村山道雄の発言 (予算委員会)

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○村山道雄君 第二分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
 第二分科会の担当は、総理府のうち防衛庁、経済企画庁、科学技術庁並びに外務省、大蔵省及び通産省の各所管に属する昭和三十九年度予算でございます。
 本分科会は、三月二十五日、二十六日の両日及び本日の午前にわたって、それぞれ所管の大臣の説明を求め、慎重に審議を行なったのであります。以下その概要について申し上げます。
 まず防衛庁予算に関し、ドル防衛政策によりアメリカの無償援助は削減されると思われる。第二次防衛計画で予定していた額はどれくらいか、手直しするのか、防衛関係費は三十九年度二千七百億円とされているが、そのほかに国庫債務負担行為や継続費があり、実質的にはもっと大きくなっているはずだが、その総額は幾らになっているか。また四十年度以降の負担になるのはどれだけか。無償供与の減少により器材関係の支出が増加すると思うが、それに伴い継続費、国庫負担行為等も急激に増加するのではないか。また従来無償供与された兵器の更新期が来ているが、その総額はどのくらいになるか。このように防衛費の増加要因が重なっているが、予算に占める防衛費の割合はどのように見通しているか、などの質疑がありました。これに対し防衛庁より、第二次防衛計画ではアメリカの無償供与は当初九百億円と試算したが、その後単価の値下がり等により六百三十億円となっている。このうち、六二年と六三年で二百三十億円承認され、四百億円は六四年以降の折衝に残されているが、二次防の変更はしていない。三十九年度までの継続費と四十年度以降の支出となる分はそのうち百五十四億円、五百六十五億円で、合わせて七百十九億円である。防衛費は人件費が四〇%、器材費等が三ないし五%、消耗品等が二五ないし六%となっているが、器材費がふえるにつれて国庫債務負担や継続費がむやみに増加するとは考えない。事実国庫債務負担行為などは三十九年度はむしろ減少している。従来供与されていた兵器の更新は耐用年数がそれぞれ異なっているので、一度に行なうわけでなく、新小銃、六一式戦車等、一部すでに芽を出しているものもあり、予算の範囲で行なっているのである。防衛費の伸びは、人件費のベースアップ分は別にして年間百九十五億円ないし二百二十五億円と二次防では予定しており、大体それでできる旨の答弁がございました。
 次に大蔵省所管に関し、開放経済に入ると、貿易・為替の面から調整ができず、金融政策の重要性は一そう増大するが、今回の日銀の公定歩合の引き上げに際しても手ぎわが悪く、時期は一足おそかった。大臣の引き上げ反対の新聞記者発表等により日銀が振り回されている感じで、中央銀行の自主性が侵されている。戦時中の立法である日銀法の改正の急務については本委員会でも山際総裁より言及された点であるが、日銀の中立性を守る問題は最も中心ではないかとの質疑がありました。これに対し大蔵大臣より、十二月に準備率を引き上げ、ことしに入って窓口規制を行なうなど適宜弾力的に行なわれている金融政策の一環として引き上げられたもので、開放経済に向かうわが国の体制金融面でも整えようとするものと了承しており、日銀との間に意見の違いはない。日銀法の改正は答申後三年たっているし、できるだけ早く出したいが、重要問題であり、各界の意見も出つつあるので、十分考えたい。日銀の中立性は守らねばならぬが、現在それが侵されているとは考えないし、また金融の最終責任は大蔵大臣にあると考える旨の答弁がありました。
 外務省所管に関しましては、当面の日韓交渉に質疑が集中いたしました。すなわち、在日韓国人の法的地位の問題は、国籍の選択を迫り、民族の統一を念願する人たちに政治的、社会的な禍根を残すのではないか。一月十日の朴大統領の年頭教書によれば、軍事力強化は最優先すると言っている。経済協力は結局軍備に食われてしまうのではないか。さらに、ここ二、三日来の韓国の学生デモ等の動き、全野党の一致した反対等の背景をどのように理解しているか、等々であります。これに対し外務大臣により、法的地位の問題はまだ最終的に煮詰まっていないが、一般の外国人と違った立場を持っていることに関し永住権という実体を持った地位を認めようとしている。しかし、このことが政治的社会的禍根を残さぬよう慎重に行なう考えである。経済協力は大筋について妥結しているが、細目をどのようにきめるかは今後においてきめることである。念願としてはその内容が経済の基盤に役立つ生産財となるよう期待している。また、韓国内で日韓交渉についていろいろな評価があることはあり得ることである。真相が何であるかはまだ十分解明していないが、反対運動の見通しは韓国政府が処理する問題と考える旨の答弁がありました。
 次に、通商産業省所管につきましては、大企業の設備投資は一巡し近代化したが、中小企業、下請け企業の近代化は不十分である。現在玩具、造花等の市場が低賃金の東南アジア、香港等に食われている現状からも輸出品の高度化が必要である。このような観点から見ると、国内にも延べ払いをする必要がある。現在は申請五〇%しか認められていないようであるが、大蔵省から資金的に押えられているのかとの質疑がありました。
 これに対し通産大臣より、中小企業の近代化が大企業に比べておくれているのは事実であり、今回の引き締めも影響があるので、金融の面で考慮する必要があり、事態に応じて協力する体制である。国内での延べ払いは重電機は三十七年度分から、一般機械は昨年から実施し、三十九年は重電用五十三億円、一般機械四十億円を予定している。一般機械は個々の機種で審査するので、おくれているが、大蔵省と意見が違っているためではなく、むしろうまくいっている旨の答弁がありました。
 最後に経済企画庁所管に関し、政府は賃金の問題について企画庁長官から意見発表させると伝えられている。春闘が行なわれている段階で労使間に介入することは間違いである。賃金と国際収支、物価との間に科学的解明がなされていないままに賃金について発言することは、経営者の過当競争、所得倍増計画の失敗の責任を労働者に転嫁するものであり、また、賃金の官僚統制をもたらすものではないかとの質疑がありました。
 これに対し経済企画庁長官より、経済運営全体について責任がある企画庁として、生産や、輸入等について発言するのと同じく、重要要素である賃金についても意見を持つのは当然である。賃金が上昇し、国民生活が豊かになることは望ましいことであるが、三十九年度の経済はゆっくり上昇してほしいという観点のものである。発言には拘束力はないし、労使間に介入する考えは毛頭ない。官僚統制など、現憲法のもとにおいて、また、現状においてあり得ないことである。時期についての問題は、春のベース・アップがその年の水準を決定するので、いまでなければ意味がないのであるが、全体としてむずかしい問題なので慎重に考えてみたい旨の答弁がありました。
 このほかにも各所管事項にわたって熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 なお本分科会の大蔵省所管の審査にあたり、大蔵大臣が衆議院の大蔵委員会に出席していたため、予定を変更し翌日に審査を延期せざるを得なくなり、遺憾な点を生じたのであります。これについて戸叶委員より、予算の審議にあたっては、国務大臣は優先して出席すべきたてまえであり、今後再びかかる事態を惹起せざるよう委員長及び理事において善処されたいとの要望がありました。
 以上報告申し上げます。(拍手)

発言情報

speech_id: 104615261X01919640327_005

発言者: 村山道雄

speaker_id: 17986

日付: 1964-03-27

院: 参議院

会議名: 予算委員会