永井勝次郎の発言 (本会議)
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○永井勝次郎君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十一年度中小企業の動向に関する年次報告についてお尋ねをいたします。
質問の第一は、中小企業を将来どのように持っていこうとしておるのか、そのビジョンを明らかにしていただきたいということであります。
年次報告は問題をいろいろ取り上げております。しかし、全体として、問題点を提示するにとどまり、その分析、究明、追求を十分に掘り下げておりません。現実直視を回避しておるのであります。したがって、それらの諸点に触れ、第一の質問の中身として、二、三お尋ねをしてみたいと思うのであります。
その一つは、中小企業の数が多過ぎるという点であります。全産業四百二十二万八千、大企業は二万七千、差し引きました残りの四百二十万、九九・四%が中小企業であります。さらに、中小企業の中の三百二十五万が零細企業であります。多過ぎることは事実であろうと思うのであります。政府は、その過多性を克服する方向で対策を進めてきたはずであるにもかかわりませず、数は、年々減るどころか、増加する一方であります。年次報告は、これを中小企業の繁栄として評価しておるのでありますが、過度の競争原因をどのように判断しておられるのか、承りたいのであります。
その二は、企業の規模が小さ過ぎるという点であります。中小企業の従業員数は三千百三十八万人、労働集約的と指摘をされております。工場出荷額、商業販売額は全体の半分前後でありますから、その過小性はいなめないところであります。これに対して政府は、規模利益追求の立場から適正規模の指導を進めてまいりました。適正規模の基準は何なのか、適正規模ならば企業経営の安定が保証されるのかどうかについてお伺いをいたしたいのであります。
その三は、企業の収益性が低いという点についてであります。国税庁調べによる法人企業の資本金別利益率の四十一年七月から九月期を見ますと、資本金十億以上の法人八百八十八社、その営業利益五千七百億円、純利益三千億円で、資本金五千万円以下の中小企業法人が全部束になってかかっても及ばない実情であります。このような利益率の格差をどのように評価されておられるのか、承りたいのであります。
その四は、共存企業についてであります。大企業と中小企業と共存している領域としてあげているのでありますが、共存といっても五分と五分の対等の立場にある共存ではありません。親企業と下請企業といった従属関係の共存であります。力関係を無視した評価に立っていると思うのであります。企業規模が適正であれば力関係は考えに置く必要がないというのかどうか、承りたいのであります。
その五は、倒産についてであります。昭和四十年度三千百四十一件、四十一年度三千百八十七件、四十二年度に入って漸増の方向であります。これらの数字は、負債額一千万円以上の大口の分についてのみの調査でありますが、それ以下の小口のものについての調査はどこにもありません。無視されておるのであります。おそらく膨大な数字にのぼるだろうと思われます。原因を景気変動に転嫁して、構造的要因、特に政府施策の欠陥に基づく要因についての究明を怠ってはいないか、倒産防止の対策があるのかないのか、承りたいと存じます。(拍手)
要するに中小企業対策は、中小企業のワクの中だけで立つものではありません。全産業の中で総合的に構成さるべきものであります。また、中小企業一般という大ざっぱな立案では、あまりにも粗雑に過ぎます。業種別、業態別、規模別の具体的なものでなければなりません。進行しつつある産業再編成の中で、中小企業はどう位置づけされ、どういう役割りが要求されるのか、そのビジョンを佐藤総理から伺いたいと思うのであります。(拍手)
質問の第二は、小規模企業対策についてであります。
近代化、高度化対策も、資金調達力強化対策も、予算構造も、小規模企業にはほとんど及ばない政策体系であります。中小企業基本法第二十三条の小規模企業に対する、すなわち、「他の企業の従事者と均衡する生活を営むことを期することができるように金融、税制その他の事項につき必要な考慮を払うものとする。」こういう規定は空文化してしまっておるのであります。「均衡する生活を営むことを期することができるように金融、税制その他の事項につき必要な考慮を払うものとする。」との規定は空文化してしまっているのであります。中小企業内部の格差は拡大する一方であります。一体、経済政策の観点からだけ小規模企業を考えているのかどうか。小規模企業の零細性、企業というよりは、生活のための仕事という性格の上から考えましても、社会政策の視点から十分に考慮し、政策を立てていかなければなるまいと思うのであります。一体、経済政策だけで小規模企業が成り立ち得ると考えておるのかどうか。その点、政府の中小企業対策は、ことばだけでありまして、中身は何もありません。じゃま者扱いで、避けて通るという冷酷なものであります。経済ベースで対処するのか、社会政策を加味するのか、明確にお伺いをいたしたいと存じます。(拍手)
