安井七次の発言 (建設委員会)

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○安井参考人 事務局のお許しを得まして、「新都市計画法案に関する要請」を御配付申し上げておりますが、あとでごらんおきをいただきたいと思います。この要請を中心に、現在審議中の新都市計画法案につきまして、この成立なり今後の施行にあたって特にお願いをいたしておきたい点を申し上げたいと考えます。
 この新都市計画法案は、基本理念としては、申し上げるまでもなく、無秩序な市街化を防止して、そうして農林漁業等と健全な調和をはかりつつ、よい都市生活、都市活動をはかるということが述べられております。この法案の内容と施行には農林漁業者が非常に重大な影響を受け、関係を持ちます。十分この点について御配意をいただきたいのでございますが、御配意をいただきたい点が四点ございますので、簡単に申し上げたいと存じます。
 そこで、農林水産関係業者が非常な関係を持ちますと申し上げましたのは、この新都市計画の中におきます農地の割合を申し上げますと、これは建設省の都市計画局調査のものでございますが、農地は二百二十三万ヘクタール関係をいたします。御承知のように、農地全体は五百十三万ヘクタールでございますから、全体の四三%が影響を受けます。さらに、問題になります市街化区域及び市街化調整区域を定める都市計画の中に入ります農地は百六十万ヘクタールございまして、これは全農地の約三一%に当たります。したがいまして、問題になります市街化調整区域の影響も見のがすわけにはまいりません。対象農家のほうを見ますと、都市計画法の地域におきます農家数は三百五十一万戸でございます。全体で五百六十六万戸ございますから、これは六二%の農家が関係を持ってまいります。さらに、問題になります市街化区域及び市街化調整区域を定める都市計画の中に入ります農家の数は、特にこの際実施をされます十万人以上の都市の関係、この計画の対象になります地域に入ります農家は八十二万戸でございます。これは二三%でございます。
 以上申し上げましたように、それぞれ非常に農業者のほうが関係をいたしますので、特に御配慮おきをいただきたいと思います。
 そこで、問題の第一は、市街化調整区域の問題であります。この地域は、御承知のように、今度審議をされます農業振興地域の整備に関する法律案と、ここで審議をいただいております新都市計画法案との谷間になるおそれがございます。両方から力の十分入らない、日の当たらない谷間になるおそれがございます。御承知のように、農業振興地域の整備に関する法律案は、農業振興をはかりますために、主として、もっぱら農業の行なわれる地帯を今後五年間に二千五百ないし三千指定をいたしまして重点施策を施そうということになります。となりますと、やはり農業中心地帯から始まって、どうしても都市計画法の中に入ります地帯はおくれてまいると思います。一方、この新都市計画法のサイドから見ますると、これは都市化を抑制をするために、調整区域——いま申し上げておりますのは特に調整区域の問題でありますが、調整区域は、抑制するということで打ち切っておられますので、どうしてもこの谷間になる懸念がございます。
 それでは一体どうしたらよいであろうかとわれわれが考えますと、この際はこの地域はやはり農業振興地域指定の中へ明らかに入れておくほうがよいであろう。市街化調整区域は谷間になりますから、ならないように、農業振興地域の区域へ入れておくことが、施策上あるいはそこの農民として最も安定をした生活ができ得る政治になるのではないかと思います。これが御考慮おきをいただきたい第一点であります。
 第二点は、今度は調整区域ではなくて市街化区域において、この地域に入ったところは、農地法の改正が附則の第四項で行なわれますから、それに関連をして非常に課税が重くなります。この点はどういうぐあいに処置をすべきものであろうかという問題でありまして、市街化区域においては、特に農業を継続して行なう農家が先ほど申し上げましたようにやはり非常に多うございます。その中でやはり麦畑がある、農業を継続して生活を営む農民がたくさんございますが、これを農地法の転用許可の要らない地域にいたしてしまいますと、農業経営を保護する農地法の適用をなくいたしますから、非常に高い税金がかかります。その高い税金のかかる中で農業を営むという非常に矛盾をしたことになりますので、この点の配慮をいただきたいと思いますが、特に税といたしましては、固定資産税、それから都市計画税、さらに相続税が最も大きな影響を受けるようになります。この点は多少内容に触れて申し上げたいと考えます。
