外務委員会

1969-04-23 衆議院 全65発言

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会議録情報#0
昭和四十四年四月二十三日(水曜日)
    午前十一時三十分開議
 出席委員
   委員長 北澤 直吉君
   理事 青木 正久君 理事 秋田 大助君
   理事 藏内 修治君 理事 田中 榮一君
   理事 山田 久就君 理事 戸叶 里子君
   理事 穗積 七郎君 理事 曽祢  益君
      坂本三十次君    永田 亮一君
     橋本登美三郎君    福田 篤泰君
      松田竹千代君    宮澤 喜一君
      毛利 松平君    山本 幸一君
      伊藤惣助丸君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        外務政務次官  田中 六助君
        外務大臣官房領
        事移住部長   山下 重明君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省経済協力
        局長      上田 常光君
        外務省条約局長 佐藤 正二君
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四月十八日
 世界連邦建設の決議に関する請願(奧野誠亮君
 紹介)(第四五二二号)
 同(神近市子君紹介)(第四五二三号)
 同(猪俣浩三君紹介)(第四六九三号)
 日米安全保障条約廃棄に関する請願(林百郎君
 紹介)(第四五七四号)
同月二十一日
 世界連邦建設の決議に関する請願(伊藤宗一郎
 君紹介)(第四八七一号)
 同(依田圭五君紹介)(第四八七二号)
 同(中垣國男君紹介)(第四九四〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
 海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一
 部を改正する法律案起草の件
 国際情勢に関する件
     ————◇—————
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北澤直吉#1
○北澤委員長 これより会議を開きます。
 海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本問題につきましては、過般来の各党間における協議の結果、その案文が委員長の手元に提示され、委員各位のお手元に配付いたしてあります。その趣旨について御説明申し上げます。
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北澤直吉#2
○北澤委員長 政府は、昭和二十七年に戦後の海外移住が開始されるとともに、財団法人海外協会連合会及びその後身である海外移住事業団を通じて、昭和四十一年三月末に至るまで、中南米移住者に対し、渡航費として総計五十四億五千万円余を貸し付けてまいりました。
 中南米に移住された方々の総数は昭和四十三年末現在で約六万人でありまして、そのうち九〇%以上が農業に従事しておるものであります。
 これら農業移住者の現状を概観いたしますと、政府及び海外移住事業団の諸援護並びに営農確立のための現地の融資等の措置にもかかわらず、いまだに定着安定の域に達していない方々も多いのであります。
 以上のような点にかんがみまして、政府は、昭和四十一年に行なわれた海外移住事業団法の一部改正により、昭和二十七年四月一日から四十一年三月三十一日までの間に事業団に貸し付けた五十四億円余の渡航費貸し付け金債権を免除するとともに、同年四月以降は事業団に渡航費を交付することとし、事業団も移住者に対して渡航費を支給することに業務内容を改正したのであります。
 しかし、法改正後も、渡航費貸し付け金債権は依然として事業団と移住者との間に残っておりますので、事業団はその回収に努力してまいりましたが、四十一年四月以降は、渡航費を全額支給していること、同じ移住地に渡航費を貸し付けられた人と支給された人が混在して不公平が生じていること、さらには移住者の中に経済的に良好でない人もいること等の理由によって、回収状況ははなはだ芳しくないのであります。
 一方、それに伴って債権管理費の累積が無視できない事情にあります。
 また、戦後、米国難民救済法の適用を受けてアメリカ合衆国に移住した三百八十八名に対し、政府は三千百八十五万円余を渡航費として貸し付けておりますが、すでにその九五%が回収済みでありまして、残余の分は回収見込みが立たない状況でございます。
 よって、このような渡航費貸し付け金の返済という移住者の心理的負担と、四十一年の法改正による不公平を除き、かつ、経済的向上をはかり、もって移住者の営農定着を実現させるため、次のような法的措置を講じようとするものであります。
 すなわち、本改正案の第一点は、政府は昭和四十一年の事業団法の一部改正の際除外されたアメリカ合衆国向け移住者のため事業団に貸し付けた渡航費貸し付け金債権約四百六十万円を免除するものであります。
 第二点は、事業団は、移住者に貸し付けた渡航費貸し付け金債権を一括して免除するものであります。
