旗を振りかざすことは、かつてのファシズムに通ずると私は思いますし、権力者の一方的な恣意によって、この公共の福祉の名前のもとにあらゆる人権が失われていくということは、対等という立場に立って正常な秩序を維持しようとする労使関係の真のねらいとするものではないのではないかと私は考えるわけであります。そこで官公労働者のストライキが国民に対して重大な迷惑を及ぼし、それによって公共の福祉がそこなわれるというのであるならば、ストライキによってこうむる国民の迷惑、もちろんこれは御指摘のとおりでございます。しかしストライキをやらないことによってこうむる官公労働者とその家族の生活に対する苦労というもの、これは具体的に比較検討をしてその均衡をとるのに必要な限度においてストライキを制限する、こういうことは私は可能な筋だと考えるわけであります。こういうつまり相手に立つ側のものの考え方というものを御理解の上でやはり政治というものが行なわれ、労働行政というものが立てられなければならぬ筋道だという点で、先ほど来御検討を賜われぬかと言っているのでありますけれども、この点についても御見解を賜わりたいのであります。いまの御答弁に関連いたしますから。
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そこで政府は、さきの四・一七をめぐっていろいろなことを言われました。言われましたが、いま私が申し上げたような、基本的な権利の相互矛盾をどう調整をするか、こういう努力が根底として払われていくのが、私は公共の福祉という観念を誤りなくとらえていく筋道だろうと考えるのでありますけれども、そこをどうやらかってにと言うと言い過ぎかもしれませんけれども解釈をされて、公共の福祉のために必要であるということによって、何でもかんでも組合の権利を抑えていこうとされる。言い過ぎかもしれませんが、公益は私益に優先するのだという旗を振りかざすことは、かつてのファシズムに通ずると私は思いますし、権力者の一方的な恣意によって、この公共の福祉の名前のもとにあらゆる人権が失われていくということは、対等という立場に立って正常な秩序を維持しようとする労使関係の真のねらいとするものではないのではないかと私は考えるわけであります。そこで官公労働者のストライキが国民に対して重大な迷惑を及ぼし、それによって公共の福祉がそこなわれるというのであるならば、ストライキによってこうむる国民の迷惑、もちろんこれは御指摘のとおりでございます。しかしストライキをやらないことによってこうむる官公労働者とその家族の生活に対する苦労というもの、これは具体的に比較検討をしてその均衡をとるのに必要な限度においてストライキを制限する、こういうことは私は可能な筋だと考えるわけであります。こういうつまり相手に立つ側のものの考え方というものを御理解の上でやはり政治というものが行なわれ、労働行政というものが立てられなければならぬ筋道だという点で、先ほど来御検討を賜われぬかと言っているのでありますけれども、この点についても御見解を賜わりたいのであります。いまの御答弁に関連いたしますから。
大
大橋武夫#24
○大橋国務大臣 立法論といたしましてスト権をいかに処理するかということについては、いろいろ人によって意見があると存ずるのであります。ただ労働行政の立場といたしましては、国会の制定にかかる法律を忠実に執行するというのでございまして、公共の福祉を守るために必要だということで公労法によってストライキが禁止されておる現在のもとにおいて、公労協がストライキを宣言されるということに対しましては、行政機関としては、そのストライキは法律に違反しておるという事実を率直に認識する以外に、これは違反しておるが大目に見るべきかどうかとか、あるいはこの場合は取り締まらねばならぬとかいうような裁量をする余地はない、こう思うのでございます。そこで労働省といたしましては、先般のストライキに際しましても、このストライキの宣言が行なわれておるが、ストライキが現実に発生したとすればそれは明らかに違法のストライキであるという見解を発表いたした次第であります。
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大出俊#25
○大出委員 いまの点とからみますのでもう一つ申し上げますが、また昨日の労働大臣の答弁にもあったのでありますが、よく全体の奉仕者ということをあげられるわけであります。スト権剥奪——剥奪という言葉はなるべく使わないようにしているのでありますが、まあスト権がなくなったということが憲法二十八条違反にならない論拠として政府はあげられておる中に、全体の奉仕者ということがある。これについて官公労働者は国民全体に奉仕をする義務を負っているのだ、その雇用主は国民全体であるのだ、こういう前提に立っているわけであります。その雇用主たる国民全体に反抗することになる、これは民主主義の原則にもとるのだ、こういう立論になってくるわけでありますが、官公労働者の争議権が問題とされますのは、ここが一番重要だと私は思うのでありますけれども、現実に指揮命令を受けて労働を行なうという労使関係、労働関係の場においてのみであるというように私は考えるわけであります。その公務員という意味における職務の地位に関連した場における論争ではないのであります。