松澤兼人の発言 (産業公害対策特別委員会)

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○松澤兼人君 委員各位の御同意を得て公害対策の推進に関する決議案の御提案を申し上げたいと存じます。
 この会期を通じまして、本委員会の審議は十二回を重ねてまいりましたが、その間各派のすべての委員から熱心な質疑が行なわれてまいったのであります。そうしてその質疑の対象はきわめて多岐にわたりまして、第一に、基本的な問題として、公害行政に関する機構の欠陥が取り上げられ、総合体制整備の必要性が特に強調されたのであります。
 続いて、公害三法の効果の究明及び未規制の公害発生要因がもたらす被害状況を明らかにして、これらの予防措置及び監視体制の必要性が強く要請されたのであります。
 さらに、公害に対する関係者間の責任区分の問題に検討が加えられ、公害発生防止の面においても、また公害発生後の救済措置に対しても、責任体制確立に関する対策の早期樹立に多大な関心が払われたのであります。
 その他諸外国の公害対策との比較における論議も数多く見られたのであります。論議はまだ緒についたところでありまして、各般の問題について結論に達するには、なお今後の検討に待つところが多くあるのでありますが、公害対策強化の要請は時日を遷延することを許さないのであります。
 そこで、とりあえず当面の施策について、政府に一段の努力を促すとともに、社会の関心を喚起することが適当かと存ずるのであります。委員各位がお述べになった意見を、会期終了を控えて、ここに取りまとめ、各派共同で委員会の決議とすることにいたしたいと考えるのであります。取りまとめにあたっては、衆議院における委員会ですでになされた決議と重復することのないように配慮いたしてあります。
 決議案文を朗読いたします。
  公害対策の推進に関する決議(案)
 参議院産業公害対策特別委員会は、次の諸点について政府の施策を要望する。
一、公害防止行政に関する総合体制の整備
  現在、公害対策に関する実施官庁は十一の省にまたがり、又学識者の意見が反映される審議会の数も九の多きにわかれている。これらを調整するものとしては、関係各省次官等による公害対策推進連絡会議が、閣議決定に基づいて設けられているに過ぎない。これでは、具体的な問題の処理がその場その場でなされるだけであって、全体的な基本政策を樹立して、その政策の実施を総括し且つ促進する機構としては不充分である。かかる総合対策の欠除の間隙をぬって、公害そのものは次々に先行し、深刻な問題を投げかけるに至っている。この際総合対策を前進させるために、
 1 公害防止行政の総合企画、基本方策の樹立及び実施促進の中心となるべき専任機関の設置をすみやかに検討すること。
 2 とりあえず、推進連絡会議について、関係各省の施策の実施促進及び調整を図る機能を強化する措置を講ずること。
 3 内閣に対して、総合的な観点から意見を具申すべき審議会の設置を考慮すること。
二、規制範囲の拡大及び事前防止対策の強化
  いわゆる公害三法(ばい煙規制法、水質保全法、工場排水規制法)は、規制対象が限定されているうえに、その規制方法も事後的な措置に主力がおかれてきた。このため亜硫酸ガス、自動車排気ガス等による大気汚染の急激な進行、船舶廃油、産業廃水、家庭下水等による水質汚濁の増大、建設作業、交通機関等の騒音による生活環境阻害の増加を見るにいたり、防止対策強化を要請する声が高くなっている。かかる事態に対処するため、
 1 規制の範囲を拡大して、未規制ガス、廃棄物、騒音、臭気等公害発生の要因となるものを網羅する法的措置を講ずること。
 2 公害の発生又は増大を予防することを考慮した規制基準の設定を行なうこと。
 3 公害発生源となるおそれのある業種の立地規制、調整及び誘導が可能になるよう、建築基準、都市計画、新産業都市の建設促進、工業特別整備地域の整備促進等に関する法規の整備を行なうこと。
 4 海水汚濁防止条約の批准に備える国内体制の整備を急ぐこと。
 5 公害防止監視制度を確立して、緊急時の予防措置を実効あらしめる措置を検討すること。
三、公害に関する責任の明確化
  いわゆる公害病の治療費については、国又は地方自治体による援助の方法が区々である。
 また、被害地区住民から集団移転の申出があっても、移転費用の分担区分ができないために計画の進行が阻まれているような場合もある。さらに多摩川、淀川の上水取入点では、産業廃水と都市下水によって汚濁度が許容制限度を越えることすらあるのに、発生源、関係市町村の責任が明確を欠いているために、し尻処埋施設、下水処理施設の建設が遅れている例もある。
 これら差し迫っている事態の解決を促進するには、公害に関与する関係者の責任を明らかにすることがその要件となる。ついては、さしあたり
1 国及び地方公共団体は、国民の健康を守る立場に立って対策の強化について検討すること。
2 企業について個別に定められた排出基準は、必ずしも各企業の免責基準となるものではないことを明らかにし、公害防止について、より積極的な姿勢を打ち出す措置を講ずること。
3 国、地方自治体、企業間の責任区分を明確にする措置を検討すること。
 右決議する。
 決議案は以上のとおりであります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

発言情報

speech_id: 105114381X01219660624_002

発言者: 松澤兼人

speaker_id: 34578

日付: 1966-06-24

院: 参議院

会議名: 産業公害対策特別委員会