藤野繁雄の発言 (災害対策特別委員会)

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○藤野繁雄君 今回の新潟地震による被害の状況の調査について御報告申し上げます。
 今回の調査班は、七月二十四日に出発し、同二十八日まで、新潟、山形及び秋田県下の被災地における被害状況及び復旧状況をでき得る限りつぶさに調査するとともに、罹災者に対してお見舞いと激励のことばを述べ、現地における切実な要望を聴取してまいりました。なお、新潟県におきましては、七月上旬から中旬にかけての豪雨による被害を受けました栃尾市及び見附市の被害状況をあわせて調査いたしました。
 まず、今回の地震について申し上げます。
 地震の発生時刻は、六月十六日十三時ごろで、震源地は新潟県村上市の西方約五十キロメートルの粟島付近、地震の規模はマグニチュード七・七という大規模なもので、関東大地震に匹敵するものであります。また、地震に伴う津波は、新潟気象台の報告によれば、第一波が十三時三十五分に、その後おおむね三十分ごとに第十二波まであり、震源地に近い岩船港検潮計によれば、最高三メートル六十四センチを記録しておるのであります。
 特に被害の著しい新潟市におきましては、地震発生と同時に、家屋の倒壊、沈下及び転倒、橋梁の落下、道路の欠損、地下水の噴出に伴う土砂の流出、津波による浸水、昭和石油新潟製油所のタンク爆発及び火災等が発生したのでありますが、人的被害は死亡者二十六名、行くえ不明一名、負傷者四百十三名で、地震の規模に比してきわめて僅少であったこと、並びに昭和石油のタンク爆発に伴う類焼以外には火災の発生が見られなかったことは、不幸中の幸いと存ずる次第であります。
 震災後約四十日経過いたしました被災地の状況はすでに一部を除き応急復旧はほとんど完了し、県市町村を中心とする地元住民の復興に対する力強い意欲をうかがいとることができましたが、今後の復旧並びに復興については、各種の問題が残されており、特に被害の大きい新潟市等に対しては、特別な援助措置を講ずる必要があると思われました。
 各地の被害状況について簡単に申し上げますと、新潟県では、全壊または全焼二千四百五十九棟、半壊または半焼、七千百九十棟、一部破損二万九千六百八十六棟、その他津波による浸水家屋を加えますと、罹災世帯の合計は約二十六万世帯に及ぶものでありまして、被害総額は、国の施設関係を除きまして、二千五百二億円というばく大なものであります。この内訳は、一般被害が約千九百十七億円、市町村関係施設約百十億円、県施設関係約三百九億円、公社施設関係約百六十六億円となっております。
 次に、山形県におきましては、住宅の全壊四百九十三戸、半壊千百八十九戸、その他一部破損等による罹災世帯の合計は約四万四千世帯となっており、被害総額は約二百四億円、そのうちおもなるものは、住宅関係百四十一億円、農林関係十六億円、商工鉱業関係十六億円、鉄道関係十二億円となっております。
 秋田県におきましては、震源地から遠いだけあって、前に述べました両県の被害に比べますと軽微ではございますが、全壊十三戸、半壊百四十七戸、被害総額は十八億円、このうちおもなるものは、住宅等を含む厚生関係四億五千万円、商工鉱業関係三億円、鉄道関係六億円となっております。
 なお、新潟県におきましては、地震後、七月上旬から中旬にかけて襲来いたしました豪雨によって、刈谷田川外二河川がはんらんいたしましたが、このための被害額は約百八億円に達しております。このたびの洪水によって流失または損傷した橋梁百九カ所、欠損した道路三百九十四カ所に及び、特に栃尾市栃堀部落付近では、河川の流域が変わって、大小の岩石が河川敷の中にごろごろころがっており、まことにむざんな光景でございまして、このたびの洪水がいかに激しかったかということを物語っておりました。栃尾市の地元の話では、地震による堤防の亀裂が堤防決壊の原因ではないかと申しておりますが、この地区のみならず、地震並びに豪雨等による複合的の災害が各地に見られ、これらに対する措置については、特に検討すべきものがあると存ずるのであります。
 各県及び関係市町村は、災害後直ちに災害対策本部を設置し、自衛隊の出動を要請するなど、災害の応急復旧につとめたのでありますが、その復旧状況並びに地元からの要望などについて、項目別に申し上げますと、次のとおりであります。
