佐藤榮作の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
本会議の施政演説あるいは所信表明、たいへん限られた時間である、どういうわけでそういうことになるか、これは私が皆さん方に申し上げるまでもなく、国会運営のベテランでありますから、よく御承知のことだと思います。あるいは事柄によりまして、本会議で説明することが適当な場合もありますし、あるいは他の委員会に譲るほうが適当な場合もあります。したがいまして、それらのことを勘案いたしまして、在来からの経験を主にいたしまして、一通りの型ができております。しかしながら、ただいまもお話がございましたが、その経験による型ばかりにたよらないで、新機軸を出せ、こういうような御主張かと思います。しかし、これらの事柄につきましては、さらにさらにベテラン同士が十分想を練っていただきたい、かように私もお願いいたしておきます。
ところで、最近の経済についてのいろいろな御批判がございました。私も政治の目標、同時にまた経済の目標、これはすべて国民そのもののしあわせにつながるものであり、それを増進することによって初めて経済の目的が達せられる、かように私も考えます。最近の経済の動向を見ましても、御指摘になりましたように、ただいままでの高度成長、それが直ちに国民生活と直結していない、そういうようなきらいはございます。これは堀君の御指摘のとおりであります。私どもは、これらの点について十分今後考えていかなければならないと思います。私がさらに詳しく申し上げるまでもなく、過去十年間、日本の経済の規模は年々増大しておりまして、大体平均一〇%の成長を示しております。今後二十年間の平均成長率は七ないし九%にする、かように見てまいりますと、将来日本の経済成長、これはすばらしいものがあり、そうしてそこに繁栄が持続するものだ、かように考えます。しかし、ただいま申し上げましたように、急激な経済成長に比べまして、生活環境の整備や食生活の面においては、欧米諸国よりも相当の隔たりがあるということは、御指摘のとおりであります。国民生活の安定をはかり、国民福祉を向上させることは、先ほども申したように、最終目標であります。私が、高度成長期のあとを受けまして、社会開発を提唱したのも、かような趣旨からでございます。
政府としては、今後とも均衡のとれた、経済の安定した、持続的な成長をはかりつつ、よりよい生活環境の整備、消費生活の充実と、豊かで平和な国民生活、住みよい社会の建設に一そう努力してまいる考えであります。このためには、すでに経済社会発展計画を作成しておりまして、住宅や上下水道、あるいは公園、緑地、道路等の生活環境の整備に重点を置いて政策を進めております。また、先年行なわれました国民生活審議会の答申等も、これらの趣旨を尊重して、御指摘のとおり、今後とも一そう国民生活の充実を目ざして各般の施策を講じてまいる考えであります。
次に、公取の機能を強化しろ——私とも政治に課せられた課題のうちで、いろいろの重要な問題がございますが、当面するものとしては物価問題がたいへんな問題であります。これは政治の重大課題だ、かように考えております。そこで、公取がこの物価問題と取り組んでおりまして、違法な価格協定であるとかあるいは再販行為等の規制につきましても、公正取引委員会が今後一そう活動しなければならないと思います。私は、今日までのこの努力を高く評価するものでありますが、公取が一そう積極的にその職務を遂行していただきたいと思います。かような意味で、ただいまお話のありましたような四十四年度の予算編成の際には、公取の人員増加、その他また活動に便するようなそれぞれの所要の経費を計上しろというお話でございますが、私も同じような考えで努力するつもりであります。
そこで、お話しになりましたカラーテレビについての一つの御提案がございました。ただいま国内価格、これを輸出価格並みにひとつ下げるような方法はないか、そうして、具体的には十万円以上のものはもう買わない、ひとつ不買同盟をつくったらどうか、かようなお話がありますが、私は、ちょっと穏当を欠く処置ではないかと思いますけれども、これらの具体的な方法につきましては、さらに理解ある生産者の協力を得まして、また、公取の適正なる活動と相まちまして、価格を引き下げることに一そうの努力をいたしたい、かように思います。
また、入浴料金についてもお触れになりました。私は、この入浴料金——まあ暑さのこの際でありますので、生活に即したたいへん身に迫まるような思いのする問題だと思います。そういう意味で、あるいは公設の入浴場ができないものだろうか。ただいまの御提案に対しまして、私からもさような意味の御提案をいたしてみたいと思います。そうして、この入浴料金をできるだけ安くするようにいたしたいものだと思います。