したがって、官公労働者の相手とされるのは、国民全体ではなくて、あくまでも労働に関して直接指揮命令をなしてくるところの使用者としての当局であり、政府であるということになります。もしこれを混同、混淆いたしますと、その結果、国民全体即政府ということになってしまいまして、今日国民全体が政府であるというふうに考えている人はないと私は思うのであります。したがいまして、憲法十五条にいう「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」という規定は、天皇の官吏といわれた旧憲法から、そうではないのだという点を明確にする意味における国民の奉仕者という概念であるというふうに私は存じますので、その点についても明らかにした上で問題の処理に当たっていただきたいと存じます。御見解を賜わりたいと思います。
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大橋武夫#26
○大橋国務大臣 結局憲法十五条の解釈の問題だと思いますが、憲法十五条で、国民の奉仕者であって、一部の人のためにあるものではない、こう書いてある趣旨は、あなたの御解釈のとおりだと私も存じます。
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大出俊#27
○大出委員 ところで、この特別委員会の論議の中でもちょいちょいことばに出るのでありますけれども、四・一七の違法ストというわけでありますが、これについても、私は、あとでこれはILOレポートとからむので申し上げておるのでありますから、そういう意味でお聞き賜わりたいのであります。はっきり申し上げておきますけれども、憲法九十八条におきまして、国の最高法規たる憲法に違反する法律、命令は効力を有しないと宣言しているわけであります。最高法規の宣言があるわけであります。さらに憲法第八十一条で、最高裁判所の違憲立法審査権というものを明らかにいたしております。しかしこの審査手続その他を調べてみますと、違憲立法審査権というのは、一般的に、さらに抽象的になされるべきものではなくて、個々の係争事実としてのケースを通じてのみ審査し得るとされているわけであります。国民が違憲だと感ずる悪い法律につきましては、これに反する行動をもって違憲審査を求める以外に法律的に憲法改正をさしていくという法律的な手続はないのであります。この点はILOでも同様でありまして、慣行としては、国内に問題が起こらなくなれば、ILOの結社の自由委員会の働きも終わってしまいます。本来批准するべきものでありますけれども、しかし現実にはそういう面があります。だから日本の国内で労働組合はいろいろなことをやるのだが、いいかげんで腰くだけでやめてしまうのではないかということをILOの場における労働者側委員のたくさんの人から注文がつけられた上で、それならばわれわれも本腰を入れて審査に出たる、こういうことを言っているわけであります。同じようなことになろうと私は思うのでありますけれども、国内に係争事実がなくなれば、なかなかILOの結社の自由委員会の審議も進展をしない、こういうたてまえがあろうと思います。したがって、先ほど申しましたように、いつも労働者の権利を下に抑えておくという筋道は、逆に違憲審査の場をつくり出して国の憲法を、ないしは国の憲法的秩序、こういうものを正していくということに憲法解釈論上から運動が進んでいく、こういう結果に私はなりかねないのではないかと思うわけであります。したがって、そういう基本的な問題を俎上に乗せての今日の段階における、——ILOのレポートも、いろいろあとから申し上げますが、あるのでありますから、そういう時期のとらえ方が私は必要ではなかろうかというふうに思っておるのでありますが、御所見を賜わりたいわけであります。
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大橋武夫#28
○大橋国務大臣 私ども行政府といたしましては、国会の制定された法律に対しましては、違憲の審査権というものは持っておりません。したがって、法律を忠実に執行いたすべき立場にあるわけでございまして、現実に最高裁判所におきまして違憲の判決が出た場合においては、この裁判所の解釈を尊重いたすのでございますが、スト権の問題に関する限り、最高裁判所の判例は、現在の公労法その他のスト権の制限規定を合憲と判決しておるようでございます。
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大出俊#29