 まず第一に、住宅関係について申し上げます。
 新潟駅前や信濃川沿岸の傾斜したり沈下した鉄筋コンクリートづくりの建物は、一部を除いてそのまま使用に供されており、今後のすみやかな専門的調査検討を待っている状況でありますが、木造民家は徐々に補修、改造にかかっておりました。罹災者のうち生活困窮者を収容する応急仮設住宅は、新潟市外十カ市町村に四百五十三戸の建設が完了し、さらに新潟市におきましては百五十戸の追加が見込まれております。
 また、山形、秋田県下では、被災家屋の取り片づけが終わり、すでに本建築に取りかかっておるものが目立ち、新潟県下に比して災害が小規模だっただけに、復旧の立ち上がりも早いように見受けられました。
 住宅金融公庫の災害復興住宅の建設及び補修資金の融資に関しましては、すでに災害認定が終わりまして、借り入れ申し込み者はおおむね融資を受けられることになっておりましたが、融資金額の限度が少な過ぎること、貸し付け利息が高いこと、償還能力の少ない低所得者に対する特別な措置を講ずる必要があるなど、地元各地で強い要望がございました。民生安定のためにも、罹災者が一日も早く立ち直って日常の市民生活に復することができるよう、すみやかに援助措置を講ずる必要があると存じます。
 また、水道、ガスの被害の最も著しい新潟市におきましては、仮設水道を引き、共同水栓によって上水の供給をはかっておりますが、まだタンク車によって給水されている地区も残っており、市民の間では早急の復旧を望む声が聞かれました。また、ガスは、配管の被害が予想外に大きく、復旧は遅延している次第であります。
 第二に、農林関係について申し上げます。
 新潟、村上、酒田などの各市及びその周辺の市町村では、農地の陥没及び隆起、地下水の噴出による土砂の流出、水路の欠損等が見られました。水路等の農業用施設の応急復旧は一応完了はいたしておりますが、まだ水のかからない水田も一部残っておりますので、農作物の被害は、収穫時期にならなければ明確に把握できないのではないかと思われます。農地及び農業用施設の復旧に対する地元負担軽減のために、必要な財政措置を講ずるとともに、被害農家に対する自作農維持資金の増額等についても、すみやかに必要な措置を講ずべきものと存じます。
 第三に、文教関係について申し上げます。
 今回の地震では、新潟市内はもちろん、鶴岡市西郷小学校、仁賀保町院内小学校等、比較的中小学校関係の被害が多いように見受けられました。これらの復旧については、地盤の調査を詳細に実施した上で、すみやかに復旧措置を講ずるとともだ、この機会に、学校建築費の単価、補助対象等について、十分検討を要するものと存じます。
 第四に、地方財政に関して申し上げます。
 今回被害を受けた県及び関係市町村は、公共施設の復旧費その他ばく大な資金を要するので、地方債、特別交付税の配分及び交付税の繰り上げ交付等、財政措置に特段の配慮を願いたい旨、強い要望がありました。そのためには、激甚災害特別援助法に基づく激甚災害の指定は、各市町村とも強く望むところでありますが、たとえば上下水道の施設の被害に対する援助など、当該法律の適用になってないものについても、特別の措置を講ずる必要があると思います。
 最後に、被災地各地を調査いたしまして強く感じましたことは、今回の災害については、公共施設関係はもちろん、民間の被害が著しく大きいことにかんがみ、特に民間に対しては、激甚災害特別援助法の適用するワクを拡大するほか、特別の援助措置を講じて、一日も早く民生の安定をはかる必要があることを痛感いたしました。
 また、今回の地震では、地盤のきわめて悪いところに被害が集中いたしております。山形県酒田市においては、明治二十七年の酒田地震により被害を受けた地区が、今回も地盤の陥没、地割れ等によって、住宅等が大きな被害を受けております。このような震害を防除するためには、地盤の調査なり建築の規則等、何らかの措置がきわめて必要なことが痛感された次第であります。
 以上、地元の涙ぐましい復旧活動に対しまして、政府の一そうの援助を希望いたしまして報告を終わります。

発言情報

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発言者: 藤野繁雄

speaker_id: 25213

日付: 1964-08-03

院: 参議院

会議名: 災害対策特別委員会