永田亮一の発言 (地方行政委員会)
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○永田委員 ただいま報告を求められました地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
本小委員会は、地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案につきまして、その住民負担及び地方財政に及ぼす影響の重大なることにかんがみ、去る三月五日設置され、小委員十名が選任せられたのでありますが、三月七日第一回の小委員会を開き、その後十六日まで六回にわたって開会し、委員各位の御精進により、熱心に審査を進めてまいったのであります。
審査は主として懇談的に進めましたが、まず、政府当局より改正案について説明を聴取した後、税目別に政府当局に質疑を行なうとともに、地方税制運営の現状、住民負担の実態、税制調査会の論議の要旨、改正案の経緯及びこの改正案を施行した場合における影響など、広範多岐にわたる論議を行なったのであります。
審査におけるおもな論点を申し上げます。
第一に、住民税について申し上げます。まず、市町村民税所得割の制度改正については、改正による減収見込み額、減税補てん債の額、地方交付税等の自然増収と住民税減税補てんとの関係及び納税義務者の減少状況等について、資料に基づき説明を聴取するとともに、おもに次のような論議が行なわれたのであります。
その一は、市町村民税の所得割の改正についてであります。従来政府当局は、本文方式への統一や標準税率の設定については、市町村民税の負担分任性や税収入の弾力性の喪失などからきわめて困難な面を有し、重大問題を惹起するので消極的であるという考え方のようであったが、今回の改正はどのような考え方に基づくものであるのか。著しい超過課税の団体について、標準税率の一・五倍をこえて課税することができないこととした理由は何であるか。制限税率の設定に伴い、従来税源が乏しいため、行政水準の向上という見地から著しい超過課税を取らざるを得ない市町村についてはいかなる財政措置を講ずるのか。標準税率の設定に伴い、低所得者に対して課税所得の段階区分を細分することができないことになるが、法定される課税所得の段階区分及び税率については、現行の準拠税率そのままとしないで再検討すべきではないかとの意見がありました。
その二は、減収補てんについてであります。減収補てんについては毎年度二〇%ずつ逓減する方式をとるが、この補てん債の逓減に応じ、補てんされない額については地方交付税の基準財政需要額にいかに反映させる方針であるか。減収補てんのための財源措置を三十八年度の不交付団体に適用しないのはいかなる理由に基づくのか。今回の地方交付税法の基準税率の改正に伴い、交付、不交付団体に移動を生ずることとなるが、三十九年度に不交付団体となるものに対する救済策をどうするか。減税に伴う減収を生ずる市町村において均等割を引き上げるおそれはないか。今回の減税は本文方式採用の市町村については、その恩恵はないではないか。また障害者等に対する非課税範囲の拡大に関連して、本文方式における税額控除額等についても引き上げるべきではないかという意見がありました。
その三は、今回の改正に関連する問題についてであります。
道府県民税の税率は、旧に復して累進税率を採用したほうがよいのではないか。法人税割について改正を行なわなかった理由は何か。法人の規模によって均等割に差を設ける必要はないか。給与所得者の負担が過重である現状にかんがみ、給与所得者の優遇措置について検討すべきではないか。所得割の課税標準は、前年の所得について算定しているが、現年所得について算定できないかという意見がありました。
さらに、市町村民税所得割の課税方式に関連して、国民健康保険税の所得割りについては、ただし書き方式を原則とし、本文方式によることも認めるという現行方式を存続する改正が行なわれているが、国民健康保険税ではただし書き方式をとり、市町村民税では本文方式をとることとなる市町村では、課税台帳を二本立てとすることとなり、事務が繁雑になるのではないか、国民健康保険税については、その税負担及び国保財政の現状にかんがみ、早急に改善合理化をはかるべきではないかという意見がありました。
