佐藤榮作の発言 (本会議)
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○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
アメリカのグラスボロの米ソの会談、これは、まだその詳細が私はつかめません。十分のことはわかりません。しかし、その詳細よりも、とにかく、アメリカ大統領とコスイギン首相が直接会った。そうして世界の平和確保維持のために、両者が理解の上で、ひとつ誠意のある態度を示したものだと、かように私は、この会見を高く評価しております。そういう意味で、この種の会見は、たいへん、わが国としては歓迎すべきものだと、かように思っております。さらに、中身の問題がただいまわかりませんので、それらの点は、今後、さらに詳しく報告を待ちたいと、かように思っております。
次に、ただいま岡田君からもお話がありましたように、米ソのこの会合を、私は、社会党でも高く評価しておられると思います。そういう意味で、アメリカばかりじゃなく、ソ連にもひとつ出かけて、実際にこの間の事情を聞き、また、みずから積極的な外交を展開したらどうかと、こういうお話でございます。私も、たいへん望ましい事柄だと、かように思いますが、御承知のように、ただいま東南アジア諸国に出かけようとして、いろいろ準備を進めておる最中でございます。これをやめてもいいじゃないかと、かように仰せでございますが、私は、ちょうど三木外務大臣がモスクワに参りますので、三木君が参りました際に、日本の意向、同町に、また、ソ連側の意向も十分話し合って、そうして帰られた後に、こういう問題をきめればいいんじゃないだろうかと、かように実は考えております。ただいまのところ、私は、三木外務大臣の訪ソ、その成果によりまして、私自身の訪ソをいつにするかということを考えたいと、かように思っております。
次に、今回、東南アジアを訪問するに際しまして、その中に南ベトナムが入っているということで、いろいろの御意見を述べられました。私は、確かにその御意見が、ただ党利党略じゃなくて、ほんとうに、日本の国の前途について御心配のあまり、率直な御意見を述べられたものだと、かように思って傾聴いたしたのでございます。しかし、私は、重ねて申し上げますが、わが国の外交の基本方針、これには、しばしば申し上げますように、私どもは、平和外交を積極的に展開しておるのでありますし、また、憲法九条のもとにおいて、私どもの行動の限度は、はっきりしておるのであります。したがいまして、このベトナムの問題が勃発いたしまして以来、この地にわが国の公館を置き、大使を派遣はいたしておりますが、軍事的には絶対に介入しないという、中立の態度を保ってきた。また、今後も、これを続けるつもりでございます。ただ、問題は、私どもが、一口に東南アジア、東南アジアと申しますが、これの認識は、まだ不十分でございますので、みずからが事態を認識し、また、その政府当局と話し合って、今後の行き方等について、これは必ずしも、私は、全部意見が同一だとは思いませんが、その考え方も十分確かめたい。そうして、私どもがかねてから抱いておりますような、当方の主張も十分説得してきたいと、かように実は思っておるのでございます。
いろいろの問題を提起した南ベトナムの訪問ということでありますが、ただいま、これをきめたわけではございません。しかし、ただいま、行くつもりで準備をしておることだけは確かでございます。また、外務大臣から、しばしばお答えをいたしましたように、これがただ単に親善友好、これを深めるというだけのものではなく、ただいま戦争が行なわれておるこの土地でございますから、和平への道を積極的にさがす。こういうことのあることも、これも御承知願いたいと思うのであります。
私は、ただいま申し上げますように、いまのこの事態、たいへん、私、心配しておりますが、中東のあの戦争すら停戦が行なわれておる。そして米ソ両首脳が話し合って、これから先の問題をひとつ考えよう。こういうような世界的な平和への努力がなされておる際であります。私はそれよりもやや、関連する底域あるいは国際経済的観点からも、価値がやや軽く見られるようなベトナム問題というものは、もう長期にわたる戦争、これに終止符を打つ、そして、話し合いの場につくという、これは最も望ましいことだと思います。いろいろの問題が言われております。ただ南だけではございません。北側においては依然として強い発言をしておりますから、まだまだ私が一人でかように申しましても、すぐ成果があがるものとは私は期待はいたしておりません。しかし、やはりあらゆる努力を積極的にすべきときではないかと思います。そういう意味で、私は各方面の御意見も伺うつもりでございます。それで、私が南ベトナムに出かけることはこれは何らの意味もないとか、あるいはまた、日本独自の考え方ではないのだ、また在来の政策を変更するのだと、こういうような断定だけは困りますから、御意見はもちろん私は傾聴したつもりでございますが、どうか断定されないように。在来の方針に変更のないことも、それは今後の私の行動で確認していただきたいと思います。
ただ南ベトナムは、九月に、御承知のように、大統領選挙が予定されております。私は、こういう事柄が、いまの戦争が片一方で行なわれ、大統領選挙が予定される。何だか私どもに理解できにくいような状態のように考えるのであります。こういう点、この一つすら、こういう一つだけでも私は現地に出かけて、そうして、実態を十分認識することが必要だ。かように思います。
私は必ず今回の訪問は、そういう意味におきまして、正しい認識を持って私が帰り、そうして、今後ともわが国の基本的な外交路線の間違いないこと、これをやっぱり各国にも理解してもらうように、そういう態度はとりたいと思います。したがいまして、今回南ベトナムを訪問先に加えたことそれ自体は、私自身が独自にきめたことでございますし、第三国等からいろいろ強要されるとか、あるいは第三国に、アメリカに出かけた際に立場がよくなるだろう、あるいはもうすでに戦局についてのある程度の見通しをつけて、この際、先物を買うのだとか、こういうようないやしいような考え方ではございません。私はどこまでも正義に立ちまして物事を処理したい、真剣に取り組みたい、その行動のうちに私の誠意の一片、そういうものを示すことができれば、たいへんしあわせのように思うのであります。この点を重ねて申し上げておきます。
最後に、訪韓の問題についてのお話がございました。在来の慣例によりますと、総理が出かけます際は両院議長に行程を通知する。こういうことになっております。したがいまして、今回もその慣例どおりに従いましてすでに私はその手続をとりました。また、事前にいろいろ各党の内患も伺っております。したがいまして、私、こういうことは、いわゆるそれぞれの党におきましてもいろいろの御事情がおありだろうと思います。そういうことを十分考慮に入れ、かつまた、在来が通知であったから通知だけすればいいのだと、かような考え方ではございませんので、十分事前に、良識のある、無視をしない態度をとったつもりでございます。どうか御了承のほどをお願いしておきます。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