曾禰益の発言 (外務委員会)
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○曽祢委員 どうも約束の二十五分が怪しくなって、まあ昼めしをひとつお互いにやめて国務に尽瘁いたしましょう。
私は、この前の外務委員会におきましても、今回の不幸なアメリカ偵察機の撃墜事件は、やはりアメリカ及び北朝鮮双方に過剰防衛的なことがあったと思われるのであります。現実の事態はなかなか正確にはわかりませんが、しかし、もしアメリカ側が、意図的にもせよ、あるいは意図に反してでもせよ、アメリカの偵察機が領空を侵しておったといたしましても、これをいきなり撃ち落とすということが過剰防衛であることは、これは国際法の通念から明らかだと思うのです。しかし、同時に、アメリカ側の偵察も、実際上領空すれすれでやっているということが、現実にアメリカと北鮮が、朝鮮戦争の停戦協定はできているけれども、まだ非常な緊張状態にあるおりから、その偵察行動といえども、相手から見れば非常に威嚇を感じているだろうことも想像できるのであります。したがって、双方のこの過剰防衛的なところに問題が起こったとわれわれは思惟しているわけであります。そういう意味で、われわれとしては、これは非常に関心を持たざるを得ないし、ことにいまの外務大臣と穗積委員との質疑にもありますように、わが国が日米安全保障条約のもとにあるために、日本の基地から発進するアメリカの戦闘作戦行動にはなるほど一応事前協議の歯どめがあっても、その他の行動については、たとえば偵察行動が現実には戦闘になったような場合に、わが国が極東のためにアメリカの配備を認めているという以上は、安保条約のもう一つの大きな危険な面というものが確かにそこにあるわけです。そういう意味で、私どもは、特に現実にあの偵察機は日本から発進したことは事実なのであって、戦闘作戦行動のためではありませんが、そういう意味で重大な関心を持たざるを得ない、かように考えております。
そこで問題は、その後の事態を見ておりますと、確かに、アメリカのニクソン大統領は、直ちに報復に出る、あるいは国連安全保障理事会を招集して政治的な攻勢に出るというような点においては自制したことは事実です。これは率直に事実は事実として認めるべきだと思う。しかし、世論の手前もありますし、国内のタカ派を押えるという意味かは別として、公海でやっている偵察行動であるから、しかも相手方が過剰防衛的な行動をやるという理由で、これにいわゆる戦闘機の護衛をつけるというので、非常に大きな機動艦隊を編成して、いま日本海にこの機動艦隊が乗り出して、そして北鮮の領空に非常に近いところで戦闘機護衛つきの偵察が行なわれるという事態になったと思うのです。そのこと自身がやはり実際上エスカレーションの危険が多い、かように考えます。ですから、基本問題としては、私どもはやはり安保条約が戦争の抑止力として日本の安全に寄与している面を認めつつ、しかし、同時に、その安保条約が持っている一種の過剰防衛的な面、これはすなわち極東のための駐留を認め、その基地の使用を認め、ただ戦闘作戦行動だけは押えている、こういうところに、共産諸国から見れば、彼らから見れば、これを脅威と感じ、日本から見れば過剰防衛になる危険を持っている。したがって、基地問題としては、安保条約が、いま穗積君の言われたように全部が危険とは私は考えていない。しかし、同時に、外務大臣の言われるように全部これが日本の安全のためにたいへんにけっこうずくめとも思えない。そこにやはり極東のための駐留がある限り、安保条約の第四条でよほどしっかりと極東の事態について両国の意思が合致して、その中には日本の平和への熾烈な意向というものが十分にアメリカの行動に反映をしない限り、そこに非常に危険がある、これは認めざるを得ないと思う。私どもは、安保条約の第六条の駐留、特に常時駐留、極東のための駐留、そこに非常に危険を感ずるわけです。その点について、安保条約が絶対にいいほうばかりだという考え方にはちょっと賛同しかねるわけです。その点をどう考えられるか、まず承っておきたい。