田中啓一の発言 (予算委員会)

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○田中啓一君 第三分科会における審議の経過を御報告申し上げます。
 第三分科会の担当は、昭和三十九年度予算三案中、農林、運輸、郵政及び建設の四省所管に属する予算でありまして、二十五、二十六日の両日にわたり、関係各大臣から説明を聴取した後、慎重に審議を行ないました。以下、質疑の概要について御報告を申し上げます。
 まず、農林省関係につきましては、畜産物価格安定法は施行以来の経過を振り返ると、その目的を十分に果たしていないと思うが、その原因として、過去の農家庭先価格を元にして安定基準価格をきめる現在の価格決定方式は、生産農民の実態を反映しない不合理なものであり、また、法の解釈、運用を誤るものではないか。農業近代化を促進する上で、その拠点となるべき自立経営農家を育成するためには、農家の経営面積の拡大がぜひとも必要だが、農地信託制度など農地の流動化を促進する施策は、期待どおりの効果をあげていない。政府は、現在及び将来どのような対策を持っているか。さらに、国民所得倍増計画と関連して、所得倍増計画において耕地二・五ヘクタールの自立経営農家百万戸創設を目標に掲げたが、倍増計画の目標は、農家戸数、農業経営面積について、根本的な修正を必要とするのではないか。また、日本飼料協会が設立されてから急速にアメリカ産のトウモロコシ、コウリャン等の輸入が増加しているが、この日本飼料協会の内容及びアメリカ産飼料の輸入によって、飼料需給安定法の存在意義が失われ、日本農業は、アメリカ飼料の独占的市場になるのではないか等の質疑がありましたが、これに対しましては、赤城農林大臣並びに政府委員から、現在の畜産物価格の決定方式は必ずしも不合理とは考えないが、なお改善すべき点もあるから、生産物価格審議会に答申を求めるつもりである。また、一戸当たり農業経営面積の拡大については、その一つの方法として、土地改良などの農業基盤整備をしていく過程で、換地等により、農地の集団化を進めることや、土地の賃貸借により、農地の流動化をはかる方法を考えているが、今後真剣に検討する。また、所得倍増計画の農業目標については、特に専業農家を中心として、目標をどこに置くか、その進度はどの程度にするか等再検討したい。アメリカ飼料の輸入急増については、自由化に伴う商業活動の結果として輸入されているのであり、日本飼料協会とは直接関係はないと思うとの答弁がありました。
 次に、運輸省関係について申し上げます。
 政府は、日本国有鉄道について、その公共的な性格と企業的性格のいずれに重点を置くのか、もし公共性に重点を置くなら、もっと一般会計から資金の繰り入れをはかることが必要な段階に来ているのではないか、また、運賃値上げを近い将来行なうつもりか、政府は公共料金を一年ストップするとの態度を打ち出したが、一方では、ガソリン税、軽油引取税を引き上げようとしている。この間にあって経営困難に追い込まれている中小のバス会社にどのような具体的救済策を実施しようとしているのか、等々の質疑がありましたが、これに対しましては、綾部運輸大臣並びに政府委員から、国鉄については、公共性と企業性という二つの性格は両者相反するものではなく、企業性すなわち高い能率の実現は公共性を実現する手段と見るべきである。運賃値上げについては、現在の物価騰貴、人件費の上昇という経済情勢の中で、しかも独立採算制をたてまえとする国鉄のみ値上げを恒久的にストップするのは困難である。しかし、この値上げの率並びに時期については十分の考慮を払う考えである。また、公共料金のストップ下にある中小バス会社においては、経営悪化が著しいものにはバス料金の値上げを認可しており、今後とも、どうしてもやっていけないバス会社には値上げを認める、等の答弁がありました。
 この他、港湾労働の近代化と労働条件の改善、タクシー運転手の給与状況、最近における交通事故の発生状況と損害賠償保険制度の関係、オリンピックを迎えてのガイド対策等々についての質疑がありました。
 次に、建設省関係について申し上げます。
