佐藤榮作の発言 (本会議)

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○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 わが党のアジア外交の基本は、たびたび申し上げましたので、よく御承知のことだと思います。私どものねらっておるものは、アジアの平和と繁栄、これを実現するために最善の努力をするんだ、かようなことを念願しております。なぜかといえば、アジアが平和であり、繁栄するならば、それはわが国の繁栄でもあり、安全でもある、わが国につながるものである、またこのことは世界につながるものだ、かように考えておるからであります。しかしながら、御承知のように、ただいまアジアは、不幸にいたしまして、世界の問題をあらゆる面にかかえております。韓国の二つの国、あるいは中国の二つの国、あるいはベトナムにおいて、あるいはインドとパキスタンの関係において、あるいは中印国境において、あるいはインドネシアとマレーシアとの関係において、あらゆる面におきましていわゆるホットの状況にある。たいへん私どもはむずかしい問題と取り組んでおるのであります。しかし、私は、ただいま申し上げますように、わが国の安全を確保する、また繁栄を願う、こういう意味におきましては、このことは最も大事なことだと思います。ことに、わが国が自由主義陣営の一員であること、これには間違いございません。公明党の方もその点は、はっきり認識しておられることだと思います。また、AA会議の会員ではあるが自由主義陣営の一員である、こういう立場でAA会議の会員たるつとめを果たしつつあるのが現状だと私は思います。ただいま、日本の安全はわが国の自力だけではこれを確保することができないまことに残念な状況でございます。そのことにおきまして、私どもは、日米安保条約、その条約のもとにおいて私どもが安全を確保しておる、そのもとにおいて今日の繁栄があるわけであります。この繁栄したわが国の力をもってアジアの繁栄に協力する、これはどうすればいいか。申すまでもなく、ただいま開発途上にある諸国に対してこれに積極的な援助を与えることである、かように私どもは考えております。これは、資金的な面だけではなく、技術的にもこのことが必要だと思います。この意味で国際協調の必要なことを私どもは痛感します。同時にまた、国連そのものがその機能を十分発揮するようにと心から念願もいたしております。こういう意味でアジアの問題と真剣に取り組んでいく、これこそわが国の自主自立の外交である、これは疑いのないところであります。
 第二のお尋ねにつきまして、東南アジア閣僚会議というお話でございます。ただいま第一番に申しましたように、開発を進めることはこれは最も−緊要なことであり、その進め方、あるいはそのどういう点を最も希望するか等々の打ち合わせをすることが必要であろう、かように思いまして、ただいま東南アジア九カ国との経済担当あるいはその他の有力なる閣僚の会議を持ちたい、かように考え、目下その議題等については研究中であります。なお、詳細は外務大臣からお答えをいたします。
 中国問題は、今日までたいへんむずかしい問題でございます。御承知のように、わが国は国府と条約を締結しておる、そうして中共とは、事実関係で政経分離の形においてただいま経済交流をいたしておる、このことはすでに御承知のことだと思います。で、今日まで、中共自身を中国の代表として国連に加盟させろ、国府を追放しろ、そうして中共自身がそれにとってかわるのだ、こういう中共支持者の提案による国連加盟の問題が出ておりますが、中国につきまして、中共も国府も、いずれも全体を支配する国だと、かように申しております。しかしながら、中共は一つだ、中国は一つだという考え方で主張しておることも御承知のとおりでございます。かような状態でありますだけに、ただいますぐこの問題は解決はできたい、しかしながら、この問題と真剣に取り組んでこれを解決するということは、これは必要なことだ、大事なことだ、最もこれは重要であり、しかも、ただいま申すように複雑な関係にある、国際的にも世界的にも、これは大問題である、そういう意味で、私どもは国連加盟、このことが重要問題として取り上げられ、そうしてわが国の国益と国際世論の動向とを慎重に見きわめ、これに対処していくというのがわが国の方針であります。先ほど、この重要問題事項、これをやめろというようなお話がございましたが、私はただいまやめる考え方はございません。(「佐藤さん、まっすぐ向きなさいよ」と呼ぶ者あり)質問者に向いて答えているのです。
 また、中共自身が持っております核兵器の実情、これについてのお尋ねがございましたが、これは私が申し上げるまでもなく、なかなかその実情はわかりません。水爆を持っているとかいう「うわさ」も出ております。しかしながら、そういうことは私どもにわかりませんけれども、中国自身、中共自身が核開発については非常な努力をして、昨年に引き続き、本年も実験をしたという。しかもそれは、言われておるところでは、プルトニウムにあらずしてウランだと、かようなことが言われております。そういたしますと、これはたいへん高度なものであり、高性能のものであり、広島に対する二倍の爆発力を持つものだ、かようにも言われております。ただいま、これを空中から投下したということによりまして、さらにこれが軽量化される、あるいは小型化される、そういう努力を払われつつある、いずれは核兵器としてこれを使用するような時期にもなる、こういうことが言われておるのでありまして、私どもはただその情報だけを聞いている程度でありまして、たいへんわが国の安全のためにも心配し、またアジアの平和のためにもたいへん憂慮しているような実情であります。事実、この実情は詳しくはわかりません。あるいはミサイルについても、運搬手段等も研究されておる、かようにも聞き及んでおりますが、それがどういう状況であるか、私はつまびらかにいたしません。
