穗積七郎の発言 (外務委員会)
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○穗積委員 それでは、ほかに伍堂参考人に御質問の方ありましょうか。与党の方、いいですか。――それじゃどうぞお帰りくださいませ。お忙しいところを……。ぜひひとつお読みになって――参考人としてあなたみたいな偉大な人にきていただいて、与野党一致しているいいことだけ言われたのでは価値がありませんから、ぜひどうぞ、お忙しいでしょうけれども、きょう寝ながらでも読んでいただきたい、一番大事なところを。
それでは、ほかの参考人の方に、恐縮ですが、逐次お尋ねさせていただきます。
まず、田上先生からお尋ねいたしますが、国、未承認国の問題が出ましたけれども、平井参考人から言われましたように、未承認国、承認国で区別してないのですよ。未承認国の中でまた区別が行なわれているわけです。これは明らかに政治的、特に政府の外交路線に関する、あるいは思想上の立場に立つ偏向であると思うのです、基本的人権の問題ですから。他のことでありますれば、未承認国と承認国との間において違いのあることぐらいは、われわれも国際常識として心得ております。しかし、この問題は、先生も言われましたように、また私が先ほど伍堂さんへの質問の中で申しましたように、旅行の自由の権利というものは、これは何人も侵すことのできない、近代民主主義社会における基本的人権でしょう。先生もそのように言われた。その場合に、承認国、未承認国について差別すべきものは何でしょうか。ないではありませんか。ただ、先ほど言ったように、外交保護権の義務が政府にあります。それを執行するのに非常に不便であるということだけではないでしょうか。しかもその相手国は、その旅行者に対してインビテーションを出しておるわけですよ。その写しは少なくとも外務省に届け出がされておるわけです。何月幾日から何月幾日まで招待をいたします、どうぞこれこれの方はおいでくださいということでございましょう。もしその国において日本の在外機関がないということであるならば、それはそれで幾らでも折衝のしようはあるわけなんです。承認しようとしまいと、その国のオーソリティーと存在を認めておる以上は、折衝のしようがある。旅行の自由をそこだけ全部禁止するという態度は政府自身かとっていないわけですから。承認国、未承認国の間における差別、昨日、法務委員会におきまして、出入国管理法問題の審議の中で、法務大臣あるいは外務大臣が、承認国、未承認国の間において取り扱い上の差別が生ずることはやむを得ざる当然のことである、こう言われた。それは事によりけりで認めますよ。旅行の自由の基本的人権の執行にあたって、何の差別の必要がございましょうか。その点を実はお伺いしたい。
それから、未承認国の間で分けておること、それから関連して申し上げれば、それは国益、公安を理由にしてこれをチェックしておるわけですね。国益、公安の判断は、一体何をメルクマールにして判断するのか、だれがするのか。時の政府、時の政党、与党、これのかってな御都合主義で判断をして、アトランダムに判断をして、そして基本的人権を侵害しててん然としておるということは許されないことだと思うのです。
そういう意味で、田上先生は実務家ではありませんから、はなはだ一般的、原則的なお尋ねで、ちょっとお答えいただくのにしにくいお尋ねのしかただと思いますけれども、学者であるということでありますから、実務は去りまして、敬意を表して、原則についてお尋ねするわけです。基本的人権の場合における未承認国と承認国との区別の必要がどこにあるか、残るのは保護規定だけだと思うのです。外交保護権の行使に便があるかないかということだけだと思うのですが、いかがなものでしょうか。