兒玉末男の発言 (農林水産委員会)

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○兒玉委員 ただいま議題となりました芳賀貢君外三十二名提出にかかる甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案及び沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案につき、提出者を代表してその提案の理由を御説明申し上げます。
 わが国における甘味資源としましては、てん菜を原料とする北海道等のてん菜糖、甘蔗を原料とする南西諸島、沖繩の甘庶糖と国内産でん粉を原料とするブドウ糖がございます。これら甘味資源の対策としててん菜生産振興臨時措置法の期限切れに際し、甘味資源の生産の振興、砂糖及びブドウ糖の政府買い入れを行なうことを内容とした甘味資源特別措置法が、第四十三回国会に提出され、第四十六回国会で成立を見たものであります。
 その際わが党といたしましても、第四十三回国会に甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案を提出し、砂糖の全面国家管理を主張したのでありますが、国会の賛同を得るところとならなかったことは、はなはだ残念に存ずるところであります。この甘味法を審議いたしましたころは、世界的な砂糖不足で国際相場も異常な高騰を見せ、平常時の四、五倍にも達したのであります。すなわち甘味法はなくとも国内産糖、ブドウ糖は採算がとれる状態であり、比較的安易な考え方で甘味法を制定したというべきでありましょう。しかしながら甘味法成立を境とし、国際糖価は下落を続け、逆に今度は高騰時の五分の一という糖価になってしまったのであります。このため甘味法の完全運用を行なうとすれば、恒常的な国内産糖の全量買い入れのみならず、でん粉需要の確保のため、ブドウ糖の大量買い入れをも行なわねばならない羽目におちいり、巨額の政府買い入れ予算と売買損失を招来するおそれが強くなったのであります。現実問題としててん菜糖、甘蔗糖、でん粉、ブドウ糖等の買い入れを行なっても糖価、でん粉市況は一向にさえず、買い入れの効果があらわれず、逆に政府買い入れ量は砂糖需給の過剰分として糖価引き下げの作用をするという苦境に追い込まれているのであります。
 このため政府としては、この打開策として、国内産糖のコストを基準とし糖価水準を決定し、糖価の安定をはかるべく、糖価安定事業団を設立し、輸入砂糖から差益を取り、国内産糖の赤字を補てんすることを内容とする砂糖の価格の安定等に関する法律案を提出せざるを得なくなったのであります。換言すればこの法律は、甘味資源特別措置法の不備を補足した補完法とも言うことができましょう。
 しかしながらこの際、この糖価低落に伴う国内甘味資源業界の苦悩の主因は、申すまでもなく池田前総理の無暴きわまる粗糖の自由化にあると言っても過言でないことを、あらためて明らかにいたしておきたいのであります。
 わが党といたしましては、糖価の安定なくして、てん菜、甘蔗、イモ、でん粉の生産農家は安心して、その生産を行ない得ないことは年来の主張であります。甘味資源の生産の振興と糖業の発展及び糖価の安定をはかるためには、砂糖の国家管理の方法をとる以外にその方途はないと確信いたし、本国会において、さきの第四十三回国会に提出いたしました甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案に、所要の改正を加え再提出いたしますとともに、消費者の立場も考慮いたしまして、糖価水準の引き下げをはかるよう砂糖消費税の廃止も行なうことといたしております。
 次に、この法案の内容について概要を御説明申し上げます。
 第一は砂糖類需給計画の策定でありますが、林大臣は砂糖審議会にはかり、砂糖類の需給見通し、砂糖類の生産目標、てん菜、甘蔗及びブドウ糖原料のでん粉の生産目標、砂糖類の輸入見通し等の重要事項について、毎五ヵ年を一期とする長期需給計画を定め、これに基づく毎年度の需給計画を具体的に改めて、施策の方向を明らかにして、これを公表することといたしております。
 第二は、てん菜及び甘蔗の生産振興についてでありますが、生産条件がてん菜または甘蔗の栽培に適しており、農業経営の改善により生産が増大する見込みが確実であり、さらに製糖企業を成立せしめるだけの生産量を確保し得る見込みのあること等を考慮し、農林大臣は都道府県の区域につき生産振興地域の指定を行なうものであります。次に生産振興地域の指定を受けた都道府県知事は、甘味資源生産振興審議会にはかり、生産振興計画を定め農林大臣の承認を求めることといたしております。
