武内五郎の発言 (災害対策特別委員会)

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○武内五郎君 ただいま瀬戸山建設大臣並びに細田総務副長官からの説明がありまして、私も新潟県の出身でありますが、予想以上の被害の大きいのには、実は全く驚きのほかはないのであります。御承知のとおり新潟県の今度の水害地は穀倉地帯であります。新潟県全体といたしましても、日本における水稲農業の最も大きな水準をもって今日までやってきたのでありますが、その中でも特に北蒲原地方は、最もその中心をなすものであることは、御承知のとおりであります。特に新潟の県の地勢というのは背後に脊梁山脈を控え、それを流れてくる渓谷があるいは信濃川となり、阿賀野川となり、あるいは胎内川となり、荒川となって海に注いでおるわけなんでありまするが、その脊梁地帯をはずれますると、海岸の地帯に入ってまいりますると、これは平地よりもずっと高くなり、砂丘地帯が盛り上がっておりまして、その内陸はあるいはゼロ地帯になっておる。水溶性ガス採取の関係等からいたしましてマイナス地帯が非常に大きいんです。そういうような地勢でございまして、その中を流れてまいりまするといろいろな川が、堤防はずっと高くしなければ常に隘水のおそれがある次第であります。
 そういう地帯の中で今日まで農業をやってきたのが新潟であります。こういうところに今回災害が起きたんでありまして、日を追うて災害の度がだんだん大きくなるように考えられます。最初人命の損傷があるいは一名または二名という報告で、きわめてその災害の小さいことを報ぜられておったんでありまするが、それがだんだん実相が明らかになってまいりまするに従って、なるほど人命の損傷は小さいかもしらぬけれども、幸いにして小さくして済んだんでありまするが、農地等を中心とする被害というものは、想像に余るものが出てまいりました。今日すでに、昨日の本会議において瀬戸山建設大臣の御報告にもありまするように、被害農地は二万ヘクタールをこえる状態になっておる。反当たり三石を生産するとすれば、かりに二万ヘクタールの被害地がほとんど全減の状態になってまいりますると、おそるべき農産物の被害が出てまいります。こういうような状態になってまいります。私は、なお今後日を追うて真相が明らかになるに従って、災害の度が大きくなっていくのではないかと考えておる次第であります。
 そこでいろいろお伺いしたいのでありまするが、いずれ本委員会から実情調査のために委員の派遣があるようであります。その調査の結果を持って詳細な御質問を申し上げて、いろいろ対策の御検討をお願い申し上げたいと思います。本日は大体基本的な問題に関してだけ短い時間でお伺いしたいと思うのであります。
 今度の災害の中心でありまする加治川の破堤溢水、こういうような災害の中心となったこの加治川は、今日まで実はほとんど災害のない川でありました。私の記憶しておるところによりますると、大正時代にわずかにあった。それもほんの川べりをなでた隘水が見られた程度であります。今回のような状態にまではとうてい及びもつかなかった。この加治川に十数カ所の堤防の決壊が見られた。この川が、そういうような今日まであるいは大きな災害をもたらすことのなかったこうした川が、今回急激な出水とともに大きな災害を下流地帯にもたらしてまいったということは、これは私はまことに実は河川行政上、災害対策上から考えてきわめて重大な問題が残されておる。なるほど今日まで比較的災害が少なかった加治川でありまするが、それに対する非常時に対する考え方がほとんどなおざりにされておった。昨日の本会議において瀬戸山建設大臣が、みずから中小河川に対する施策というものがきわめて手薄であったということを自己批判されたことは、その謙虚な態度に実は非常に好感をもって私ども瀬戸山大臣の話を聞いたのであります。事実この加治川に対する河川行政というものの手は、ほとんど伸びてなかった。たとえばこういう中小河川の上流地帯に砂防施設が一つない、今日ない、現にただ一つだけ三光川という渓流地帯に目下工事中の砂防が一つある、工事中、そういうようなふうに考えてみますると、新潟県には信濃川、阿賀野川という大河川がある、こういうようなもの、こういうような方面はなかなかそれは大きな災害もときどきまいってまいりまするが、その方面が非常な関心を持たれて、中小河川のほうには手が回ってこないと、今度現地の人々はこう言っておる、一体われわれの地域に最も身近かな中小河川に対しては、政府が何ら施策の手を伸ばしてくれないのか、こういうのが今日のこの災害の中で現地の人々が言っていることばであります。こういうようなことで、特に加治川に対して災害を防止する施策というものは、今日までほとんどなかった。まして今回荒れておりまする岩船の荒川地帯あるいは胎内川、北蒲原と岩船の境を流れております胎内川等のはんらんを考えてみまするときに、中小河川に対する施策というものは全くないといっても差しつかえない。こういうようなことで、今回の災害はさらに大きくなっておることを、私どもはつぶさに考えなければならない。このように、私は先ほど申し上げましたように、だんだん下流の地帯にまいりますに従って、ゼロ地帯からますます低くなって、マイナス何メートルという状態になってまいりますので、水のはけ口がない。こういうことを前提としてまずお伺いしたいことは、昨日の瀬戸山大臣の自己反省に基づく今後の河川行政というもののあり方、このただいまの水害に対する応急の対策とこの二つを本日、実はお伺いしておきたいと思う。まず、建設関係からいいまして、瀬戸山大臣のお考えをお伺いしたい。

発言情報

speech_id: 105214339X00219660722_012

発言者: 武内五郎

speaker_id: 26205

日付: 1966-07-22

院: 参議院

会議名: 災害対策特別委員会