質問の第三は、事業活動の不利の補正についてであります。
事業活動の不利の補正は基本法の重要な柱の一つであります。このことについて、政府はいままで何をやってきたか、その実績を明らかにしていただきたいと思うのであります。大企業との関連、下請関係の諸問題、金融における歩積み・両建ての問題、税金の問題、何一つ実効はあがっておりません。中小企業の近代化、高度化などの構造改善政策は、中小企業自身の内部の問題として、これを推進することができます。しかし、金融や不公正な取引など、強い者勝ちの外部にある諸条件は、中小企業だけでは手に負えないのであります。これら外部条件の整備が、中小企業対策でもあり、不利の補正の焦点でもなければならないはずであります。政府は、この解決に怠慢であります。今後どう対処するかを承りたい。(拍手)
この際、特に大蔵大臣にお伺いいたしますが、資本自由化のもとでは、金融は重要性を加えてまいりますが、拘束預金の問題はもちろん、中小企業関係への長期の金融、金融ワクの拡大等について、どのような対策があるのか、中小企業対策の重点並びに小規模企業等に対する対策について詳しく承りたいと思うのであります。
質問の第四は、資本自由化対策についてであります。
直接的には食品関係、建築金物関係、ちり紙など広範な範囲にわたり、特に中小企業の流通分野がねらわれていると伝えられております。間接的には、大企業の国際競争力強化の名のもとに、下請企業に過酷な条件を強要し、あるいはセレクションが行なわれるなどのことが予想されます。中小企業への影響は甚大なものがあるといわざるを得ません。大きくは民族資本と国内産業の自主的活動の立場から、小さくは中小企業の保護助長の上から、適切に、かつ迅速に対処すべきであります。資本の自由化は、今後どのような運びになるのか、どのような対策がもるのか、明示していただきたいと思うのであります。(拍手)
次に、政府提出の中小企業振興事業団法案についてお尋ねをいたします。
その第一は、いわゆる近代化倒産についてであります。
近代化はしたが、経営は思わしくない。借り入れ金返済の重圧にあえぐという事例が、たまたま見受けられるところであります。指導と事業と一体で進めるという仕組みの中で、政府の責任は非常に重くなってきたように思われるのでありますが、その辺の配慮についてお伺いをいたします。
第二は、経済環境の外側の整備が必要ではないかという点についてであります。
近代化、高度化は、中小企業経営の内部の経済体制として、政府の助成を得て進めることができます。構造改善後における経営については、大企業との関係もあります。企業間の競合もありましょう。製品需要構造の変動もありましょう。労働力その他の外部的変化も考えられるのであります。問題は、企業の外側にある環境の整備が、内部の整備よりもより重要性を加えてきておるのではないか、この点について、どう考えているのかを承りたいと思うのであります。
次は、特定繊維工業構造改善臨時措置法案についてお尋ねをいたします。
その第一は、この法案の適用を、綿スフ・合繊紡、綿・スフ、絹・人絹の特定繊維に限定したのは、どういう理由によるのか、明らかにしていただきたい。
第二は、日本の繊維産業をどういうふうに位置づけ、今後どのように持っていく考えであるのかを承りたい。
世界の繊維産業の動向を見ますると、先進国では、再び勢いを盛り返し、合理化投資を行なって、体質の改善に非常な力を入れてきており、わが国の強力な競争相手となりつつあります。また、中国、台湾、韓国、パキスタンなどは、設備の近代化、増強を急いでおり、日本を追い上げてきておるのであります。後進地域は、労働賃金が安く、製品のコストも低いので、日本にとっては大きな脅威であります。これらに対処するわが国の繊維産業は、今後どういう方向をとろうとするのであるか、承りたいのであります。
第三は、毛織、染色、仕上げ、メリヤス、縫製部門の強化が急がれるのではないかという点についてであります。
後進国から安い製品が競争としてあらわれてくる場合、わが国は加工度の高い、高級製品で対抗していかなければならないのではないか。そのためには、染色、二次製品業界などの構造改善を急ぐ必要があると思うのであります。何ゆえにこれらの業種を適用から除外したのか、承りたい。
第四は、わが国の製品の輸入制限についてであります。
わが国の繊維製品は、先進国からも、また後進国からも輸入の制限を受けております。わが国製品の声価と、また歴史の上から考えてみましても、もう少し努力の余地があるのではないか。経済外交に欠くるところがあるのではないかと思われるのでありますが、これらの諸点についてお伺いをいたしたいと存じます。
以上であります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