佐藤榮作の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 正木君にお答えいたします。
 まず最初、中国問題。中共が排他的な対外姿勢を改め、現実的、平和的な道をとるに至ることが、アジアに真の安定と平和をもたらすために不可欠の条件であることは、申すまでもありません。政府といたしましては、従来より、政経分離の原則にのっとり、忍耐強く、中共がアジアの近隣諸国に対し友好善隣の政策をとるに至るよう、待望している次第であります。しかしながら、現在、中共内部における情勢や、中国をめぐる国際情勢に根本的な変化があったとは認められません。したがって、これまでどおり、政経分離の政策を維持することが、最も現実的であり、かつ、わが国の国益にも合致するものと、かように確信しております。この私の意見は、先ほど社会党や民主社会党の方にもお答えしたとおりであります。
 中国代表権問題につきましては、基本的に従来のわが国の立場を変える必要があるとは考えておりません。この点は、はっきり申し上げておきます。
 吉田書簡の取り扱いにつきましても、先ほどお答えいたしましたので、これは省略さしていただきます。
 ただいま正木君から、中国の敵視政策をやめろと、かように言われましたが、私は、いまだかって中国の敵視政策をとったことはございません。その程度に私を理解しておられること、まことに残念であります。(拍手)はっきり申し上げます。
 沖繩の返還とアジアの緊張緩和についてお答えいたします。
 沖繩返還問題を日米関係の友好と信頼の基礎に立って一日もすみやかに実現するという決意は、私がしばしば申し上げたとおりであります。アジアの安定は、それ自体、わが国の平和と繁栄につながる重要な問題であります。私は、中国をめぐる諸情勢が一日も早く安定し、また、ベトナムにおける公正にして永続的な平和が一日も早く到来することを心から念願し、そのため、できる限りの努力を続ける考えでございます。
 私とジョンソン米大統領との会談は、日米共同声明に盛られたとおりであります。いわゆるスナイダー日本部長の議会における証言につきましては、先ほど三宅君からもお尋ねがありましたが、その一部が報道されて、誤解を招いた面もあるようでございますが、その後ラスク長官の発言——これは記者会見でございますが——でも明らかなように、両三年内に返還の時期についてめどをつけるという私の確信は……(「私のだ」と呼ぶ者あり)私の確信はゆらいではいません。日米会談については、共同声明以外の秘密合意は何らありません。おそらく諸君も、沖繩自身が早期に祖国復帰すること、これを心から願っておられると思います。私も同様でございますから、その線に沿って御協力を願いたいと思います。
 次に、国政参加の問題についてお答えいたします。沖繩住民の国政参加につきましては、本土との一体化の推進という観点から、沖繩住民の要望にこたえて何らかの方法でその国政参加を実現するよう努力しております。去る七月一日の第十四回日米協議委員会において、米国政府に対し、この問題についての好意的な配慮を要望したところであります。今後ともこの問題については鋭意努力してまいる所存であります。
 基地公害の問題についてお答えいたします。
 所得表明演説で特に国民各位の御理解を求めたように、米国は安保条約によってわが国を防衛する責務を負っており、わが国はこれに対して基地及び施設を提供する義務を持っているのであります。わが国に駐留する米軍及びその使用する基地、施設は、日本の安全に直接寄与し、また、極東の安全と平和に重要な役割りを果たしております。この点は、国民各位の十分な御理解を得ているところでありますが、政府は、日本の安全を確保するという見地から、今後とも日米安保体制の堅持について国民各位の御理解を得るよう努力してまいります。しかしながら、米軍基地が大都市周辺に多くあるため、とかく基地周辺住民に生活上の不安や危惧を与えていることを考え、政府としては、その不安や危惧を取り除くよう最善の努力を払ってまいります。
 米軍基地は、国際情勢の推移、科学技術の進歩等を反映し、数においては当初の約二十分の一、面積においては約六分の一に縮小されておりますが、今後ともさらに整理縮小する方向で、近く日米両国政府の話し合いを開始することになっております。私は、絶えず総理といたしましてこの点を事務当局にも指示しております。
 ただ、ここで特に御理解を得たいと思いますのは、この基地問題は、日米安保体制を基本的に否定しようとするいわゆる安保反対運動と、安保体制は是認するけれども基地周辺住民の生活上の不安をなくしてほしいという国民の率直な声とが、ともすれば混同されている面がありますが、国民各位は特にこの点を十分見きわめていただきたいと思います。(拍手)
