床次徳二の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○床次徳二君 ただいま議題となりました五案件につきまして、沖繩及び北方問題に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、各案件の要旨を申し上げます。
最初に、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案は、沖繩の復帰後直ちに本土の諸制度を適用するならば、沖繩の社会、経済の全般にわたって急激な変化が予想され、県民に多大の不安をもたらすおそれがありますので、住民生活の安定に配慮しつつ、特別措置を講ずることにより、本土の諸制度への円滑な移行をはかろうとするものであります。
そのおもな内容は、第一に、沖繩県及び沖繩県の市町村の発足に必要な措置について、第二に、裁判の効力の承継等について、第三に、琉球政府、琉球水道公社等の法人の権利義務の承継について、第四に、通貨の交換等についてそれぞれ定め、第五に、沖繩法令による免許等の承継について定めるとともに、税制、食糧管理制度等、沖繩県民の生活に影響を及ぼす諸制度の経過、特別措置をその所管する各省別に講じ、第六に、本土法令の沖繩への適用についての経過措置等については政令、最高裁判所規則等に委任することができるものとすることであります。
次に、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案は、第一に、沖繩が本土の施政権下になかったために必要とされていた法律を廃止するとともに、特別に必要とされていた規定を削除し、または改正し、第二に、沖繩開発庁沖繩総合事務局に置かれるもの以外の国の出先機関を設置するため、各省設置法等の一部を改正し、第三に、沖繩の復帰に伴い必要となる法令の規定を整備すること等であります。
次に、沖繩振興開発特別措置法案は、第一に、沖繩の振興開発をはかるため、振興開発計画を策定し、この計画に基づく事業について、国の負担または補助の割合の特例等の措置を講ずることができるようにし、第二に、工業開発地区の指定制度を設け、特定事業所の認定等の措置を講ずるとともに、沖繩の中小企業の近代化をはかるなど、産業振興のための特別措置を講ずることであります。第三に、自由貿易地域の指定制度を設け、課税の特例等の措置を講じ、第四に、電気の安定的かつ適正な供給をはかるため、沖繩電力株式会社の設立等を行なうことであります。第五に、労働者の雇用の促進、職業の安定をはかるため、沖繩の復帰に伴う失業者に対して、求職手帳を発給する等の援護措置を講ずることであります。
以上のほか、無医地区における医療の確保、その他離島及び過疎地域について必要な規定が設けられております。
次に、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案は、
第一に、沖繩の復帰に伴い、沖繩における公用地等のための土地または工作物に関する暫定使用について特別な措置を定めるとともに、その土地等については、暫定使用の開始後であっても、その所有者等との合意により、これを使用することとなるようつとめることとしております。
第二に、現に米軍が使用している土地等のうち、沖繩の復帰後も引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの、引き続き米軍の用に供するもの、またはこの法律施行の日から一年以内に米国から返還を受け、引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの並びに現に電気、水道施設、飛行場及び道路等の用に供している土地で、沖繩の復帰後も引き続きこれらの用に供するものについて、国などは、この法律の施行の日からその土地等の権原を取得するまでの間、五年をこえない範囲内で使用することができることとしております。
第三に、土地等を使用する場合の手続、使用に伴う損失の補償、さらに、使用をやめた場合の返還及び原状回復の義務について定めております。
最後に、国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件は、沖繩の復帰に伴い、当分の間人事院沖繩事務所を那覇に置くことについて国会の承認を求めようとするものであります。
なお、各案件の施行の期日については、一部の条項を除き、いわゆる沖繩返還協定の効力の発生の日としております。
以上五案件は、十一月六日本会議において四法律案の趣旨説明が行なわれた後、同日本委員会に付託され、十一月十日政府より提案理由の説明を聴取し、審議に入ったのでありますが、特に、十二月一日、二日の両日にわたり、沖繩に本特別委員会の委員を構成員とする議員団が派遣され、現地における各界の意見聴取が行なわれました。また、同月八日には、公聴会を開くとともに、大阪に委員を派遣して各界の意見を聴取し、また、同月六日には、商工、運輸、建設、農林水産の各常任委員会と、七日には、内閣、地方行政、大蔵の各常任委員会と、十日には、法務、社会労働、逓信、文教の各常任委員会と連合審査を行ない、さらに、同月四日には、沖繩選出の上原康助君、安里積千代君及び瀬長亀次郎君の各議員に委員外発言を認め、慎重に審議を重ね、実質十八日、百二十七時間に及んだのであります。
この間行なわれました質疑について、そのおもな点を二、三申し上げますと、まず、「沖繩振興開発審議会は、沖繩の代表が少なく、政府の一方的な審議会となるおそれはないか」との質問に対し、「委員の任命にあたって、沖繩県知事の意向を参酌するとともに、審議会の円滑な運営を期するよう配慮する」との答弁がありました。
また、「沖繩の刑事裁判を、日本国憲法のもとでやり直すべきではないか」との質問に対し、「法的安定性ということから裁判を引き継ぎ、そして再審制度、恩赦制度を活用していくほうが妥当であるということから引き継ぐこととした」との答弁がありました。
また、「VOAを撤去すべきではないか」との質問に対し、「沖繩返還交渉の一環として処理せざるを得なかったため、VOAの五年間の運営の継続を認めたが、その運営については十分配慮し、電波行政におけるかかる特例措置を一刻も早く回復するよう、二年後に始まる協議においてこの問題に対処したい」との答弁がありました。
また、「公用地等の暫定使用法案は、不当に財産権を侵害するものであり、憲法二十九条に違反するものではないか」との質問に対し、「暫定使用は、沖繩の復帰による土地等の供用の中断を避けるため、公共の必要に照らしやむを得ない措置であり、使用については正当な補償が与えられるので、憲法二十九条に違反するものではない」との答弁がありました。
そのほか、協定特別委員会における審議の経過、返還協定の批准と国内諸法案との関係、産業の振興、住民福祉の増進、県市町村の自治の尊重と財政の確立、教育委員会制度、米側資産の承継、核の撤去、基地の整理、縮小、自衛隊の配備など、各般にわたり質疑が行なわれたのでありますが、その詳細については会議録によって御承知願いたいと思います。
かくて、十二月十三日質疑を終了しましたところ、沖繩振興開発計画に定めなければならない事項として、都市の整備に関する事項を明記すること、雇用促進事業団は、求職手帳所持者の宿舎の貸与、その他宿舎の確保に関し必要な援助を行なうことができることとすること、また、沖繩振興開発審議会の委員について、学識経験者を十一人以内とし、総数を三十人以内とすることを内容とする、二階堂進君外四名の提案にかかる沖繩振興開発特別措置法案に対する修正案が提出され、自由民主党を代表して毛利委員から提案の趣旨の説明が行なわれたのであります。
よって、五案件及び右修正案について討論に入ったのでありますが、日本社会党を代表して山口委員から反対の意見が、自由民主党を代表して湊委員から賛成の意見が、公明党を代表して桑名委員から反対の意見が、民社党を代表して門司委員から反対の意見が、日本共産党を代表して米原委員から反対の意見が述べられたのであります。
かくて、採決を行ないましたところ、沖繩振興開発特別措置法案については、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと議決し、また、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、及び沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案は、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決し、国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件は、多数をもって承認すべきものと決した次第であります。
なお、細谷委員より、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、各案件に対し少数意見の報告をいたしたい旨の発言がありました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)