佐藤榮作の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
昭和三十年代は経済の高度成長、その結果、国民の生活も向上をいたしましたが、同時に賃金も相当の改善を見た、かように私は確信しております。ことに、三十四年に最低賃金法ができまして以来、今日までの経過を見ますると、大体賃金は倍程度になっておる、かように思います。もちろん、これをもって満足すべき状況と、かように私は申すのではございません。たいへん著しい改善が行なわれたということを申し上げたいからこれを言うのでございます。また、その他の労働条件等につきましても、最低賃金法が施行されましてたいへんな改善を見た、かように思います。これらは特に恵まれなかった中小企業の労務者五百五十万、あるいは、また、若年労働者等がたいへん私は恵まれて改善されて、いわゆる格差縮小の方向をたどった、かように思います。したがいまして、今日までの状況におきましては、なお満足ができないという御批判もおありだと思います。しかし、今日までたどってきたその方向は、まず成功ではないかと思います。したがいまして、この方向でさらに内容を整備していくように、この上とも、つとめたいと思います。その際に、ただいま御指摘になりました各種社会保障制度の問題もございます。私は、かねてから社会開発を口にしておりますし、また、政治の方向として、この社会開発の点から、社会保障制度の体系の整備、ただいまおあげになりました各種手当などをつくれと、今日までそういう点には触れておりませんから、そういう体系も整備しますし、また、その中身も整備していくように一そう努力するつもりでございます。
そこで、ILO百二号の問題でございますが、これは私が申し上げるまでもなく、柳岡君すでに御承知のように、今日までいわれておる九制度のうち、わが国でまず合格だと思えるものは、ただいまの状況では残念ながらまだ二つでございます。そういう状態のもとでこの批准に取りかかるということは、これは問題だと思いますので、批准はできませんので、さらに第三の点でどういう方向の努力をするか、これを一そう検討したいと、かように思っております。
そこで、次は、二十六号条約の批准をいつするかと、こういう問題であります。これは私が申し上げるまでもなく、現行法、これは最低賃金法ではいろいろの議論がありまして、ただいま御指摘になったとおりであります。政府自身は、この現行法でも二十六号はりっぱに批准できると、かように考えましたが、しかし、議論のあることだけは、これはもう確かでございますから、そういう現実に当面して、その状態のもとで二十六号の批准に取りかかることは、これは政府としても軽率だといわれ、そこでこれは慎んでまいりました。しかし、今回の改善にあたりましては、この議論の中心であります業者間協定というような問題は今回はないのでありますから、今度は私は積極的に、ただいまはまだこれらは批准はできないというような御意見でございますけれども、私は今度は可能なのではないかと思いますので、まず、この法律改正案が通りました上で、ひとついまの批准問題と取り組みたい、かように思っております。そうしてその際に、大橋君や石田君、元労相の言を引っぱってこられて、そうして全国一律の最低賃金をやらなければだめじゃないかという、ただいまのおしかりを受けたのであります。私は、必ずしも大橋君や石田君がさように申したとは申しません。ただいま柳岡君のおことばにも、例外を除いてというようなお話がございますが、これはやはり大橋君が、一つの型、あるいは一つの理想の型とか、こういうような意味で大橋君は述べたのではないかと思います。しかし、今回の改正案は、すでに御承知のように、中央最低賃金審議会、この審議会が答申をいたしまして、そうしてその答申をいたします際に、いまの段階における最低賃金のあり方、こういうことでただいま答申をしておるのであります。これはもう多分に経済の現段階を考えた結果だと思います。その結果がいまの大橋君や石田君の考えとは違って、その改正を提案しておるような答申を得たのであります。私ども、その申答を尊重して、ただいま御審議をいただいておるわけでございます。これらの点も十分御了承賜わりたい、かようにお願いしたいと思います。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