小平忠の発言 (本会議)

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○小平忠君 私は、討論に先立ちまして、昨日のカナダ航空機、本日のBOAC機の墜落事故に対しましては、まことに遺憾なことでありまして、ここに、民主社会党を代表いたしまして、その犠牲者につつしんで哀悼の意をささげるものであります。(拍手)
 私は、民主社会党を代表いたしまして、明年度予算編成について、わが党の基本方針を明らかにしつつ、政府提出の昭和四十一年度予算三案並びに社会党提出の政府案組み替え要求動議の両案に反対の趣旨を述べたいと思うのであります。(拍手)
 私は、昭和四十一年度予算の編成は、戦後二十年間の財政政策として最も重要な転機に立つものと考えるのであります。
 第一に、本年度当初予算以来、わが国の予算編成は決定的な袋小路に入り込み、行き詰まり状態におちいっております。すなわち、不況が長期化したため、これの反映として、租税収入の伸びが著しく減退しております。政府案によりますと、明年度の法人税収は約千四百九億円の減収となっております。現行の企業課税は著しく大企業利益をはかるようにできておりますので、この減収そのままに大企業の租税負担能力が減退しておるとは考えません。しかしながら、日銀の調査によりますと、わが国の産業資金の供給は、借り入れが八四%、株式発行が一二%程度でありまして、まさに借金経営そのものであります。しかも、主要企業のコストを見ますと、資本費が二一%、管理販売費が一四%を占めております。鉄鋼業を例にとれば、コストのうち金融費用が二〇%を占めております。アメリカ鉄鋼業が二%にすぎないのに比べて、驚くべき負担であります。このような借金経営は、池田内閣以来の高度成長政策が大企業の過当競争をあおり、過剰投資を激発した結果もたらしたものでありまして、これが不況の最大の原因であり、税収減退の原因であることは、私がいまさら申すまでもないのであります。したがって、企業経営構造が借金経営から短期間に脱出する見込みが全く立たない現在、今後の景気動向のいかんにかかわらず、今後は従来のような大幅な企業課税収入を期待することは絶対に無理であります。一方、国民福祉の増大と中小企業や農林漁業の近代化促進のために、今後の歳出予算はますます積極的に増額せねばなりません。このような歳入税収の不足、歳出経費の増大、これが今後の予算の構造的特徴にならざるを得ないのであります。
 したがって、政府案に計上している公債発行七千三百億円のごときは、単に明年度限りのやむを得ぬ措置というような、近視眼的な政策であってはならないのであります。政府は、直ちに財政法改正に着手し、現行の単年度予算制度を、年度を越える多年度制予算編成に改めること、歳出予算は経常的支出と資本的支出に大別して、資本的支出の財源としては借り入れ金、公債発行も認めること、このような財政法の抜本的な改正をすみやかに実施すべきであります。
 私が予算編成の転機に立つと言う第二の理由は、現在の不況と物価高の克服のためには、民間企業活動からはその力を期待することはできないのであります。どうしても財政政策が経済安定と成長のための最大の推進力、調整力とならねばならないのであります。これは、今回の政府案のように、単に歳出予算額をふやして財政刺激を量的に増大すればそれでよいというものではないのであります。率直に申して、不況と物価高の克服とはわが国経済の体質是正そのものでありますから、少なくとも五年単位、十年単位の長期経済政策の一環として予算を編成することが絶対に必要であります。
 この意味におきまして、予算編成に並行して、まず第一に、現在の不況を招いた最大原因である大企業間の過当競争を再び起こさせないような国の調整と規制、並びにこのような過当競争を激発させるような金融機関の大企業向け集中融資の制限が必要であります。この方針のもとに、重要産業基本法の制定及び銀行法などの金融法規の改正実施が必要なのでありまして、このことが不況対策の基本にならなければならないと私はかたく信ずるものであります。
