大橋和孝の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○大橋和孝君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案について、総理大臣並びに関係各大臣にお尋ねをいたします。
 三池の爆発で四百五十八名の死亡者と八百二十二名にのぼる一酸化炭素中毒患者が出てから、すでに三年七カ月もたっているのに、まだこの事件は解決していないのであります。この問題では昨年の国会決議もあるのであって、政府当局も前向きに取り組んでいると思うのでありますけれども、昨年十月二十五日労災補償打ち切り問題以来、その処理も今日まで解決していないのである。ために労災病院にいる六十名の入院患者は何らの医療、給食も施されず放置されているのである。のみならず、残る七百名近くの患者も、職場に帰ることもできず、医療も受けられず放置され、現地では大きな社会問題となっているのであります。これは今日、一酸化炭素中毒の医学的な解明が十分行なわれていない現状を無視し、強引に資本の欲意を受け入れて行なった行政の基本的な政府の姿勢に起因するものであります。
 そこで次の諸点について、関係閣僚の見解を問いただしたいと思います。
 まず、佐藤内閣総理大臣にお伺いをいたします。
 三池の災害後、夕張、伊王島、山野、空知、奔別と、相次いで炭鉱の災害が続発し、多数の一酸化炭素中毒患者が発生しているのであります。これらの災害原因は、いずれも労働者の責任は皆無であって、資本の保安サボタージュによるものであります。特に三池における一酸化炭素中毒患者は、三年七カ月をたった今日、なお意識を回復しない者、あるいはまた妻の顔さえ識別できないというような悲惨な者もあるが、これらの患者の救済は人道上の大きな問題であって、昨年、本院社会労働委員会におきましても、特別立法を一年以内につくるよう決議をいたしました。この決議について政府はどのように理解をしているのか。また、このたびの政府提出法案の内容は、当然、一酸化炭素中毒患者の現状に即して十分な救済がはかられるものを具備していなければならないと考えるのでありますが、総理大臣の所見を伺いたい。
 次に、早川労働大臣にお伺いいたしたい。
 第一点は、昨年、本院社会労働委員会における決議は、社会党が第四十八国会と五十一国会に提出した一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案の取り扱いと、その後の三池現地における一酸化炭素中毒患者に対する援護の社会的要請を背景として行なわれたものである。その意味においては、今度の特別立法は、その前提になったこれらの問題の解決をはかる内容であらねばならないと考えるが、所見をお伺いしたいのであります。
 第二点は、現在提出された政府の案は、政府の現在行なっている行政措置の範囲を一歩も出ていないものであって、特別に立法化する意義は失われてしまっているのであります。これは、昨年の社会労働委員会決議の趣旨を無視したものではないか。また、少なくとも国会決議を尊重するというならば、その前提となった前国会の社会党法案の骨子、すなわち配置転換と前収補償、解雇制限、障害補償の特別措置等の諸問題について、十分な考慮が払われるべきであると考えるが、この点について労働大臣の見解を述べていただきたい。
 第三点は、政府は法案原案の作成にあたって、労災審議会、社会保障制度審議会のいずれにも十分な討議の時間を与えず、基本問題である前収補償、解雇制限等の特別保護措置について結論を得なかったので、それを幸いとして、法案内容にこれを入れなかったことは、国会決議尊重ということに対して、十分な誠意を尽くしたとは言いがたい。これについて労働大臣はどのように考えているのか、意見を伺いたいのであります。
 第四点は、三池医療委員会すなわち勝木委員会は、昨年の十月末、解散したと聞いております。三池にはいまなお多数の患者が存在しており、一酸化炭素中毒についての結論的な医学上の解明が行なわれていない現段階において、何ゆえ解散したのか。われわれとしては、勝木委員会としての信頼性は別といたしまして、このような医療委員会は、まだ当分必要ではないかと思うので、早急に勝木委員会にかわるような、しかも、さらに民主的な医療委員会を設置をして、今後の医療対策の推進と紛争解決に当たらしめるべきであると考えるのでありますが、所見をお伺いいたしたい。
 一酸化炭素中毒予防については、爆発等の予防対策と、事故発生後の中毒予防の二面があるのであります。このことについて、事故発生予防は通産省の所管事項であって、労働省には鉱山保安の監督権はなく、勧告権のみあるが、予防対策は当然のこととして、この両面がともに推進されなければならないし、そうでなければ、効果もあげられないと思うのであります。現在、鉱山保安は通産省で、一般災害保安は労働省で、船員の災害保安は運輸省と、このようにしてばらばらの労働災害保安対策になっているのであります。しかし、将来労働省に一元化された保安対策でなければ強力なものとならないが、労働大臣はこの点どう考えているのか、所見を伺いたいのであります。
 第五点は、本院社会労働委員会決議は、立法措置が成立するまでは、療養その他の援護措置は現状のままとする、となっているが、現実においては、さきに述べたように、七百名以上の大多数の患者が、治療も訓練を受けられずに放置されているばかりでなく、生活保障も与えられず、一銭の収入もなく、一家の生活を労働者同士の救済によってはかっているような実態であるが、これをこのまま放置しておいてよいのかどうか、具体的な今後の方針を示していただきたいのであります。
 次に、菅野通産大臣にお尋ねいたしたい。頻発するところの炭鉱災害、それは爆発だけでなく、一般災害も増大しているけれども、その原因は、石炭合理化に帰着すると思います。この時点で、抜本的な対策樹立が必要だと思われるが、政府は将来、いかなる対策を講じようとしているのか、見解を伺いたいのであります。
 また、今度一酸化炭素中毒の特別法を作定するにあたり、当然のこととして、その内容には災害予防を含めなければならない。特別法である以上、所管官庁の違いとか。行政機関が異なるとかいうような問題は超越して、この法の目的に関係するところの官庁がすべて協力しなければならないと思うが、通産省として、一酸化炭素中毒立法に対する基本的な姿勢を述べていただきたい。
 最後に、坊厚生大臣にお伺いいたしたいと思います。
 一酸化炭素中毒立法は、今回は炭鉱労働者に限るということになっております。しかし、一酸化炭素中毒症の発生は、石炭鉱業のみではなく、他の産業にも発生し、また一般社会にも、家庭にも発生しているのであります。一酸化炭素中毒症の医療効果は、リハビリテーションの充実がはかられなければならないのであります。一酸化炭素中毒を、労働省の問題としてとらえるのではなく、広く一般社会の人道上の問題として、また、国民の医療上の問題としてとらえるならば、厚生省はこれの対策に積極的でなければならない、このように思うのであります。厚生省として、今後の一酸化炭素中毒症に対する医療対策や、中毒患者の援護施設の設置等についても、前向きの姿勢で取り組むべきだと思うのでありますが、厚生大臣の見解を承りたいのであります。
 以上をもって私の質問は終わるのでありますが、私は、昨年一月と今月と、二度にわたって現地の状況をつまびらかに視察してまいったのであります。三池の状況をつぶさにこの目で見、あるいはまた聞いてまいったのであります。再三申し上げるとおり、患者や家族または遺族の人たちは、極度に悲惨な生活を送っており、意識障害、情意の障害、心身障害の訴えがありまして、基本的な家庭生活も送れず、大きな社会問題となり、人道上の問題でもあります。こういう悲惨な者を救済する政治的責任をとるという観点に立って、総理大臣はじめ関係各大臣からの十分な配慮の届いたあたたかい答弁を伺いたいのであります。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 105515254X01919670623_028

発言者: 大橋和孝

speaker_id: 489

日付: 1967-06-23

院: 参議院

会議名: 本会議