穗積七郎の発言 (外務委員会)
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○穗積委員 あとに与党の御質問もあるようですから、御遠慮いたしまして、あと平井、相川両参考人に一問ずつお尋ねをして、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
両参考人のお述べになりましたことは、理論的にも、また経験的にもたいへん正しいことを陳述していただいたのでありまして、きょうは大臣がおらぬのがはなはだ残念でございますけれども、部長、課長はいらっしゃいますから、よく謹聴して反省していただけたということを、私は高く評価をいたしております。いずれ私は、次の機会に、外務、法務両大臣をはじめとして政府当局に対する質問をいたしますけれども、その参考としてお尋ねいたします。
まず、平井参考人にお尋ねいたしたいのは、先ほど申しましたように、渡航趣意書は、私は明らかな違法行為、権利の乱用だと思うのです。いま田上教授がおっしゃったとおりですよ。必要な書類なら受付と一緒に要求すればいいんだ、いつでも出すのですから。そこで、先ほど伺いますと、その趣意書のために三週間から一月かかるという。私どもは、商業上の目的をもって両国その他問題になっている四カ国へ渡航申請をしたことはありません。ありませんが、われわれの経験からいたしましても、たとえば相手の招待を受けたときに、どういう会合がある、セレモニーがあるから、この機会に来てもらいたいということで、それはタイミングがあるわけです、文化あるいは友好の交流訪問の場合におきましても。そういう経験があります。まして、経済のことになりますと、商機がございまして、特に最近の国際的に激甚な競争の中で、政府の非協力のもとでこれを促進しなければならぬということになりますと、その商機を逸する、タイミングを逸するために、非常な損害をこうむる、あるいは損害だけではなくて、全然その行く目的が拒絶されたと同じ結果になるという場合があると思うのです。この趣意書の審査、こういうことで受理すらしないということが、今度新法になったら、この手続を相変わらずとるのかとらぬのか、私はお尋ねするつもりでおりますよ。これは大事な問題ですからね。しかも実害を生ずるわけです。だからお尋ねいたしますが、いままでは少なくともこのことが行政上の便宜という理由で不当にも行なわれてきた。そのために非常な実害を生じたという例がおありになるのかないのか。具体的なこまかいケースは必要ありません。そのために商機を逸し、そして渡航者の個人または会社、団体、これが非常な損害を生じたり、あるいはその時期を逸したために拒絶されたと同じ結果になって、実害を生じたということがありましょうか、ありませんか。それを伺っておきたい。それが一点。
それからもう一つは、たとえば第三国、他の国へ行っておった。そうすると、出先から中国、朝鮮、ベトナムへ行く商業上の必要が生じた。そのときに、その国には日本政府の在外機関がありませんから、だから電報その他で追加申請をするわけだ。そうすると、いまの事前審査みたいなことから、政治的な討議から始めるわけですね。その間にまた非常なあれが生ずる。そういうことが、私どもしろうとでありますが、特に貿易上の実務に当たっておられる方からすれば、その時間、タイミングが問題になるわけですね。許可するしないじゃない。そのときに必要なんだということが、横すべりの合法性というか、妥当性というものが、そこでやはり生じてくるのではないかと推測するわけですよ。つまり、いまの渡航先追加の問題について、その実情についてお答えをいただきたい。
それから時間の節約上、失礼ですが、相川参考人に続いてお尋ねいたしますから、一括してお答えをいただきたいと思うのです。これは何かといいますと、実は朝鮮の場合に特に問題が多いわけでございますが、最近、朝鮮と日本との貿易については、日本からのプラント輸出というものがあるだろうと思うのです。私も一、二そういうことを経験したことがございます。そういうことになりますと、わが国から向こうへ国益の増進のために、貿易拡大のために行く必要があるわけですね。ところが、そのために、ソビエトを回ったり、あるいは中国を頼んで通してもらったり、いろいろしなければならないために、非常なヨーロッパとの競争の中で行なわれておるこういうものに障害が生ずるわけですから、いま平井さんにお尋ねしたように、朝鮮貿易の場合でも、タイミングを失したために、大魚を逸したという例があるのかないのか、それをお尋ねしたいわけです。
それからもう一つは、いま申しました取引の中で、プラント輸出が最近になって増加しておるとすれば、そのときには、こちらから行くだけでなくて、向こうの技術者を商談を固めるために呼んで、機械を持っていくわけにはいかぬのですから、来て見てもらって、それを点検した上で、商談というものは妥結するものだと思うのですね。そういうことで、かつて、商談を固めるために、日本の国益になるプラント輸出をするために、朝鮮から技術者あるいは商談の代表者を招待することを申請されたことがあるかどうかですね。それがもし断わられたとすれば、そのために非常に国益を失しておる事実が生ずるだろうと思うのです。その有無についてお尋ねをいたします。
それから、これは近い将来のことですが、漏れ承りますと、ことしの秋あたりをめどにいたしまして、わが国の工業展覧会を朝鮮国内において開くという御計画を進めておられるやに伺っております。もしこれが両者の間において意見の一致を見て実行に移りますならば、中国の場合と同様に、両国の友好理解と貿易増進のために、直接の商淡あるいは説明員以外に人が行くことは当然でありますが、相当の人数の者が行く必要が生じましょう。その場合に、私の考えでは、これらに対して理解を持っておる、あるいは利害関係のある人が、用談は済んでおるけれども、行って向こうの政府または経済関係の担当者と接触をしながら、日本の実情を説明し、向こうの実情を相互理解をする。これは展示会をやる以上は、持っていった物だけを売るのが目的ではない。さらに両国の貿易の潜在的な可能性を顕在的に拡大しようということでございますから、すなわち、日本からの渡航が最小限度の事務担当者だけではなくて、そういうような友好的な相互理解発展のための訪問が必要であろうと思う。そういう計画がありますかないか。この必要をどうお考えになっておられるか、お伺いをしたいと思うのです。
それから最後に、これは共通した問題ですから、両方からお答えをいただきたいと思いますが、いま申しましたようなことで、基本的人権が脅かされただけでなくて、経済上の実害を生じておる例があるだろうと思うのです。それに対して、かつて行政訴訟損害賠償請求を提起されたことがあるかないか。将来は私は起こすべきだと思うのですね。損害賠償請求を含む違法行為に対して訴訟を起こすべきだというふうに思うのです。そうでありませんと、皆さんのような実害をこうむった方からやっていただかないと、われわれがこの裁判を提起して、国益、公安の拡大解釈または行政権の法の範囲を越えた乱用、これを是正することは困難になるわけですから、過去の実害に対しては、これは十分な取り返しがつかぬにしても、これからの、将来の拡大解釈、乱用を戒めるためには、私はいまの三権分立による訴訟制度というもの――田上教授もその点を強調されましたが、私は、これはぜひ実害をこうむった当事者が提起すべき訴訟でありますから、かつてあったかないか。かつてないとしても、今後はこれはやるべきだと私は期待をかけてお尋ねするわけですが、どういうお考えであるか、そのことを御両人からお答えをいただきたい。
以上をもって私の質問を終わります。