第二に、事業税について申し上げます。
個人事業税の事業主控除について、性格をどのように考えるべきであるのか。引き上げに伴う人員の減少はどのくらいか。二万円引き上げた理由及びその根拠は何であるか。市町村民税所得割の課税最低限度引き上げを根拠の一つにするのは税理論上おかしいのではないかという意見があり、いずれにしても、この程度の事業主控除の引き上げ、あるいは軽減税率の適用範囲の拡大は、中小企業者に対する税負担の軽減をはかるという趣旨に沿わないのではないかという意見がありました。
第三に、不動産取得税について申し上げます。
本税の価格は、固定資産の新評価基準によって算定されることになるが、何らかの負担調整の措置を講ずる必要があるのではないかという意見があり、また、新評価に基づく不動産取得税は、投機的意図を持つ土地に対する牽制、ひいては地価騰貴の抑制の一策とも考えられるが、政府はどのように考えるかという質疑もありました。
第四に、料理飲食等消費税について申し上げます。
今回の外人客に対する非課税措置について、改正の動機の一つに、わが国のホテル代が割り高であるということがあるのか、立案の過程から推察すれば、国際親善的行事であるオリンピック開催に際し、特に一時的な特例を設けようというものであり、期間を限定すべきではないか。キャバレー、料亭等における遊興を伴う飲食の場合、事実上遊興分と飲食分とを区別することがむずかしく、徴税技術上その捕捉が困難であるとともに、遊興行為についても非課税とするにひとしい結果となるおそれが生ずるのではないか。また飲食行為以外の行為についてきびしく課税するとなると、かえって外人客に対し、その分別に疑惑の念を与えるのみならず、外人客を優遇し、好印象を与えるという法改正の趣旨に相反する結果となるのではないか。いずれにしてもオリンピックの機会に来日ずる外人客について特典を認めるとすれば、その期間、対象となる行為及び場所を明確にすべきであるという強い意見がありました。
このほか料理飲食等消費税の税率は、現行の金額区分を場所区分に改正すべきではないかという意見もありました。
第五に、軽油引取税について申し上げます。
税率の引き上げが小売価格に転嫁された場合において、公共料金の抑制と道路整備による受益とがどのような相関関係にあるか。税率の引き上げは必然的に自動車運賃にはね返り、ひいては物価値上がりの一因をなすものではないか。また政府の物価値上げ抑制のための措置、特に公営企業の料金抑制措置に対して逆行することとならないかという意見がありました。
第六に、固定資産税について申し上げます。
まず、その一は、新固定資産評価基準についてでありますが、固定資産評価の目標となる適正な特価とは何か。法律事項でない評価基準の改正により、課税標準が一挙に数倍となることは、租税法定主義のたてまえから不適当ではないか。農地については、農業経営の実態にかんがみ、収益還元方式による評価を基礎とすべきではないか。市町村間、府県間の境界地域について評価の均衡がとれているか、農地にかかる限界収益補正率につき、純収益額の算定に当たり自家労賃、農家利潤、地域間及び一毛作、二毛作の差をどのように考えているか。限界収益補正率を五五%とすると、全国大多数の一町歩以内の農家に不利な結果とならないか。また農家における未利用の畜舎及び耕作放棄農地等の遊休施設について減価措置を講じているか等をただしたのであります。
その二は、次の基準年度までの判定措置についてであります。
農地については昭和三十八年度税額を据え置き、農地以外の土地については、昭和三十八年度税額の二割増しを限度とした理由は何か。採草地については、農業構造改善事業を推進する見地から、農地と同一に取り扱うべきではないか。宅地等については結果として増税となり、評価改定に伴い増税を行なわないとする趣旨に反しないか。またこれらの土地についてはその評価増の状況が区々であり、これを一律に二割増を限度とすると、評価増の倍率が大きいものと少ないものとの間で均衡を失し、税負担の公平の見地から不適当ではないか。評価改定に伴い相続税等の税率の引き下げを行ならべきではないかとの意見がありました。
その三は、次の基準年度における税負担の問題であります。
