曾禰益の発言 (外務委員会)
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○曽祢委員 今度のアメリカ上院の外交委員会小委員会の記録をきのう午後、だいぶおそくなってからもらったので、一夜づけでもなるべく勉強して、日本の共同通信が報道した重要な点については一応見たつもりであります。
私がこの問題を重視する理由は、むろんこの共同声明そのものの解釈について、基本的に両国に食い違いがあったらたいへんですけれども、やはりアメリカ国務省としては、タカ派の議員さんにも、沖繩の返還が大体日本の言っているような条件でできるということについては、ほかの条件は決して損じゃないという、タカ派を満足させるような説明をなるべくするという点もありましょう。逆に、わが外務大臣、総理大臣をはじめとして、どちらかといえばハト派の野党側に了解してもらうために、相当ハト派的と見られる説明をしておるということも、これは悪意ではなくて、そういうことはあり得ると思うのです。そういう説明ぶりがあまりにも食い違ったのでは、両国の意思の食い違いとして今後非常に危険な問題を残す、これを心配するがゆえに根掘り葉掘り検討してみた結果、どうもやはり若干の点について心配な点がある。いま同僚委員があげられた沖繩の七二年返還がおくれる場合も、これは理論的にあり得る。それからもともと両国の意思が、B52を、向こうは沖繩返還があっても使いたいだろうし、こっちは絶対に困る、いまでも困るのだけれども、返還後はとんでもない。核兵器の再持ち込みは、向こうは協議する権利を留保しているけれども、こっちは協議されてもお断りだときまっておる。そういう意味で意思の違いというものは、お互いに認め合ったらあると思う。しかし、私が一番心配するのは、それよりも、以下申し上げる基本的な問題、つまり、たとえば共同声明及び首相のナショナルプレスクラブの演説は、どうも安保条約そのものの、これは変質かどうかについて問題はありますが、少なくとも重要な点における解釈について、従来と非常に違った解釈をしているというこの点ですね。これは、私はジョンソン次官の次の発言で明らかだと思うのです。これは私の訳ですから非常にフリーな訳ですけれども、意味はおわかりだろう。まず「今日まで日本政府と国民一般は、日本とアメリカとの安全保障の協定は、日本自身の安全に関してのみ意味があるという態度をとる傾向があった。だが、今度の共同声明で日本側は初めて日本の安全保障が韓国及び台湾の安全並びにこの地域の他の地区でアメリカが負っている義務と切り離せないこと、したがって在日基地の問題を日本自身だけの安全の見地でなく、地域全体の安全保障の関連で見ることになった。」いままでは全然われ関せずえんだったけれども、今度の共同声明で初めて日本の安全が韓国、台湾その他の地域におけるアメリカの義務と切り離せないこと、在日基地の意味というものが非常に違ったということをジョンソン次官ははっきり証言しているのです。同様にこれは同僚委員も指摘されましたが、「沖繩返還と日本の安全保障の利害の拡大とは一種の取引である。」これはサイミントン議員のぎゅうぎゅう責めにあって、しぶしぶであるけれども、そういう取引だということを認めているわけですね。
第三に、「日本側が朝鮮、台湾に関して、沖繩のみならず、在日基地の使用を認めることは今回初めてだ。今日まで日本側は、在日基地は日本防衛のためにのみ使用され、他のいかなる目的に使用することもできないし、同意しないという、法律的ではないが、政治的立場をとってきた。」私はそのとおりだろうと思うのですね、日本政府は。
第四に、「理論的には、沖繩に関する限り、米国の行動は返還で縮少されるかもしれないが、同じく論理的には、在日基地についてわれわれの行動は拡大する。」こういう説明をしておるので、これは単に米国側の説明である限りは、それはいいでしょうけれども、日本政府の従来のとってきた解釈あるいは政治的態度ということが今度はもうすっかり変わったんだ、こういう趣旨でるる述べておるわけですね。私は、これは非常に重要な点だと思う。私自身はむしろ、一部の国民の、要するに今度の返還の約束は沖繩を本土並みではなくて、本土の沖繩並みだとか、安保条約は質的にアジア安保に変わったんだという解釈は、私は必ずしもとらないのです。それは法律的には確かに外務大臣が言われるように、安保条約の第六条に極東のためにも駐留権を認めているのですから。ただし、その事前協議というものも非常に厳格に日本の基地は解釈している。そのときには沖繩という、いつでもかってに使える基地があったから、結局日本の基地から飛び立つということをいままで顕在化しなかった。しかし沖繩が一たび本国に入ってしまったときに、やはりどうもいままでみたいな基地の、極東への飛び出し基地としての問題、いままで潜在化しておった問題が今度クローズアップされたと私は考える。しかし少なくともこれだけ重大な従来の解釈の、政治的解釈の変革があったということをジョンソン次官は、これは自分の、言うならばタカ派説得の材料として決して悪い取引ではないという意味からであろうが、日本の政治的立場についてそういう解釈をしているのに、いや、そんなことはないのだ、全然いままでと同じだということは、私はすなおには受け取れない。ですから、それはそれでやはりきちんと、あとで申し上げるように、そのことは事前協議の際のイエスということに相当私は慎重でなきゃならないということに通ずるわけですけれども、少なくとも安保の質的変化でないとか、従来と全然変わらないというようなことだけでは、私は済まない問題提起があると思うのです。これについてまず外務大臣のお考えを伺いたい。