井上普方の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○井上普方君 私は、日本社会党並びに公明党を代表して、建設委員長始関伊平君解任決議案の提案理由説明を行ないます。(拍手)
 まず、主文を朗読いたします。
  本院は、建設委員長始関伊平君を解任する。
   右決議する。
  〔拍手〕
      理 由
  建設委員長始関伊平君は、公平であるべき委員長の職責に違反し、政府与党の意のままにしたがい、突如として内閣提出の「都市再開発法案」の質疑打切り、強行採決を行なった。
  かかる暴挙は当然無効であり、国会正常化に背を向け、議会制民主主義を踏みにじった多数横暴の行為といわねばならない。
  したがって、国会の権威を傷つけた委員長としての責任はきわめて重大であり、委員長として不適格である。
  これが、本決議案を提出する理由である。
  〔拍手〕
 一昨日、建設委員会において、建設委員会には初めての強行採決が行なわれました。まことに遺憾にたえないところであります。強行採決は、国鉄運賃値上げ法、総定員法、地方公務員定年制法案、それに会期延長と、すでに四回も、国民の声を無視して行なわれましたが、一昨日は、外務、逓信、建設委員会と、一日に三回も強行採決したと称しているのであります。通常国会でこのように立て続けに強行採決とは、国会始まって以来のことでございまして、前例にもないことであります。
 通常国会の会期は百五十日と定められており、その定められた会期の中で慎重審議を行なうことが、国民の厳粛な負託にこたえる唯一の道であり、議会民主主義を守り育てる道であります。しかるに、政府・自民党は、多数を背景に、会期を七十二日も延長したにもかかわりませず、建設委員会理事会の話し合いも一方的に打ち切り、一方、委員会において都市再開発法の強行採決を行なったと称しておるのであります。会期を七十二日も前例のない大幅延長を行なっておきながら、他方では、強行採決と党利党略的な議会運営を行ない、議会民主主義をみずから破壊しているのであります。まさに、自民党あって民主主義なし、自民党あって国会なしの感を深くするのでございます。(拍手)多数党であれば何でも押しまくっていくという国会、しかも、こうした国会運営について、政府・与党が何ら疑問を持たず、反省もしない国会、このような国会のあり方について国民が大きな不信感を抱くのは当然であり、大学紛争も、議会民主制のこのような空洞化に対する反発と抗議が大きな原因になっていることを政府・自民党は知らなければなりません。(拍手)そればかりではありません。始関伊平君は、率先して委員会運営のルールを破り、国民生活に深く影響する都市再開発法案の強行採決を行なったのでありまして、断じて許すことができないのであります。(拍手)
 始関君は、大学卒業後、通産省の役人をやったようでありますが、小心にして我執強く、官僚の特色たる上からの命令にはこれ従い、国民生活そのものを圧迫し、てん然として恥じざる官僚性、独善性を小役人時代に身につけたのでございます。(拍手)一たん事起こるや、その性格をまる出しにしたのが一昨日の委員会審議であり、委員会運営であったと思われるのであります。始関君が委員長になるまでの建設委員会の運営は、ただすところはただし、聞くべきところは聞き、各党の対立を鋭く見せながらも、委員会の運営は、一定のルールを守りながら民主的に行なわれてまいりました。この点は、自民党諸君もお認めになるところであろうと存ずるのであります。しかるに、一昨日の強行採決は一体何ぞ。このたびの強行採決は、いままでのよき慣習を踏みにじったものでありまして、これひとえに始関君の小役人的根性のあらわれでございます。
 当選五回にして待望の常任委員長のいすにありつきましたが、それまでは二年生議員の多い政務次官をすること三回、はしかのようなもので、一度はやらねばならぬが、二度とやるものでないと自民党議員がはしかにたとえております政務次官を低迷すること前後三回、当選五回にして、組閣のたびに新聞辞令の大臣候補にものぼらなかった始関君、立身出世を身上とする始関君は、佐藤派に始関ありと認めていただきたい、せめて次の組閣の際には新聞の片すみに大臣候補の新聞辞令でも出してもらいたいといういじらしい気持ちで、小心翼々の始関君が清水寺の舞台より飛びおりたる気持ちで強行したのでありましょう。御心情まことにお察し申し上げると同時に、れんびんの情禁じ得ざるものであります。(拍手)しかしながら、かかる暴挙を行なった始関委員長は、議会制民主主義の立場より許されないことでありまして、断じて糾弾さるべきであります。(拍手)