 なお、本法案に対しましては、過去に渡航費を返済した者との間に不公平が生じますので、これに対処する方法として、海外移住事業団が現在特別勘定に保管している回収金を移住者全体の利益になるように使用することが適当と思われます。
 よって、このような観点から、移住者の団体を選定し、これに対し、基金として回収金を寄贈することとし、あわせて貸し付け金を返済した移住者に対しましては、右団体より感謝状を贈る措置をとりたいと存じます。
    —————————————
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北澤直吉#3
○北澤委員長 本件につきまして御発言はありませんか。——別に御発言もなければ、この際、本案は歳入の減少を伴うこととなりますので、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願います。愛知外務大臣。
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愛知揆一#4
○愛知国務大臣 国が海外移住事業団に対してアメリカ合衆国移住者にかかる渡航費貸し付け金関係の債権を免除することにつきましては、すでに当該債権の大部分が回収済みであり、残余債権の回収が事実上不可能に近いことに顧みまして、やむを得ないものと考えます。
 また、海外移住事業団が海外移住者に対して渡航費貸し付け金関係の債権を免除することについては、債務者たる海外移住者個々の返済能力を勘案することなく一律に免除の措置をとることに問題がないわけではございませんが、昭和四十一年以降海外移住者の渡航費が海外移住事業団を通じて本人に支給することに改められていること、過去の実績等から見まして、本債権の回収がきわめて困難であると考えられること等の理由によりまして、あえて反対いたすものではございません。
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北澤直吉#5
○北澤委員長 おはかりいたします。
 この起草案を委員会の成案として決定し、これを委員会提出の法律案として決定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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北澤直吉#6
○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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北澤直吉#7
○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ————◇—————
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北澤直吉#8
○北澤委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。
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穗積七郎#9
○穗積委員 きょうも時間が十分ありませんけれども、この前、当委員会あるいは本会議等におきまして、アメリカ偵察機が朝鮮に対する挑発的な情報収集に出た事件につきまして、これをわれわれ静観いたしておりましたところが、その後、ニクソン大統領の強硬な力の外交政策の発露として、警備つきの偵察を続けるだけでなくて、大艦隊を編成いたしまして、日本海における北朝鮮に対する非常な武力的な威嚇あるいは挑発を始めておるわけです。このことは、安保条約との関連においてわが国の平和、安全にも重大な関係がありますし、のみならず、極東地域全体の平和、独立の問題にも関連がありますので、緊急に今日本会議において各党の質問があるはずでありますけれども、本会議におきましてはいささか片側通行のうらみがありますので、それに先立ちまして、きょうは外務大臣から質疑応答の中で問題を明らかにしていただきたいと思っております。
 なお、安保条約につきましては、あなたは今月号の文春におきまして、わが党の非武装中立政策を正確に理解されないで、何といいますか、はなはだ卑俗なことばで、われわれの非武装中立政策を誹謗いたしておられるのでありますが、はなはだ私は遺憾にたえない。このことは、これから論議いたします安保条約の危険性の問題とも関連いたしますから、あわせてお尋ねいたしたいと思っております。
 まず第一、現在の偵察機撃墜後のアメリカの大空艦隊編成による偵察護衛と称する行動は、明らかに過剰警備でありまして、のみならず、前のフォーカス・レティナ作戦の大演習とともに、朝鮮に対する威嚇または挑発であると思う。この現在の状況を日本外務省としてごらんになって、これは少なくとも過剰警備ではないか、そこから起きる戦争挑発の危険がありはしないか、第一に、そういう現状認識について外務大臣のお考えを伺いたいのであります。
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愛知揆一#10
