松野頼三の発言 (予算委員会)

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○松野委員 防衛図上研究問題等に関する予算小一委員会の審議の経過及び結果を御報告いたします。
 小委員会は二月二十四日より十一回にわたって開会いたしました。
 第一回目の小委員会では、小委員会の運営方法に関して小委員各位より意見の開陳があり、第二回目の小委員会では、社会党の小委員より、質疑を行なう前提として、防衛庁当局に対し、図上研究に関する文書の原文を資料として提出するよう要求がありました。
 この資料の提出を質疑の前提とするかどうかという点に関しては小委員会内部の意見がまとまらなかったため、四十年度本予算の審議期間中には小委員会として実質的な審議を行なうことができませんでした。その後も結局は研究報告書の原文の提出行なわれず、図上研究に関する防衛庁の見解が文書として小委員会に提出されるにとどまったのであります。ただし、この資料の問題については、社会党の小委員より再三政府に対して提出要求があったのと並んで、他方、自民党の小委員よりは、そのような政府に対する要求よりも、むしろ小委員会としては岡田委員が発表された三矢研究の諸資料の入手経路を明確にすることのほうがより重要であるとの発言もありました。
 図上研究の内容に関する質疑は、三月十二日の第三日以降の小委員会で行なわれました。
 申し上げるまでもなくこの防衛図上研究は、さきに本委員会において取り上げられて以来、国民の間に重大な関心を引き起こさせた問題でありますだけに、小委員各位の質疑は終始真剣に熱心かつ活発に行なわれたのであります。その詳細は会議録でごらんを願いたいと存じますが、なお、ここに重要な問題として三点についてだけ御報告をいたします。
 まず第一点は、この図上研究の性格はどういうものか、これは単なる研究ではなく、防衛計画とも当然に関連があるもので、いわば計画と呼ばるべきものではないか、また、この研究は防衛庁のどの部局の責任において行なわれたものであるか明確ではないが、いずれにしろ、この研究内容については防衛庁として責任を負うべきものであり、したがって、その報告書も当然に国会に提出すべきものではないかという質疑でありました。
 これに対する防衛庁の答弁は、三矢研究は統合幕僚会議の事務局長が臨時に長となって実施した幕僚の研究訓練であり、その性質上、何らかの結論を出すというようなものではなく、もちろん計画と呼ばれるようなものでもない、三矢研究に関する実施計画、与えられた想定、研究問題及び関係幕僚の作成した答案等は、研究終了後五分冊にとじ込まれているが、これらは防衛庁及び統幕のいずれにおいても正規に決定された文書ではなく、責任を持って国会に提出し得るものではないというのでありました。
 第二の点は、三矢研究がたとえ研究訓練であったとしても、研究の内容が自衛隊として研究すべき範囲をこえ、閣議あるいは国会で決定すべき政治の領域に不当に介入している、しかもその考え方が国家総動員体制というような旧軍時代の思想であり、さらに、核兵器持ち込み、米軍基地提供の他州的承認など軍事優先の考え方は現政府の最高方針にも違反している、これでは自衛隊が憲法を守らず、民主主義を敵視しているように考えられてもやむを得ないではないかという点であります。
 これに対する防衛庁側の見解を要約いたしますと、三矢研究は有事における部隊の統合的運営を中心的課題としたものである、問題となっている防衛庁以外の諸機関の施策のごときは、本来は想定として示すべきものを問題の形で研究員に解答させ、その解答をそのまま想定として次の問題に進むというやり方をとった、したがって、自衛隊の組織運営に関するもの以外は項目を列挙する程度であって、立ち入って研究したものではない、いわゆる総動員体制についても種々の項目を列挙しているが、それらはそれぞれ権限ある機関によって処理されることを想定し、また、核兵器の持ち込み等についても、政府の現在の方針をよく認識した上で最高の政治判断にまつこととしている、しかも自衛隊出動時に関する現行の法制的裏づけの不備あるいは他の機関による研究の不足等が三矢研究の研究員に必要以上の負担を与えた点もある、しかし、研究全体として、想定の出し方あるいは設問のしかた等において妥当でなかった面もあるので、その点は大いに反省して、今後この種の研究に際しては長官が十分に指導して誤解の起こらないようにしたい、ただ、自衛隊はあくまでも民主主義日本を守ることを任務としており、常日ごろ民主主義の教育には十分力を入れているので、制服の諸君も政治介入の意図など毛頭持っていないことをよく理解してほしいというのでありました。
 第三に、小委員会で最も大きく取り上げられましたのがシビリアンコントロールの問題であります。
 質疑の要旨は、三矢研究のようなものが制服独走の形で行なわれたのもシビリアンコントロールが確保されていないためではないか、自衛隊は総理大臣が指揮監督をし、文民たる防衛庁長官が統括しているが、国防会議の事務局なりあるいは防衛庁の内局などの文官組織が弱体で十分その役割りを果たしていないため、制服組の意図するままに動かされているのではないか、しかも、シビリアンコントロールのかなめとなる国会も、事防衛に関してはつんぼさじきに置かれ、また、従来はややもすると防衛に関する無関心さを示してきた、このことは一般国民の関心の低さとも相まってはなはだ危険な状態というべきものである、したがって、災いを転じて福となすために、国会もこの三矢研究の調査を契機として十分防衛に対する認識を深め、政府もそれに十分協力をしてシビリアンコントロールの実をあげるべきではないかというのであります。これに対する防衛庁の見解は、戦前の統帥権知立の時代と比べてみてもわかるとおり、国会と自衛隊、政府と自衛隊、防衛庁内部の内局と各幕僚監部との関係のどれ一つをとってみても、現状でもシビリアンコントロールにいささかの不安を生じてはいない、防衛庁の内部あるいは国防会議その他で改善を要する点はいろいろあるから、これは改善していくが、国会によるコントロールがさらに強めらるべきことは言うまでもない、いずれにしろ、文民優位の原則というものはあくまでも国民全体の手によって守らるべきものである、今後とも一そう国民全体に自衛隊のあり方について理解を深めてもらうよう努力したいというのでありました。なお、この国会によるコントロールという点に関しましては、小委員会の議事が全部終了したあとに開かれました五月十七日の小委員打合会におきまして、小委員会の果たした役割りの重要性にかんがみ、今後とも衆議院内に自衛隊の実体を把握するための何らかの専門的な委員会を設けるべきであるという点で、自民、社会、民社の各党とも意見の一致を見たのであります。終わりに、長期間にわたって終始真剣かつ熱心に審議を尽くされた小委員各位に心から敬意を表して、小委員長の報告といたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 松野頼三

speaker_id: 26627

日付: 1965-05-31

院: 衆議院

会議名: 予算委員会