荒舩清十郎の発言 (本会議)
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○荒舩清十郎君 ただいま議題となりました昭和四十四年度一般会計予算外二案について、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
この予算三案は、去る一月二十七日に予算委員会に付託され、二月一日に政府から提案理由の説明があり、即日質疑に入り、その後、分科会、公聴会を合わせ二十三日間審議を行ない、本日、討論採決いたしたものであります。
まず、予算の規模等について簡単に申し上げます。
一般会計予算額は、歳入、歳出とも六兆七千三百九十五億円でありまして、前年度予算額に比べ一五・八%の増加であり、歳入のうちの公債金は四千九百億円で、公債依存度は七・二%であります。
また、特別会計は、糸価安定特別会計を廃止するとともに、国有財産特殊整理資金特別会計を特定国有財産整備特別会計に改組することとし、その数は四十二となっております。
なお、政府関係機関の数は、前年度と同様十四であります。
次に、質疑の概要を申し上げます。
質疑の最も集中いたしましたものは、沖繩復帰の際の基地の態様であります。
すなわち、復帰に際して米軍の核基地を認めるべきではないという立場から、核兵器と憲法との関係、安保条約の事前協議条項、及び非核三原則の沖繩への適用、原子力基本法の立法経過にもわたって、きわめて広範な質疑が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、これを要約いたしますと、「沖繩復帰の際の米軍基地をどうするのか」との点について、「沖繩の早期復帰の願望と日本及び極東の安全確保上の沖繩の重要性とを考慮しながら、各方面の意見に十分耳を傾けているが、まだ結論に達していない」との答弁でありました。
なお、沖繩基地のあり方に関する下田駐米大使の発言が、政府の答弁と異なっている点が問題となりました。その結果、政府から、「下田駐米大使の発言は、アメリカの世論の動向の情勢分析の一つの見解として述べたもので、政府が同意を与えているものではない。しかし、その発言に行き過ぎも認められるので、その意を伝達し、下田大使本人も、今後十分注意する旨の意思表明があった」との発言がありましたことを申し添えます。
次は、最近の大学紛争に関するものであります。
これにつきましては、学生暴力行為に対する認識、いわゆる東大十項目確認書の評価、将来の大学のあり方等に関して、各党それぞれの立場からいろいろな質疑及び提案が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、政府の答弁を要約いたしますと、「大学紛争の原因は、戦後、大学及び学生の急増による大学の質的変化に対し、教官、学生、社会一般の認識が不十分であった点にあるが、管理の乱れている点が問題である。学園の自治は尊重しなければならないが、学生の暴力はいかなる場合も認めるべきではない。将来の大学のあり方については、中教審の答申を待って、各方面の意見を聞いて善処したい。混乱のうちにつくられた十項目の確認書をもとにして大学のあり方をきめることは妥当でない」というものでありました。
次に、物価、料金につきましては、「昭和四十四年度の消費者物価上昇率を五%と見込んでいるが、昭和四十三年度の実例に照らしても、また、国鉄運賃の値上げを織り込んでいない点からしても、この程度に押えることはできないのではないか。生産性の高い産業の寡占による管理価格が物価上昇の大きな原因と思うが、これにメスを入れるべきではないか。再販価格指定を再検討すべきではないか。国鉄運賃の値上げは、国民生活に重大な影響を与えるばかりでなく、私鉄運賃その他の値上げを誘発するおそれがあるから、これを抑制すべきではないか」という趣旨の質疑がありまして、これに対し政府から、「四十四年度においては、国鉄運賃以外の公共料金及び米価を引き上げない方針をとって値上げムードを押え、五%以内の上昇にとどめるよう努力する。物価上昇の要因はいろいろあって、寡占形態ばかりではないが、一定の取引分野において競争が実質的に制限されるような現象があれば、独占禁止法によって処理する。再販価格指定の再検討は、医薬品及び化粧品について行なったが、今後はさらに個々の商品ごとに検討し、不当なものは削除する。国鉄運賃は、国鉄再建の一端としてやむを得ず行なうもので、大手私鉄運賃の値上げは認めない方針である」という趣旨の答弁がありました。
次に、社会保障制度に関しましては、「社会保障費の伸びが少なく、他の先進国に比べても、社会保障制度審議会の勧告に対しても、きわめて劣っているではないか。ことしは医療保険制度の抜本的改正をするという公約であったにもかかわらず、なぜこれを行なわないのか。しかも、抜本的改正のできないうちに、なぜ日雇い健保だけを改正するのか。児童手当は、四十三年度から実施するという公約であったのに、なぜその実施をおくらせているのか。農民年金の創設は、一昨年、総選挙の際に首相自身が公約しているが、四十五年度には必ず実施するか」という趣旨の質疑がありまして、これに対して政府から、「わが国の社会保障制度は、その出発がおくれているから、他国に比べて良好とはいえないし、社会保障制度審議会勧告の線に達していないが、四十四年度予算編成においてもこれに最大の重点を置いており、最近は相当に伸びている。医療保険制度の抜本改正については、厚生省で試案をつくり、自由民主党でも医療基本問題調査会を設けて最良の案を考えているが、遺憾ながら、まだ結論に達していない。できるだけ早く政府案をきめ、今国会中に審議会へ諮問の手続をとり、来年度は必ず提案したい。日雇い健保の改正は、出産手当の増額その他給付の改善をはかるとともに、長い間改められなかった保険料を適正化するため、抜本改正とは別に、この点の改正をはかるものである。児童手当については、児童手当懇談会の答申を得たが、答申どおり実施することにいろいろ問題があるので、児童手当審議会を設けてさらに審議を請い、来年度は必ず提案したい。農民年金は、現在検討中の国民年金の改善との関連を考慮しつつ調査検討を進めているが、四十五年度実施を目ざして最大の努力をする」という趣旨の答弁がありました。
なお、予算関係法案である健保特例法案が予算審議終了時に至ってもまだ提出されていない点が指摘され、政府から、「できるだけ審議会の審議の促進を請い、三月中旬には法案を提出したい」との発言がありましたことを申し添えます。
以上のほか、中国との国交正常化及び中国貿易の拡大、ベトナム和平への努力、安保条約の今後の取り扱い、国内米軍基地の整理、次期戦闘機の性能及び価格、将来の防空構想等、外交、防衛問題をはじめ、国政の各般にわたりきわめて熱心な質疑が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、説明を省略させていただきます。
本日、質疑終了後、日本社会党、民主社会党及び公明党の各党から提出された、予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、それぞれ趣旨弁明がありましたが、その内容は、会議録をごらん願いたいと存じます。
かくて、予算三案及び三党の動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は、政府原案に賛成、三党の動議に反対、日本社会党、民主社会党及び公明党は、それぞれ自党の動議に賛成、政府原案及び他の二党の動議に反対、日本共産党は、政府原案及び三党の動議に反対の討論を行ない、採決の結果、三党の動議はいずれも否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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