 最近、団地を造成するにあたって、上下水道、学校、病院といった関連する事業が並行して行なわれず、このため住民が困難し、また、地方公共団体にその負担がしわ寄せされ、地方財政を窮地に追い込んでいるが、この点政府はどう考えるか、また、民間宅地の造成についても付帯設備を充足しなければ認めないとの措置はとれないか。また、新道路五カ年計画は四兆一千億という巨額な予算を計上しているが、今後経済の成長テンポが落ち、自然増収が鈍化していった場合、所要財源の調達難におちいりはしないか、その場合、道路公債の発行を考えているのか、等々の質疑がありましたが、これに対して政府側から、交通の確保をはじめ、関連事業の整備なくして団地の建設はあり得ない、今後団地の建設に際しては、単に不足住宅を補てんするというだけでなく、交通、教育、環境衛生施設等十分整備されたものを建設することに努める。民間の宅地の造成については、近く法改正を行なって、宅地造成を認可制にすべく各省と連絡をとり、現在準備中である。新道路五カ年計画の予算については、中小企業、農業等、すべて道路整備のおくれに原因しているのだから、今後とも予算の最重点費目として確保につとめるとともに、公債発行についてもその時期が来ればやるべきであろうと考えておるとの答弁がありました。
 この他、建設業労働者の災害多発の原因と、これを深く関係する賃金用の安定、住宅不足の状況と七カ年計画の進行状況、政府は市街地における墓地を公園、宅地に切りかえる考えはないか、等の質疑と、これに対する答弁がありました。
 次に、郵政省関係について申し上げます。
 三十九年度予算業務費において政府は、昇給原資として三・五%のアップしか計上していないが、仲裁裁定が出て、これを上回る額にきまった場合、どのように措置するのか、含み財源が存在するのかどうか。在日米軍の専用施設使用料金の未回収額は六十億にのぼると聞くが、いかなる事情があるのか。さらに日韓会談に関連して対日請求権として集積された韓国人の持っていた郵便貯金、簡易保険積み立て金及び海底ケーブル、電波等については、日韓会談の中で交渉するのか。女子電話交換手の勤務においていまだに二十四時間ぶっ通し勤務が残存しているが、政府はこれをそのままにしておいてよいと思うか。その改善の対策、今年度の予算措置ではどうなっているか。低賃金のため要員を確保できない日本郵便逓送株式会社に対し、特段の援助措置をとるつもりはないかとの質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、三十九年度郵政業務収入は過去の実績等から推して予算上の数字を下回ることはないと考えるが、どのくらい上回るかは不明であり、昨年の仲裁裁定においては、予備費の取りくずし、物件費、建設費の節約でやりくりをしたが、今年度も何とかやりくりしたい。米軍専用電話の未収金については、協定書についての解釈について、日米両国間で相違があり、今後の交渉により解決したい。また、戦前朝鮮において韓国人の持っていた郵便貯金、簡保積み立て金、海底ケーブルの所有権等については、日韓会談の中で解決をはかっていくが、電波の問題については、技術上の問題であり、日韓会談とは別個に解決することもあり得る。女子交換手の深夜勤務は漸次電話の自動化に伴って減少してきており、三十九年度予算においては、代替人員、金額とも増加しているが、さらに前向きの方向で努力したい。郵便逓送株式会社の経営上の困難については、基本的には運輸省の認可料金を引き上げねば解決しない問題であるが、なお郵政省として援助し得る点については配慮したいとの答弁がありました。
 このほか、各省所管の予算につきまして、あらゆる角度から熱心な質疑が行なわれたのでありますが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 以上をもちまして、第三分科会担当の予算全部につきまして審査を終了いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)

発言情報

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発言者: 田中啓一

speaker_id: 10396

日付: 1964-03-27

院: 参議院

会議名: 予算委員会