また、消費者米価の問題についてのお話がありましたが、御指摘のとおり、生産者米価と消費者米価の間を正常化しなければならないこと、これはもうすでに御承知のことだと思います。しかし、生産者米価は引き上げろ、消費者米価は据え置け、かように言われましてもまことに困難なことであります。この点では私どもは、生産者米価におきましても適正な価格、また、消費者米価におきましても正常化された消費者米価と、ひとつ納得をしていただきたい、かように思いまして、両者の間の調整をはかっている、これが政府のいまの考え方であります。私は、米の値段はいわゆる二重米価であり、消費者米価が安かったら政府でこれを補えという、かような御意見がございますが、必ずしも二重米価そのものがよろしいというわけのものではないだろうと思います。さような意味でこの問題と取り組むべきだと思います。
そうして、総合予算主義についてお触れになりましたが、総合予算主義は、四十三年度予算編成に際しまして、国会の承認を得た基本的な方針であります。財政硬直化を改善するためにもこの総合予算主義でなければならない、かような考え方であります。私は、総合予算主義をただいま変更する考えはございませんが、しかし、われわれが予想しなかったような事態が起これば、それはもちろん補正予算も組まなければならない、かように私は思っておりますが、とにかく、基本的な方針でありますから、これを守っていくようにあらゆる努力をするつもりであります。
次に、公務員の給与についての人事院勧告をどういうように扱うかというお尋ねでありますが、在来から公務員の人事院勧告、これは尊重する政府の態度であります。今回ももちろんその基本的な態度のもとに、これの実施につきまして善処する考えでございます。それで、その際に、警官や税務職員や教員等について特別な配慮をしたらどうかという御提案でございますが、それらの点も特別な配慮ができるかどうか、その辺もよく検討してまいるつもりであります。
次に、社会保障についていろいろお話がありました。私は、日本の社会保障制度は、その中身におきましてもまた水準におきましても、まだ低い、他の先進国に比べましてこれは低いと思います。したがいまして、総体の水準を高めるように努力いたしますが、同時にまた、各項目につきましても、ときにまだ全然配慮されてないというような問題もあるのではないか、これらもさらに掘り下げて検討するつもりであります。
そこで具体的な問題として、老齢福祉年金の夫婦受給制限の件についてお尋ねがありました。私は、これはまだ政府の意向を決定したわけではないとかように言われましたが、このただいま裁判になっております控訴の結果いかんにかかわらず、裁判の結果いかんにかかわらず、この老人の夫婦受給制限、これは廃止する方向で検討したい、かように思っております。そのとおり、ただいま言われますように、これをやめる方向に検討するということをお約束しておきます。
次に、国民のしあわせのために最も大事なのが医療保険である、かようなお話であります。私もさように考えます。したがいまして、医療保険の抜本対策というものにつきまして、これを十分考えていかなければならぬと思います。単に医療保険制度だけではなく、医療制度、公費負担制度等、関連制度を含めた国民医療全般にわたる総合対策でなければならない、かように思います。政府としては、現在、各方面の意見を参考として、その具体策について鋭意検討中であります。各方面にも納得の得られる成案を得るように、一そうの努力を重ねるつもりであります。
次に、炭鉱災害の問題についてお話がありました。私が申し上げるまでもなく、先般平和炭鉱の災害によりまして多数のとうとい人命を失うに至ったことは、まことに私も遺憾にたえない、かように思っております。政府といたしましては、人命尊重を第一義として、従来から鉱山保安の確保、これをはかってまいりましたが、ただいまのようにたびたび事故が起こる、こういう現況にかんがみまして、堀君からも具体的な御提案がございましたが、今後とも保安対策につきましては一そうの拡充強化をはかりまして、災害防止に万全を期してまいるつもりであります。
最後に、選挙制度について、御意見を交えてのお尋ねがありました。この参議院選挙の結果、確かに地方区等におきましてアンバランスが生じておる。衆議院の場合はそれぞれ人口調査の結果、それに合うように定員を直しておりますが、参議院の場合はややおくれております。したがいまして、第六次審議会を招集して、そうしてその審議の結果、この定数の改正をはかったらどうか、かような御意見でございます。私はこの問題も十分考えなければならない。参議院地方区の場合、確かに御指摘のような非常なアンバランスが生じております。これを適正に直すことは今日の急務ではないか、かように思います。もちろん、これら審議会におきましても、こういう点について第五次の場合もすでに意見が交換されたと思いますが、しかし積極的な答申を得るには至らなかった、かように思いますが、今回はそういう点もこの審議会の答申を得たい、かように思います。
また、政治資金規正の問題につきまして、一つの具体案として、審議会の答申どおりそのままひとつ変更しないで法制化しろ、こういうような御意見でございますが、これは御意見として伺っておきます。私は、一つの理想論はともかくとして、実施可能なもの、一歩でも前進する、かような態度でありたい、かように思っております。(拍手)
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