○大出委員 そうなると、いまの御答弁についてもう一言申し上げなければならぬことになったわけでありますが、実体法に即して、ないしは最高裁の判決に基づく有権解釈という立場での政府のたてまえは私はわかるわけであります。しかし三・一五判決のことをいま言われたのでありますが、三・一五判決は文字どおりこれは三・一五、昨年の三月十五日、公労協ストライキの日に出たわけでありまして、前日に、そこにおいでになる大橋労働大臣がたいへん御苦心をされ、私どもとの間でまとめて、幸いに事なきを得たのでありますが、三月十五日、予定いたしていた日に出されたという、どういう意味で一緒になったかわかりませんが、一つの歴史があるわけであります。この最高裁第二小法廷で出された判決の主たる内容は、調べてみますと、何と二行しかないのであります。世の中どうも封建時代の夫婦別れでも三くだり半ということがある中に、あれだけの大問題を結論づけるのに二行、こういうことになっているわけであります。内容は、国鉄檜山丸事件、全逓松江事件についての高裁判決についての最高裁の判決、こういうことになるわけであります。当時最高裁判所はどう言っているかといいますと、公労法十七条は罰則はない——罰則はないのであります。解雇するということだけであって、免職ではないのでありますから、罰則は公労法ではございません。それがかりに禁止されている公労協のストライキであっても、刑罰を科すべきものではない、労組法一条二項の刑事免責というものがあるのだということが高裁の結論であったわけであります。詳細な理論構成をして出されております。にもかかわらず、何らの反論もなく、口頭弁論さえ行なわれていないということで出されたのが例の三・一五の判決であり、しかも判決を出す通知が来たのは一週間前、これも異例のことでありまして、かつてない。だから結果的にはどうも政治的ではないかという問題が最高裁の決定にいなやを言うわけではありませんが、何となくそういう異論、政治的ではないかというものの考え方が一般にある。
そこで私は当時の、三十八年三月十六日の朝日新聞をここに持っておるのでありますが、この中で、成城大学教授の三藤正さん、一橋大学教授の吾妻光俊さん、国際基督教大学教授の鮎沢厳さん、この三人の方々が朝日新聞にこの三・一五判決についての意見を申し述べております。この中で、三藤さんの言っておられるのは、出てしまった判決なのでいなやを言うわけではない。——法律関係者として当然でしょう。しかしこの中で言っておりますのは、労働問題に非常に心配を持っておるわれわれからすると、「一般論を言えば、労働問題では先輩格の欧米諸国でも、公共企業体労組の争議権を否定しているところはほとんどない」ということを断定をいたしております。「そのかわり、労使とも国民に対する大きな責任を身につけていて、ストが決行されるようなこともきわめて少ない」、こういうふうに理論づけております。したがって三・一五判決は判決として、ストライキの問題について、このあたりで労使双方が、戦後これだけたったのだから、ひとつおとなになって考えなければならぬ時期がきている、こういう意味のことを言っているわけであります。吾妻光俊さんの論評は、これは私の先生でありますけれども、この方が言っておりますのは、「ただ、この機会に、私が特に強調したいのは、憲法で保障された労働基本権、特に争議権が、公労法等の法律で制限禁止されていることの意味を、裁判所に対して、十分の労働法的感覚(つまり、労働法上の違法と民刑法等のいわゆる市民法上の違法との性格の違いに着眼するという物の見方)」、私は正しいと思うのでありますが、「をもって、検討してもらいたいという点である。」、こういう注文をつけております。そしてさらにその後に、「私は、一面において、争議行為のレッテルを張ればすべての責任から解放されるという安易な考え方を排斥すると同時に、争議行為という在来の法律の予定していない社会現象を在来の法律上のものさしをむやみに当てはめてはならないということを強く主張していきたい」、これが吾妻さんの論評であります。さらに国際基督教大学の鮎沢さんは、「しかし、国際的にも国内的にも、ますます重大になりつつある労働問題に留意しているものは、満足ばかりしておられない。」三・一五判決についてであります。そして「公労法に「公共企業体等」ということばによってカバーされた、もろもろの企業や事業が本質的に、みな一様に国家の安寧や社会福祉やに直接的に重大な関係を持つものであるかないか、そのすべてにおいて行なわれる争議行為が直ちに国家の安寧や秩序や公共の福祉に重大な結果をもたらすものであるかないか」の点が問題の中心である。ILOのレポート等もありますけれども、一律に何もかも、きのう稻葉先生がいみじくも、言われたように、日本の労働法体系、さらに公務員における法体系というものはまさに一律に何もかも一緒くたに規定してしまっている。これはつまり先ほど申しました一九四八年の政令二百一号の結果として公務員二百七十万の権利を押えたこの安易感、安心感というものがさらに合理的に、——今日民主主義の世の中ですから相手を説得し、納得せなければ大衆というものは政府の政治方針に従わないものであります。それを説得しようとなさらないところに、労働法体系あるいは公務員の労働関係の法体系に手をつけようとなさらないところに問題点がある。
そこで労働関係法令審議会というものがございまして、私が官公労事務局長の時代に労働省から御相談がありました。こういうことをやりたいのだが出してもらえないだろうかということで、その当時にいま参議院におります野々山君だとか全逓の委員長である宝樹だとかいう諸君が入りまして、労働省の石黒国際労働、後の課長でありますが、当時法規課長等々、いろんな方が関係をれていろいろ審議をされた歴史が二回ございます。一回のときには公労法四条三項というものは国際的にないのだからどけておきたいという担当法規課長の御意見等もありましたが、時の労働大臣が入れてしまったといういきさつなどもありまして、そういう形の論議はむしろ労働省の側から積極的に組合に話があって行なわれたわけであります。われわれは言い分が一ぱいあったけれども好感をもって迎えて委員も出し、しかも意見が通りませんでしたが、かつては吾妻光俊さんが責任者でありましたから、その方々にお願いをして少数意見までつけていただいて、きわめて民主的に協力をしていった歴史もあります。したがって私はこの機会にいま申し上げた観点から考えまして、どうしてもこの辺でスト権問題をめぐるこの種のたくさんの論評があるのでありますから、何らかの機関を設け、天下の良識を集めて世の中が納得するように論議をする必要がある時期だと思うのでありますが、再度お答えをいただきたいと思います。
