稲浦鹿藏の発言 (建設委員会)
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○稲浦鹿藏君 昭和四十二年七月豪雨による建設関係災害の実情調査を報告いたします。
藤田委員長と中津井委員と私と、先週七月十四日から十六日まで三日間、広島、兵庫両県の災害地の実情を調査してまいりましたが、以下その概要を御報告申し上げます。
初めに、調査の日程、経路を申し上げます。
十五日朝広島県庁に参り、永野知事外関係者から災害の状況、対策等について事情を聴取いたしましてから、呉市に入り、市役所の災害対策本部において、市長以下関係者から、つぶさに状況を聴取いたしました。また同所にはせ参じておりました西条町からも、同管内の災害と要望を聞いたのであります。
終わって、直ちに現場の視察に入り、市内の被害地、いまなお陸上自衛隊が出動作業中の崩壊危険地区、広地区、仁方宮原地区等を視察、次いで国道百八十五号線を通って竹原市に入り、市役所で事情聴取後、同地区の被害現場を視察、次いで三原市、尾道市を同様視察、調査をして、十九時福山市に入り、市長から災害の状況を聴取いたしました。
翌十六日は、列車で神戸に入り、正午兵庫県庁で金井知事並びに神戸市宮崎助役等から、管内の状況、対策、要望を聞き、宇治川筋元町をはじめ、明泉寺、西郷川等市内の被災地を視察、それより宝塚市、川西市の支多田川、最明寺川等の災害現場を視察し、同夜帰京いたした次第であります。
次に、両県の被害の概況を申し述べますと、今次七月災害の大きな特徴であります人的被害については、広島県で死者百五十九人、負傷者二百十九人、兵庫県で死者、行くえ不明九十九人、負傷者九十四人でありまして、両県とも山くずれ、がけくずれによるものが大部分であります。
住家を加えての被害総額はいまだつまびらかでないものもありますが、広島県で約百二十八億、兵庫県で約百四十億円にのぼっております。このうち土木関係被害額については、広島県で約三十三億、兵庫県で建設省関係約六十一億円でありまして、公共施設被害が比較的に少ないのも、今次災害の特徴の一つとなっております。
これを呉市と神戸市について申しますと、呉市においては、山くずれ、がけくずれの個所六百十九カ所、うち大規模崩壊二百十一カ所で、四十三カ所の崩壊で百六十九人の生き埋めを生じ、八十八人の死者を出しております。家屋の全半壊は三百五十四戸、三百七十六世帯の罹災に及んでおります。
神戸市におきましては、家屋の全半壊百九十一戸流失二十戸で、死者、行くえ不明九十一名であります。
被害額については、呉市では総額約三十四億円、うち公共施設関係約六億、土木施設被害約三億円で、神戸市においては総額約三十六億円、うち市有公共施設被害約十四億と推計されております。
次に、今次災害に対する二、三の所見を述べてみたいと思います。
その第一点は、さきにも述べたように、異常なる集中豪雨による被害が急傾斜地、がけ地に多発しておるのでありますが、これらの崩壊地は、なおきわめて危険な状態にありまして、呉市について見ますと、その個所数約百カ所、このための予防措置に約二億円を要すると見られております。なおまた、小規模のがけくずれが多いことであります。
第二に、これらの災害の原因に宅地造成に関する規制の不備をあげなければならぬと思います。宝塚市の支多田川上流の六甲山におきまして、民間業者による大規模な宅造が行なわれておりましたが、その工事中のものを見ますと、土どめ、排水施設の用意がなく、そのための土砂流が災害を招いている感を強くいたしたのであります。
第三は、これらの急傾斜地、崩壊地に対する予防措置、特にまた民有宅地に起きている排土措置等については、現在補助の道がなく、しかもこれを放置するにおいては、ふたたび災害を生ずることが明らかでありますので、これが対策は緊急を要する課題であると深く感じてまいった次第であります。
なお、終わりに地元の要望のおもなるものを申し上げますと、建設省関係について述べますと、公共土木施設の災害復旧事業及び災害関連事業の復旧年次を短縮すること、すなわち、緊急事業以外についても三カ年で復旧することにされたいこと。
第二、急傾斜地における土石流失、がけくずれの復旧と、再度災害の未然防止対策を樹立してほしいこと。
第三、都市河川については、一般河川とは別ワクに予算を計上し、改修の早期完成をはかられたいこと。
第四、砂防を重点にされたいこと。特に特殊緊急砂防を採択されたいこと。
第五、宅地造成規制法を強化されたいこと。
以上であります。