稲浦鹿藏の発言 (建設委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○稲浦鹿藏君 去る十一月八日より六日間にわたり、田中委員とともに徳島県、香川県、愛媛県、高知県の四国四県における建設事業につきまして調査してまいりましたので、その概要について御報告申し上げます。
四国四県を回りまして、総体的に感じられましたことは、四国地方における開発・整備につきまして、四つのポイントがあるように思われます。第一は、本州四国連絡橋の問題、第二は道路整備の問題第三は水の問題、第四は都市整備の問題であります。以下、これらの問題について、実地調査個所を中心にしながら、申し述べることといたします。
まず第一は、本州四国連絡橋の問題であります。ご承知のとおり、本州四国連絡橋は、現在三つの代表的なルートが考えられております。すなわち、東の方から申しまして、兵庫県と徳島県を結ぶ明石−鳴戸ルート、岡山県と香川県を結ぶ児島−坂出ルート、広島県と愛媛県を結ぶ尾道−今治ルートの三つのルートであります。これら三つのルートにつきましては、去る五月の土木学会の報告によりまして、いずれも技術的に可能であることが明らかにされ、今後は、各ルートの経済効果等について検討が加えられる段階であります。各県とも、それぞれの架橋促進を陳情の第一にあげ、いまや四国住民の最大の関心事となっております。以下、三つのルートについて計画の概要と各県の陳情の要点をご報告申し上げます。
まず、明石−鳴戸ルートでありますが、これは神戸市垂水と淡路島岩屋間の海上約五キロを三つのつり橋で結び、淡路島を縦断した後、淡路島門崎と鳴戸市大毛島間の海上約一・五キロをつり橋で結ぼうとする計画であります。徳島県においては、本ルートが、西日本経済の中心である阪神地方と四国地方を最短距離で結び、徳島新産業都市はもちろん、四国全域の総合開発を効率的に推進する上で、経済効果が最も高いので、最優先に着工されるようとの陳情が述べられました。
次に、児島−坂出ルートでありますが、これは倉敷市児島から、香川県内の櫃石島、岩黒島、羽佐島、与島、三ツ子島の各島を通り、現在埋立てを進めている坂出市の番ノ州工業埋立地に至る、海上部総延長約九キロのルートを、道路、鉄道併用のつり橋及びその他のトラス橋で結ぼうとする計画であります。香川県においては、本ルートが、瀬戸内海臨海工業地帯を結び、明日の西日本の産業経済の大動脈として、瀬戸内経済圏の形成を促進するために最適であり、さらに技術的、経済的にも、また海難防止の面からも、その有利性は不動のものであるので、早期実現を図られたいとの陳情が述べられました。
最後に、尾道−今治ルートでありますが、これは尾道市から向島、因島、生口島、大三島、伯方島、大島等を経て、今治市に達するルートで、海上部総延長約九キロを、一〇の橋でつなごうとする計画であります。愛媛県においては、本ルートが、中国、四国、九州を結ぶ交通輸送ラインの一環として、瀬戸内海を中心に山陰、南四国、南九州を包含した西日本における工業開発、観光開発、地域格差是正のため、ぜひ必要であり、安全で、かつ建設費が安いという利点もあわせて、すみやかに国道に指定されるようとの陳情がなされました。
なお、高知県は直接の架橋地ではありませんが、高知県の開発並びに四国の総合的開発をはかるために、明石−鳴戸のルートを優先し、鉄道・道路併設橋として架設されたいとの陳情が述べられました。
以上、本州四国連絡橋についての計画の概要と各県の陳情の趣旨を申し上げましたが、各ルートとも、それぞれ重要な意義を持つものであり、今後なお検討されなければなりませんが、いずれにしても、架橋の問題は、四国の総合開発の最も重要なポイントをなすものでありますので、早急な決定が望まれる次第であります。
次に、道路整備について申し上げます。
実地調査いたしました路線は、四国内の道路の一部にすぎませんが、全体的な印象としては、整備のおくれている路線がかなり見受けられたことであります。
まず、徳島市、高松市、松山市の三大都市を結ぶ国道十一号線であります。本路線は、四国における最も重要な路線であり、改良、舗装ともに完了いたしておりますが、近年における自動車の激増に伴い、都市周辺の渋滞が目立っております。特に、徳島市、高松市、松山市周辺の渋滞が著しく、建設省でもバイパスの建設を急いでおりますが、早急な完成を要望する次第であります。
次に、高知市と高松市を結ぶ国道三十二号線と、高知市と松山市を結ぶ国道三十三号線であります。この両路線は、四国の中央山岳部を走る、ほぼ同様な性格の道路でありますが、最近舗装も完成し、両都市間を短時間で結ぶ快適な道路となっております。
次に、四国東南の海岸線を走る、徳島市から室戸市を経て高知市までの国道五十五号線と同じように四国西南の海岸部を走る、松山市から宇和島市、中村市を経て高知市に至る国道五十六号線であります。今回は、後者の五十六号線をほとんど全線にわたって踏査したのでありますが、はなはだ進捗率の悪い路線で、昭和四十二年度分を含めて、改良率五九%、舗装率四九%という道路であります。国道五十五号線もほぼ同様の進捗率と聞きますが、両路線とも、豊かな観光資源を持ちながら、鉄道も途中までしかなく、道路が唯一の交通手段でありますので、その整備促進については、各県とも強い要望が出されております。建設省においても、昭和四十四年度概成を目途に改良を進めておりますが、旧一級国道のうち、前に申しました三路線が完成を見ました現在、残されたこの両路線について、格段の措置が講ぜられることを要請する次第であります。
