玉置一徳の発言 (本会議)

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○玉置一徳君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま説明のありました中小企業関係三件につきまして、総理並びに各大臣に若干の質問を行なわんとするものであります。
 政府は、去る四月二十五日中小企業の白書を国会に送り、昭和四十年から四十一年にかけての中小企業の動向を分析し、わが国の中小企業が直面する諸問題を解決する施策の基本的な考え方を明らかにしたのであります。
 ここで目立つのは、景気の順調な回復と上昇にかかわらず、中小企業の企業倒産は依然高水準を続け、一昨年を上回る六千百八十七件を記録しておることであります。このような中小企業の経営内容が依然として困窮を続けているのは、労働需給の窮迫、需給構造、市場条件の変化等に対し、中小企業が十分な対応力を持っていないためだと指摘し、ここに中小企業の健全な成長をはかるためには、その特色である企業の過小過多性、資金調達力の弱さ、技術水準の低さ、経営管理のおくれなどを改善する必要を強調しているのであります。
 白書は、こうした観点に立って、協業化、共同化を中心とする構造改善事業について、資金助成、指導など、あらゆる施策を集中的に実施し、その強力な推進をはかっていく必要があると指摘いたしております。
 白書の指摘する問題点並びにこれに対する施策の提示は、その限りにおいては当を得たものと見るべきでありましょう。しかしながら、中小企業の現状を見るに、資金梗塞は何ら緩和されず、また、その資金コストは大企業に比べはなはだしく割り高であります。また、設備を近代化して生産量を増加すれば、そのことが競争を激化し、加えて親企業からの単価引き下げを誘発するのであります。特に、資本自由化の接近とともに、大企業の中小企業分野への進出、大規模生産による大量販売方式の強化、下請条件の再編成など、力関係による大企業からの中小企業圧迫は、ますます強化されるばかりであります。
 確かに、一部の中小企業には、政府の施策と相まって、いわゆる中堅企業として改善をなし遂げたものもありますが、これに該当するものは全体のわずかに二%であって、少数の例外にしかすぎません。その他の大多数の中小企業は、今日もなお深刻な経営難に脅かされ、倒産の危機にさらされているのであります。これは、長年にわたる大企業中心、大企業優先の自民党内閣の政策の帰結でありまして、このような基本を変えることなくしては中小企業問題の解決はとうてい達成されるものではありません。これに対する総理の反省はいかがでありましょうか。
 次に、政府は、四十二年度の中小企業対策として、協業化、共同化を中心とする中小企業の構造改善を強力に推進するため、中小企業振興事業団を創設し、また、新たに協業組合制度を設けて、共同事業に対する助成を量的にも質的にも拡充する、と述べておられるのでありますが、中小企業基本法、下請代金遅延防止法、官公需確保法など、すでにこの種の構想に基づく中小企業対策は数多く立法されてきたのであります。しかしながら、それらは一部の中小企業の優等生にだけ恩恵と効果を与えただけであって、あの程度のザル法でもってしては、中小企業の安定は百年河清を待つにひとしいものといわざるを得ないのであります。
 そこで、佐藤総理にお伺いいたしますが、わが国中小企業は、以上のような問題点をかかえながらも、いまもなお国民経済において圧倒的な重要さを持っているのであります。総理は、一体このような中小企業を、しかも高度成長下のわが国の産業構造の中に、最後にはどのように位置づけをしようと思われるのであるか。すなわち、わが国経済における中小企業のあるべき理想像はどのようなものであるか、この際、総理のビジョンを承りたいのであります。
 次に、中小企業問題の根源はわが国経済の構造にあるといわれておりますが、本日では、それに加えて、後進国の追い上げや、資本の自由化など、さらに悪条件が加わり、わが国中小企業の近代化は緊急焦眉のことと強調されているのであります。佐藤総理は、このような新事態に備え、中小企業保護のためにいかなる対策を講ぜんとするものであるか、総理の政策構想をお示し願いたいのであります。
