加賀田進の発言 (商工委員会)

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○加賀田委員 私の指摘した公社形態といいますか、一社形態と、それから現在の九分割のままというものに対する功罪については明確に御答弁がなかったわけですが、審議会の答申にもありますとおり、やはりこれは国家的な総合開発とか地域的な開発もあるでしょうけれども、そういう産業開発との関係の中で国家的な意思というものが、電源開発やその他の電気事業に率直に、しかもスピーディに入り込んでいかなければ、これは電力という重大な近代産業としての使命を果たし得ないのじゃないかと思うのです。したがって、いわゆる私企業としての九電力にそういう広域運営というものを一任して、はたして国の政策というものがうまく浸透するかどうか、まず大きな懸念になってくると思うのです。これは九電力の協力いかんによって云々というでしょうけれども、しかし、私企業というものは適正利潤ということで、料金やその他で、この法律にも書いてありますけれども、やはり何としても利潤を一定の額追求するということが自由経済の中の企業の本質なのですから、そういう面では九社が地域的に協力しようとしても、そういう利害関係というものは必ず起こってくるだろうと私は思っておる。そういう意味では、この法律の中で九分割そのままを是認するということは、まず国の意思というものが非常に適切にこういう電気事業の電源開発等にうまく入ってこないという欠陥が生まれてくると思うのです。それから国家資金というものを、いろいろな形で政府としては導入をしております。広域運営とかあるいは税制に対してのいろいろな保護政策等も行なっておりますけれども、これとても私企業の九電力が、電源開発等に非常に膨大な金が要りますために、自力によって、自分の資本力によって開発するということは困難だ、こういう弊害を補完しようとすることがこの電発の生まれた大きな使命だと私は思う。そうすると、私企業でありながら国家が別個の会社を、特殊会社でありますけれども設けて、そういう援助をしなければならない、こういう変則的な一つの私企業の存在というものを認めていかなくちゃならぬ。そうすると、国自体が責任を持ってこういう電力事業を発展させようとすれば、国がそのまま資金導入というものを計画的にできるんじゃないか、こういう利点が、やはり私は起きてくるのじゃなかろうかと思う。
 それから欠陥として指摘されておるのは、経営能力が非常に批判されております。しかし今日、やはり日本のこの公社の中でも、こういうことがありますと公社は能率が悪いということになる。国民経済にそんなに大きな影響のないたばこでさえ、専売公社として政府の統制下に置かれているのでしょう。だから公社になると能率的に悪くなってくる、私企業より悪いんだ、こういうことを指摘することは、今日の政府の行なっている公社政策について政府みずから批判していることになると思う。政府みずからが自分の手をかむようなものです。これは能率がいいか悪いかということは、その運営、人事、配置、こういうものが影響するのじゃなかろうかと私は思う。したがって、いま指摘されておるような私企業のほうが能率がいいんだということは、政府としてはもっと慎んで意見を言ってもらわなければならぬ点だと私は思うのです。
 もう一点は、過渡的に電気事業に摩擦が起こってちょっと混乱が起こるのではないか、こういう答弁を私は先般大臣からも聞きました。これはもちろん九分割されたときには整理会社をつくって相当混乱したことを私は知っております。しかし今度は長期にわたって計画的にその九分割された電気事業をもう統一するのです。再分断するのではないのです。分断するとするならば、いろいろ人事問題やあるいは地域的な問題とかその他の問題で混乱が起こってくるでしょう。しかし統一するということは、私はここに指摘されるような過渡的な摩擦というものをそう懸念する必要はないのじゃないかと思うのです。少々は起こるでしょう。現在イタリアでもどんどん国営化しておりますけれども、長期にわたって非常にスムーズに問題が処理されております。したがって、そういうことについても、あまり九分割されたときのあの当時の状態を頭の中に描いて、一社化することについてどうも混乱が起こるのじゃないかというようなことは、これは私はもう懸念する必要はないのじゃないかと思うのです。もちろん九電力会社のほうでは人事問題もあるでしょうし、長い間やってきた企業でありますから、感情的にもすっきりしないものがあるでしょう。相当の抵抗が出てくるでしょう。私は、今日この法律案が出てきた中には、九電力の意図というものもある程度入っていると思う。だからこういうことを考えてみますと、先般大臣の指摘された公社形態とかあるいは一社、社会化の問題について何ら矛盾することなくして、国民の経済に、日常生活に大きな影響のある電力事業というものを国の責任において早急に発展させようとするならば、私は当然そういう方向に英断をふるって新しい法律というものをつくらなければならぬのじゃないかと思う。
 先般私は申し上げましたけれども、池田さんというのは、ことばでは前向きだけれども、前を向いているだけで、あまり前進していないんで、あらゆる政策というものは池田さんの手によって新しい方向というものはほとんど示されておりませんが、混乱を懸念するあまりにそのま足踏み状態だということは、この重要な電気事業についてはどうも私は納得することができない。いま指摘したいわゆる公社化、一社化をする場合の混乱というものについて、もしそうでないというなら、その点についてひとつ反論をお願いいたしたい。

発言情報

speech_id: 104604461X05219640602_014

発言者: 加賀田進

speaker_id: 20805

日付: 1964-06-02

院: 衆議院

会議名: 商工委員会