佐藤榮作の発言 (本会議)

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○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。建設的な御意見を述べられたことに対しまして、心から敬意を表します。(拍手、発言する者あり)
 日韓条約の問題につきましては、御指摘になりましたように、不幸な過去を反省することが最も必要なことだと思います。そして、善隣友好の関係、これはもう外交の基本でございます。その基本である善隣友好を進めていく、こういうことでありたいと思います。国連が認めた唯一の合法政権、第百九十五号(III)、これによりまして私どもは韓国と話をつけていく、ただいまこれが必要だ、これが隣国であるというので善隣友好の実をあげていこう、こういうのでございます。その場合に、北鮮が事実問題として厳存しておることは、これまた御了承のとおりであります。私は、この北鮮問題については、今回の協定は何ら規定しておらないのでありますから、在来の扱い方を変えると、そういう考え方はございません。先ほども二宮君にお答えしたように、ケース・バイ・ケースでこれらのものが処理される、かように御了承願いたいと思います。第二の問題といたしまして、ただいまのことにつきまして、韓国側におきましても、民主社会党の調査団が現地に派遣された結果、これらの点については、一応現地の韓国側の考え方も了承されたことだと思いますので、重ねて申し上げません。
 竹島の問題につきましては、これは明らかに紛争問題である。両者がその固有の領土と主張しているということは、御指摘のとおりであります。私どもは、これをたな上げする考え方はございませんので、適当なときに、必ずこの問題を平和のうちに交渉で解決をしていく、こういう態度をとっているのでございます。この点は、外務大臣がすでにこの席からお答えしたと、かように思いますが、それにかわりはございません。
 また、李ラインの問題につきまして、今後安全操業ができる。しかし、六年後になればたいへん心配だと言われておりますが、御承知のように、公海自由の原則がまず認められた、かような状態でございますので、六年後におきまして、再び過去のような不幸な状態に返る、このことを今日心配することはお互いに避けて、むしろ積極的に信頼感をもって、そして両国の親善を樹立する、かような方向で努力すべきではないか、私はかように思います。
 批准後の政情につきましてお話がございましたが、これは一昨日もお答えいたしましたように、私、むしろ韓国の政情は今日安定している。世論もこれを支持している。野党の反対もございましたが、民衆党も復帰し、国会も正常化しつつある。かように考えております。また、一部におきまして、これは屈辱的な外交だ、かような言い方をされておりますが、日本におきましても、やはり同じ言い方をする向きがございます。こういうところが、十四年もの長きにわたった相互互譲、妥結——お互いに譲り合って、そして妥結した、その成果でございますので、全部が十二分あるいは満足するような結果ではないだろう、かように思いますが、こういう事柄はむしろ今後前進する、その方向を示すものであり、私どもも歓迎したいと、かように思います。ただいま経済成長はお答えいたしましたように八%、これは昨年からでございます。ことしは米作も平年作を上回っているというような状況でございますから、政局についてはますます安定してまいるものと、かように考えます。
 また、日本からまいります資本の規制につきまして、これは産業界の協力を得なければなりませんが、同時に、韓国の受け入れ態勢といたしましても、資金管理委員会、これを各界——もちろん与野党の議員もこれに参画をして、いわゆるガラス張りの中で、この経済協力と取り組むという姿勢をとっておりますので、これも御心配のような事柄はないのではないかと私は思います。
 反日教育云々のお話がございましたが、お互いに率直な意見を述べることは、たいへんけっこうなことだと思います。しかしながら、お互いに平等互恵の立場に立って、それぞれの独立は尊重していかなければならないことは当然でございますので、ただいまどういう教育をしておるか、これは韓国政府において扱うべき事柄だと、かように思いますが、伺うところでは、教科書の反日的色彩等を是正するようにいろいろ努力されておる、かように伺っております。
 在外財産、あるいは拿捕漁船、在日韓国人の処遇、また、それからかもし出される治安上の問題等につきましては、それぞれ担当大臣からお答えしたいと思います。
 次に中共の問題。これは古くして新しく、いつも重大な問題である、かように思います。今日、私は、日韓の国交を正常化する批准をいたしまして、これで初めて、わが国のアジア外交、この第一歩が開ける、かように考えておりますが、しばしば申し上げますごとく、わが国はいずれの国とも仲よくする、これが、共産主義の国であるからといって、これを敵視するようなことはもちろんいたしません。いずれの国とも仲よくするという基本的態度をとっております。それには、お互いに独立を尊重することだ、お互いに内政に干渉しないことだ、このことは絶対に必要なことでございます。そういう意味で、それぞれの国におきましても、わが国の独立尊重、同時に、内政に干渉しない、あるいは国内における反政府運動を激励するようなことのないように、心から願っておるような次第でございます。在来どおり、重要問題として国連においては加入問題を審議されることを心から願っております。これは、申すまでもなく、「一つの中国・一つの台湾」という考え方は、民主社会党の御主張でございますが、すでに、いままでも国連で議論になりましたのは、中共に代表権を与えて、そして国府を追放する、こういうような考え方で今日まで決議が取り上げられようとした。しかしながら、これではいかないというので、重要問題という主張をわが国はしておるわけであります。中共にいたしましても、国府にいたしましても、ただいまのところ、いつでも、その「一つの中国」、 これは絶対の主張でございますので、ただいま曾祢君の御提案のような考え方は、両者いずれもが受け入れない案だ、かように私は思いますが、しばらく、重要問題として、国際社会に重大な影響を及ぼすこの問題、これと慎重に取り組んでいきたい、かように思います。
 次に、ベトナム問題について、私は、ただいま国連総会に乗り込むというのは、その時期ではないのではないか、かように思っております。平和への熱願、これは私も人後に落ちないつもりでございます。また、その時期であれば、必ず出かけて話を進めたいと思いますが、ただいまはその時期にあらず、かように私は結論を出しております。
 次に、最後にお話がございました安保改定についての御意見であります。これは要望だと言われますから、あえてお答えすることはないのかと思いますが、一国の安全保障、これは、その国の力によって国を守るというのが当然のことだと思いますが、最近の戦後の日本、これは、事実、国力から見ましても、また国情から見ましても、わが国がわが国の力でこの国の安全を確保するということは非常に困難である。かような状態でありますから、日米安保条約のもとにわが国の安全を確保しておる。このことは御承知のとおりでございます。そこで、次の一九七〇年になれば、これは改定の機会だと、この場合は、駐留——常駐しないような改正はできないかというお話でございますが、私はただいまの国際情勢に変化がない限り、また国情において、また国力において、さしたる変化がない限り、ただいまの状態を改正することは不適当だと、かように考えておりますので、このままでいくつもりであります。(拍手)
   〔「議事進行」「答弁しろ」と呼ぶ者ありその他発言する者多し〕

発言情報

speech_id: 105015254X00619651018_023

発言者: 佐藤榮作

speaker_id: 21117

日付: 1965-10-18

院: 参議院

会議名: 本会議