鈴木力の発言 (文教委員会)
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○鈴木力君 ただいま議題となりました国立及び公立の学校の教員に対する研修手当の支給に関する法律案について、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
一般的にいって、教育においては教える人の問題がまことに重要であり、教育の発展が個々の教員の人格及び教育的・技術的資質に依存するものであることは、申し上げるまでもありません。そして、これらの資質を向上させるためには、教員の研修が欠くべからざるものであることもまた多言を要しないところであります。
したがいまして、すべての教育計画は、教員が自主的、積極的に研修を行ない得るよう十分な機会の提供がはかられるとともに、専門的職務への集中を可能ならしめる措置が含まれるものでなければなりません。
わが国においても、このことはつとに認識され、教育公務員については、他の一般公務員制度の特例としての教育公務員特例法が昭和二十四年に制定され、特別の研修制度がしかれております。すなわち、他の一般公務員が当局の行なう研修を受動的に受けるのに対して、教育公務員の場合は、能動的にみずから研修することを義務づけられているのであります。教育者の本質、使命からして、当然のことでありましょう。
しかしながら、このような教育者の使命もしくは義務の遂行も、教育者に対する待遇の考慮、研修費の提供、研修施設設備の整備等の諸条件が確立されなければ十分に期待できないことも、また言うをまたないところであります。かような点の理解があったればこそ、教育公務員特例法制定時においても、国会では、研修費に対する財政の裏づけの問題が真剣に討議され、法案修正の方針をきめたのでありましたが、当時は占領下のこととて、遺憾ながら国会の意思は貫けなかったのであります。
その後、十数年を経ましたが、その間の文部省の研修に対する施策を見ますと、文部省講習会の開催、教育研究団体に対する補助金の支出、教育会館、教育センターの設立等、文部省なりの努力のあとがうかがえますが、これらの予算や施設はほんの一部の教員が利用し得るのみで、すべての個々の教員が研修に打ち込む予算の裏づけ、機会の提供からはほど遠く、むしろ、今日教育学界において問題になっている教育課程の統制的押しつけ、画一的な天下り教育研究の推進以外に何らの意味がなく、現場の大多数の教師にとってきわめて大きな不平不満の要因になっております。その結果は教育界に沈滞の風潮を招来し、日本の真の教育発展に対して大きな不安を与えているのであります。
今日、教育公務員の待遇は、他の公務員と比較しても、決してよいとは申せません。また、研修費についても、国立大学には相当額の講座研究費や教官研究費が予算化されておりますが、高等学校以下には全然ありません。ところが、私どもの最近の実態調査では、高等学校以下の教員が研修のために、毎月自分で購入する図書の費用は、約二千円という事例が最も多いのであります。また、各種の研究会、講習会への参加や見学、研究のための出張、旅行等に要する費用と労力も相当なものにのぼっております。なお、旅費については、予算上は教員一人当たり年間平均一万円程度でありますが、これは赴任旅費や校長、事務職員の事務連絡旅費等にほとんど食われてしまい、修学旅行、臨海学校、林間学校、対外試合等の付き添い旅費はPTA負担に依存している状況で、研修のための旅費は事実上皆無に近いのであります。
このような実情を考慮いたしまして、教員のすべてに研修を積極的に行なってもらうためには、この際是非とも研修手当を支給する必要があるとして、本法律案を提出した次第であります。
本法律案の内容といたしましては、第一に、国立の高等学校以下の常勤の教員に対して、月額四千円を研修手当として支給すること。第二には、公立学校の教員の研修手当は、国立学校のそれを基準として定めること。第三には、施行期日を昭和四十三年四月一日としていること。第四には、附則において関係法律の改正を行ない、市町村立学校職員給与負担法の改正に伴って、義務教育諸学校の教員の研修手当の半額は、国庫が負担することになることを特に付言いたしたいと思います。
以上でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。