川田侃の発言 (予算委員会公聴会)
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○川田公述人 大体大来先生が御説明になったこととダブリますが、最初の第一点の御質問に関して、私もほぼ同じ考えであります。
イギリス、西ドイツの景気が回復してまいりましたので、そういう点では必ずしもそう悲観するにはあたらないのじゃないか。やはり問題はドルと申しますか、世界通貨の問題が問題でありまして、これはやはりベトナム戦争と非常に大きな関係が出てくるのではないか。ただ、この点に関連してフランスの金吸収策というのがかなり——二十八年にフランスが金吸収策をやりまして、それからたいへんな金をため込んだわけでありますが、そのために三十一年の金融恐慌が来たという説もあるくらいの金吸収策をやったわけでありますが、現在やっておりますフランスの金吸収策は、私は、フランスの実力からいって、これ以上もうやれないのではないか、そういう点ではフランスの金吸収策には相当限界があるのではないかという感じを持っております。
それからドル、ポンドについては、ポンドもかなり弱まりましたけれども、そうかといって、マルクやフランがこれにかかわり得る国際通貨になるだけの実力はまだない、そういう観点からいきますと、やはりドルとポンドというのが依然として世界通貨として続いていくであろう。ただ問題は、世界通貨の大混乱が、ドルの基盤が弱くなることによってどうなるかということに将来——非常に長い将来でありますけれども、私は、いささか大げさになりますけれども、究極的には、現在の世界銀行は社会主義圏は入っておりませんが、やはり最終的にはルーブルも含めた意味での全世界的な通貨機構というのができなければ、これは国際経済にとっては、国際貿易の発展にとっても妨げになるのではないかというように感じております。
第二の点でございますが、この点もリージョナルなコーポレーションの問題はたいへん複雑な問題でありまして、大来さんがおっしゃいましたように、後進国の地域統合というのは、これは私はかなり意味があるように思います。たとえばラテンアメリカのように、各国各国がたいへんな強い保護政策をとっているときに、一たんラテンアメリカの中で地域統合をやることによってその中で自由化を進めていくということによって、後進国の過度の保護主義を少しずつなくしていくという点ではリージョナルなコーポレーションが後進国同志で行なわれる。ただ、この点について、東南アジアについては、私は悲観的であります。ラテンアメリカのような場合と違いまして、東南アジアの場合には、政治的、軍事的にもそうですか、経済構造からいいましても非常に違っておりますので、東南アジア諸国同士がラテンアメリカのような地域統合をどうやって発展させていくかということは、これは大問題になっていく。そういうところに日本がたとえば太平洋アジア協力圏というようなものをどうやってつくるか。三木構想というのが発表されていろいろ論議をされておりますが、ねらいとしてはもちろんEECのように対外共通関税のようなものをつくらない。ああいう閉鎖的なものでなければ、それなりの効力があるかもしれませんが、これはつくることが大体非常にむずかしいのではないか。太平洋に限りましても、必ずしも利害が一致しておるわけではないという点でもかなり問題があるのではないか。そういう点で私などから言いますと、ちょっと語弊がありますが、若干スタンドプレー的なところがあるのではないかという感じを持ちます。
太平洋経済圏というようなもの、これは一種の先進国同士の経済協力でありますが、これは私は若干大来さんと違った意見を持っておりますのは、EECにしてもOECDにしましても、それからケネディの出しましたアトランティック・パートナーシップにしましても、これは決して経済的な問題だけではない。必ず軍事的、政治的な問題がある。これは歴然とはっきりしておるわけであります。イギリスかEECに入れなかったのも、実際は多角的な核戦力の問題であって、経済的な問題よりも政治的な問題のほうがウエートが強かった。太平洋経済圏というようなものをつくりますと、日本の意図はどうあれ、やはりこれは一種の政治的インプリケーションあるいは軍事的インプリケーションを持つものとして評価されるのではないか。そういう点では、私はむしろ日中貿易なり日ソ貿易に悪影響が出てくるおそれがあるという点であまり賛成できない。ソ連あるいは日本からしましても、日ソ貿易というのは、日本の全貿易量あるいはソ連の全貿易量から比べても、非常に小さいわけであります。それから日中貿易にしましても、日本の全貿易量と中国の全貿易量から比べて、決して大きいものではない。日本から見れば非常に微々たるものであって、これはもっともっと伸びる可能性がある。中国は確かに——私も去年一カ月ばかり見てまいりましたけれども、これは強敵になるということは目に見えておりまして、十年後あるいは二十年後にはたいへんな競争相手になることは、これはもう疑う余地のないほど進みつつあるわけであります。しかし、この点は私も大来さんと同じように、中国が非常に工業化が発展しましても、むしろ現在の世の中は、発達した経済国同士の経済交流のほうが盛んになって、つまり製品の多様化というのがどんどん行なわれておりますので、中国の経済水準が上がることは逆に日本にとっては中国市場が広がることになる。そういう点ではむしろ日中経済交流あるいは日ソ経済交流の前途は非常に大きく開けておるように思います。もちろん東南アジア輸出ということに関しては中国はたいへんな競争相手になると思いますが、それについては日本はもっと経済を高級化しなければならない。特に、さしあたり中小企業などは、製品の高級化を含むところの近代化ということを推し進めていかなければならないと思います。その他の点は、大筋では大来さんと違いませんが、最後に統計について、私には御質問がなかったようですが、ちょっと私の感じたことを申し上げたいと思います。これが特に非常に重要だと思いますのは、ノルウェーに私行きましたときには、つぶれかかった家というのは国家の命令で取りこわすことになっております。そういう統計ができておるわけで、日本のように崩壊寸前の家がハイウエーを走っていて見えるというようなことはないわけです。ないわけというのは、政府がそういう措置を講ずるわけです。しかし、それはそういう統計ができていて、この家は倒壊寸前であるということであれば、それを取りこわして、政府が援助して建て直させるというところまでいっているわけであります。
もう一つ、スウェーデンの例で言いますと、たいへん小さい零細農業はやめさせる。日本もおそらくそういう事態、が来ると思うのですけれども、零細農業として成り立たないようなケースを一々こまかく全部データに取っていて、この農家はとうてい二代、三代と受け継いでいけないというふうに判断する資料が整っていて、その上で零細農業を切り捨てる——切り捨てると言っては語弊がありますが、国家が補助金を出しまして、二代目までは補助金で援助をし、そうして、職業訓練をやって業種転換をはかる。そこまでやっているわけですが、そういう政策を立てるにはやはりしっかりした統計がなければならないという点で、こまかい統計がまだ日本にかなり不足し、それが政策の明確な提案ないし政策の明確な立案を妨げている根本的な原因になっているように私は思いますので、やはり小さな問題ではないように思います。たいへん簡単でございますけれども……。(拍手)