この発言だけを見る →そこで私は当時の、三十八年三月十六日の朝日新聞をここに持っておるのでありますが、この中で、成城大学教授の三藤正さん、一橋大学教授の吾妻光俊さん、国際基督教大学教授の鮎沢厳さん、この三人の方々が朝日新聞にこの三・一五判決についての意見を申し述べております。この中で、三藤さんの言っておられるのは、出てしまった判決なのでいなやを言うわけではない。——法律関係者として当然でしょう。しかしこの中で言っておりますのは、労働問題に非常に心配を持っておるわれわれからすると、「一般論を言えば、労働問題では先輩格の欧米諸国でも、公共企業体労組の争議権を否定しているところはほとんどない」ということを断定をいたしております。「そのかわり、労使とも国民に対する大きな責任を身につけていて、ストが決行されるようなこともきわめて少ない」、こういうふうに理論づけております。したがって三・一五判決は判決として、ストライキの問題について、このあたりで労使双方が、戦後これだけたったのだから、ひとつおとなになって考えなければならぬ時期がきている、こういう意味のことを言っているわけであります。吾妻光俊さんの論評は、これは私の先生でありますけれども、この方が言っておりますのは、「ただ、この機会に、私が特に強調したいのは、憲法で保障された労働基本権、特に争議権が、公労法等の法律で制限禁止されていることの意味を、裁判所に対して、十分の労働法的感覚(つまり、労働法上の違法と民刑法等のいわゆる市民法上の違法との性格の違いに着眼するという物の見方)」、私は正しいと思うのでありますが、「をもって、検討してもらいたいという点である。」、こういう注文をつけております。そしてさらにその後に、「私は、一面において、争議行為のレッテルを張ればすべての責任から解放されるという安易な考え方を排斥すると同時に、争議行為という在来の法律の予定していない社会現象を在来の法律上のものさしをむやみに当てはめてはならないということを強く主張していきたい」、これが吾妻さんの論評であります。さらに国際基督教大学の鮎沢さんは、「しかし、国際的にも国内的にも、ますます重大になりつつある労働問題に留意しているものは、満足ばかりしておられない。」三・一五判決についてであります。そして「公労法に「公共企業体等」ということばによってカバーされた、もろもろの企業や事業が本質的に、みな一様に国家の安寧や社会福祉やに直接的に重大な関係を持つものであるかないか、そのすべてにおいて行なわれる争議行為が直ちに国家の安寧や秩序や公共の福祉に重大な結果をもたらすものであるかないか」の点が問題の中心である。ILOのレポート等もありますけれども、一律に何もかも、きのう稻葉先生がいみじくも、言われたように、日本の労働法体系、さらに公務員における法体系というものはまさに一律に何もかも一緒くたに規定してしまっている。これはつまり先ほど申しました一九四八年の政令二百一号の結果として公務員二百七十万の権利を押えたこの安易感、安心感というものがさらに合理的に、——今日民主主義の世の中ですから相手を説得し、納得せなければ大衆というものは政府の政治方針に従わないものであります。それを説得しようとなさらないところに、労働法体系あるいは公務員の労働関係の法体系に手をつけようとなさらないところに問題点がある。
そこで労働関係法令審議会というものがございまして、私が官公労事務局長の時代に労働省から御相談がありました。こういうことをやりたいのだが出してもらえないだろうかということで、その当時にいま参議院におります野々山君だとか全逓の委員長である宝樹だとかいう諸君が入りまして、労働省の石黒国際労働、後の課長でありますが、当時法規課長等々、いろんな方が関係をれていろいろ審議をされた歴史が二回ございます。一回のときには公労法四条三項というものは国際的にないのだからどけておきたいという担当法規課長の御意見等もありましたが、時の労働大臣が入れてしまったといういきさつなどもありまして、そういう形の論議はむしろ労働省の側から積極的に組合に話があって行なわれたわけであります。われわれは言い分が一ぱいあったけれども好感をもって迎えて委員も出し、しかも意見が通りませんでしたが、かつては吾妻光俊さんが責任者でありましたから、その方々にお願いをして少数意見までつけていただいて、きわめて民主的に協力をしていった歴史もあります。したがって私はこの機会にいま申し上げた観点から考えまして、どうしてもこの辺でスト権問題をめぐるこの種のたくさんの論評があるのでありますから、何らかの機関を設け、天下の良識を集めて世の中が納得するように論議をする必要がある時期だと思うのでありますが、再度お答えをいただきたいと思います。