○愛知国務大臣 まず第一に、今回の事件につきまして、私どもの見解を申し上げたいと思いますが、それは公海上における偵察行動である。そしてこれが北鮮側によって撃墜をされた。これは事実であると思います。したがいまして、そういう環境の中、こういう事件が起こりましたあとにおいて、公海上における偵察行動を続け、その目的が達せられるようにこれを護衛するという目的でございますから、私はそういう観点からお答えをいたしたいと存じます。
 ただいま申しましたように、偵察行動であり、いかなる意味でも領海、領空を侵していない、そしてこれが攻撃を受けて、撃墜されて三十一人の人命が失われた、この条件下において偵察行動を続ける、その目的を達しようとするならば、これに相当な警戒というものが考えられることは自然の姿ではないだろうか、かように考えるわけでございまして、また、そういう目的が累次のアメリカ側の公式、非公式の声明等を通じて明らかになっておりますから、そういうふうに事態を認識してよろしいと私は考えます。
 ただ、これに対して、私どもは安保条約との関連でどう考えるかというお尋ねでございますが、安保条約は、脅威を受けるようなことがないように、未然にそういう脅威を防止するということが目的でございます。また、日本及び日本を含む極東の安全のために安保条約というものが結ばれておりますから、そういう観点からこの問題も理解してしかるべきである、かように考えておる次第でございます。
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穗積七郎#11
○穗積委員 いまの御答弁で、二つの点で問題があるわけですね。
 一つは、前に撃墜されました米機がはたして朝鮮の領域を侵していないかということです。これは行くえ不明の米側の発表に対して相即応いたしまして、朝鮮領域を深く侵入した、だから撃墜したということの発表があるわけですね。それに対してあなたは、公海上における不当な撃墜である、こういうふうに規定されましたが、その事実は一体どこでお確かめになりましたか。それが一つであります。
 それからもう一つは、撃墜された後の情勢の中においては、これは警備をつけて公海上からの偵察は当然であると言われますが、これは過剰警備ではありませんか。その二点、もう一ぺんお答えいただきたい。
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愛知揆一#12
○愛知国務大臣 この第一の点でございますが、これは前回の外務委員会におきまして、私は、事実についてこれを明らかにすることが第一であって、それなくしては、態度を表明し、あるいはコメントすることはできないということを申し上げましたが、私といたしましても、その事態の真相の追求ということには十分配慮いたしたわけでございます。前回の外務委員会が終わりましたあと、アメリカの臨時代理大使は、本国の訓令に基づいて私のところへも参っております。あらゆる根拠から、米国政府といたしましては、北鮮の沿岸四十マイル以内にいかなるときにおきましても入った事実はない、これを日本政府に対して保証をする、こういうことが本件についての米側の見解でございます。このことは、さらにその後も実は随時私ども通報を受け、あるいは意見を申しておるわけでありまするが、十八日のニクソン大統領の記者会見におきましては、たとえばこういうことも言うておるわけです。これは自分のほうの確実な情報だけではなくて、他の国のレーダーによってもそのことが実証できる、その中には北鮮側も入っているというような記者会見での言明でございます。こういったようなことから見まして、私の心証、日本政府の心証といたしまして、今回のこの飛行というものは、領空、領海を侵犯していない、撃墜された地点は沿岸九十五マイルの地点である、こういうことも判明いたしました今日におきましては、これは公海上の事件であった、こう見るのがしかるべきである、私はかように考えておるわけでございます。
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穗積七郎#13
○穗積委員 今度の事件については、領海、領空、領域を侵犯したかしないかということについては、われわれも見ておったわけではありませんし、また、それほど多くの情報を手にしておるわけではない。しかしながら、出動のときの、米軍の出動機に対する命令は、領域を侵しではいけない、領海、領空よりははるかに手前の地域までの行動範囲を設定したということによって、領空を侵していないという証明にはならない。それでは、U2機その他、中国に対しましても、この数年の間にたび重なって領空侵犯をやっております。それがアメリカです。ですから、そのときには、一体領域を侵していいという軍事指令が出ておりますか。出ていないでしょう。出ていないにかかわらず、出ていないと称しておるにかかわらず、実際はやっておるわけですね。アメリカはそういうたび重なる前科者です。そうして朝鮮側は、おそらくはこれに対して抗弁する資料をやがてまた追加発表するでしょう。そのときに、日本政府は、一応アメリカ側の情報しか手に入らないから、それを前提とすれば、これは過剰防衛であるということの前提に立って言われるならばまだしもでありますけれども、その事実を断定されるということは、これは朝鮮に対しての非常な敵対政策であると思うのですね。外務省として、政府として、正式にそういうことを発表されることは、これはわれわれとしては納得ができないのです。