 次に、ベトナム問題でございますが、このベトナム問題は、私が申し上げるまでもなく、北からの攪乱工作が停止せられ、そうして北爆がやまる、こういう事態が最も望ましいのでありまして、私どもは、一方的に北爆だけを非難したり、あるいは北爆だけを支持したりするような考え方ではなく、ただいま申し上げるように、北からの攪乱工作がまず停止する、そうしてこれに対応して北爆も停止する、こういうことでありたい。そうして平和が招来することを心から希望するのであります。
 医療並びに民生安定についても、在来から私どもは協力する、人道的な立場から協力するつもりでございますが、今後もこの考え方には変わりはございません。これこそ私は平和外交を推進するゆえんだと、かたく信じております。
 韓国の問題につきまして、北鮮と韓国との関係をいろいろ疑問視され、そして韓国と話をするのならば北鮮ともどうして話をしないかと、こういうことを言われておりますが、これはたいへんな問題でございます。御承知のように、国連決議の第百九十五号(III)、これによりまして私どもはただいまの韓国が国連決議による朝鮮における唯一の合法的な政府だと、かように考えておるわけでございます。(「聞き飽きた」と呼ぶ者あり)聞き飽きたと言われるが、しかしこれは、このことがわかっておるならば、もう韓国と話をすることに御了承だと思います。七十一カ国が承認している、二十三カ国が北鮮をやっておる、こういうことでございますから、これこそ国際的な大勢に私どもが従う、そうして今日、隣国韓国との修好を選んだ、その道を選んだことはおわかりだと思います。北鮮自身についてはそれがどうなっているか、かようなお尋ねでありますが、この点は、北鮮については今回の条約ではこれは白紙であります。在来の考え方を、取り扱い方を、私ども変更する考えはございません。
 IECの入国拒否をいたしました問題については、いろいろ御意見があるようでありますが、今日これを許すことは適当でないと私どもは考えたのです。いわゆるケース・バイ・ケースで、この種の問題は片づけてまいるつもりでございます。
 北鮮との国交正常化を阻害するものは何か、こういうお尋ねでありますが、これも聞き飽きたと言われるだろうと思いますが、すでに何度も申し上げましたので、この点は省略させていただきます。
 その次に、北鮮も中共と同じように、同一の土俵の場で議論するように、これを国連に入れたらどうかということでございます。しかし、国連自身の権威とその権限を認めておらないのが北鮮だと思います。先ほど来、どうしてこの南北統一ができないのか、その原因は国連の決議を拒否しておる、こういうところにあるのであります。このことは北鮮自身が国連の権能を、あるいは権威を認めておらないからと、かように考えますので、かような状態で国連に加盟するということは考えられない。かように私は思います。
 以上の結論から、今日私どもは日韓の交渉が妥結するその時期が来たと、かように実は考えるのであります。土曜日のこの席から韓国における世論調査の一部の実情も報道いたしました。また、昨日は、わが国におきましても、国内におきまして、読売新聞が世論調査を発表しております。積極的に、日韓交渉、これについては賛成である。反対はわずか一二%で、四五%が賛成しておる。こういうことも考えまして、大多数の国民が今日隣の国韓国と修好を結ぶことを積極的に支持しておる、かように政府は考えておる次第であります。
 なお、経済侵略の声があるとか、こういう際だから民間交渉でまずしばらくやって、しかる上で条約を締結しろというお話のようにも聞きましたが、これは私は官民一体となって、そうして親交関係を開く、これが必要な時期に来ております、かように私は思っております。戦後二十年、交渉が始まってからも十四年、これはもう、あわてて、尚早だというような時期ではございません。どうか御了承いただきたいと思います。
 なお、この解釈についていろいろ食い違いがあるが、それは今日どうするのか、特に、政府は照会をするとか、あるいは調整するような考えはないかということでありますが、この段階において私はそういうような処置をとる考えはございません。御承知のように、条約はどこまでも条約に書かれている文言でお互いが義務を感じ、権利を主張する、かような状況でございますから、この点も御了承いただきたいと思います。
 竹島の問題につきまして、たいへん私は政府が鞭撻をされたように思っております。たいへんありがたく思います。竹島は、わが国の固有の領土である、これを政府は主張する。主張するばかりでなく、それが実現するように最善の努力をしろ、かような鞭撻を受けたと、かように思っております。北方領土、あるいは小笠原、その他のものが、いまになお未解決、こういうような状況のもとにおきまして、政府はたいへん困難な事態に当面してはおりますが、日本民族の悲願達成のために最善の努力をすると、皆さま方の御協力を得たいと思います。