 なお、商売は元手次第といわれるとおり、ここに中小企業金融については、その資金量と金利について格段の措置が講ぜられなければなりません。さきに、政府は、環境関係業者に対し、特に環衛公庫を新設し、その金利は六分五厘という英断を下された。これは零細中小企業に対する低金利の先べんをつけられたものとして、まことに歓迎すべきことで、この際、同様な立場にあるその他の中小企業に対しても、政策平等の憲法の精神にのっとり、同様の施策を講ずべきものであると思うが、これに対する佐藤総理の所見をお伺いしたいのであります。
 なお、三百六十万の中小企業者のうち、四〇%を占める小規模事業に対する政府の施策は、いまだ何ら見るべきものがないといっても過言ではありません。この際、小規模零細企業をどのようにして近代化し、合理化をはかろうとするのか。
 なお、小規模企業に対する金融、税制上の優遇措置は、中小企業基本法の宣言事項であるが、政府の施策はいまだに不十分であります。この際、さらに強力な実効ある措置を講ずべきであると思うが、あわせて総理並びに関係大臣の所見をお伺い申し上げます。
 次に、所管の各大臣に、簡単に質疑を行ないたいと思います。
 まず最初に、中小企業対策のうち、最も重要なものは、不公正競争の排除であり、不公正取引の是正であります。今日の大企業の中小企業分野へのあくなき進出や、下請代金の事実上の支払い遅延は、目をおおうものがあります。政府は、生産分野調整法を制定し、中小企業の存立基盤を確保すべきときだと考えますが、菅野通産大臣並びに北島公正取引委員長の御所見を伺いたいのであります。
 第二に、これと関連して、中小企業の存立を脅かしている資本の自由化にどのように対処せられようとしているか。また、資本の自由化とわが国中小企業の近代化とを、いかなるプログラムをもって調整しようとされるか、御説明をいただきたいと思います。
 第三に、中小企業の構造改善の急速な実施を迫られておる現状におきまして、雇用労働の需給の確保からも、同業種、同地域、同一技能の労使間交渉による最低賃金制度の確立は、技能給給与体系とともに、もはや放置できない問題であります。老齢年金など社会保障制度の拡充強化とともに、わが国産業の構造改善実施についての前提条件ともいうべきこれらの問題につき早急なる実施を望まれますが、労働大臣並びに厚生大臣の所見をお伺いいたします。
 中小企業の経営基盤強化のため、自己資本の充実の急務なることは、白書の指摘しているところであります。そこで、来年度は中小企業の法人税の減税を実施し、少なくとも現行二八%から二五%程度へ引き下げ、自己資本の充実に資するべきであると思いますが、水田大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
 さらに、小規模事業者の所得は、そのほとんどが勤労所得によるものである点にかんがみ、事業主の特別勤労控除を創設し、これまた自己資本の充実に資するべきだと思いますが、あわせて大蔵大臣の御所見をお願いいたします。
 所得税においては、来年一月一日から中小企業専従者の完全給与制を認め、事実上支払われた給与の金額を控除することになっておりますが、地方税である事業税もこれと歩調を一にしなければ均衡がとれません。藤枝自治大臣はこれに対しどのような措置をとられるか、この際明らかにしていただきたいのであります。
 次に、労働大臣にお伺いいたします。
 現下、労働者の需給の逼迫にかんがみ、特に困難な中小企業向けの労務確保のため、どのような雇用対策を用意されておられるか。特に中高年齢者の雇用が重要な部分を占めることを予想される中小企業の現状にかんがみ、英国の選択的雇用税等を参考に何らかの奨励制度を設けることが望ましいと思われるが、労働大臣はどのようにお考えになるか。
 さらに、中高年齢者雇用対策と関連いたしまして、職業訓練制度の強化、充実がいよいよ必要となってくるが、この対策もあわせてお伺いしたいと思います。
 次に、私は、繊維の臨時措置法案につき、総理並びに関係大臣にお伺いいたします。
 繊維産業のわが国経済に占める比重は、戦前は言うに及ばず、現在においても全付加価値額の一二%、輸出額においては実に約二〇%を占め、わが国民経済の中できわめて重要な位置を占めているのであります。しかし、戦後いち早くこの繊維産業に転換の波が押し寄せ、第一に、天然繊維から化合繊維への需要構造の変化、第二に、開発途上国における繊維産業の発展と、それに伴うわが国輸出市場の狭隘化、第三に、先進諸国の繊維産業における集約化政策の実施と構造改善による巻き返し等々は、従来のわが国繊維産業の大きな転換を余儀なくさせているのであります。このときにあたり、万年供給過剰の病源をかかえた繊維産業の構造改善政策が、その一歩を踏み出した意義ははなはだ大といわざるを得ないのであります。わが国初めてともいえる産業界ぐるみの繊維産業構造転換政策を実施するにあたって、私は今日までの政府の基本的な姿勢に重大な注意を喚起するものであります。
