稲浦鹿藏の発言 (災害対策特別委員会)

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○稲浦鹿藏君 中国班について御報告申し上げます。
 中村理事、大谷委員、浅井委員と私の四名は、八月二十三日から二十八日まで六日間の日程で広島県及び島根県における被害状況等について実情を調査し、現地の方々にお見舞いと激励を申し上げるとともに、切実な要望を聴取してまいりました。以下その概要を申し上げます。
 まず日程といたしましては、第一日目は、広島県庁にて県下の被害状況を聴取、第二日目は、高陽町、白木町、向原町、三次市、君田村、口和町、庄原市の現地調査、第三日目は、作木村、布野村を経て島根県に入り、赤木町、大和村、邑智町、川本町、桜江町と江川沿岸を下流に向かい、第四日目には、江津市、浜田市、三隅町、益田市、第五日目には島根県庁、平田市、出雲市、斐伊川下流を視察という道順をとりました。
 今次の災害をもたらした原因の気象状況としましては、六月十八日から二十日の豪雨は、梅雨前線の活動と台風九号のくずれた低気圧が前線上を通過したことにより、総雨量分布は広島市を中心とした山陽沿岸部、または庄原市を中心とする県北東部が最も多い地域でありました。さらに七月二十日から二十三日に及ぶ豪雨も、前線上を小さな低気圧が次々に東進し、前線活動を強く刺激して山陰と広島県北部等を中心に激しい雨が断続したものとされ、特に二十二日夜半から二十三日早朝にかけての雨は、短時間に非常に強く降ったところが多く、このために被害を多くしたのであります。島根県における総雨量は、松江市五百五十四ミリ、川本町四百九十四ミリ、益田市五百四十七ミリ等を記録し、江川斐伊川、益田川及び宍道湖をはじめ県下各河川が一斉に増水はんらんしたのであります。
 県の資料に基づいて被害の概況を申し上げます。広島県におきましては、死者三十一名建物関係全壊五十八戸、半壊百四十八戸、床上浸水千五百戸、床下浸水六万戸をこえております。被害総額約百十二億円にのぼり、そのおもな内訳は、農林水産関係五十六億、十木関係五十一億、商工関係三億であります。また島根県につきましては死者十名、家屋関係全壊百二十一戸、半壊千三百戸、浸水一万三千戸余となっており、被害総額約百四十億、そのうち農林水産関係六十一億、土木関係四十六億、商工関係十五億という内訳であります。なお、台風十五号による被害は、広島県下において水産関係としてカキ養殖いかだの大破、流失等で二億五千万、農作物関係で二億四千万円、その他合計五億二千万円とされております。
 以下視察個所を中心に、若干被害の実情と要望について申し上げます。太田川支川三篠川に沿った高陽町、白木町、向原町は、六月二十日の大洪水によって甚大な被害を受けたところ、七月二十三日の再度集中豪雨によって被害をさらに増大したのであります。三次市においても、二十二日から二十三日にかけて、降雨量は百五十六・九ミリに達し、本市を囲繞する西城、馬洗、可愛の三川と、西部を南流する神の瀬川は、いずれも警戒水位をはるかに突破し、沿岸流域の各所において護岸を破壊し、家屋の流失、損壊、耕地の流失、埋没、橋梁、頭首工等の流失等、広範囲な被害を与えるに至ったのであります。作木村におきましても、急激な増水で交通通信が杜絶、二十数キロの延長に点在する村落は舟のみの連絡にたより、家財一切を流失した者、とうとい犠牲者も出る惨状でありました。江川の増水によって、大和村、邑智町、川本町、桜江町、江津市等流域一帯は、全戸浸水の地区を生じ、江川の橋梁が至るところで流失したため、おびただしい孤立地区を生じたのであります。われわれの調査時点においても、なお、三江北線の.石見梁瀬、粕渕間の江川橋梁の橋げたは流失のままであり、他にも多くの末復旧の橋梁を見る等、洪水時のなまなましい爪あとは随所に存在していました。
 災害救助法が発動されたのは、結局、広島県において五カ市町村、島根県において七カ市町村であります。
 要望事項についておもなものを申し上げます。
 まず第一に、河川改修の早期実施ということであります。三篠川、西城川、神ノ瀬川、岡見川、三隅川、多田川、細田川等であります。三篠川は、原始的河川といわれる現状であり、直轄施行区域を上流までさかのぼって延長して、徹底的改修を要望されています。
 第二、江川、斐伊川の一級河川指定、江川は、広島県山県郡大朝町に源を発し、三次市を貫流し、島根県川本市、江津市を経て日本海に注ぐ中国地方最長の河川で、途中、中小河川をあまた合流して、流量は豊かであります。今次の豪雨に際して、その奔流は沿岸に猛威をふるったのでありますが、これが総合開発の実をあげるべく、治水、利水両面から根本的な計画が推進されるべきであります。斐伊川につきましても、改修事業の促進あるいは放水路の問題等でありますが、両河川はいずれも二府県にまたがる重要な河川と認識されるものであります。地元の人々のこの面河川の一級河川へ指定要望は強いものがあります。
 第三、砂防、及び地すべり対策の早期実施、今回の豪雨の結果を見ても、砂防施設の効用は顕著にあらわれており、砂防工事の促進を熱望しているところが多いのであります。発電ダムの操作に疑問が持たれるとともに、防災ダムの新設が大きく要望されております。緊急地すべり防止対策事業の早期実施を要するものに、美都町の金谷内上地区の地すべり、平田市の小伊津及び十六島町の地すべり、君田村石原東山一帯の地すべりがあります。
 なお、共通的事項としては、公共土木施設、農地、農林業共同施設、中小企業などの災害に対して激甚災害法の適用、それから、災害復旧は、原形復旧にとどまらず、徹底的な改良復旧の採択、復旧工事の早期完成、さらに特別交付税の増額、また地方債充当率の引き上げ、あるいは天災融資法の適用、農作物の病害虫防除経費の助成、その他技術職員の不足に対する応援措置、有線放送施設災害の国庫補助、消防施設被害に対する国庫補助、沿岸耕地の防護施設として竹林の整備、わさび田の復旧等について要望がなされたのであります。
 被災市町村には、連年災害を受け、財政力の貧弱な団体が多く、財政再建団体も少なくないのでありまして、今後復旧努力は容易ならぬものがあります。政府は、激甚法と天災法の適用については、去る八月二十日と三十一日の政令で公布されましたが、今後さらに、民心安定と住民生活再建のための施策が早急に善処されることを期待いたします。同時に、災害の発生を防止するために、抜本的な対策が検討されなければなりません。以上報告いたします。

発言情報

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発言者: 稲浦鹿藏

speaker_id: 30929

日付: 1965-09-10

院: 参議院

会議名: 災害対策特別委員会