櫛田光男の発言 (建設委員会)

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○櫛田参考人 櫛田でございます。結論から先に申し上げますと、この都市計画法を一日も早く成立させていただいて実行していただきたいということをお願いいたします。と申します理由をこれから申し上げたいと思いますが、私、宅地制度審議会、それから宅地審議会の委員の一人としまして、この数年間、宅地問題について、主として制度上の問題でありましたけれども、いろいろなディスカッションに参加いたしました。そのときに、しぼってまいりますと、結局、土地の合理的利用、土地の利用の合理化、土地の利用計画を確立するということが、どうしても結論であり、また最初のスタートでもある。アルファーでありオメガーであるというふうな、何事をやるについてもそれが土台になるということを痛感いたしてまいったわけであります。
 ところで、土地の利用についてはいままでいろいろなプランがないわけじゃございません。国土総合計画、地方計画あるいは市町村単位の都市計画というものがあったわけであります。先ほど大来先生からおっしゃいましたような急激な経済成長、人口集中というような事情に顧みまして、土地の利用のあり方が急激に変化いたしてまいります。ことに著しいのは、市町村の単位を越えて広域的に計画が立てられ、またそれが実行されなければならないという点なんですね。ところが、いままでの法制では国土計画その他上位計画が要するにマスタープランであって、一つの指針を示すという役には立ちましたけれども、簡単に申しますと、行政官庁に対する、あるいは国民に対する腹がまえとでも申すような役割りを果たしている。その実現についての担保にはならなかった。ところが、市町村都市計画がそれをやるわけでありますが、それは広域的に必ずしもできていない。ちょうどそこに大きなギャップがあったと思います。そのギャップをちょうどこの都市計画法というものが埋める役割りをして、上位計画と具体的な土地利用計画そのものを、計画規制力を持ちながら同時にその実現がはかれる仕組みである。そのような意味におきまして、いままでにない、日本の都市計画の考え方、土地利用の考え方から言いますと、あるいはおそきに失したかもしれないけれども、数歩、あるいは画期的な前進と言ってよろしいのじゃないか。このような意味で、昨年の三月でありましたか、宅地審議会において、土地の利用の合理化について建設大臣に答申申し上げたのでありましたが、そこの趣旨としたところがほとんど全部——些少の点は相違があります。と申しますのは、既成市街地、市街化地域、市街化調整地域、それから保存地域といったような四つに分けたらどうであろうかという考えを答申のほうではされておるわけでありますが、その既成市街地と市街化地域を合わせてこの法案では市街化地域になっておる。市街化調整地域と保存地域を合わせて調整地域というふうになっておるというふうなことはございますけれども、全体として宅地審議会の答申の筋を貫いて立案されておるように私は存じますので、宅地審議会に関係しております一人といたしましても、何とかこのすみやかに成立させていただいて、早く実行に移法案をしていただくことが、いまの混雑がますます激しくなるであろう国土の利用に一つの大きな目安を与えてそれを実現していくと思いますので、焦眉の急に迫られていると思うのであります。
 少し余談になりますけれども、いまわが国の経済は、大来先生や皆さんを前におきましてあれでありますけれども、大体四十三兆、千三百億ドルぐらいになっておるわけです。アメリカに比べますと、アメリカが八千億ドルですから、七分の一ぐらいのところになるわけであります。ところが、国土の点から考えますと、私どもGNP密度ということばを使いますが、国土の面積でGNPを割りまして、つまり国土単位面積当たりどのぐらいGNPができておるか、それでもって国際比較が可能であろうと思ってやるわけでありますが、そうしてみますと、日本の場合ですと、三十七万平方キロでありますから、大体一万平方キロで三十三億ドルぐらいになると思う。けれども、アメリカの場合にはとにかく九百万平方キロあるのですから、幾ら八千億ドルあるといっても、一万平方キロ当たり大体八億五千万ドルぐらいなんです。ですから、一万平方キロ当たりでGNPを直してみますと、日本のほうがもう四倍くらいのものになっている。非常に密度が高い。非常に高密度社会になっている。人口密度から言ってもそうであります。そこへ持ってきてますます経済成長を遂げて、これを二倍にし三倍にし四倍にしよう、またなるであろうということが言われておるのでありますから、それをスムーズに実現するためには、密度のすでに高いGNP密度がうんと高くなるわけでありますから、これを合理的に有効に使用しなければならぬ。その有効に使用するという担保が実はいままでなかったと言ってよろしいと思うのであります。そのような見地からも、この都市計画法がそれを実現する一つの有力な手だてになる、さように思いまして、ぜひとも早く成立を実現しまして合理的なプランが進むようにしたい。
