田邊誠の発言 (社会労働委員会)
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○田邊議員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林労働者の雇用の安定に関する法律案について、その提案理由と内容について、御説明申し上げます。
現在、五十万人に及ぶ山林労働者は、人里離れた山奥で家族と別れ、昔ながらの封建的身分差別と非近代的な労働条件に苦しみながら、森林資源の造成、木材生産に従事しているのであります。しかし歴代保守政府の進めてきた高度成長政策は、山林労働者をも一そうの貧困の谷間におとしいれ、近代文化の恩恵に浴することもなく、生活の近代化は望むべくもない状態に放置されているのであります。すなわち、これらの労働者の賃金は、依然として人間としての最低生活を維持するにはほど遠い状態であり、労働条件を規定した労働基準法の中心的規定であります労働時間、休日休暇の規定は、その適用が除外されているのであります。したがって、これらの労働者は、低賃金構造との関連で、今日もなお長時間労働が強要されている状態であります。
わけても十五万人に及ぶ国有林労働者は、国有林に専業的に働き、その生計を国有林に依存し、二十年、三十年の勤続表彰を受けておりながらも、林野庁当局の降雪、積雪を理由とする休業のため、毎年首切りが行なわれているのであります。その結果、毎年三カ月から六カ月にわたって失業するという状態が繰り返され、国有林労働者の身分、生活を極度の不安におとしいれているのであります。
しかも、これらの国有林労働者は、定員内職員、常用作業員、日雇い作業員、臨時日雇い作業員という雇用区分によって、その労働条件に大きな格差が設けられているのであります。このような国有林労働者の差別支配を強行している当局が、国有林を管理運営する林野庁という名の政府機関の一部であることは、私の最も遺憾とするところであります。
さらに、一昨年三月の中央森林審議会の国有林経営合理化に関する答申によると、国有林野事業を利潤追求を第一義とした企業性重視の立場から、労働者や地元農民、中小企業者の犠牲によって一そうの合理化をはかろうとしているのであります。これは高度成長政策のしわ寄せによる国有林経営の悪化を、国有林労働者の人減らしと労働強化によって切り抜けようとするものであり、その矛盾をますます拡大する以外の何ものでもありません。
最近開催されましたILO国家公務員専門家会議においては「恒常的な職務を遂行するため必要とされる職員は、常勤として採用されなければならないし、その間といえども常勤と非常勤との間の法的身分の違いをもって、賃金や労働条件全体について差別の理由とすべきでない」という報告をしているのであります。したがいまして現在、林野庁が行なっております労務政策は、このILOの見解にも全く違反しているのであります。
このような国有林労働者の現状にかんがみまして、これらの労働者の雇用を継続させ、その雇用と生活の安定をはかる必要があると考えるのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。
次に、この法律案の概要について説明申し上げます。
まず、国は、国有林労働者として前年度及び前々年度において、それぞれ継続して六カ月以上雇用された者、また前年度において継続して十二カ月雇用された者については、当該労働者が希望するときは、これらの労働者を常時雇用する国有林労働者として雇用しなければならないもの、といたしました。
第二に、国有林労働者が一年を通じて労働することができるようにするため、国はできる限り、国が直接実施する国有林野事業の事業量の増大及び作業量の平均化をはかる義務があることを明らかにいたしました。
第三には、国は、前年度において継続して六カ月以上国有林労働者として雇用された労働者で、常時雇用の国有林労働者の対象とならなかった者については、当該労働者が希望する限りは、次年度においても再雇用を保障する義務があることといたしました。
第四には、常時雇用される国有林労働者が、降雪または積雪のために休業せざるを得なくなった場合には、国は、労働基準法第二十六条の規定にかかわらず、特別休業手当として、平均賃金の六〇%以上の手当を休業期間を通じて支払わなければならないことといたしました。
以上が国有林労働者の雇用の安定に関する法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。