田中角榮の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(田中角榮君) 予算に関するお答えの前に、利子平衡税問題に対してお答え申し上げます。
 いま外務大臣がお答えを申し上げましたとおり、利子平衡税に対しては、これが法案の審議経過を見守っておるわけでありますが、これが日本の経済及び国際収支に及ぼす影響に対しても十分の配慮をいたしております。しかも、利子平衡税の問題については、来たるべき日米経済閣僚会議の議題ともなっておりますので、十分日本の真意を伝えて、これが対日差別撤廃を求めるつもりであります。
 利子平衡税後の問題としましては、御承知のとおり、世銀から道路公団に七千五百万ドルの借款をいたしましたし、なお三十九年度分として一億ドルの借款を了解いたしておるわけであります。なお、英貨債は、その後五百万ポンドの発行が終わり、十二月には民間ドル建て債二千万ドルの発行もヨーロッパにおいて行なわれ、本年一月には、御承知のとおり、一億ドイツマルク債が発行せられておりますので、逐次他の市場においても外債の発行が行なわれておるわけであります。
 それから、六、七点にわたっての御質問がありましたのでお答えをいたします。
 その第一点は、国際収支の改善と物価の安定をはかるという予算か、こういう予算に対する基本的な御質問でございますが、御承知のとおり、昭和三十六年、七、八年の予算を見ますと、対前年度の比較は、三十六年が二四%余、三十七年が二四・四%、三十八年度が一七・四%、今年度の予算が対前年度比一四・二%であります。このような率から考えましても、一般会計が昨年の三月三十一日まで執行されてきた予算に一〇%も切り込んでおるのでありますから、現在の状態から考えて健全性を貫いておるということはこの数字だけでも明らかであります。(拍手)
 それから、国民所得に対する一般会計の規模を見ますと、三十八年度は一七・一%であったものが一六・四%になっておるわけであります。なお、財政投融資につきましても、御承知のとおり今年度は対前年比二〇・八%の増でありますが、昨年は二四%余の増であったという事実に徴しても明らかなことであると考えるわけであります。しかも、一般会計及び財政投融資、金融政策等の適切な運用と相まちまして、国際収支の改善、消費者物価等の安定に資してまいる予算にしたいと考えておるわけであります。
 それから第二点の問題は、財源をすべて自然増収に求めたのは妥当なのかという御質問でございますが、一般会計予算の編成にあたりましては、御承知のとおり、財源としましては、従来とも、租税及び印紙収入のほか、いわゆる税外収入と前年度剰余金をもって充てておるのでありまして、この見積もりも過大ではありませんし、しかも、これ以外に財源を求めるとすれば、確かに健全、均衡性は破れるわけでありまして、この経常収入をもって経常支出をまかなっておるという事実は、御承知のとおりまさに健全性を貫いておるのでありまして、当然かくあるべきだと考えておるのであります。
 それから昭和三十九年度の税の問題でありますが、六千八百二十六億円の自然増収を見込んでおるということでございますけれども、御承知のとおり、三十九年度の予算は、先ほど申し上げましたように、経常収入以外に財源を求めておらないという事実は、十分御承知を願いたいと思います。
 それから第三点は、二千億減税が貫かれておるか、それから現に昭和三十八年度の予算については二一・五%の負担率が、三十九年度は二・五%というお話でございましたけれども、現在推定をいたしますと、三十九年度は二二・二%程度に推算されるわけであります。しかも、二千億減税は平年度でありまして、第一には所得税の減税、第二には開放経済体制に移行するのでありますから、これに対する企業の体質改善その他の企業減税、第三は住民税等を中心とした地方税の減税、合わせて平年度二千百八十億の減税を考えておりますので、二千億減税の選挙公約は十分果たされたものと考えておるのであります。
 それから来年度の税負担率の問題でありますが、現行税法によりますと、二二・八%にもなるというふうに算定をせられるわけでありまして、この問題に対して大幅減税を行ないましたために、二二・二%程度まで圧縮しておるわけであります。この率は、御承知のとおりただ数字だけでいわれるものではなく、国民一人当たりの所得水準、御承知の財政支出を通じての国民に還元される公共サービスとの関連など、広範囲に考えてきめるべき問題でありまして、これが三十八年度よりも税負担率が高くなっておるということは当たらないと考えておるのであります。
 それからもう一つ、地方財源補てんのために実質的な赤字公債を発行したというお話でごさいますが、この問題は重要な問題でありますので、政府の考えをこの機会に明らかにいたしておきたいと思います。
