曾禰益の発言 (外務委員会)
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○曽祢委員 この旅券法の改正の問題の焦点の一つ。おそらくこれが最大の焦点と思われる北鮮に対する邦人の渡航に関する問題があるわけでありますが、こういう問題は、いま外務大臣から報告がありました、日航機乗っ取り事件もすべての旅客並びにスチュワーデスまでが幸いに釈放されるに至った、この喜ばしい報道と非常に関係が深いと思うのです。
そこで私従来からこの問題については——この問題というのは日航機乗っ取り事件については政府が非常に苦心をして交渉されている途中において、もし万が一にもわれわれの質疑等がその努力に妨げになってはいけないという見地から、少なくともわが党においては、昨日も国会対策委員長会議において、緊急質問は野党の立場からも見合わせにすべきだという主張をし、幸いに各野党の皆さんの御協力を得まして、緊急質問等しなかった。まだこの問題の全部についてはたして政府の措置が万全であったか、これは国内的な措置から国際的な措置に至るまで。もう少し段階が進んで、いまお話しのように北鮮に無事にこの飛行機が着いて、政務次官の山村君及びクルーの完全な釈放並びに飛行機の日本への帰還ができる、そういう時点において、これらの問題のいわゆる総まくり的な検討、そして今後の施策に対する検討が行なわれてしかるべきだと思います。そういう観点に立ちますから、本日ここでいろいろややこしい問題を全部洗いざらいやるつもりは毛頭ございません。しかし、二点ばかりぜひ承っておきたい。
その第一は、この問題が二つの分裂した朝鮮の悲劇というものをまざまざとクローズアップしたという点についてであります。すなわち、私は、どうしてもわからないのは、福岡の飛行場からどういう事情で立ったのか。これは日本政府の正式の許可があって立ったのか、機長の判断で立ったのか。また、この飛行機は初めからソウルの金浦に着陸する予定をもって立ったのか。これは、機長のほうとしては、北鮮に行くことを擬装した、しかし事実上は金浦に着陸するという予定で、あらかじめそういうプログラムで立ったのか。そうでないとすれば、いかなる事情で平壌でなくソウルに着陸することになったのか。その間において、一体日本政府はどういうふうに考えておやりになったのか。それとも成り行きでそうなったのか。このことは、もし日本の飛行機が韓国に着陸したならば、かえって韓国の非常にきつい、しかもデリケートな北鮮との関係上、人道的な立場だけから言うならば、かりに日本政府がもう北鮮に早く乗客を乗せたままで行ってもらってもいいと思っても、韓国の立場上それはできなくなる。運輸大臣や運輸次官が現地で非常に苦労されたことをよく承知しております。つまり、むずかしい条件をつくった。犯人に対する説得のほかに、やはり、言うと言わずにかかわらず、日本政府の立場は、韓国政府の協力と同意がなくしてはかってなことができない、こういう、両方に対するむずかしい交渉の立場に立たされたと思うのです。そういうことが、幸いに山村君の犠牲的精神とりっぱな行動によって、また、阿部君の協力によっていいほうに解決されました。平壌でなくて、金浦において乗客全部とスチュワーデスを釈放することができたわけであります。その間に失った時間的なロスと犠牲というものも相当大きなものがある。この間における韓国側の好意的立場、同時にまた、北鮮側の非常にものわかりのいい人道的な立場、両方に私は大いに敬意を払いたいのですけれども、そういう、ただでさえむずかしいハイジャックをやった犯人たちとの交渉のほかに、国際的に非常にむずかしい南北朝鮮問題とからむようなところになぜランディングさせたのか。この点がはっきりしないと、私は、国民がその点について納得できないんじゃないかと思う。この点をまず伺いたいと思います。