 次に、電波障害の緩衝地帯の問題についてお尋ねがありました。全国十三カ所にのぼる緩衝地帯の設置は、施設周辺に与える影響も大きいので、米軍要求の必要性につきまして十分調査し、一方、周辺の開発計画と地元の利害関係をも勘案の上、本問題の解決をはかりたいと考えております。それにつきましても、私は日本の総理でございますから、誤解のないように、アメリカの利益、それのみを追求するとか、かような表現は、ひとつ取り消していただきたい。(拍手)
 次に、七〇年問題の具体策につきまして、政府といたしましては、現下の国際情勢にかんがみ、一九七〇年以降においても安保体制を堅持する方針でありますが、いかなる形でこれを堅持するかは、世論の動向を十分見きわめた上できめたいと考えております。
 核拡防の問題であります。わが国は核戦争の脅威をなくするため、この条約の精神には一貫して賛成してきております。しかしながら、この条約はわが国の将来の国益に影響する重要な問題を含んでおりますので、国民各位にもさらに御理解を得て、最終的態度を決定したいと考えております。
 核兵器に対する考え方は、先ほどもお答えしたのでありますから、省略さしていただきます。
 人事院の勧告につきまして、これも先ほどもお答えしたのでありますが、人事院の勧告を受ければ、政府はこれを尊重し、この実施につきまして最善の努力をする、このことをはっきり申し上げておきます。
 次に、食管会計の問題についてお話しいたします。この米価の決定は、ただいままだ決定いたしておりませんが、できるだけ早くこれを決定するつもりでございます。また、申し上げるまでもなく、この食管会計の問題につきまして、改正について考慮する時期に来たとかように申しましたが、具体的な方向はまだきめておりません。もちろん、この問題はまことに重大な問題であり、国民経済生活に及ぼす影響も大きいのでありますから、政府は慎重にこの問題と取り組むと同時に、各方面の意見を十分伺いまして、しかる後に断を下すべき問題だと思います。この方針、姿勢を申し上げておきます。
 消費者米価につきましては、物価への配慮から、従来ともこれを抑制ぎみに運用してきたところであり、今後も物価対策の観点から、種々意見のあるところであることは十分承知しておりますが、生産者米価と消費者米価の関連を正常化することが、食管制度の円滑な運用上ぜひとも必要であること、総合予算主義のたてまえを堅持すること等の見地から、生産者米価の引き上げに関連して、消費者家計の許容し得る限度において消費者米価の引き上げを行なうことはやむを得ないものとかように考えております。
 金融引き締め緩和の具体的方針につきまして、最近の国際収支は著しい改善を示しましたが、これは昨年後半より回復に転じた世界景気、特に米国経済の急上昇等、輸出環境の好転に負うところが大きいと考えられ、また、国内経済面におきましても、最近の生産、投資、消費等にはなお相当底がたいものがあります。したがいまして、引き締め緩和を検討するにあたりましては、これらの点の先行きにつきなお慎重な配慮が必要と考えられ、いましばらく情勢の推移を見守るべきとかように考えます。
 なお、この問題につきまして、金利等が問題になりますが、公定歩合、これは日銀総裁の判断にまかせてありますから、いま私がここでお答えするというのはひとつ省略させていただきます。
 最後に、政治資金の規正について御意見を述べられました。私は、政界の浄化、これは国民のひとしく心から念願しておることだと思います。したがいまして、所信表明におきましても、わずかな時間ではありましたが、特にこの点にも触れたつもりであります。私は、この政界の浄化のためには一歩でも、少しでも前進する、そういう態度でお互いが努力したいものだと思います。いたずらに、それぞれの立場におきまして、そうして高度の政治資金規正の問題を取り上げましても、実際にはなかなか実現はしにくいのではないかと思います。私は、一歩でも前進して、この解決への努力をする、かような方向でぜひともありたいと思います。しかし、前国会における苦い審議の経験にもかんがみまして、私は、今後ともこの問題には真剣に善処していくつもりでございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕

発言情報

speech_id: 105905254X00419680805_026

発言者: 佐藤榮作

speaker_id: 21117

日付: 1968-08-05

院: 衆議院

会議名: 本会議