 それから、いまの警備の第二の質問に対してはお答えになりませんが、これはアメリカ本国においてすら明らかな過剰防衛であると言われており、さらに日本国内における安全保障を支持しておる側に立つ軍事評論家の諸君も、これは明らかな過剰防衛であると言っている。これはフォーカス作戦と結び合わせて考えるならば、場合によれば挑発になる。戦闘行為の激発にならぬとは限らない。それを少なくとも誘導するものである、こういうことは、もう日本国内、アメリカ国内におきましても常識化しておるわけでしょう。なぜこれが過剰防衛でないでしょうか。これはわれわれが報道を通じて知っておるだけを見ましても、航空母艦四隻を含む二十三隻、それで出動し得る艦載機が二百五十をこえる、こんなばかばかしい警備と称する警備が、合法的に公海とはいえ人の窓口で、そういうことが行なわれることが、相手国に対して何の脅威も与えていない、何の威嚇も与えていない、何の挑発にもならない、そういうことで、合法性もさることながら、正当性、相当な警備であるということが言われましょうか。私はあなたの常識を疑うのです。あなたは最も好戦的なそんな答弁をしているのでしょうか。何が平和ですか。もう一ぺん答弁をしていただきたい。
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愛知揆一#14
○愛知国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、アメリカ政府として公式に日本政府に対して保証するということを申しますことは、これは非常な確信を持って言っていることと理解をするのが私は当然だと思います。そして、その根拠としてあげておりますことも、私は傾聴すべきことであると思いますから、その事件については、アメリカの見解というものをもとにすれば、北鮮側が不法な攻撃をした、これは非難さるべきことである、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。
 それから、過剰防衛かどうかということについては、先ほど私申しましたけれども、やはり脅威を未然に防止するということが一番大きな目的であって、こういう不当なる攻撃を受けた、そして多くの人命が損傷された、失なわれたというこの事態のもとにおいて、国際法上も当然認められている正常な偵察行動という目的が達成できるように、また再びそういう不当な攻撃を受けないように、未然に防止するための措置というものは、私は当事者としては当然考えることではなかろうかと考えるわけでございます。そういうふうな理解を私はしておるわけであります。
 それから、さらに申し上げたいのは、私は、こういう事態が起こることはきわめて不幸なことであると考えますけれども、どうしてこういう事件が起こるのだろうか、これはやはり朝鮮半島における緊張ということがその前提になっておる、こう言わざるを得ないのではなかろうかと思います。そして、そういう朝鮮半島における危機感というか、こういう緊急の状態というものは、わが国自身の安全にも非常に大きな関係がある。したがって、そういう点から申しまして、安保条約のメリットというものは、あらためて見直されてしかるべきではなかろうか、こういう角度に私は立っておりますから、いろいろと御意見はございましょうけれども、私の見解というものは私の見解としてお聞き取りをいただきたいと思います。
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穗積七郎#15
○穗積委員 いまの状態が相当する、妥当な警備体制であるというふうにお考えになっているのですか、もう一ぺんお答え願いたい。
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愛知揆一#16
○愛知国務大臣 まず、二つの国が関係し、あるいはその他の国も関係しているわけでございましょうが、その一つの立場だけを前提にして、そしてお考えになるということは、私はこういう際に冷静ではないと思うのです。私は冷静に考えて、相当ということは、非常にけっこうなことということもありましょうし、やむを得ないということもありましょうが、そういう意味を全部含めまして、これは相当である、かように私は申し上げたいと思います。
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穗積七郎#17
○穗積委員 あなたは、いま公海上における偵察行動の警備だけでなくて、この警備が一つは相手の戦闘行動を抑止する抑止力である、こういうことを言われるわけですね。そうなりますと、国際法上当然認められたものであると言われますが、自衛権行使の範囲にいたしましても、そして相手国から攻撃を受けましたときの報復の攻撃行動すら、これは制限されているのですよ。まして、いまのような偵察行動に対しまして、抑止力を発揮する必要がある、相手に威嚇を与える、それで抑止するんだ、そういうことまで国際法上認められている理念ではないわけです。特に日本は武力による威嚇または武力の行使をしない、そういうものによらないで平和を守ろう、国際紛争を解決しよう、こういうことでしょう。その立場に立っている政府が、武力による——いまのように言われれば、偵察機の警備だけではなくて、相手に対して威嚇を与えて抑止力を発揮するための出動である、これは平和のために効果のあることである、歓迎すべきことである——これはもういまの威嚇または武力行使というものは、国際憲章におきましても、安保条約においてすら、このことは冒頭に書かれておる原理であり、通念ではないでしょうか。抑止力とは一体どういう意味でしょうか。