 まず、佐藤総理に対し、繊維産業転換政策の基本的姿勢についてお伺いをいたします。
 すなわち、この画期的な産業政策の成否のかぎは、一にかかって労働組合や消費者である国民各階層の協力をどうして得るかということであります。政府は、労働組合や消費者等、国民各階層の代表者の意見を聞き、構造改善実施の各段階で労使の事前協議制を充実し、制度化して、再編成の過程に生ずる労使間の諸問題の解決をはかることが必要であり、さらに国の段階でも、経済、産業、労働等の各政策の立案や審議の場に労働組合が積極的に参加し、発言を行なうことを制度的に保証することが重要であると考えますが、これに対する佐藤総理の御所見を承りたいのであります。(拍手)
 次に、担当大臣にお伺いいたします。
 まず第一に、本案の政策対象は、紡績業と織布業だけであり、化合繊や二次加工品であるメリヤス、縫製品、染色加工等、最も近代化がおくれ、過当競争の激しいこれらの中小企業分野が対象になっておりません。なお、いまだに徳川時代そのままの商慣習が少なからず残されておる繊維の流通機構の改善が、この際同時に行なわれることが必要と思われますが、全く除外されております。また、本案第二章に規定する構造改善基本計画は、繊維産業全体の総合計画の上に立って実施されなければなりませんが、この点どのようにされるか、大臣の見解をお伺いしたいのであります。
 第二の問題として、織布業の産地構造改善事業は、絹織物をはじめ織物の産地の地域経済の興廃を決するものでありますが、これらの計画は、全国各地方の全体計画のバランスの上に立って実施されなければ、その効果は望むことができません。かえって正直者がばかをみることになりかねないのでありますが、この産地構造改善計画と全国的な計画とをどのようにして調整されようとしておるのか、お伺いを申し上げます。
 第三に、本案実施のため労働者に与える悪影響を除去し、産地構造改善事業の円滑なる進展をはかるため、地域ごとに計画の指導委員会を設置することは審議会の意見でもあります。従業員代表を当然に参加せしむべきであるが、この際あらためて政府の見解をただしておきたいと思います。
 第四に、やみ織機の取り締まり問題であります。従来の新旧繊維法を通じて、設備を登録制にして取り締まることにしておりますにかかわらず、登録されない無籍のままの織機が大手を振って操業しております。これら無籍織機の取り締まり強化につき、いかなる政策の用意があるかお伺いをします。
 次に、労働大臣にお伺いします。本法案は、わが国の紡績織布等、繊維工業界の構造改善をはからんとする画期的な政策であり、その成否は一にかかって関連労働者の理解と協力によるものといわねばなりません。本法案に、政府は関連労働者の職業の安定につき十分な配慮をなさねばならないことを義務づけたのもこのためであります。本政策実施にあたって、雇用の不安はないかどうか、また、不可避的に生じた犠牲の社会的救済や保障を制度的に確保して、労働者にしわ寄せされる犠牲を最小限に食いとめる方策をどのように考えておるか。すなわち、審議会の答申によれば、離職者対策として職業転換、給付制度の拡充、雇用促進事業団の活用、退職金課税の大幅減税を具申されておるが、政府はどのように実施しようとしているか、具体的に御説明を願いたいのであります。
 次に、いたずらな雇用問題のトラブルを避け、構造政策の進展を円滑ならしめるため、中央、地方に政府(地方公共団体を含む)、業界、労働者が一体となって雇用対策を取り扱う雇用連絡会議を設けることがぜひとも必要だと思いますが、御所見を承りたい。
 最後に、近時労働者の、特に若年労働者の需給が逼迫しつつある現状におきまして、従来、青年婦人を多数雇用してまいりました繊維産業の将来の労働確保について不安はないかどうか、将来の展望とこれに対する対策につき所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕

発言情報

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発言者: 玉置一徳

speaker_id: 24901

日付: 1967-05-16

院: 衆議院

会議名: 本会議