 李ラインの問題につきましてもいろいろお話がございましたが、ただいま李ラインについて、民間におきましても相互に安全操業等について具体的な話し合いが進んでおるようであります。この点は安全操業上たいへんけっこうなことだと、私かように思っております。問題は、どういうことをきめると申しましても、多数の国民同士が親交をする、そうして友好関係を樹立する、こういう協力なければこれはできるものではありません。そのためにはやはり相互信頼が大事であります。相互の不信感を払拭することもこれまた必要だと、かように思いますので、この上とも努力してまいるつもりであります。
 次に、国連機構についてのお尋ねでありましたが、国連は平和維持機能を十分発揮するようにつとめたいものだと思います。これは分担金だけの問題ではもちろんございません。椎名外務大臣が最近参りまして詳細に演説をしてまいりましたので、詳しくは椎名外務大臣からお聞き取りをいただきたいと思いますが、この国連協力は、ひとり軍事的あるいは警察的だけのものではございません、文化的にも、あるいは医学上の問題におきましても、いろいろ協力の面があるのでありますので、十分その協力がどういう点にあるかを考えまして、そうして私どもが憲法を守り、またその他の法律を守って、ただいまのような派兵なぞは考えないで、そしてその他の平和的な面におきましては積極的に協力することが望ましい。これはひとり金だけの問題ではなく、人的の面においても同様なことが言えるのであります。池田内閣におきましても、池田内閣が続く限り派兵はしないと、かように申したと言われておりますが、私どもも、ただいまの憲法のもと、ただいまの自衛隊法のもと、こういう法律のもとにおきまして、派兵などは考えておらないことをはっきり申し上げておきます。
 核兵器の問題につきまして、核兵器の不譲渡あるいはこれを取得しないというだけでは全面禁止はなかなか実現しないと思います。私どもは核兵器は絶対に持たない。自衛のためにもそのようなものは持たない、かようにしばしば申し上げておりますが、この核兵器を持たない国の安全はしからばだれが保障してくれるのか。これこそ国連自身がそういう立場に立ちまして、この非核武装の諸国の安全を保障する、そういう事柄がまず必要だ。そうして全面軍縮、そういう方向において初めてこの核兵器の核散防止が実現するのであります。効果的な実が結ぶのであります。私はそういう意味で、これは人類の悲願でありますので、皆さま方とともどもにその悲願達成のために努力をいたしたい、かように思います。
 次に、ジュネーブの軍縮会議のメンバーになれと、こういうことでございますが、これまた御声援をいただきましたので、あらゆる機会にさような方向で努力をいたしたいと思います。御承知のように、一九六〇年、六一年、すでにこの問題が議論されたのであります。その当時は、不幸にいたしましてソ連が反対をし、実現をしなかったのであります。しかし、今後ともあらゆる機会をつかまえまして、そうして努力して、ぜひともジュネーブ会議の軍縮会議のメンバーに入りたいものだ、かように思います。
 次に、憲法調査会の担当大臣を設けると言ったが、それはどうかというお尋ねであります。これは私が申し上げるまでもなく、あの憲法調査会は、あれだけのりっぱな方々に委嘱いたしまして、そうしてほんとうに長い間の研究を遂げられ、そうして調査報告をただいままとめられ、そうしてそれが提出されたばかりであります。私は、政府が憲法調査会に委嘱し、こういう方々に多大の労苦をかけたその労をねぎらうためにも、これは、はっきりこの憲法調査会のあと始末をする担当大臣というものを設けることが、これらの方々に対する当然のことではないか、かように私は思うのであります。今日この担当大臣を設けることは憲法改正に踏み切った、かような問題ではございません。扱い方を慎重にし、大事に扱った、それを形の上においてあらわすというのが、憲法担当大臣を設けようかというこの考え方でございます。
 最後に、選挙制度についてのお尋ねでございますが、(「小選挙区反対」と呼ぶ者あり)小選挙区反対だとおっしゃいますが、ただいまこのことは選挙制度審議会にちょうどかかっておる最中であります。また、この選挙制度審議会におきましては、各界の方々の御意見も聞きますが、同時に、各党からも専門委員、特別委員等が出て、いろいろ審議を尽くしているのであります。これは、この選挙制度審議会、これの結論、その答申を待って政府が結論を出し、また、同時に、国会におきましても十分御審議をいただくことでございますので、ただいま私はどういう考え方をしておるとか、かような状態ではなく、ただ審議会の答申を尊重する、そういう態度であることだけ皆さん方にお答えをいたしておきます。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 105015254X00619651018_017

発言者: 佐藤榮作

speaker_id: 21117

日付: 1965-10-18

院: 参議院

会議名: 本会議