次の基準年度においてはいかたる課税方法をとるのか。今回と同じように暫定措置を講ずるのか。税率の引き上げないし課税標準の特例等の恒久的調整措置を講ずるのか。この場合固定資産税の性格について財産課税と見るのか、収益課税と見るのか。評価の統一と資産間、地域間、用途別における担税力の差をどう考えるか。特に農地については特例を設けるべきではないか。いずれにせよ、今回の評価改定に伴い、新評価額が四月一日から縦覧に供せられることになるが、この三年間の暫定措置の期間は一応よいとしても、その後は現行地方税法上新評価額をもって直ちに課税できることになっており、国民は非常に不安の念を抱いているので、政府はこれら国民の不安を一掃するため、早急に固定資産税課税の明確な方針を示すべきだとする意見が、圧倒的でありました。
その四は、課税標準の特例についてであります。
住宅建設促進のための固定資産税の軽減については、一般新築住宅と中高層耐火新築住宅の間に、その適用に一年の差がある根拠は何か。また中高層耐火新築住宅について、三、四階建てと五階建て以上の間に軽減措置適用期間に差を設けた理由は何か。このような軽減措置により現在でも大量の中高層建築、たとえば公団住宅等が新設されたとき、その所在市町村は、収入を上回って増加する財政需要に苦慮しているが、その対策を講ずべきであるとの意見がありました。
このほか大規模償却資産についての道府県課税は廃止すべきではないか。かりに廃止しないとしても市町村行政との関連から、大規模償却資産の種類により区別すべきではないかとの意見がありました。
なお、固定資産税と関連し、都市計画税においては現在土地家屋のみを課税対象としているが、受益の状況を考え、この際償却資産もその対象に含めるべきであるとする意見もありました。
第七に、電気ガス税について申し上げます。
電気ガス税は伸長性及び普遍性を備える税として、市町村の有力な独立税源であるにかかわらず、三十七年度より毎年度税率は一%ずつ引き下げられており、市町村に不安の感を与えているが、本税の地方税収に占める地位の重要性や地方財政の現状にかんがみ、税率の引き下げはもはや限界に達しているのではないか。政府は本税のあるべき姿をどのように考えているのか。最近の生活水準の向上等電気、ガス使用の実態から見て、免税点をさらに引き上げるべきではないか。また本税は電気又はガスの消費を通じて使用者に担税力を見出し、これに着目して課する消費税であるとされているが、その根拠はどこにあるのか。家計支出のらち電気ガス代の増加割合と、所得の増加に伴う消費支出の増加割合とは、どのような関係にあるのかという意見があり、また産業用電気ガスに対する課税について、産業用及び家庭用の電気使用量の割合、非課税措置による減収額等についてただした後、重要基幹産業あるいは新規重要産業について、恒久的または期限つきの非課税措置を講じているが、産業間に税負担の不均衡が生じているのではないか。非課税品目について極力整理合理化すべきではないか。産業用及び家庭用に対する非課税額を対比してみた場合、あまりにも大企業を優遇し過ぎているのではないかという意見がありました。このほか都市ガスとの均衡上、プロパンガスについての課税をいかように考えているか。揮発油税、軽油引取税との均衡から、自動車で使用するプロパンガスについては課税すべきではないかといろ意見もありました。
以上のほかにも、各税目にわたって有意義な論議がかわされたのでありますが、時間の関係もありますので、以上にとどめます。
これらの論議に対して政府当局は、政府原案の趣旨とするところを、税制調査会の答申等をも援用して説明し、今日の場合住民負担の均衡と地方財政の現状に照らし、もとより十分とは言えないけれども、この程度の改正にとどめざるを得ない実情等につき詳細なる説明を行なったのであります。
本小委員会としましては、両案につきまして結論づけることは適当でないということに意見の一致を見ましたが、(一)市町民税の減収補てん債の逓減に応じ、補てんされない額については、地方交付税の基準財政需要額にいかに反映させるか。(二)三年後における固定資産税の税負担の調整はどのような方針で行なうのか。(三)電気ガス税について基本的にどのような方針をもって臨むのかの問題、その他小委員会審議における重要な問題につきましては、なお本委員会において政府の所信をただすこととして小委員会の審査を終了したのであります。
以上、御報告申し上げます。