その他の一般国道、県道等につきましては、その詳細を省略いたしますが、各県とも、主要地方道について、交通量の増大、産業の振興、資源の開発、地域住民の生活水準向上等の理由をもって、国道昇格の上、整備を促進されたいとの要望が出されましたことを申し添えておきます。
また、国土開発幹線自動車道建設法に基づく四国縦貫並びに横断自動車道につきましては、昭和四十三年度から建設に着手されたいとの要望でありました。
なお、海上の道路ともいうべきフェリーにつきましては、明石、鳴戸の日本道路公団のフェリーをはじめ、主として瀬戸内海沿岸各地において、公営、民営によって数多く運行されておりますが、その需要増にもかかわらず、競合路線の赤字等、問題があるように感じられましたので、路線の整理、運賃の適正化、経営の合理化等、検討が必要かと存じます。
第三は水の問題であります。
四国山脈を境にして、南部は年間三千ミリに達する雨量に恵まれながら、反対側の瀬戸内海側は、瀬戸内寡雨圏といわれる国内で最も雨の少ない地方に属し、現に今年の渇水期には、八月から九月にかけて、高松地方において給水制限約五〇日にわたるという水不足を来たしたのであります。そこで四国四県にまたがる最大の河川である吉野川の総合開発が古くから叫ばれていたのでありますが、最近の都市部の発達、また徳島地区、東予地区の新産業都市指定もあって、各県ともこの豊富な水の有効利用を強く要請し、最近に至って、ようやく早明浦ダム建設に関する基本計画が了承され、二十年近くの懸案事項であった水配分と費用の割り振りが決定して、早明浦ダムの建設が水資源開発公団の手によって、昭和四十五年度完成を目標にいよいよ本格的な軌道に乗ることとなったのであります。
吉野川の直轄河川改修事業は、明治四十年から昭和の初めに至る第一期改修事業にひき続き、昭和二十四年から第二期改修事業により護岸工事が鋭意図られておりますが、この治水計画の一環としての洪水調節を実施するとともに、四国四県に対する年間八億六千万トンの新規用水の供給及び電源開発を目的とした早明浦ダムの建設は、四国開発の中核として、その完成が期待されております。同時に、関連事業として池田ダム、香川用水、愛媛分水、高知分水等の建設の促進を図らなければ意味がないことはいうまでもありません。
四国四県における直轄河川は、吉野川のほかに那賀川、重信川、肱川、渡川、仁淀川、物部川の七河川でありますが、これらに対する年度予算は全国の三%にすぎない状況であり、さらに全国的に見て数多い、その他の中小河川についても、年々洪水の被害を受ける河川が多く、また、その中には、都市用水や工業用水を確保し、地方開発に寄与する重要な河川も少なくありませんので、砂防事業とともに、治山治水関係事業費の大幅な増額が必要であります。
最後に都市整備の問題であります。
四国は、四県とも、人口の増大する県庁所在の四大都市を持つと同時に、一方では山岳部や離島の僻地をかかえております。したがって、県内における地域格差是正は、各県の共通した課題であり、同時に、県民の所得水準を上げ、人口を定着させるための工業開発には、各県ともかなりの熱意を注いでいるように見受けられました。しかしながら、新産業都市に指定された徳島地区及び東予地区の例を見ましても、その建設は遅々として進んでおりません。道路の整備、工業用水の確保、工業用地の造成等、産業基盤の整備に、国の重点先行投資が望まれるゆえんであります。
一方、各県の中枢となる四大都市におきましては、東京、大阪等の過大都市のもつ色々の都市問題が、同じように地方都市にも顕在化しつつある感がいたします。交通の渋滞、住宅の不足、市街地再開発の必要、水不足、下水の不備、公害の問題等々であります。このため、各県とも、都市計画事業の推進について特段の要請があり、特に下水道事業の補助率引き上げとその早期完成、公営住宅標準建設費の増額と建設戸数の大幅な増加、公営駐車場の建設に対する国庫補助制度の創設等の陳情がなされました。その他、高松駅前広場の整備、国鉄高徳線の連続高架化等、当面する都市整備事業を積極的に推進する必要があります。これらの中で、香川県坂出市において、駅前の密集市街地を、「人工土地」という新しい方式によって再開発しようという試みが、既に一部完成しつつあることは、今後の都市再開発に一つの示唆を与えるものとして、特筆に値するものと存じます。
以上、四国地方における建設事業の現況と、地元の要望をご報告申し上げましたが、本調査を通じて痛感されますことは、本州四国連絡橋の建設が、四国地方の地域格差を是正し、後進地域を開発するための先決条件であります。これらの要望は、四国四県民こぞっての四国開発にかける長年の願望でありますので、政府当局におきましても、地元の事情を十分考慮の上、一日も早く要望にこたえられるよう、強く要請して報告を終わります。