鈴木善幸の発言 (産業公害対策特別委員会)
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○国務大臣(鈴木善幸君) 公害の問題は深刻な社会問題になってきております。また、公害のはなはだしい地区におきましては、公害病患者も発生をしておるというようなことで、急速に総合的な公害対策を進める必要があると政府としても考えておるわけであります。実は、きょうの閣議におきまして、そういうような観点から、私は公害対策を総合的に、かつ強力に進めるために公害基本法の制定ということが必要であると考えまして、この基本法の制定を総理府の公害対策推進連絡会議が中心になって、関係各省庁の意見を調整して来たるべき通常国会に提出をするという目途で、その準備を促進してほしい、こういうことを閣議で提案をいたしました。関係各大臣の御賛同を得、また総理からも特に発言がありまして、公害対策の総合的な強力な推進ということは各方面から強く要請されておる、ついては、非常にむずかしい問題ではあるけれども、関係各省庁、各大臣が協力をして、そうして通常国会に基本法案が提案できるように努力をしてほしい、総理からもこういう趣旨の御指示があったような次第でございます。で、私はその際に、公害基本法案の検討を始めます場合、どういう事項が検討さるべき事項になるかということにつきまして、閣議で問題点を取り上げておいた次第でございます。
これはあくまで検討さるべき事項でありまして、総理府を中心に関係各省庁で検討いたしました結果、初めてそこに政府全体の一致した意見というものが固まるわけでございますが、この基本法案を審議検討いたします場合の検討事項といたしましては、一、基本施策の対象として、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭を取り上げること。二、事業者は、公害の防止のため必要な措置を講じ、他人に損害を与えないようにする責務を有すること。三、公害防止対策についての国及び地方公共団体の責務を明確にすること。四、国は、環境基準を設定し、汚染地域については、環境基準まで汚染等を引き下げるためにあらゆる手段を講じ、公害の予防の見地からは、環境基準を越えないようにすること。五、環境基準の維持のために排出規制、立地規制、土地利用規制その他の措置を講ずること。
六、公共の行なう公害防止事業に対する企業の費用負担について定めること。七、国は、公害防止のため基本的な施策を策定し、地方公共団体は、当該地域の公害防止施策の具体的実施に当たること。八、汚染地域、または公害の発生が予想される地域について重点的な公害対策を講じるため公害防止指定地域を指定し、公害防止計画を推進すること。九、公害防止行政を一元的に総合調整するため公害防止委員会を設置すること。——これがただいまの御質問に触れるわけでありますが、これも検討事項として取り上げるべきである。十、財政措置、金融、税制上の助成措置の整備強化をはかること。十一、住民の公害についての苦情を処理する機構——苦情処理機関であります——苦情を処理する機構、公害による被害の救済のための基金等の救済制度の整備をはかること。
こういう点が、基本法の制定にあたっての重要事項であろうかということで、私、問題点だけを取り上げて、関係各省庁がこういう点を中心に総理府の公害対策推進連絡会議で政府としての一本の基本法を制定するように、次期通常国会に提案できるように準備を促進してほしい、こういう提案をいたしまして、閣議の御承認を得た次第でございます。
厚生省といたしましても、大体先般の公害審議会からの答申の趣旨を尊重いたしまして、すでに一つの成案をまとめております。私は、両三日中にこれを総理府の連絡会議に提案をいたしたい。また、建設大臣も建設省の立場における公害対策の案をお持ちになっておるようであります。また通産、自治、運輸等々、関係各省庁からも公害対策についての御意見があると思いますが、それらを総合調整をして、公害基本法の制定をぜひ次期国会において実現をしたい、この基本法を中心にいたしまして、そして政府がそれぞれの各行政部門において有機的な連携のもとに対策を進めることが必要である、かように考えておるわけであります。