 御承知のごとく、今回の市町村民税の減税は、従来、ただし書き方式ないし超過税率によっていましたものを、本文方式、標準税率に改めようとする減税であることは御承知のとおりであります。これらの市町村は、地方交付税交付金によりまして所要の財源が付与されていたにもかかわらず、超過課税を行なっていたものでありますから、その他の市町村との均衡を考えれば、理論的には今回の減税のために、さらに補給金等の財源を与える必要はないものと考えておるのであります。しかし、一方におきましては、今回の減税の規模は画期的なものであり、これが当該市町村に与える影響も非常に大きいので、当面の財政運営に与える激変を緩和するための措置をとることが必要であると考えまして、今回のような画期的減税が現在の住民のみの一時的負担によって解決せられるべきものではないという考え方で、将来数年にわたって分担をさせるほうがより実際的だという考え方に立ちまして、減収額を補てんするための地方債の発行をすることにいたしたわけであります。したがいまして、補給金等の財源付与を惜しんだ結果、これにかわるべきものとしての地方債を発行したものではないのであります。なお、地方公共団体の場合には、御承知のとおり、各種の目的のために起債を行なうことが、現在でも認められておるのであります。しかもこの起債は、通常の地方団体における財源の一部となっておるのであります。それならなぜ元利補給をしたかという問題であります。これは、この税制改正によって減収が起こる市町村が非常に恵まれない地方であり、僻地で、一般の税率ではどうにもならないという特殊な事情にあるのでありますから、これらの地域に対して、政府がより高い立場で財源を一部持ってやろうという考えに立って行なったわけでありまして、赤字公債などの類のものではないことは、過去の例に徴しても明らかなことであります。(拍手)これは非常に大きな問題となりますので、特に率直な考え方を申し述べたわけであります。過去において北海道の固定資産税に対しても、同種のものが行なわれておるわけでありますし、それから激甚災に対しても、皆さんがかかる措置を要求せられてそういう措置を行なっておるのでありますから、赤字公債に類するものではないということだけはひとつ十分御承知願いたいと思います。(拍手)
 それから、来年度以降に問題の多い農地報償とか、それから在外資産の補償とか、そういう問題に対して、なぜ約束をしたかという問題でありますが、御承知のとおり、農地報償の問題に対しては、いま内閣の調査会で検討中でありますし、しかも、在外資産の問題に対しては、皆さんもいろいろお考えになっておられるように議論の多いところであり、正規の機関で調査をする必要があるという国民世論を背景にしてかかる措置に出たものでありまして、これによって歳出を約束したものではありません。
 それから自然増収を過大に見積もっておるのではないか、そして経済成長率、物価等を上げなければ、かかる税収は期待できないというお考えのようでありますが、第一次、第二次補正で皆さんに申し上げましたように、本年度すぐに二千億の増収が見込まれるという現在でありますので、三十八年度の決算見込み額を基準として三十九年度税収見積もりをやりますと、約四千八百億の増収にしかならないわけでありまして。この見積もりが過大であるということは絶対にないと考えます。
 それからもう一つ申し上げますと、この税収は、法人税等非常に大きなものに対して考えていただけばわかるのですが、時期がずれますので、昭和三十九年度の税収は、三十八年の下期及び三十九年の上期のものが税収としてくるわけでありますので、そういうことで勘定していただくと、四千八百億が多いなどというお考えにはならぬと思います。
 御質問でありますからもう一つだけ申し上げます。満配予算を組んで補正予算は一体どうするのかということでございますが、現在の段階において補正予算云々を申し上げることはできないと思います。しかし、大きな災害等が起こった場合どうするかという問題は当然申し上げなければならぬと思いますから、それらの問題につきましては、二百億の予備費を百億プラスしまして三百億円の予備費を計上いたしておりますので、これをもって対処してまいりたい。
 以上、総じて申し上げますと、完全なる健全均衡予算であるということをどうぞひとつ御了承いただきたいと思います。(拍手)
    —————————————

発言情報

speech_id: 104605254X00419640123_006

発言者: 田中角榮

speaker_id: 242

日付: 1964-01-23

院: 衆議院

会議名: 本会議