 そこで、先ほど大来先生からもお話がございましたが、このようなことをすると、市街化地域ではうんと土地が上がるのではないか、また、市街化調整地域との間にいろいろ格差ができて、何か妙な現象が起きるのではなかろうか、お値段の問題があるいは問題の大きな部分を占めることがあろうかと思いますが、私も、この点については大来先生が先ほどおっしゃったのと同じような考えを持っております。現在むしろ土地の値段といいますのが、乱雑にと申しますか、自由に立てられておる。それでスプロール現象が起きておりますのは、要するに、土地の値段の低いところをねらって、ちょうど谷間を縫って水が流れるような調子でうちが建っていく。本来ならば市街化調整地域としていろいろなそのような住宅なり設備なりができないはずであろうところに、そのために道路をつくり、電線を引き、水道をつくり、下水をつくる、あとから投資が追っかけていく。迷惑千万なことが起きておるのであります。ところが、そのようなところがある値段が立ちます。買う人がいるわけです。そうしますと、やはりそれが先ほど大来先生の言われた限界価格というものを形成して、その内側の土地の値段をプッシュアップするというような傾向がないわけではありません。ですから、現状において、東京の五十キロ見当のところの、交通の便が悪い、あるいは平地林であってにわかに人の住むようなところでないようなところまでが、ある値段をもって買いあさられるという結果になっている。それが逆に及んできているということもないわけではない。それが市街化地域と市街化調整地域とに分かれたとします。そうしますと、市街化調整地域においては、いまのような、安いから買おうといって、しかも住むに住めないようなところというものがすでに供給されなくなる、かように考えます。そのようなところにある限界価格が立たなくなります。そうだからといって、その市街化調整区域において土地を持っており、それを利用されておる方に何ら御迷惑をかけることはないのですね。そこで、従来のとおり、平地林を持ち、あるいは農業を営んでおられる、その限りにおいては——その持っておる土地が値上がりして、いつか売り離してやろうといって投機的な感じを持っておられる方々には、あるいは現状においてはある程度土地の値上がり期待があるかもしれませんが、それがある程度鎮静化するということで、そのような意味ではそのアンバランスということが問題になるかもしれませんが、現状平穏無事に農業に専心しておられるような方々に対しては、むしろ調整区域をつくることによって、ずかずかと、まあ露骨にいえば、不動産屋さんであれの悪いような人が、早く売りなさいとかなんとか言ってくるような、花園の中に土足で踏み込んでくるような現象がなくなるというふうに私は感じております。市街化調整区域の効用なんですが……。
 市街化区域のほうを考えてみますと、大体十年くらいの目標でもってお立てになるという感じなんですね。それは、世の中が変わりますから、五年くらいで再検討しよう、そこで人口とか産業とかその他あらゆる角度から見て、ここは市街化するのに適当なところであり、また、そこに集中、先行的に公共投資その他をやっていこうというプランを立てるわけであります。そこで、この十年ということを考えますと、その計算、もくろみが科学的に十分に立てば立つほど——つまり、住宅需要その他宅地需要に対する供給量が大体これで十分であろうという見込みで十年間ですね。そのようなところでなされるということになれば、つまり供給量に対する安定感というものが、需要に対してある程度——いまは、買えるか買えないか、高くなるかもしれないということで買いあさるということがありますが、市街化区域ができるということが需要に対してもやはり秩序を与える。ある程度それを計画的に冷静にですね。それが十年目標で立てられておるならば、ますますそういうことがあろうかと思います。しかも、そのときの値段はどんなふうにして立つであろうか。買う人があればこそ、ある値段が立つわけでありますが、公共投資が一度に全部ができるわけではありませんから、やはりプランで、第一年度はどこにどの程度、第二年度はどこにどの程度というぐあいに都市計画は進行していくであろうと思うのでありますが、そのようにだんだんなってきますと、それに応じた一つの値段は立つだろうと思います。さらに、用途地域地区制がいまはかなりルーズなところがありますし、また十分に施行されていないところもありますけれども、市街化区域にそれが施行されるとしますと——いまの土地の値段は、何に使われるか、一等高いところに売るというわけです。ところが、住宅専用地区となれば、工場をつくるわけではありませんから、その生産性にはおのずから差があります。商売をするわけでもありませんから、おのずからそこに限度ができます。したがって、価格秩序というものが、この都市計画ができ、それに基づいて用途地域地区制ができれば、おのずから秩序が立ってきて、乱雑に乱高下するということが、ある程度きちっと秩序が立ってくる、むしろそれがほんとうの安定的な意味を持つのではないか、そのように感じます。
 時間が参りましたので、だいぶ言い落としたところもあるかもしれませんが、この程度で……。
 土地利用計画、都市計画というものは、先ほど申したとおり、土地政策のすべての初めであり、それが土台にならなければできない。そこで、私は、税制調査会の土地部会の特別委員をいたしておりますが、昨年いろいろディスカッションが行なわれましたときにも感じたのでありますが、固定資産税を私どものことばで言う正常価格、時価というものを標準にしておかけいただくということがまず第一でありますが、そのほかに、たとえば未利用地税でありますとか、都市計画税の付加税的な、開発利益吸収というような意味でいろいろな考案もされるわけでありますけれども、そういうものをやります場合に、やはり土地の利用区分、この土地はどのように使うのが、その持ち主御本人も含めて社会のために一等いいのかという計画そのものが土台にありませんと、何とも手が出ない、そのような感じさえいたしますので、土地政策というものを、焦眉の急に迫られておるこの三十七万平方キロをどのように使うかということを具体的に推し進めなければならぬ、その土台になるものとして、何としてでもこの都市計画法を一日も早くつくり上げていただきたいと、私の立場からは切にお願いいたしまして、あとは御質問等ありましたらお答えいたしたいと思います。(拍手)

発言情報

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発言者: 櫛田光男

speaker_id: 14331

日付: 1968-04-11

院: 衆議院

会議名: 建設委員会