 まず固定資産税でございますが、現在の農地は、これは皆さん御承知のとおりに、正常売買価格を基礎といたしまして、その五五%をかけましたもので固定資産税をかけております。したがいまして、米価のときよくわれわれが申し上げますが、反当大体五万円中心に課税がされております。そうしてこの農地というものの規定を、農林次官通牒なりあるいは農地法に基づきます農地区分によって、第一種、二種はそういう安いものでやります。農地法の転用許可をしなくてもよろしいに近い三種になりますと、非常に高い基準で固定資産税を取られております。したがって、この場合農地転用許可を要しない地域に指定をされますと、まず固定資産税が非常に高くなります。その中で農業経営を営まなければならぬ農民としては非常に苦しい立場になりますので、この点をどう措置するか。
 次に相続税の場合でございますが、これはいま申し上げました固定資産税を基礎にして、それに倍率をかけて相続税を取ることにいたしております。ところが、この市街化地域は、先ほど申しましたように、農地転用許可を要しない地域になって、固定資産税が上がると基本が非常に上がって、それに倍率をかけますから、非常な相続税を取られます。しかも問題は、相続税の倍率をかけますのが、所によっては百倍も高い倍率をかけておる実例はたくさんございまして、これは皆さん御承知のとおりであります。そのために、相続をされた者が農業経営ができなくて、農地を売らなければならぬという場合になります。
 さて、そういう事態になりますと、この地域に対する措置を、農地転用許可を要しないものにするか、それにかわる方法を考えていただくか。私はやはり農地転用許可を要する地域にしておいていただきたいが、どうしてもできない場合、それが困難な場合、転用する場合にはその方は届け出をする。その届け出を受けられましたところは許可を要しません。届け出を受けられたところはそれで宅地に変更しちゃうということで、さらに、そうなりますと、その中において農業を営まれます方は届け出をいたしませんから、従前の課税対象標準額で進んでまいりますから、農業経営には支障はないのではなかろうか、この点を何らかの方法でひとつお考えおきを願いたい。
 さらに、この農地についていままでの都市計画税をかけるということについて、宅地審議会の答申あるいは税調の土地部会、これは都市計画税をかけたいという方針でお進みになっておりますが、これも農地として事実使っておるところについてはひとつかけないでやっていくという方法等の御配慮をお考えおき願いたいと思います。
 次に第三点は、皆さんのお手元に御配付を申し上げております「要請」の最後の裏のほうになりますが、都市計画区域の決定及び市街化区域の指定にあたっては、極力その範囲を縮小していただきたい。そして都市再開発を積極的に進めてもらいますが、国土の総合的有効利用を促進するという次元に立って、より効率的な都市計画を行なうことをお願いいたしたいと思います。
 この中身の一つとしては、われわれも常に感じております建蔽率の問題、高い土地における現行の建蔽率がよいのであるのかどうか、さらに、先ほどそれぞれの方からもお話がありましたが、高い宅地に平家を建てておるという現況、まさに、こういうのを見ますると、横広がりばかりで、土地を要するだけの傾向に見えますから、この点の御配慮おきをひとつよくお願いいたしたい。
 それから第四点は、都市計画の策定にあたっては、地区内農業者の意見が十分反映されるように措置をしていただきたい。
 今度の法律案を見ますると、公示の日から特定の期限内にそれぞれ縦覧をさせて、よく見ておくように、そして意見のある者は届け出るようにということになっております。御承知のように、農業者、住民というものは、どうも縦覧とか意見書を出すというのはきわめてふえてであるようでございますから、私は、これは先ほど参考人の方からもお話がございましたが、公聴会等でよく徹底をさせ意見を求めるという、現状に合った方法をさらにお考えおき願ったらどうであろうかと思います。
 それからもう一点は、計画を策定いたしますために、地方においては審議会を持たれます。審議会委員の構成にあたって、われわれ農業団体者を、学識経験の中と規定をされてもけっこうでございますが、それらを入れて十分意見を出させ、承知をさせ、そして計画を立てられるなら、全体もよく了解をするのではなかろうか。この点を第四点としてお願い申し上げたいと思います。
 以上、総括いたしますと、法の制定なり施行にあたって、申し上げました四点に十分の御配慮をお願い申し上げたいということでございます。
 時間が参りましたので、簡単でございますが……。(拍手)

発言情報

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発言者: 安井七次

speaker_id: 31223

日付: 1968-04-11

院: 衆議院

会議名: 建設委員会