愛知揆一の発言 (科学技術振興対策特別委員会)
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○国務大臣(愛知揆一君) 米国原子力潜水艦の寄港問題については、わが国の原子力利用に関する安全問題を取り扱っている政府の機関として、原子力委員会は、国民を放射能の危険から守るという立場から、主としてその安全性の問題について検討を行なってまいった次第でございます。
この検討を行なうにあたりまして、米国原子力潜水艦が国際法上軍艦としての特殊な地位を有しますために、軍事上の機密に属する技術的資料の提供を受けることが不可能でありますことは、国際慣行上やむを得ないところであると存ずる次第でございます。
このような事情から、原子力委員会は、設計、運転、操作等の詳細な技術的資料に基づいて行なう原子炉安全専門審査会による審査等の安全性確認の方式ではなく、国民の安全を確保するために必要な米国の保証その他の措置及びわが国がとるべき措置について慎重に検討を行なってまいったのでございます。
安全性の検討についての以上の考え方から、原子力委員会は、昨年以来外務省を通じて米国政府と交渉を重ねてまいりましたが、その努力の結果、
(一) 原子炉設計の安全性、乗組員の訓練、操作手続は、米国の原子力委員会及び原子炉安全諮問委員会の審査を受けているものでありますこと、
(二) わが国の港における運航に関連してとられる安全上のすべての予防措置及び手続は、米国の港におけると同様に厳格に守ること。
につきまして米国政府の保証をとりつけますとともに、
(三) 寄港期間中米国原子力潜水艦の乗り組み員は、潜水艦上の放射線管理及び同潜水艦の近傍における環境放射能のモニタリングについて責任を負うこと、
(四) 潜水艦の排出水の放射性物質の濃度は、わが国の法令及び基準並びに国際基準に適合していること、
(五) 使用済み汚染除去剤は、港内または陸地近辺では決して放出せず、また、既知の漁区の近傍では、いかなるところでも放出しないこと、
(六) 潜水艦の燃料交換及び動力装置の修理は、わが国またはその領海内においては行なわないこと、
というような、これら米国政府の保証及び約束を取りつけましたことは、当時の声明及び覚書の中に取り入れられておるとおりでございます。
原子力委員会といたしましては、米国原子力潜水艦のこれまでの運航の実績をも考慮しつつ、以上の交渉経過から得られました米国政府の保証と約束を総合的に検討して、それが事実そのとおりに実行されまするならば、国民の安全上支障はないものとの結論に達しましたので、去る八月二十六日、全会一致をもってこの見解を決定するとともに、直ちに委員長から総理大臣に口頭で報告を行なった次第でございます。
なお、科学技術庁といたしましては、右の原子力委員会の見解に述べられております意見に基づきまして、原子力潜水艦の入港の前後及び停泊中における放射能の調査並びに近海における放射能調査について、関係各省庁の行なう調査を総合的に推進いたしておるという実情でございます。
以上、御報告を申し上げます。