 第三は、砂糖類製造施設の承認制でありますが、現在の製糖工場は原料不足等の理由から不安定な経営におちいっている現状であり、これら製造施設の合理化はもちろんでありますが、設備が過剰とならないよう、原料の生産に即応し施設の設置または変更につき農林大臣の承認を要することといたしております。なお、ブドウ糖の製造施設についても同様の承認を要することといたしております。
 第四は生産振興地域内において生産されたてん菜または甘蔗の集荷及び販売については、生産者団体を通じて一元的に行なわれるようにつとめ、生産者団体及び製造業者は、これらの事項につき、契約を締結するようにいたしております。
 第五は、砂糖類の政府買い入れの措置についてでありますが、国内産てん菜糖類及び甘蔗糖にあっては、砂糖製造業者の申し込みに応じて、政府買い入れを行なうことといたしております。またブドウ糖については、市価が低落し、でん粉の需要の確保をはかるため特に必要と認める場合は、政府買い入れを行なうことといたしております。
 第六は、生産者価格及び買い入れ価格についてでありますが、まずてん菜及び甘蔗の生産者価格については、選択的拡大の重要作物とみなして、生産者米価の算定と同様に生産費、所得補償方式に基づき生産者価格を定めて告示することといたしました。次に、てん菜糖及び甘蔗糖の政府買い入れ価格については、てん菜または甘蔗の生産者価格に砂糖の製造及び政府への売り渡しに要する経費を加えた額を基準として定めることとしております。なおブドウ糖の買い入れ価格については、農産物価格安定法に基づく甘蔗及びバレイショでん粉の政府買い入れ基準価格に所要の経費を加えた額を基準として定めることとしております。
 第七は、砂糖の政府輸入についてでありますが、政府は需給計画に基づき、必要量の砂糖を輸入することとし、政府以外の輸入は認めないことにいたし、この際、関税については、これを免除することといたしてあります。
 第八は、砂糖の販売標準価格についてでありますが、販売標準価格は、砂糖の国際価格、国内産糖の生産費、家計費、物価事情等を参酌して定め告示することといたしました。
 第九は、砂糖の小売り標準価格についてでありますが、小売り標準価格は、販売標準価格に販売に要する費用を加えた額を基準として定めることといたしております。なお農林大臣は、糖価安定のため必要な勧告を行なうことといたしております。
 第十は、砂糖類の政府売り渡しについてでありますが、政府は需給計画に基づき、その所有する砂糖類を売り渡すものとし、売り渡し予定価格については、販売標準価格から砂糖の精製及び販売に要する経費を控除した額を基準として、定めることといたしております。
 第十一は、助成措置についてでありますが、国は予算の範囲内で、生産振興地域の都道府県に対し、生産振興計画の実施に要する経費の助成を行なうことといたしますとともに、砂糖類の製造施設につき必要な資金の融通のあっせんを行なうものといたしました。
 第十二は、砂糖審議会等の組織についてでありますが、甘味資源の生産振興、砂糖類の需給計画、てん菜等の生産者価格、砂糖類の政府買い入れ価格及び砂糖の標準価格の決定に関する重要事項を調査審議するため、農林省に砂糖審議会を設置することといたしております。また、甘味資源の生産の振興対策、原料の集荷及び販売等に関する重要事項について調査審議するため、年産振興地域の都道府県に甘味資源生産振興審議会を設置することといたしました。
 第十三は、行政機構等についてでありますが、本法案の円滑な運用をはかるため、食糧庁に砂糖所管部の新設、定員の確保を行なうための農林省設置法の改正、砂糖類の政府管理のため砂糖類管理勘定を設けることに伴う食糧管理特別会計法の改正及び砂糖の政府輸入につき、関税を免除するための関税定率法の改正その他諸規定の整備を行なうことといたしております。
 第十四に、この法律は昭和四十年十月一日から施行することとし、甘味資源特別措置法は廃止することといたしております。
 以上、甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案の概要でございます。
 次に沖繩産糖につきましても、沖繩糖業の振興と経済の安定に資するよう、国内産糖に準じ、政府買い入れできることとするため沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法に所要の改正をいたしたものであります。
 以上、法律案の提案理由及びその内容の概略を申し述べました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

発言情報

speech_id: 104805007X03219650427_002

発言者: 兒玉末男

speaker_id: 28209

日付: 1965-04-27

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会