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愛知揆一#18
○愛知国務大臣 抑止力というのは、戦争とか現実の脅威というものが起こらないように未然に防止するということが抑止である、かように私は考えるわけでございます。
 それから、先ほど来のお尋ねの中にいろいろ御意見がございますけれども、これは本会議で申し上げようと思っておりますけれども、四月十六日に公式に先ほど申しましたような見解をアメリカ側が表明したわけでございますが、直ちにそれに対しまして、わが日本の立場といたしましては、北鮮の行動が国際法上不法であり、非難さるべき行動であるということであるならば、かりにそれに対して実力で報復攻撃を加えることだって、あるいは根拠づけられるのかもしれないが、さようなことはとんでもないことであって、日本の立場としては、この事態が平和裏にすみやかに結着がつくことを強く要請する、その席で、私は、日本政府の立場におきましてアメリカに要請をいたしたわけでございます。
 私は、ひとりよがりと言われるかもしれませんけれども、十八日のニクソン大統領の記者会見等にも公にされておりますように、アメリカとしてはきわめて冷静、そして平和的な処理で終結をつけたいという態度がにじみ出ておることは、日本政府のそういったような即時の申し入れというものも、私は相当の影響力があったものと、かように考えております。
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穗積七郎#19
○穗積委員 あなたは、私が一方の国、すなわち朝鮮民主主義人民共和国の側に立ってものを言っているように言われますが、私は、先ほど申しましたように、今度のことは明らかな過剰警備であり、威嚇であるということは、アメリカ国内においても出ておる。日本の国内において安保条約に賛成している諸君の間からも出ておるわけです。これは客観的な評価から見て、明らかな過剰警備であり、威嚇を伴うものである、こう言わざるを得ないと思うのです。そういう意味ですから、誤解のないように、もっと事実に即して認識をし、答弁をしていただきたい。したがって、これは私どもとしてみれば、明らかに威嚇になり、挑発になるということであります。この前の領域を侵しました偵察機の行動ですら、これは威嚇になるではないか。しかも、それが厚木の基地から出た。こういうことになれば、安保条約第一条からいたしましても、もう条約違反だと思うのですね。これはあとの事前協議の問題と関連をいたしましてお尋ねいたしますが、日本としては、安保条約を認める立場に立ちましても、これは武力による威嚇であり、過剰警備である、こういうふうに断定せざるを得ないわけです。そのことに対してはあなたは同じことしかお答えにならないとすれば、前に進んでその問題にも触れていきたいと思うのです。
 続いてお尋ねいたしますが、いま大部隊が出ております。過剰警備、威嚇の艦隊または航空機が日本に寄港をする、あるいは着陸をするという場合には、これをお認めになりますか。そしてそれが再び日本海に出ていく。補給、整備あるいは休養、名目は何でもけっこうです。いずれにしても、着陸または寄港をお認めになりますか、お認めになりませんか。
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愛知揆一#20
○愛知国務大臣 まず、過剰防備ということを言われるわけですけれども、その前に、私は先ほどから申しておりますように、そういうことが起こってきたのはどういうところから始まってきたか。アメリカの見解からすれば、いかなる根拠からしても絶対的に公海上の偵察であった、これを日本政府に保証するのだということを申しております。それを前提にして言えば、私は、明らかに北鮮が国際法も守らないし、あるいは人道的に申しましてもたいへんなことをやったと思うのです。そういうことが事実あって、それから後の問題でございますから、こういうことが二度とないように、正常な偵察行動が行ない得るようにと考えるのは、私は自然じゃなかろうか、こう考えるわけでございます。十八日ですか、それ以降の米海軍の行動だけを目して、これを過剰防衛であるとかどうとかいうことは、その前の状態から論じなければならない。しかもその前の状態の中には、重要な要素として、北鮮が現にどういう態勢にあるかというようなことも認識をしてかからなければならないことではなかろうかと思います。
 それから、今後のことは、実は二十二日の午前六時だったかと思いますが、正確な日時はまたあとで申し上げたいと思いますけれども、アメリカが日本海にこれだけの艦船を入れるということについては連絡を受けておりますが、それがこれからどういうふうに寄港を求めるか、どういうふうなことになるかということについては、現在わかりません。私は、先ほど申し上げましたように、十六日午後のオズボーンからの申し入れに対する即時に申しました日本の態度というものは、これは何としてもわれわれの基本姿勢だと思うのであります。ですから、これが日本国民の欲せざるような形に進展するというようなことは、もう絶対に阻止しなければなりませんし、また、そういう点についていまの私の心証としては、米側も十分に日本の考え方というものを了解しておる、かように思っておりますから、いまおあげになりましたいろいろなことは、仮定のことになりますが、私の申しました基本姿勢から割り出して、そういう場合の対処策を考えなければならないと思います。
