秋山徳雄の発言 (本会議)

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○秋山徳雄君 私は、ただいま議題となりました新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対し、日本社会党を代表して反対の討論をいたしたいと思います。(拍手)
 昭和三十七年五月新産業都市建設促進法が制定されてから地域指定までの一年余の間にわたりまして、はなばなしい政治宣伝と空前の陳情合戦が行なわれたことは、いまなおわれわれの記憶に新しいところであります。新産都市建設の現状と将来を展望するとき、自民党政府が産業開発のばら色の夢をまき、政治宣伝に利用した責任は、まことに重大といわねばなりません。仮指定がきまった三十八年七月当時、経済企画庁某高官は、いみじくも言明いたしました。「新産都市には二つの幻想がある。その一つは、事業資金は幾らでも国がめんどうを見てくれるように錯覚している。他の一つは、先行投資をやりさえすれば、企業は幾らでもやってくると夢みている。そのいずれもが期待はずれに終わったとき、これは一つの残酷物語じゃないか」と、そのとおりでありまして、新産都市建設はまことに残酷物語に終わりそうなのがその運命でないでありましょうか。(拍手)もし、それを救い得る手段ありとすれば、政府の責任ある施策と財政措置の努力をおいてほかにないと指摘せねばなりません。
 大都市における人口及び企業集中の防止、地域格差の是正、雇用の安定をはかり、国土の均衡ある開発発展をうたった新産業都市建設促進法は、国土総合開発計画の大方針を受けた具体的な建設計画であるはずであります。政府は、はたして国土総合開発計画の方針にのっとり、新産業都市建設促進法の目的を尊重して、積極的に真剣に地域開発を進め、わが国経済の安定均衡ある発展をはかろうとする努力をせねばならないのに、それを直そうとしていない。前池田内閣はひずみ是正の施政方針をとらざるを得なかったのは、みずからの無謀な経済高度成長政策が、経済的地域の格差、国民階層の所得格差をもたらし、物価の高騰を引き起こし、国民生活の圧迫と社会悪を増長させた結果に対する告白であり、国民にその政策転換を約束せざるを得なかったからであります。しかし、大都市の過密膨張はとどまるところを知らず、人口の異常なる集中は、交通難、犯罪の増高、産業公害の恐怖となってあらわれ、目をおおわしめるものがございまして、都市行政は麻痺状態におちいり、公営企業は赤字経営の困窮度を強めております。他方、後進地域の公共団体は、労働力の流出、産業の停滞に加え、財政的苦境に立たされておるのであります。
 現佐藤内閣は、人間尊重、社会開発をその施政の柱といたしました。しかし、医療費の値上げは強行しても、医療保障制度の前進は見られず、公共料金の引き上げは認めても、交通、水道の窮状は打開されそうにもないのが現状であり、明るい政治の曙光さえ見出されないと慨嘆しているのが国民の真情でございます。地域開発の施策においてもまたそのとおりであり、新産都市建設における法の精神を没却し、国の政治責任を回避しようとする政治の姿勢が、本法案に対して如実に示されていることが、私が反対せざるを符ない根本的な理由でございます。
 新産都市基本計画の総事業費四兆三千億、一地区平均いたしますと三千三百億円、その六割を地方負担と見るとき、年間平均百九十億円の負担であります。はたして地方団体にその負担能力があるであろうか。今日地方公共団体の財政は悪化の傾向にあります。新産都市建設及び工業整備特別地域の関係市町村においても、その例外ではございません。すなわち、新産都建設関係市町村数二百六十三団体のうち、三六・七%に当たる九十五団体が単年度赤字を出しております。工特地域関係市町村数八十五団体のうち、二十七団体もまた同様でございます。両地域において三五%に当たる百二十二団体が赤字決算を示しておるのでございます。
 新産都市建設を進めるにあたりまして、財政苦境にある市町村の公共事業及びこれを補完する単独事業量も膨大なものと推測されるとき、膨大な建設費負担にたえ得るかどうか、疑問とせざるを得ません。総理が承認を与えた基本計画に資金的裏づけを欠いておるということ、新産業都市建設がまぼろしの建設計画に終わってもいいというの
 でありましょうか。地域開発という国家的事業に対する計画をあいまいにし、たださえ財政力の貧弱な地元地方団体の財政を圧迫する財政的秘責任を回避した計画を容認することはできません。私が反対を表明したい第二の理由がここにあるのでございます。
 次に、具体的に本法案の内容について見てみましょう。
 法案の内容は、委員長報告に述べられたとおり、その一つは、道府県の地方債に対し利子補給をしようとするものであり、その二つは、市町村に対して国の負担割合を引き上げようというのであります。すなわち、新産都市及び工特地域整備の基本計画に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業で道府県の住宅、道路、港湾等基幹的な施設整備経費が通常負担額をこえる負担財源として発行した地方債について利子の一部を補給し、市町村に対しては国の負担または補助割合を最高二割五分を限度として逐次引き上げる措置をとるものであります。精算払い方式をとる市町村に対する国の負担額を別にいたしまして、地方債については本年度四十億が用意されておりますが、そのうち二十億は縁故債であり、政府資金はわずか二十億であります。新産業都市建設及び工特地域の道県十九地区、二十道県を通じて昭和五十年度までに総額六兆三千億に及ぶ事業費に対し、初年度とはいえ、わずか四十億円の地方債額とは焼け石に水、スズメの涙とはこのことをいうのでありましょう。さらに、地方団体の強い要望であった起債償還年度の延長、利率の引き下げ、または援助の対象となる事業範囲の拡大など全然顧みられていないのであります。私は政府の不熱意、無責任を追及せないわけにはまいりません。これが私の本法案に賛成し得ない第三の理由でございます。
 地域開発、新産業都市建設は、それは目標ではなくて手段であります。政府は、わが国経済の均衡ある発展と民生の向上、福祉増進には全責任を負うべきであります。これまで政府の地域開発政策が、企業独占体に奉仕した高度経済成長を中心に推し進められ、産業基盤強化の名のもとに、自主財源の乏しい地方自治団体の行財政政策が埋没して、地域住民の生活の向上を犠牲にし、民生、福祉行政の拡充を忘れた弊害を繰り返すことのないよう、最後に地域開発政策に対する強い要望を披瀝して、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 秋山徳雄

speaker_id: 3371

日付: 1965-04-30

院: 衆議院

会議名: 本会議