 そもそも委員長は、各党の意見を公平に取り入れ、委員会の審議を円滑に処理する義務があります。この都市再開発法案の審議にあたり、始関委員長は、理事会、委員会において常に独善性を発揮し、与党の理事すらもしばしばたしなめる場面があったのであります。始関君はよわい六十歳を過ぎ、当選五回の閲歴を持っておりますが、政治家として大成するには、いまのような官僚独善的な性格を直すことが必要であることを御忠告申し上げたいのであります。今回の強行採決なるものは、自民党国会対策方面の圧力によって行なったと申していますが、それであれば、国会の委員長の立場はありません。また、議会民主主義の確立もあり得ないのであります。
 都市再開発法案は、過密化した都市の土地の合理的な高度利用と都市機能の更新をはかり、公共の福祉に寄与することを目的としたものとされておるのでありますが、今日まで都市問題をなおざりにし、国民を都市公害のまっただ中にほうり出したのは一体どなたでございましょう。戦後二十数年にわたる保守政権以外の何ものでもありません。特に池田内閣以来、高度成長政策の名のもとに推し進められてまいりました政府・自民党の、生産あって国民生活なしの政策の結果、全国に過密過疎現象が急激に顕在化をいたしておるのでありまして、都市住民には、公害、交通難、住宅難等々の都市問題を惹起いたしておるのであります。
 都市再開発法案には、以上の観点より幾多の問題点があります。政府の責任において今日の過密を来たしたのでありますから、まず、再開発法案のうたう目的遂行のためには、国の、政府の責任を明確にする必要があるのでありますが、との法案にはそれが示されておらないのであります。
 第二に、都市全体の機能整備をはかる総合的再開発計画や、構想の基本的規定は不問に付せられておるのであります。
 第三に、どの地点からどのように再開発を行なうかという実施計画、実施方法も不明であります。
 第四に、現行再開発制度との関係において、本法案の位置づけが不明確なのであります。
 以上のように、都市再開発法案には多くの問題を含んでおるのでありまして、都市住民の利害に重大な関係を持つ法案でありますから、第五十五回国会以来参議院先議にしてまいりましたけれども、三回にわたり継続審査となったいわくつきの法案であります。今国会においても、参議院より衆議院に送付せられまして、建設委員会に付託せられて以来、審議が慎重に行なわれましたが、いまだ五名しか質問がなされておらず、まだ六名の質問通告者が残っておるのであります。
 すでに行なわれました質問の中で、国有地、公有地の面開発を行なって民間に範を示す必要があるというような観点から質問が行なわれましたが、国有地が大企業に不当に安く貸し付けられておる実態が指摘せられたのであります。一例をあげますならば、帝国ホテルのごときは一坪当たり評価額が二千五十万円でありますにもかかわらず、これの貸し付け料は年に一坪一万円でありまして、しかも、昭和七十二年まで、すなわち、三十年間有効というような実例を示されたのであります。このように、大企業に対しましては不当に安く貸し付けられておる実態が指摘いたされまして、与野党委員全員が強い不満を示しまして、大蔵省当局並びに建設省当局に対しまして、強い姿勢で臨むよう要求いたしたのであります。
 また、特に、公権と私権との関係において重大な問題を含んでおります。民間の三分の二の同意があれば、他の三分の一の人々に土地収用法の収用権を適用できる規定があります。これは宅建業者が、三分の二の諸権利を買収した形で、他の三分の一の人々に収用権を適用するという危険がありまして、これをチェックする方法を講じなければならないのであります。
 また、本法案は、権利処理が非常に複雑化しております。ために法廷に持ち込まれる可能性がきわめて大きいのでありまして、運用いかんによりましては、違憲訴訟が発生する可能性すら持っておるのであります。まして、法解釈の上におきまして、法制定時の国会審議が非常に重要なることは、申し上げるまでもございません。
 このように未解決の問題がありますので、建設委員会では、すでに参考人を招聘することにきまっておりまして、その人選も終わり、すでに参考人の方々には通知済みのことであります。
 また、法案修正につきましても、各党間で検討中のことでございまして、社会、公明両党より修正要綱が出されまして、自民党を含めた全理事が集まって、修正個所をいかにするかということを、各条検討中であったのであります。近日中にそうした審議が済み……

発言情報

speech_id: 106105254X04119690530_011

発言者: 井上普方

speaker_id: 18136

日付: 1969-05-30

院: 衆議院

会議名: 本会議