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穗積七郎#21
○穗積委員 もうその可能性、危険性というものは眼前に迫っておるわけですよ。二十三隻という大艦隊が出動しておるわけでしょう、狭い日本海に。それが寄港または着陸を求めた場合、それはいろいろな場合があるでしょうが、そのときに認めるか認めないかということを原則上の問題ですから伺っているのです。そのことを答えられぬということがありますか。国民に対する責任上お答えいただきたいと思うのです。
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愛知揆一#22
○愛知国務大臣 艦船につきましては、機動部隊というものがここに現存しているわけですが、それを構成するところの艦艇が日本の港に寄港をするということは、これは認めて一向差しつかえないことであり、かつ、これはいわゆる事前協議の対象となるものではないと、私はかように考えております。
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穗積七郎#23
○穗積委員 そうなりますと、いかなる種類の兵器でも寄港または着陸は認める、こういうことですか。機種だけでなくて、そのものが再び出先で戦闘行動に入る可能性、危険性のあるその地域にまた出動する、その任務についていく、戦闘行動に入る場合も予想される出動ですね、そういうものも認めるわけですか、フリーパスでしょうか。
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愛知揆一#24
○愛知国務大臣 まず、やはりその前提を申し上げなければならないと思いますが、偵察行動についての護衛という任務を持っているものについて、それが機動部隊でありましても、その中の艦艇が寄港するという場合は、私は、これはその目的からいい、それから趣旨からいいまして、先ほど申し上げたとおりの見解を持つわけでございますが、しかし、いまもお尋ねの中にございましたが、本則としての、たとえば事前協議にかかりましたような場合におきまして、たとえば核の問題というようなこと、あるいは直接作戦出動、攻撃——すでに戦争が始まっておって、そこに対してその戦争に加わっていく、あるいは攻撃をかける、そのために日本の基地を利用するというようなことについては、事前協議の対象でもあるし、これはしばしば政府が言っておりますように、ノーと申しますことは当然のことでございます。
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穗積七郎#25
○穗積委員 事前協議は、御承知のとおり、戦闘行動の事前協議だけではありません。配置につきましても事前協議の対象になることは明瞭であります。しかも海軍につきましては、今度の七十一機動隊というものは、これがそっくり日本を基地として使うということになれば、事前協議の対象になりますね。それからまず伺っていきましょう。
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愛知揆一#26
○愛知国務大臣 配置の変更ということになればそういうことになりますが、その場合の配置の変更ということは、この機動艦隊というものが、了解されている事項以上の規模でもって、たとえば日本の一つの港を根拠地にして、平たく言えば、母港にしてそこに駐留するということになりますれば、これは事前協議の対象でございますし、これに対しましてはノーと言うのが従来からの考え方であります。
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穗積七郎#27
○穗積委員 七十一機動隊の編成は、これは日本の基地を根拠地とするということになった場合は、当然事前協議の対象になるべき部隊編成でしょう。それはお認めになりますね。
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愛知揆一#28
○愛知国務大臣 この機動部隊は、現在のところは日本海——公海でございますね、そこで行動していると私は考えます。したがって、機動艦隊が日本の港を根拠地にして活動しているとは思いません、これは事実の問題として。その場合、その機動艦隊を構成しているところの個々の艦艇が補給その他のために日本の港に寄港するということは、これは事前協議の対象では扱わないというのが政府の見解でございます。
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穗積七郎#29
○穗積委員 あなたは私の聞かぬことをかってに言う必要はないですよ。いまの七十一機動隊というものは、私どもの手にしておる情報では、大体部隊編成はわかっております。外務省でもむろんわかっておるはずだ。それが日本の基地を根拠地とする場合には、これは事前協議の対象になるべき編成ですね、どうですかと聞いておるのですよ。まず、それから聞いているのです。
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