 次に、物価高抑制のため、消費者としての国民の日常消費の保護のため、いかにしてそれらの施策を総合し、整備し、基本をどこに置くべきかを定めた消費者基本法の制定が必要であります。この基本法のもとに、明年度の予算の中に積極的に物価抑制と価格調整のための経費を計上すべきであります。
 政府案は、残念ながら、ただいま私が主張いたしましたような基本構想がないのでありまして、すなわち、国民を説得する内容を持っていないのであります。また、具体的に検討してみても、政府案が計上している歳入予算のうち、所得税減税幅は明らかに明年度の消費者物価の上昇幅に吸収されております。さらに、七千三百億円の公債発行がインフレを招来しないという歯どめの保障はきわめてあいまいであります。(拍手)昭和四十二年度以降も税収不足は当然に続きますので、公債発行は引き続き必要となりましょう。また、公債償還とは要するに償還期限がきたら借りかえするだけのことであり、日銀引き受けとなるのも時間の問題にすぎないのであります。予算審議を通じて、政府の公債発行は明らかにその不安を残しておるのであります。しかも、公債財源の使途を建設的経費に限定するといいながら、その実は営繕的経費にまで使途を拡大していて、明らかに歳出予算全般の財源に充当しているものと変わりがないのであります。
 私は、政府案は、総括的に申せば、租税収入減退を明年度だけの特殊事情だとみなし物価高で膨張した歳出予算は政策の積極的な展開であるとこじつけておりまして、いわば政策不在の国民欺瞞予算であると断定せざるを得ないのであります。(拍手)
 私は、明年度予算の編成としましては、第一に、財政法を改正して、資本的支出の長期財源として六千億円の公債を発行すること、第二に、明年度の税制改正は、減税としては、勤労国民の実質所得の擁護並びに国民の消費支出の向上が経済成長最大の刺激要因となり得るよう、所得税の免税点を五人世帯年収八十三万円に引き上げ、三千五百億円減税を実施すること、一方、課税の公平を期するため、法人税の適正なる課税による増徴、租税特別措置法の改廃、交際費の非課税範囲の縮小、大法人の法人税率の引き上げなどによりまして税収増額をはかること、第三に、政府案の措置によりましては依然として地方財政に一千五百億円以上の歳入欠陥を生じますので、この際抜本的措置として専売益金全部約千八百億円を地方に移譲することが、歳入予算編成の根幹になるべきであると確信いたすものであります。
 次に、歳出予算につきましては、政府案は当然に実施可能な経費節減を行なっておりません。まず、各省庁別に予算額の五%の節減並びに零細補助金の整理によりまして三千五百億円を削減すべきであります。また、防衛庁費につきましても、建造関係の継続費と国庫債務負担行為の計上を明年度は中止して、約一千百億円を削減すべきであります。これら削減によりまして生じた財源によって、歳出増額は、第一に、物価高抑制のために公共料金値上げ中止に必要なる資金の補給、医療保険における保険料引き上げ中止のための財源補給、第二に、文教、住宅、社会保障など、国民福祉関係費の増額、第三に、中小企業と農林漁業
 の近代化促進対策費の増額、並びに中小企業倒産防止のための融資体制の強化、第四に、繊維、国内運航船、産業機械、石炭など、最も不況被害が深刻なる産業に対して産業対策費の計上、以上の四重点施策において歳出予算を増額すべきであります。これこそ、不況と物価高の克服、かつまた国民福祉の充実を目ざす、わが国予算の至上命題を実現する予算編成であると確信いたすものであります。
 わが党は、この見地に立ちまして、政府案は目先の不況に追いかけられているだけの予算でありまして害を次年度以降に残すものと断定し、ここに反対せざるを得ないのであります。
 また、社会党の組み替え動議につきましては、組み替えと申すより、社会党の政策の主張でありまして、理想論にすぎませんから、組み替えと申せるかどうか、はなはだ疑問に考えますので、残念ながら賛成できないのであります。(拍手)
 以上をもちまして私の討論を終わる次第であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 105105254X02319660305_015

発言者: 小平忠

speaker_id: 11712

日付: 1966-03-05

院: 衆議院

会議名: 本会議