鈴木力の発言 (文教委員会)
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○鈴木力君 ただいま議題となりましたへき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
わが国には、山間地、離島その他の地域にあって、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない、いわゆる僻地が散在しております。この僻地に、昭和四十二年五月の調査によりますと、五千八百五十二校の小学校及び二千百九十二校の中学校があり、全国の公立小・中学校のうち、僻地小学校は約二三%、僻地中学校は約二〇%の割合を占め、その児童生徒数は小学校五十一万一千九百三十六人、中学校二十四万八千九十二人であります。これらの僻地学校には小学校三万一千九百十人、中学校一万七千六十二人の教員が勤務しているのであります。
ところが、僻地学校は一般的にいって小規模学校が多いこと、学校の施設、設備が貧弱であること、児童生徒の通学条件が悪くかつ困難であること、要保護、準要保護児童生徒が多いこと、保健衛生の状況が悪いこと、教員の配置に困難が伴うこと等、その教育条件はきわめて劣悪であります。
このような劣悪な教育条件のもとにある僻地学校に対しては、教育の機会均等の理念に基づき、平地学校以上のきめこまかい行財政上の配慮が必要であります。
以上のような理由から、昭和二十九年の第十九回国会においてへき地教育振興法が制定され、さらに第二十八回国会には同法の一部改正が行なわれ、僻地教育の改善充実は着々と進められてまいりました。
しかしながら、僻地の一部は交通機関の発達により、交通条件等に多少の緩和が見られますものの、なお全体的に見れば、その生活文化水準及び教育水準は他に比べて一そう格差を生じつつあるのが現状で、僻地教育の振興施策は特段に徹底される必要があると信ずるものであり、ここに本改正案を提出した次第であります。
次に、改正案の内容のおもな点について申し上げます。
まず第一点は、僻地学校の定義についてであります。すなわち、現行法におきましては、「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校をいう。」とありますが、今回これを「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低い山間地、離島」云々と改めたことであります。
近年における交通機関の発達とテレビ、ラジオの普及等は、僻地の状況に多少の変化を与えておりますが、僻地における地域住民の生活文化水準は依然として低く、その上産業開発のおくれと人口の漸減等の理由により、僻地市町村財政の悪化も加わり平地との生活文化水準の格差は一そう開いております。これが学校教育の面に対しても大きな影響を与えていることは当然であります。したがって、僻地学校の定義を「その地域住民の生活文化水準の低い山間地、離島その他の地域に所在する小中学校」と改めたものであります。
第二点は、市町村の任務として、学校給食に関する規定を新たに掲げて、その任務を明確にしたことであります。
学校教育の一環としての給食を特に必要とする僻地学校における給食の実施状況は、高度僻地の特別対策としてパン、ミルク給食を開始した結果、その実施率は相当に上昇いたしましたが、完全給食については全国平均小学校では七二%に比し、四九%といまだ低い現状にあります。申すまでもなく、僻地における給食の普及率の低いことは市町村財政の貧弱と地域住民の貧困がおもな原因であります。
それゆえに、ここに学校給食に関する規定を定めて、学校給食の普及を一そうはかろうとするものであります。
なお、その実施にあたっては、年次計画をもって逐次整備するものと考えております。
第三点は、市町村の任務として、僻地学校の児童生徒の通学を容易にするための必要な措置を明確に規定いたしました。
僻地における通学条件を改善するための一つとして、バス、ボートの整備が必要であることは御承知のとおりでありますが、その運営費も年間相当額にのぼり、財政力の貧弱な市町村にとっては過重な負担となっておりますので、これを国庫補助の対象とするよう改めております。
また、寄宿舎設置についての市町村の任務を明らかにし、これに要する経費に対して国庫補助の対象とするよう法の整備を行ないました。なお、これが設置の計画といたしましては、僻地の四、五級地の最も条件の劣悪なところから年次計画をもって設置すべきものと考えております。
第四点は、僻地学校の級別指定の基準を定める場合に、僻地条件の程度とともに市町村の財政状況をも考慮することといたしたことであります。
僻地学校の級別指定の基準には、僻地条件の程度によって級別指定が行なわれることは当然のことでありますが、当該市町村の財政力の貧弱度が学校の施設設備その他の面においておくれを招き、ひいては学校教育に大きな困難をもたらすことを考慮して、これを特に級別指定の要素とするように措置したものであります。
また、僻地に勤務する教職員に対して、僻地手当の支給割合を従来よりも最低二%から最高一一%まで引き上げ、特に僻地性の高い五級地については保健、医療その他の衛生に関する環境の程度に応じて一種から三種までに分けるとともに、これらの級地別の最低保障額を設けることによって、教職員の待遇改善を行ない、人事異動を円滑にし、有能な教職員を配置したいと考えております。
第五点は、市町村が行なう事務に要する経費のうち国の補助率を現行の二分の一から十分の八に引き上げております。
僻地の市町村は財政力が貧弱であり、昭和四十一年度の調査によれば、僻地を持っている一千五百九十八市町村中その財政力指数二〇%未満が四百一団体、二〇%以上四〇%未満が七百八十六団体であって、実に七四%以上の市町村の財政力指数が四〇%以下となっている現状であり、これがため積極的に僻地教育振興のための諸施策を促進させるには、国の二分の一の補助をもってしては実効をあげ得ない現状でありますので、補助率を大幅に引き上げて僻地における教育の充実向上をはかりたいと考えております。
なお、附則におきまして、施行期日を昭和四十三年四月一日といたしております。
また、昭和四十二年以前の予算にかかる国庫補助金については、従前の例によることといたしております。
以上が、この法案の提案理由及び内容の概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申しあげます。