安井吉典の発言 (外務委員会)

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○安井委員 どうもいまの御答弁では沖繩の県民世論はおさまりそうもありません。ほんとうに県民が納得できるような裁判が行なわれているのなら全文でなくても概要でもいいですよ。概要といっても、どういうやりとりがあってどういう原因でどういう結果が出たかというものを明確にできるような、そういうものを出すのが私はほんとうだろうと思います。出さないのは、結局それを出せばかえって世論を刺激する、こういうことだからではないかと思うのです。そういう点、さらにまた御検討を願っておきたいと思います。捜査権の問題については、いま共助協定のお話が出ましたが、これはちょっと時間がないようですから、あればあとで伺うことにして、いま裁判の問題について私の見方や考え方をちょっと申し上げてみたいと思うのです。
 いろいろな意見等を総合して現在の軍事裁判のあり方を考えてみますと、大きな問題は三点あるように思います。
 その第一点は、裁判官をはじめ裁判所構成が全部軍人で構成されているということであります。これは戦場で殺し合いが行なわれている段階なら、あるいはこれでもいいのかもしれませんけれども、現在の沖繩は形はなるほど占領下であるかもしれませんが、もう観光客も一ぱいぞろぞろいて、みやげもの屋もそれで繁盛しているという段階であります。国政参加もできて、間もなく施政権返還、こういうところだと大臣も繰り返し言われるような段階です。そこで、そのまま戦場の論理がまかり通っているというところに私は問題があるように思う。軍の中で起きた事件なら軍人だけで陪審員まで構成した法廷でもいいのかもしれませんけれども、軍人と住民との間の問題ということになると、これは勝った者と負けた者、勝者対敗者という関係あるいは支配者対被支配者、もっといえば一つの民族対他民族、そういうような関係もどうしても避けられないように思うわけです。だから私はこういうふうな法廷で公正な裁判ができるわけはないと思う。
 それから二番目には、この陪審員制の問題ですね。陪審員制というものは裁判に対する民衆参加ということにおいてメリットを持っていることは多くの人が認めるところです。本来的にはそうだと思います。しかし、この軍事法廷という中において、特に勝者対敗者という論理の中では必ずしも公正に働かない場合が出てくる。だから陪審員が、この人は婦女を暴行をしたけれども、ベトナム戦争に功績があったから無罪だ、こういうふうな結論が出がちであります。糸満のときでもこの被告は航空隊の二等軍曹で、報道によりますと陪審員はほとんどが空軍の将校であったというわけです。そして、これは新聞報道ですからよくわかりませんが、道路が悪かったからというふうなことでノットギルティー、こうなっているということであります。だからここにも一つ問題がある。
 三番目は、公開が原則ということになってはいるそうでありますけれども、大体基地の中で行なわれておる裁判が公開されたからといって、だれも入りゃしないわけであります。結局糸満のときでも遺族二人と報道関係五人を入れて通訳なしという法廷になっております。だから、こういうふうな形の軍事裁判、これが今日の段階においてはもう不合理になってきているのではないか、私はそう思うわけであります。だから琉球裁判所に移せという主張は以前からあったし、今日特に強まってきているということではないと思います。日弁連の主張はもう大臣御承知のとおりです。施政権の一環として、琉球政府の裁判所も民政府の裁判所もそれからいまの軍事法廷も三つとも施政権の中にある。何か琉球政府の裁判所というのは日本の裁判所の出先みたいな気がする、そういうふうな印象をアメリカのほうは伴うのかもしれませんけれども、それなら日本の施政権が沖繩に及んでいるということになるわけですから、われわれのほうはむしろ喜ばしいわけです。そうじゃないということを彼らは言っているわけでありますから、琉球政府裁判所も今日の段階では施政権の一環の中に組み込まれているわけです。だから、内部的に事務分掌を変えればそれでいいのだというのが日弁連の主張のようでありますけれども、これも私は一理があるのではないかと思います。先ほど西銘委員からも一つの御提案がございました。しかし、昨日の参議院の沖繩対策特別委員会の決議も、民移管ということを主張して、必ずしも先ほどの御主張をそのまま取り入れた決議ではなしに、民間の裁判所に移管すべきである、こういう内容を持っているのが参議院の決議だ、こういうふうに私確かめてきたわけであります。相手があることだから、これは外務大臣そう言われるだろうと思いますけれども、私は日本政府の姿勢だと思います。きっぱりした態度でさらに交渉に当たるべきだと思うのですが、この辺についていかがですか。

発言情報

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発言者: 安井吉典

speaker_id: 8030

日付: 1970-12-24

院: 衆議院

会議名: 外務委員会